戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年03月22日 
(昭和21年)
会議名
諮詢会協議会 1946年3月22日 目録詳細 画像を見る
議事録
諮詢会協議会 〔銀行設立・俸給制・自治制・他〕

 三月廿二日(金)午前十時。
  出席  志喜屋、松岡、又吉、山城、仲宗根、安谷屋、糸数、平田、大宜見、當山、前門護得久、比嘉、仲村の諸委員。
  病欠  知花委員。
協議事項
 志喜屋委員長
  一、ニミッツ布告は極必要であり特に諮詢会に於ては憲法に匹敵するものの様に思はれるから印刷にして差上げます。
   法務部、保安部に於ては会議が抵触せざるや否やを特に考へられたい。
   若し訂正すべきものがあれば陳情してもよい。
   例せばワッキンス少佐が話された米兵と住民とが挨拶も交す事が出来ないと云ふ事等でも訂正出来ると思ふ。
   陳情してよいと思ふ。
  二、各部の事業につきて
   例せば農務部の最後の到達が出来た様に大方針を立てたら如何かと思って居る。
   戦前の状態
   各部が実施された事業等も報告されて貰いたい。
   経過報告を提出する事。
 護得久委員
  各部の棚を作って保管して貰いたい。
 糸数委員
  各部のものを別の部にも配布して貰いたい。
 大宜見委員
  一週間なら一週間分として報告したら如何。
 護得久委員
  一ヶ月分を其月末に報告したら如何。
 糸数委員
  三月分は四月十日迄で提出す。
 護得久委員
  財務部では三月を年度末とし四月を年度始めにやりたい。
 前門委員
  去年のものを四月十日迄で報告しますか。
 護得久委員
  印刷輪転機の増設をお願ひしたい。
 志喜屋委員長
  農務部の方針の表には水害及暴風雨の被害も這入って居ますか。
  山城、當山両委員へ申しますがニミック布告を教科書に取入れられる所があれば取入れて一般住民に知らしたら如何。
 山城、當山両委員
  もっともである。
 比嘉委員
  水害、暴風雨の被害も見て居る。
  肥料は二期作に間に合ふべく二万五千屯注文して二回も打電したが未だ返事が来ない。
  人糞肥料の使用方法も講じて居る。
 護得久委員
  隊長から経済小委員会の時住民の手持元金の交換及び余剰金を預金するとの事になって居る。之は四月一日に交換し余分は交換する事になって居る。
  四月八日から仝月二十日迄で完了することになって居る。私の意に副はん所があるが軍政府下であるから仕方がない。
  明日迄でに銀行本店を作れとの事である。
  交換範囲は昨日の指示で離島(久米島、伊平屋、粟国、渡名喜、慶良間)を含め宮古、八重山は除外すると。
  交換は所帯主を主とし一人につき一〇〇円、家族も一人につき一〇〇円と軍政府は云って居るが、私としては家族は五〇円と考へて居る(之は未決定)。
  糸数委員は戦前の物価を推し進めやうとして居る。
  仲宗根委員の方での生活費は高く見積って五人家族一ヶ月分で二百五十円程である。
  故に余分の金を所持する必要はないと思ふ。
  之は一ケ月分であり次月になると又銀行から払ひ下げることが出来る。故に戸主一〇〇円、家族は五〇円にしたいと思ふ。
  軍政府は戸主家族を問はず一人一〇〇円として居る。
  預金封鎖でなく物価の維持を協力するため一時預りをするのである。
  五月から賃銀制を実施される事になって居るが生活費に不安を来す意見ではない。
  手続の件。
  四月一日迄でに申込書を受け付ける(交換・預金)。
