- 組織名
- 沖縄諮詢会
- 開催日
- 1946年03月18日
(昭和21年)
- 会議名
- 諮詢会協議会 1946年3月18日
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- 議事録
- 諮詢会協議会 〔自治制問題・軍民協議〕
三月十八日(月)午前十時半。
出席 志喜屋、又吉、仲宗根、安谷屋、糸数、平田、大宜見、當山、比嘉、仲村、護得久、前門、山城の諸委員。
病欠 知花委員。
公用他出 松岡委員。
協議事項
志喜屋委員長
不断の席を立ち下と覚しき所で、委員長として御詫びを申上げます。
皆様に御詫び申上げます御了承を賜はり度いと存じます。私は浅学菲才性来不徳の者で此年になる迄で修養を積む事が出来ず折々個性が出て冷静を欠き激怒する醜態を演じます事は委員長の柄でなく皆様に対し誠に相済まぬ事と恐縮して居ます。
今後留意しまして斯る醜態を演ぜぬ様注意しますが、どうしても直らぬ癖なら自ら処する事もありませうから今回迄はどうかよろしく御諒承を賜はり度く御願ひ申上げます。
もっと言葉を連ねて御詫び申上げねばならぬと思ひましたが用語等を誤り却而礼を失してはならぬと熟慮の結果今後は実行に依って皆様の御厚意に副ふよう修養したい覚悟で御座います何卒よろしく御願ひします。
註(津嘉山書記記す)
委員長が斯る事を全委員にお詫びした理由は三月八日又吉委員から自治制に関する意見及其時機の尚早なる理由を刷物にして委員に配布せられたが、其刷物を複写しそれに添へるに手紙を以てするに又吉委員は自治制を与へ(軍政府が自治制を許すの意)んとしてゐるが之を阻害して居るとの事であると云ひふらしている者があると。
此の件につき三月十五日又吉委員から全委員会の時、相当不断の態度と異なった態度を以て或委員の自省を促したのである。
其時委員長も諮詢会で未決定の問題を如斯く世間に曲解して云ひふらした事及び、委員会で決議せざるものまで勝手に軍政府に質したりする委員があった為め委員長も不断と異なった態度を以て自省を促したのである。
依って前述の御詫びを全委員に述べられたのである。
護得久委員
斯る釈明をする必要はないと思ふ。
志喜屋委員長
平良辰雄氏からの手紙に、諮詢会は自治制の尚早を具申せしものの如し、と来て居る。
之に対し私信として、
「総務部から斯る事を答申した事もないと思ふ。又諮詢会としても斯る事は絶対に答申せし事はない。事の真相を判明せぬ時に斯る事で騒ぐと却而同胞の熱望せる自治が寧ろ遅延さす原因となりはせぬかと憂慮に堪へない、」(要点のみ摘記)
出して置きました。
諮詢会で決定しない問題を口外すると却而取返へしのつかない様になる事があります。
今後御注意を願ひます。
安谷屋委員
島尻方面でもセンセーションを起して居る(又吉委員の自治尚早論に対し)。
議論しない中に地方に振まかない様にして貰いたい。
事実を調査し斯る事は抜本的に今後なき様注意したい。
又吉委員
私の不徳のために斯る問題を起した。
言葉が下手なためにあの刷物を上げて添削を御願ひした。
而し翌日複写して地方に飛ばして居る。
昔の黒白争の様に不快に堪へない。
斯る事では沖縄の将来も覚束ない。斯る分子から或はパージしなければならないと思ふ。
志喜屋委員長
仲村委員の所へ此の件につき色々と話が来たら其点御配慮をお願ひしたい。
仲村委員
諮詢会を作る時は斯る空気になると云ふ事でなく虚心胆懐に行くと思ったが近頃は之に反して民心動揺して治安に困るのではないかと心配して居る。
今後政治の如何によっては重大な事が起るのではないかと、又諮詢会として殊に注意すべきである。
又吉委員の案も諮詢会内で研究すべきであると思はれるので御互反省すべき事と存じます。
仲宗根委員
此問題は諮詢会内から生じて来たものである。
最初は皆でやって来たが近頃は各部門に生ずる事を予め連絡もなくやって行く様になった。
又吉委員は単独でやって居る。
