戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年03月15日 
(昭和21年)
会議名
諮詢会協議会 1946年3月15日 目録詳細 画像を見る
議事録
諮詢会協議会 〔救済・那覇市・軍民協議〕

  三月十五日(金)午后一時。
  出席  志喜屋、又吉、松岡、山城、仲宗根、安谷屋、糸数、前門、比嘉、當山、仲村、大宜見、平田、護得久の諸委員。
  病欠  知花委員。
協議事項
 仲宗根委員
  一、社会事業部の救済の件につき軍政府から案を出して来たから報告します。
   軍政府―社会事業部―村に五人の委員(社会事業から任命す)。
   委員の俸給は村の上書記分。
   字に三人の委員(字上書記の俸給分)。
   委員で決定した事を村長が実施す。
   被救済者は一人でも一戸としての救済をなす。
   (例、五家族の1/5とはせずに)
   仕事をする者は二、四〇〇カロリー、無仕事者は一、四〇〇カロリー。
   怠惰者は無救済。
   救済者は字委員―村委員に申出ず。
   救済は週間単位にせよと。
   救済を受けつゝ仕事を求めたる者は二週間内に報告せよ。
   村長と救済委員の間にトラブル(悶着)が起る時は社会局に於て調査報告す。
   軍政府でも決定ではないが中間報告をして置く。
 又吉委員
  ワッキンス少佐が来て字救済委員は一人がよいか、又は三人がよいかと質して居たから、私は三人がよいと云って置いた。
  委員が増すと俸給に困るが、土地認定委員も居るし。
 仲宗根委員
  伊江島からの陳情を朗読す。
   軍資材払下方の件。
   水道、電灯、電話、船舶、カンセット等払下げ方。
  以上の願ひを伊江島地区隊長に話したら、隊長は軍政府に話せとの事であった。
  一、那覇市移動の件。
   那覇市としての特点を列挙す。
   那覇市は真和志、豊見城、小禄と協力して一市を作りたい。
 仲村委員
  何故首里は含まなかったか。
 山城委員
  文教学校卒業式は明十六日午前十時から挙行します。皆様の御列席を願ひます。
  卒業者は初等学校訓導の資格を付与す。

  (午后二時)
  軍政府 ワッキンス少佐。
諮詢事項
 軍政府
  山田真山氏はどうなるか。
 當山委員
  本日山田氏を呼寄せました。
 軍政府
  中央機関はどうなったか。
 又吉委員
  未審議であるから月曜日まで延期して貰いたい。
 軍政府
  現在の機構は暫定的であるが元の県会も入れてあるか。
 又吉委員
  選挙法もあるからそれが出来たら後に入れます。
 軍政府
  庭師は如何なったか。
 津嘉山書記
  金城氏を紹介す。
 軍政府
  諮詢会にある経済小委員会をイカナミック・カミテー(Economic Commity)に訂正す。
 松岡委員
  賃銀制は如何なったか。
  経済小委員会で打合せた問に賃銀制は何時頃がよいかと云はれたら、市町村で俸給を支払へと云はれたので諮詢会に諮ってから答へると。
 軍政府
  今朝又吉委員と話したが、町村役場の吏員が多い、軍政府としては中央総務と地方の村とで行きたい。
 又吉委員
  軍政府が地方総務に人が要るや否やと訊かれたから、一、二人の書記が要ると答へて置いた。
 軍政府
  不要なものがある。村の下に市があったりする。
  軍政府としては之を解削する積りである。
  其の下準備をさせて置く様に通知したら如何。
 又吉委員
  石川市は存置したい。
 軍政府
  石川市は其儘存置する。
 仲宗根委員
  田井等地区の役職員は三、七八二人も居り、本部村のみで八百人余りと。
 當山委員
  戦前も県から役場吏員を限定して居るから軍政府で人口によって整理して貰いたい。
 軍政府
  戦前の役場吏員は分るでしょうね。
 又吉委員
  分ります。
 軍政府
  戦前の役場吏員及人口を出して貰いたい。
  仲宗根委員は各地区の職員は分るか、それを出して貰いたい。
  本部村としての八百人は地区隊長の任命か。
 仲宗根委員
  特別配給を受けて居る公職者である。
  各地区調査中であるから月曜日に回答します。
 軍政府
  各地区から役職員の事務分掌を提出させよ。