  例せば一、〇〇〇円の手持金の中三〇〇円は交換し余分は預金にする。各村で取纒めて申込順により交換する事になって居る。
  預金は一時軍政府に保管して貰ふ事にする。
  預金は単なる預金で定期、当座等の区別なく無条件預金である。皆様の御協力御了承を願ひます。
  正しく明るく事務完了したいから其都度御注意を願ひたい。
 大宜見委員
  新紙幣の切替へは日本の切替へと如何なる関係があるか。
 護得久委員
  軍政府で切替になるのは沖縄ばかりであって日本朝鮮にも融通出来るとの事である。
  古紙幣は認めないと云って居る。
 大宜見委員
  古紙幣の価値はあるか。
 護得久委員
  価値はある。
 糸数委員
  新らしい事実に対する対策を講じて居る。
  日本新聞によると日本では米一石三〇〇円で売値は二五〇円とある。
  其他の物価も之を基準として決定したと。
  之を基準とした生活費は月五〇〇円であると。
  日本の貨幣と沖縄の貨幣とは将来融通すると云った。紙幣融通の時は日本からも物資が移入出来ると考へられる。
  沖縄は米一升一円五〇銭の価値で日本は二円五〇銭から三円であるから輸入が出来るや否やを考へて軍政府に日本の新物価表を取寄せて貰ふ事を願った。
  本島の物価も日本のと睨み合さなければならないと思ふ。
  今日迄での出した物価は訂正困難と思はれる。又一、二ヶ月で物価が変動するのも如何と思ふ。
  仲宗根委員の方で物価賃銀表が出来て居るので之を見たが結構と思ふ。啻物価が異動しても之が基準になると思ふから早く之を審議したい。
 仲宗根委員
  一人一日一、四八一カロリーを摂取する時五人家族で一ヶ月の生活費一二一円一一銭。
  九六円八七銭の二通りの食費がかゝる。
  一人一日二、四〇〇カロリーと見た時五人家族一ヶ月の生活費二三八円五〇銭と一九四円五五銭の二通りを見積った。
  被服類は初年度は月八八円九一銭、二年目は四六円二七銭と見積った。
 平田委員
  貨幣交換につき市町村を中心としてやるが貯金を含むや否や。
 護得久委員
  貯金は今の所考へて居ない。
 平田委員
  将来にも関連するから郵便局も町村と協力させて貰いたい。
 護得久委員
  協力して貰へば結構である。
  軍政府にも平田委員の意見を述べて置きます。
 前門委員
  従来銀行に預金した者は特に今の交換を認めて交換して貰いたいと思ふが。
 護得久委員
  之に対し関心を持たなければならないと思って居る。
  銀行、郵便局はなくなり困って居る。郵便貯金は大蔵省に銀行預金は其銀行に交換しなければならないと思ふ。
  只証書のみを以て権利を主張させるのは如何と思ふ。
  其方は軍政府でも充分研究して居ないとの事であった。
  其方は別の方法を以て考へようかと思って居る。
  預金証書のみ持って居る人のみ認めて戦争のために失ふた人は認めないとする事に対しては如何と思ふ。通帳を失った人に対しても補填を考へなければならないと思ふ。
  此点を決定して後預金、貯金の事を考へたい。
  通帳を失った者に対して如何なる処置をするかと云う決論と相俟って預金証書も決定したい。
  皆様此点を御考慮して貰いたい。
 當山委員
  護得久委員の今の御話に感謝する。
  町村長として私等からの考へから見ると預金貯金をせば物資は失ってもあるから此際通帳の有無に不拘、日本に対し此県民の権利を軍政府を通して主張したい。
 安谷屋委員
  一、毎月銀行からの払下げを少くするのは同意であるが現金を所持して働く事の出来ない者に対しては余分に払下げる方法は如何?