皆で審議してまちまちになって纒らない時は自分の意見を答申すると云った。日本の政治は秘密々々とやって来たが、諮詢会では秘密ではいけないと思ふ。諮詢会が互にやって行かうとする時は周囲(住民)の空気の様子も見てやって行きたい。
又吉委員の方では文書でやる前に一度答申したいと云ふ事であるかどうか、委員長に聞く。
又吉委員
私が後程で回答す。
仲宗根委員
此文書は何処から誰から漏れたかを訊すなら訊されたい。
志喜屋委員長
仲宗根委員は其結果はよいと思ふかどうか。
仲宗根委員
悪いとは思はない。
大宜見委員
諮詢会は秘密を守ることであったと云って居るが、私の医師配置の人事問題等は秘密にして居る。
護得久委員
横の連絡も必要である。
而し直ぐ明日答申を出せと云ふので私は酒の答申を連絡なくして出した。之が連絡を欠ぐ事になる。
此の事情を各部隊長にも諒解を求める必要がある。
横の連絡を以て連帯責任(全体責任)と云ふが、
一、責任ある私がたゞ一部の責任になる。
一、隊長(各部の係隊長)も諮詢会に諮ってからしなければならない。
志喜屋委員長
之も問題によるが。
護得久委員
横の連絡を取る取らないの問題は一律にしなければならない。
自分が諮詢会に諮らなくてもよいと思ふ問題も他の委員は重大な事と思ふことがある。
大宜見委員の説の如く秘密主義は当然である。
私の人事問題につきても之は秘密を守らなければならない。
比嘉委員
此問題は総務の投げた論が諮詢会全体と思って地方には伝へられたために誤解が生じたから諮詢会としては一方(自治制を直ちに施行するや否や)の意見に纒めてやって地方に送ったら誤解もなくなると思ふ。
仲村委員
重大な問題は夜間かけてもやって行きたい。
比嘉委員の説に賛成である。
志喜屋委員長
人事問題に於て極秘にすべきである。
護得久委員
横の連絡を密にする事を審議したい。
糸数委員
秘密もある、悪いものならあってはならない。
旧会議室(石川市にあった会議室)の時も人を避けよと云った時、決定するまでは秘密にせねばならない、悪い事をするための秘密なら之を叩く必要がある。
案が諮詢会案になる迄では秘密にする。
県庁に於ける例を引き振興計画の時原稿を焼いた時もある。
秘密にすべきものは秘密にすべきと思ふ。
當山委員
此案(又吉委員の論)を暫く見て置けと云った。
総務部の不用意に出したからいけない。
人民に発動するまでは秘密にすべきである。
職員が軽率に衝動起しはすまいかと考慮したい。
地方に此案が行ったとは思はない。
今後はお互に信じ合ひ秘密にすべきは秘密にすべきである。
此のトラブルは沖縄の建設のためよい機会である。
仲宗根委員
又吉委員は軍政府に答申する案を口では云へないから文書にしたとの事である。
護得久委員の云った連絡もお互に連絡し協議の必要なるものは協議し之も常識の事である。
質問を聞きたい。
安谷屋委員
諮詢会から漏れたなら心配も入らないが先廻はりした怪文書が廻って居る。
之は噂さを聞いたが民心を混乱すると困る。
諮詢会二百人の職員にも注意されたい。
又吉委員
カールドウェル少佐、ワッキンス少佐の時も諮詢時は二人(又吉委員と軍政府)でよいと云はれて居る。特に君(又吉委員)ばかりでと云ふ時がある。
各部各隊長と諮詢する時がある。
村長は選挙するや否やの時仲宗根委員は選挙と云ひ私は任命と云った。カールドウェル少佐の時も任命と云った。
一、軍政府の任命か。
二、諮詢会の推薦か。
三、三人の候補者を一、二、三の順序に推薦するか。
協議の結果三に纒めた。
私の欠勤した時仲宗根委員は部長は民選しやうではないかと云ったと。
民心の安定するまでは自治は早いと云った。
仲宗根委員
又吉委員の欠勤の時軍政府から任命したらで民選とは云はない。
人民から疑惑を起すから人民からも推薦したらと云った。
志喜屋委員長
仲宗根委員の意見は人民投票か、又は諮詢会の推薦か判然としなかった。
那覇市民移動の件。
糸数委員
那覇市の実情調査を報告す。
那覇市民の移動は那覇市付近で軍の使用せざる所を真和志村と一所にでもと答申したら如何と思って居る。