 又吉委員
  調査します。
 志喜屋委員長
  各町村吏員の給料は軍政府からの支給と思って居たが先日の経済小委員会では市町村吏員の給料は当市町村の負担になると云はれて委員は心配して居るが如何なりますか。
 軍政府
  戦前は如何なって居たか。
 當山委員
  分与税を国庫から受けて居た。
  恩納村の如きは例三万円の中一万八千円は国庫から受けて居た。
  多い時は村費の7/10、少い時でも6/10を超えて居た。
 仲村委員
  警部以上は国費で以下は県費であったが而し国庫補助があった。
 軍政府
  塩の専売は如何なって居たか。
 護得久委員
  煙草は官営専売で塩は集荷専売であった。
 軍政府
  村予算の国庫負担の残りは如何して居たか。
 當山委員
  人民から徴収して居た。(手数料や、其外)
  一戸平均四円までゝあった。
 軍政府
  道路に対する責任は誰が負ふか。
 當山委員
  国道、県道、村道とあった。村道も農道、林道として農林省から補助があった。
 軍政府
  現在の道路は誰がやるか。
 護得久委員
  軍政府がやります。
 當山委員
  米軍が引揚げたら此の道を修理するに心配である。
  現在あるトラック等を残して貰い、青年をして技術家を養成したい。
 軍政府
  軍が縮小されると維持に困るだろう。
  軍の使用する道路は軍として修理するが。
 比嘉委員
  現在の道路は排水がよくない。洪水の時は田畑に浸水して困ると思ふ。
 軍政府
  排水をよく考へて居ない。
 當山委員
  米軍は沖縄の暴風雨を考慮して作って居ない。
 軍政府
  諮詢会の昼食は。
 津嘉山書記
  人員調査表を提出す。
 軍政府
  志喜屋委員長の市町村吏員の俸給の件はローレンス少佐が研究して居るから質ねて見る。
  何とか方法を講じたい。
 志喜屋委員長
  伊江島よりの陳情書を提出す。
 軍政府
  回答は出来ないが訊ねて見る。
 仲宗根委員
  伊江島の件は伊江島の隊長に聞いたら軍政府に願へとの了解であったと。
 軍政府
  水道、電灯、トラック、ヂープ等は軍に登録されて居るから如何がと思ふが。
  クワンセットは出来ると思ふ。
 仲宗根委員
  軍は目下二十人しか居ない。近い中に引揚げるだらう。焼捨てないでくれる様にと、又他から貰い受けに来てもやらない様にとの事である。
 軍政府
  焼捨てない様に伝へて置く。昨日一戦部隊の隊長が来て被服類等を焼き捨てると云って居る。
 仲宗根委員
  慶良間に居る伊江島住民を伊江島に帰へしてくれと。
 軍政府
  聴いて見る。
 仲宗根委員
  那覇の移動の件は諮詢会に諮って此次に回答します。
 當山委員
  モードック中佐の時、執行機関、代議員制を聴かれたから之を提出したが如何なったか。
  知事機関についても提出したが如何なったか。
 軍政府
  聞いた事もない。どうなって居るか分らない。
 當山委員
  民意を政治に織込んで機構を整させたい。
 志喜屋委員長
  もっと論議してからやりませう。
 軍政府
  急ぐ必要もあるが而し順序としてやります。
  婦人に選挙権を与へる以上平等に教育もしなければならない。
 山城委員
  男女平等にやって居ます。
 軍政府
  奥様以外に何かを与へなければならない。
  (ワッキンス少佐帰府)
 又吉委員
  労務部の伊芸徳一氏は村長に就任したから其後任を推薦せよとの事である。中央機関の原案に対しては知事部長は推薦して任命の形にとったら、之に対し各地から疑問が来た。又吉委員は自治を与へると云ふのに之を阻んで何故に官選にしたかとの事である。私の自治尚早論を配布して故意に曲解して云ひふれて居る委員が居る。実に私としては斯る者は下劣と云ひたひ。斯る策動は慎しむべきである。
 護得久委員
  當山委員の本日の問は自治を唆かして云って居るが之を聞く事ではなかった。
  移動が完了してから自治を行った方がよいと云ったのではないか。
 仲宗根委員
  重大な問題は単独にせず之を諮詢会に諮ってからやりませう。
 全委員
  異議なし。
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