  二、米軍の保管金は如何なるか。
 護得久委員
  一、可働者少く生活を維持し得る事の出来ない時の答に対し、其れに対し生活の不安はないと思ふ。
   特種事情が起った時は申請によって其自体で解決すると思ふ。
   久米島は米と現金の有償で治療して軍政府の援助はない様である。
   要するに一律に交換して其後に取り挙げて遅くはないと思ふ。
  二、軍政府の保管金につきて。
   軍政府保管(二、四〇〇万円)につきては触れて居ない。私は貯金、預金に当てたいと思ふ。
   簡単に散らす事を恐れて居る。
   銀行が確立した後にと思って居る。
   軍政府も確立する時は貸すと云って居る。
   二、四〇〇万円中、二、〇〇〇万円は軍用金(日本軍)で銀行預金ではない。
   銀行は十数万円しか持って居ない。
   鹿児島興銀は数百万円、沖縄興銀は五十万円程であった。
   鹿児島興銀が沖縄の金融界を支配して居た。
   沖縄に特別の現金を置いて、軍(日本)其他が考慮して居た。
   鹿児島興銀が日本銀行代理で日本軍の現金を預って居た。
   日本軍は之を勧業銀行に預けていた(鹿興から勧銀に移した)。
   融通未了の現金は勧銀にあった。
   一九四五、三月の始め此の未融通の金を鹿興銀に持って行った。
   鹿興銀は之を球部隊に移した(南風原村字津嘉山)。
   之を米軍が発見して押へたのである。(以上秘密にして下さい)
   故に之を私の方が余りに容唃(啄)する事は出来ない。
   今の所何等軍政府と相談して居ませぬ。
 山城委員
  俸給制度実施の件。
  教員の採用するに関心を持つが賃銀制の実施につき何月から行ふや否やにつき一般に話して差支へなきや否や。
 護得久委員
  一般に話しても害はないと思ふが軍政府は其準備をやるために遅れたりする時があると思ふ。話されてよいと思ふ。
  先ず近い中と云ふ事でよいではないか。
 前門委員
  俸給取にして預金ある人は如何するか。
  例、五〇〇円給料取る人が現金五〇〇円あるとすれば一、〇〇〇円になるが之は如何するか。
 護得久委員
  余剰金は預金しなければならないと思ふ。
 仲宗根委員
  物品の売買に制限があるから抑へらるゝと思ふ。
 糸数委員
  物資を軍政府と一緒に巡って見るとそんなに金を使ふものはない。
 仲村委員
  今後、甘藷、魚、野菜類等が出ると矢張り闇が起るから現金を制限したい。
 護得久委員
  住民が不服して居る所がある。
  其れは越境者の持って来た甘藷等を警察が取上げて警察が取って居ると。
  之を公平に如何にかして貰いたい。
 仲村委員
  越境者から取上げた物品は配給所及救済部に廻す事になって居る。
  現に巡査が其点で留置されて居る。是迄で二、三人免職になった者が居る。
 仲宗根委員
  賃銀制の時の生活費につき説明す(別紙印刷物による)。
 護得久委員
  年次に低落するのは如何%を示して居るか。
 仲宗根委員
  初年度は例へば毛布等を買ふ必要があるが二年次には買ふ必要がないと見て居る。
 糸数委員
  生活費には衛生費は見て居ない。之は軍政府がやるとの事である。
 大宜見委員
  護得久委員が二、四〇〇カロリーは多くはないかと云はれたが実際に於て多い。
  五人家族の中三人を子供と見て父親が重労働者として二、四〇〇カロリー母が一、八〇〇カロリー子供は一、四八一カロリーとすると一ヶ月の生活費は一五〇円を超えない。
  勿論米軍は三、七〇〇カロリー摂取して居るとの事である。
  一日今の所一、四八一カロリーとすれば、其差は(重労働者二、四〇〇カロリー、女一、八〇〇カロリー子供一、四八一カロリー)二〇〇カロリー程である。
 糸数委員
  日本では主人は一、八〇〇カロリー、家族は一、四〇〇カロリーになって居る。
 仲宗根委員
  此案(別紙印刷物)を承認さるれば軍政府に提出しようと思って居る。
 志喜屋委員長
  此案でよいでせうなー。
 全委員
  異議なし。
 仲宗根委員
  二月中の各地の配給状況(別紙表)を軍政府に提出したいと思ふ。
 全委員
  異議なし。
 大宜見委員
  布哇から来た慰問品は如何なるか。
 仲宗根委員
  昨日私の所で調査させた。本日軍政府(ワッキンス少佐)に話さうと思ってゐる。