當山委員
糸数委員と同感である。
一日も早く那覇市民を移動させたい。
仲宗根委員
今の御説に賛成である。(糸数、當山両委員の説)
那覇市の代表者に、首都の一部として移動したらどうかと話した。
私の首都の意見は斯る事であるがと述べた(述べた事を略した)。
仲村委員
先日ワッキンス少佐は那覇の一部と云ったが其場所は分らないか。
大宜見委員
那覇市の移動の件は小委員会を設けたら如何です。
志喜屋委員長
糸数委員の御意見に賛成ですね。
全委員
異議なし。
大宜見委員
布哇から来た慰問品及び米の問題があって仲本為美氏から云はれて見て来たが品物は来て居る。
慰問品は二十万点程で日用品、被服等との事である。
与儀氏に質ねたら防水して腐って居ないと。
仲宗根委員にお願ひす、早く配給して貰いたい。
諮詢会へ与儀氏の希望として民間物資に関心を以て欲しいと。
縁の下の力石の居る事を考へて貰いたいと。
志喜屋委員長
仲宗根委員は与儀氏とよく連絡を取って貰いたい。
仲宗根委員
毎週一回は職員をやって調査させたいと思ふ。
軍政府と食糧の事を話した時、輸送の関係だと云ったから。
輸送は各地区に其責任を持たしたら行くと云った事がある。
護得久委員
此品は委員長自ら調査されたい。
大宜見委員
御礼状を出したい。
比嘉委員
各地区に輸送責任を持たすことは、成績がよい。
各吉委員
与儀氏から依頼を受けた(直接ではなく山田有幹氏を通して)。
具志川(仲仕組人口約千人)が前原地区から見落されて困って居るとの事である。
平田委員
車の件であるが本部半島も火、木の外に月、水、金と発車せしめたいと思ふ。
全委員
異議なし。
大宜見委員
各部落に排他的の精神があると云ふ事を聞いた石川に於ても然りである。
安谷屋部落に看護婦を採用する時仝部落出身外の者は採用しないとの事があった。
當山委員
現在の文化運動は其れである。地方の田舎のみでなく首里那覇人も注意すべきである。
又吉委員
伊是名村長の件。
内面は不純であったが形式の行ったため兼本氏が来ていたので事情を訊いて暫定的で現村長を任命する事にワッキンス少佐に話しました。
農会も元のまゝに置く様に。職員も斯く斯くの人々と云ふ事の条件で。
山城委員
村長の欠員の場合は又吉委員で連絡を取って貰いたい。高嶺村長の金城幸吉氏が死亡しました。
又吉委員
ワッキンス少佐が来られて、或問題を秘密裡に調査せよと、之は秘密にして置く。
ウルマ新聞の訳を持って来て、
1、資本主義の倒壊。
2、大学教授連の組合。
3、無産党のみが日本を作る。
4、女の赤い唇。
以上の事項を調査して見ると之等は社会主議者である。
記者が若い(不馴)から老練の記者を採択するのが必要である。
今言論は自由ではない。
ウルマ新聞は軍政府の監督が要る。
近い中に又吉委員の配下になる(秘密である)。
非公式に監督して置くやうにとの事であった。
新聞は各界を平等に取扱ふのが立場である(資本主義も、社会主義も其外等)。
社会主義者を心よく見て居ない様だから御注意までします。
大宜見委員
鍼灸措置を如何にするか。
委員の御意見を伺ひたい。
研究して置いて下さい。
又吉委員
中央機関構成案につきて、本日総務部の案として軍政府に提出しやうと思って居るから御了解を乞う。
全委員
異議なし。
(午后二時)
出席 志喜屋、松岡、又吉、山城、仲宗根、安谷屋、糸数、平田、當山、比嘉、仲村、前門、大宜見、護得久の諸委員。
病欠 知花委員。
軍政府 ワッキンス少佐。
諮詢事項
軍政府
ペンス氏は明日来る事になって居る多分朝だらう(前門委員へ)。
軍政府
伊江島の軍施設を残して貰いたいとの事につき、カンセット、水道管、電灯の電線は出来さうだが、其外のものは恐らく不可能だらう。
軍政府からは正式の手続をやって見る。
諮詢会の昼食の米は金武の倉庫から六十袋貰ふ事になった。お茶も然り。
仲村委員
警察の分も米御願ひしたい。
軍政府
米の配給は石川市とは関係はない。
お茶は会議用のものである。
志喜屋委員長
米の倉庫は私の方で考へます。