 大宜見委員
  女の好む衣類があると或夜M・Pが取りに来て居たが与儀氏が自動車の番号を調べんとしたら取らずに帰へって行ったとの事である。
 又吉委員
  ワッキンス少佐の話であるが、経済小委員会に私(又吉委員)もオブザーバーとして参加して貰いたいとの事である。
  金融の件につき、ワッキンス少佐は、四月一日から七日までの通知は短くないかと。
  軍政府は短い方がよいと云って居た。
  私(又吉委員)は可成延ばしてくれと云った。比嘉委員(農務部長)のものは複雑で、耕地分配をするに可働力を中心としてやれとの事であった。
  自分の土地でないから働くかどうかと云はれて居た。
  土地認定を複雑になるから皆に(委員)に投げてくれと云はれた。
  其間村に還元する事が出来ないから共同作業がよいと。
  行政は村を立てつゝある。役場吏員の数は報告してある。
  地方総務を改正せよとの事である。
  市の解消を内達せよとの事である。
  石川市、コザ市、糸満市は特別に残す事になったから御了解を乞ふ。
  各部長、地方総務、村長以下に辞令を交付するから其形式を考へて置けとの事である。
  村が立ったら村議、県が立ったら県議の事を考へつゝあると報告した。
  仲宗根委員から弁駁書が来たが私の質問にはポイントがはずれて居るから答弁いらない。
  私は私の案を此所(諮詢会)で修正願った。
  仲宗根委員は排撃の句を用ひて昔の政党の争の様にある。
  どの面も吾々委員を相手にしないで民衆相手になり煽動的になって統制を惧れて居る。
  仲宗根委員はニミッツ布告に触れると思ふ。
  政治的自治と学生の寄宿舎の自治とはき違へて居る。
  軍政府の自治は統制を取らす自治と思ふ。
  最後に於て我が儘過ぎた点があると思ふ。
  日本の従来も完全な自治ではなかった。況や米軍政府下に於てをやである。
  委員長もニミッツ布告を考へて御互やって行きたいと云はれた。
  私の案の修正に対し民衆に投げたのを遺憾に思ふ。
 護得久委員
  一、諮詢会の最近疑を持つものである。
   又吉委員の事であるが、各部隊長は各部に対して質問をして居るが而しワッキンス少佐が各部に亘って又吉総務部長に聴くのを却而いけないと思ふ。
   之からワッキンス少佐は委員長に聴いたら如何がと思ふ。
  二、行政上の件であるが充分検討もせず(之は又吉委員の意見としての自治尚早論の事である)仲宗根委員からやるし、之に対しては委員の口を封鎖した様で甚だ遺憾で、諮詢会の意見を纒めて後三十万住民に言ふべきではないか。
   既に出来た事は仕方がないが又吉、仲宗根両委員共反省をして貰いたい。
   一委員の意見に対し反対意見がある場合は諮詢会に於て審したい。
   重要問題を諮詢会外で話す事はお互慎みたいと思ふ。
 仲宗根委員
  此問題が重大化したことは一九四五年八月十五日如何なる人を選ぶか、住民のためになる時は徹底的に戦へと。
  自治を得るや否やの最重大な問題である。
  其れを部長一人で時期尚早だと答へた。
  故に此案に対し反対した。若し答弁する時間がなければ文書を以てする事にした。
  斯る問題は夜を徹しても論議してやりたいと思った。
  其時又吉委員も委員長も興奮した様子であったから文書を以て答へる事にした。
  私は順序を経て居るが外に漏れた事は私自身のものではない。
  又吉委員は学生寄宿舎の様な自治である(仲宗根委員の自治の見解)と云はれたが、又吉委員の自治は軍政府を離れての自治か問ひたい。
  委員長に聴く。
  田井等市長(平良辰雄氏)への手紙に委員として自治を云った者はないがと云はれたとの事だが又吉委員は時期尚早であるが如何。
 志喜屋委員長
  私は諮詢会として自治尚早論として軍政府に出した事はない。又総務部長としても尚早として出した事はないと云った。
  見せますか持って居るが。
 仲宗根委員
  分りました。
 又吉委員
  自治は私の意見ではない。軍政府の意見である。
  軍政府は自治尚早の案を持って来て私に対して居る。
  何故其案が出たかと云ふと辺土名の問題があって私は之でやってやらうと云ふ穏かな案である。
  自治を与へんとするに之を私が阻害したと云ふ事は卑劣と思ふ。
 仲宗根委員
  私の見る所では軍政府の行きつゝあるものを見たのである。
 前門委員
  簡易裁判は四月十五日から開始する事になって居る。
  弁護士も発令なる事になった(諮詢会で了解になった人々)。三月二十八日発令と同時に会合を催す事になった。今後共皆様の御援助御助力を願ひます。
 大宜見委員
  テンプルトン氏の送別会の件。
  委員長幹事長に任したい。
 全委員 異議なし。
 志喜屋委員長
  台湾在住県人への手紙を朗読す。
  全委員 異議なし。
  (午前中の会議終了)

  (午后一時半)
  出席  志喜屋、松岡、又吉、仲宗根、糸数、平田、大宜見、護得久、比嘉、仲村、前門當山、安谷屋、山城の諸委員。
  病欠  知花委員。
協議事項
 比嘉委員
  農務部案として、農耕地の分配方法として、
  一、耕地は町村長の責任により分配す(所有権に関せず)。
  二、耕作者を分類して耕地に差を出す。
   1、定着者に対しては耕地を多く与へる。
   2、移動性ある者は(耕地を少く与へよう)。
    a、元商業者たる者。
    b、元の村に帰へる者。
    c、農業するものしないもの。
  三、共同耕作の保有(未帰還者に与へるため)。
  四、働き得る人に分配す。
  五、戦前の所有主には元の所有地を与へる。
  六、軍作業は可成移動性の者を出す。
 護得久委員
  トラクターがあったか否かを調べて貰いたい。
 比嘉委員
  承知しました。
 護得久委員
  酒のモロポリーについて協議したい。
  諮詢会財政部長ではいけない。
  (午后二時)
  軍政府 ワッキンス少佐。
諮詢事項
 志喜屋委員長
  諮詢会昼食用として米、会議用として御茶下付につきお礼を述ぶ。
 軍政府
  伊芸徳一氏の後任労務部長として考へて居るか。
 仲宗根委員
  人選につき研究して諮詢会にかけやうと思って居る。来週回答します。
 軍政府
  日本紙幣と軍票との交換につき。日限は何日間置いたらよいか。予告してから期間を長く置くのと短かく置くのとの意見があるが、長く置く時は想像して細工をしインフレーが行はれはすまいかと考へられるが、短期間でいけないと云ふ理由は遠い田舎等に不徹底しはすまいかの惧れがある。
  故に何月何日から交換すると云ふ通知を一週間にするか十日間にするか。
  其で之を発表せず極僅かの日を与へるのと又前以て知らすのとは孰れがよいか。
 比嘉委員
  誤解を招く点がある。それはウルマ新聞で貨幣は価値なきものであると出たから住民は駄目だと思って居る。故に相当の期間を置いて町村の役員が説明をする期間を置いた方がよいと思ふ。
 仲宗根委員
  長く期間を置くと他人に保管させる利用が出来るので後のインフレー等に関係がある。
  一、ウルマ新聞に財政部から分り易い様に軍政府の主旨を出す。
  二、町村長を集めて主旨を徹底せしむ。而して住民に安心を与へる。一週間もあればよいと思ふ。
   長引かない様にしたい。
 護得久委員
  此問題は重要な事である。
  来る三十日町村長、財政課長を石川に集め軍政府係将校列席の下に私から交換、預金につき説明し質疑応答して四月一日布告の日になるから町村長から住民に説明して伝へる事にする。
  一週間の余裕があれば充分徹底する事が出来ると思ふ。
  四月二十一日から交換するから又其間二週間もあるからよいと思ふ。
  誤解を避ける方法として換金申込書を各住民に配る。若し疑問があれば町村長に質す事が出来る。
  申込書は四月二日から七日迄とす。
 軍政府
  例へば直ぐ発表した時デマが出て危険を伴ふ惧れはないか。四月一日前に知られたら危険になるか。
 護得久委員
  通貨がないから高価の値を以て物々交換をして居る者がある。町村長に説明しない中発表すると相当のデマが飛び誤解を招く惧れがある。
 軍政府
  其間デマが飛んで四月一日迄での期間に騒いだり誤解したりしますまいか。
 護得久委員
  大した影響はないと思ふ。悪いブローカーが悪いデマを飛ばす惧れがある。仲村部長の方でも注意して貰いたい。
 軍政府
  官庁の建物が必要だが各役所が別々に持つと大きな仕事になるが建物を一つに纒めて分割して使用したら如何。
 護得久委員