軍政府
村吏員の俸給につきては正式の回答に、若し町村に支払ふものがあれば其れだけは支払ひ若し不足した時は其不足分は軍政府が負担すと。
安谷屋委員の展覧会の時出品された麻作りのマットをムーレー大佐の室に御願ひしたい。
伊芸徳一氏は村長に任命されたから其後任を推薦して貰いたい(労務部)。
仲宗根委員
何時頃まで。
軍政府
出来れば早く。
伊芸徳一氏は部長か、課長であったか。
仲宗根委員
部の下に課長が二つある(軍政府案)。
隊長が伊芸氏を部長にしてよいかと聞かれたから、私は外から来るならよろしいと云った。
伊芸氏の後任につき腹案の人物が今ないから一両日考へて諮詢会と打合せて見る。
軍政府
二課とは何々か。
仲宗根委員
一課は登録、他の一課は企画や其他。
軍政府
上陸前の役場吏員数及人口との比較が出来て居るか。
又吉委員
未だ出来て居ませぬ。
仲宗根委員
各地区の現在の役職員数は明日の午后なら出来ます。
二月廿五日調で石川市一、九〇〇余人、コザ市八九六人、羽地九〇〇余人。
二月十五日調で全部で一四、六九〇人の役職員である。
又吉委員
戦前の役場吏員は少い村で十二名、多い所は二十人程であった。
軍政府
仲宗根委員で役職員を職名別に調査して貰いたい。
又吉委員の十二名は役場吏員のみか。
又吉委員
役場吏員のみである。
喜屋武、摩文仁、真壁村長に金城増太郎氏を推薦したいが如何ですか。
全委員
異議なし。
軍政府
前村長金城幸吉氏の後任を地区隊長が決めてないだらうか。
又吉委員
然う云ふ事は聞いて居ませぬ。
山城委員
高嶺、喜屋武、摩文仁方面には適任者が居ないと思ふ。
金城増太郎氏が適任と思ふ。
志喜屋委員長
伊是名村長は調査の結果伊礼氏を村長にする事になった認定して下さい。
軍政府
正式の手続きをやった方がよい。英文と日本文とを以て軍政府に提出して貰いたい。
承認します。
今後は諮詢会から推薦して提出する様に。
各村長に辞令を出す様に。
志喜屋委員長
那覇住民が那覇に移動する事が出来ると云ふ事を聞いて喜んで居ます。
軍に接しない一部と及那覇周囲に移動出来る様お願ひします。
那覇市民の希望であり又諮詢会としても然るべく考へて居ます。
軍政府
那覇住民地区に対しては係将校が出来るだけ早く、出来るだけ大きくする様に運動して居る。
又吉委員
具志川の仲仕組が前原になって居るが困って居るから独立させて下さいと願って居る。
軍政府
調査して見る。
仲宗根委員
布哇からの慰問品を中央倉庫に入れるか又は各地に送るかをお願ひしたい。
それに布哇へお礼を出さなければならない。
平田委員
本部半島行の車は火、木であったが増車をして月、水、金も運行したいと思ふから増車して貰いたい。
軍政府
外の地区と共に月、水、金に発する分か。
又吉委員
庭師金城氏はコザから通勤するが証明書をお願ひしたい。
軍政府
憲兵司令官のパス券がよいではないか。
諮詢会の職員のパスは如何なったか。
仲村委員
職員のパスは未発行である(名簿は提出しました)。
軍政府
諮詢会の職員のパスは私から司令官に訊いて見る。
志喜屋委員長
山田真山氏は明日石川に来ます。
當山委員
山田氏が来たら軍政府の用に応し時々島尻へ美術工芸の指導にも出かけます。
軍政府
委員の住宅(石川)に居住させたら如何(山田氏を)。
松岡委員
東恩納に於ける住宅は測量をさせ配置をさせ二三日中にワッキンス少佐に見てサインを貰い工務係隊長から命令を出させます。
軍政府
提灯につきムーレー大佐から諮詢会にお礼を述べてくれとの事であった。
當山委員
ハイスクールに行って然るべき伝へます(提灯作はハイスクール)。
軍政府
軍政府の将校を台湾に派遣して沖縄との貿易関係を調査させたい。
台湾行の手紙でもありましたら。
仲村委員
九州台湾の疎開者が帰へるとの噂がありますが。
七九、〇〇〇人だから入れる場所がない。
台湾は近い中に帰へるだらう。
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