  暫定的として仕方がない事である。
 全委員
  異議なし。
 軍政府
  村役場、郵便局、警察、裁判所等だが如何。
 當山委員
  水産組合、農業組合は役場に接近した方が便利である。
 軍政府
  水産組合、農業組合は離れてもよいが村の公会堂を共用したら如何。
 全委員
  異議なし。
 軍政府
  来週、木、金の判検事、弁護士の集りがあるが車は特別に仕立てなくてもよいか。
 前門委員
  特別に車を出して貰いたい。
 軍政府
  来週水曜日に法務部の外会議があるや否や。
 津嘉山書記
  法務部の外はありませぬ。
 軍政府
  平田委員の車一台増す件は出来た。
 平田委員
  有難う存じます。
 軍政府
  各町村長に裁判所の敷地の選択及住宅の用意等をなすべく又吉委員の方から前以て通知を発して置かれたい。
  金曜日に配置になり其次の月曜日から赴任する事になるかも知れない。
  中央裁判の機構を早く準備する様にして貰いたい。
  仲村委員へ、今の事件を全部簡易裁判でやる時と米人がやって来た時と比較して今日の様に多く犯罪が出るや否や如何。
 仲村委員
  裁判所が出来たから犯罪の増減には影響はない。
  人民が裁判が出来たと自覚すれば減ずると思ふ。
 軍政府
  裁判が全部沖縄人の手に移った場合刑を軽く見る様になるから過去の犯罪数と如何なるか。
 仲村委員
  事情が分って公平な裁判が出来るから減ると思ふ。
 前門委員
  社会制裁もあり又恥と云ふものがあるから皆が自覚して減ると思ふ。
 軍政府
  布哇からの慰問品はトラック十台分はあるがサプライで手配する様になって居るが何所に収めたらよいか。
 仲宗根委員
  中央倉庫に集めて各地に配布したい。
 護得久委員
  一応諮詢会に諮って貰いたい。
 仲宗根委員
  諮ります。
 軍政府
  沖縄にある機械類は海軍が責任を持って居るが之を沖縄人に責任を持たさなければならないが如何にするか諮りたい。
  保管総ての責任は取扱ふ人に任す。
  各部の所持する機械は其部に責任を持たしてもよい。
  諮詢委員で考へて置かれたい。
 仲村委員
  其部で責任を持った方がよいでせう。
 軍政府
  疎開者と地元住民の協力がないとの事であるが。
 仲宗根委員
  大した問題はないと思ふが只感情上の事だらう。
 安谷屋委員
  土地耕作の時疎開者は耕作しないとの事等もあるやうです。
 軍政府
  地元民と疎開者と融合する意味でムーレー大佐から手紙でも出したら多少融和するだらうか。其手紙の内容大意は、戦争に打撃を蒙り台所の煙も少ない。
  結婚関係も沈滞して居る。
  墓地も修理も出来ない。
  建物は住民の力を俟たなければならない。
  現在は一軒に二、三家族が住み雨を凌ぐだけである。
  若し住民が朝から晩まで働くなら再建が早くなる。
  一軒に一家族が住むのが望である然うすると助け合って行く。
  疎開者も一国の国民と思へば其人々とも協力が出来る。
  沖縄建設に進むなら役職員が疎開者を別扱ひにする筈はない。
  建設を早くするには疎開者と地元民が協力して行かなければならない。
  同様に協力して此の争もなくなる。土地使用者も多くなるだらう。
  総ての人が一人の如く働くのが再建も早くなる分である。
  以上の事柄を各町村長に配付したい。
 全委員
  異議なし。
  各地に出して貰いたい。
 仲宗根委員
  二月中各地の配給表を提出す。
 軍政府
  元の村に帰へれない人が居るが其人々の土地分配について諮りたい。
  帰へれない人々に如何にして土地を分配するかを諮詢会で早く決定して貰いたい。
  軍政府の将校の一部には土地を分配させたいと。
  而し私(ワッキンス少佐)としては分配が正確に行くや否や不確実に思ふ。
  此の件は難関であると思ふが。
  誰が与へるか。
  何所々々を与へるか。
  此の計画を立てるには一人につきての面積か、又家族につきての面積を与へるか、可働力者につきて与へるか、何れに基準を置くか。
  地主が持つなら耕すものを外の者が持って耕さない時争がないか。
  以上の事を参考にして案を立てゝ貰いたい。
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