戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1945年12月27日 
(昭和20年)
会議名
軍民協議会 1945年12月27日 目録詳細 画像を見る
議事録
軍民協議会 〔郵便・航路・文化財〕

  十二月二十七日(木)午后一時半。
  出席 志喜屋、松岡、大宜見、仲村、糸数、平田、護得久、仲宗根、安谷屋、比嘉の諸委員。
     又吉委員中途より出席。
  公用他出 山城、前門、當山の三委員。
  病欠 知花委員。
  軍政府 ワッキンス少佐。
 軍政府
  宮古よりの郵便物は郵便法でなく私人として預って来たものだから当分平田委員に預けて置く。
  郵便物受取人の住所不明ならば受取人の氏名を新聞紙上に広告してよいが然し差出人の名前は記載する事は出来ない。
 志喜屋委員長
  久米島から船が本島に来ましたが地区隊長は帰島すべく許可になって居るとの事であるが而し軍政府の許可がなければ出帆することは出来ないと云って居すが、帰へすべく宜敷く御取計を御願ひします。
 軍政府
  国際法上では敗戦国であるから船を持つことは出来ない。
  調査をして見ます。
 軍政府
  クリスマスの提灯は良く出来て居た。
  モーレー大佐から諮詢会及生徒に感謝の意を表してくれとの事であった。
  クリスマス当日石川市及クリスト信者の主催で興業した余興を軍政府の或将校が観たが感興を惹き愉快であった。
  クリスマスプレゼントに委員の奥様に贈られたハンカチーフは米国の一婦人からカールドウェル少佐を通して贈られたものである。同婦人は現在沖縄に居る。
  米国と沖縄とは風俗習慣が異って居る。米国では男を通して物を贈るものではない。沖縄としてはよいだらうと思ってカールドウェル少佐から贈られたのである。
  習慣は異っても心と心は同じものだらう。
  佐保氏の妻が仝氏を沖縄に居住させたき件につき係に調査を願って居る。
  比嘉委員の農具についてはローレンス大尉に伝へてある。
  種子籾の件は係のヒル氏に上げてある。
  各市間の電話の件は其敷設が沖縄人によって出来得ればよいとの事である。
  之の架設は工務部に任してある。
  各離島の人名を係将校が調査したいとの事で来る月曜日(午前)に来るから協力して貰いたい。
  ハナ大尉は東京へ行く予定であるが其時私(ワッキンス少佐)も行くかも知れないから沖縄に関する本の名前を調べて置かれたい。
  東恩納氏や伊波氏への紹介状も準備されて貰いたい。
  昨日カールドウェル少佐と知念、糸満方面を視察したが移動も順調で生活も活気を呈して居た。
  首里の向って左側は軍用地になって居る。
  南部は悲惨である移動者も悲惨の感に打たれるだらう。
  移動する前に南部の事情、地形等をよく知らして後移動させた方がよいのではなからうかと思ふ。
  那覇方面には寺や神社、オランダ墓、又大きな建物が残って居るが之を修理して米国人の見物に資したいと思ふが如何なるものか。
  斯るものは登録し由来等を記して置いて見せたいと思ふが、如何なるものか。
 松岡委員
  全委員で一度視察したら如何なるものですか。
 軍政府
  軍政府の政策は食糧等であって斯る名所旧蹟等の登録や視察等をなすのは軍政府の政策でないから困難な事である。時機の到来するのを待つことにする。
  元来の沖縄を物語る神社や石碑等を保存し修理して行きたい。
  信仰を中心とする所は触れてはいけないと米国から来る時注意された。
  米国としては神社は政治的に用ふるものであると云ふことを認識して居る。
  皇室中心とする神社と、沖縄元来の神社がある様だが沖縄の宗教については軍政府に報告しなければならないが諮詢会で調べて貰いたい。
 仲宗根委員
  郷土研究会を設けて調べて貰ったら如何でせう。
 松岡委員、又吉、比嘉両委員
  名所はザンパ岬、万座毛、嘉数バンタ、運天港、北山城跡、瀬嵩。
 軍政府
  名所の自然の美を保存して行きたい。
  名所旧蹟の由来を語らないと印象を深くし感興を惹かないから写真やパンフレット等を以て知らす様にしたら如何。
 護得久委員
  首里城が破壊されて沖縄の歴史の半分は亡くしたと云ってもよいと思ふ程だが復興は出来ないものだらうか。
 軍政府
  只城趾に立って昔を偲ぶと云ふだけで当面如何ともすることは出来ない。
 護得久委員
  博物館に模型で作って置いたらと思ふが。
 軍政府
  首里城趾に標識でも立てたら如何。
  首里城に対する計画案を立てゝ貰いたい。
  中城々趾には標識を立てゝあるから之を見て印象を深めて居る。
  首里城は陸軍基地になって早急にはいかないが。
 松岡委員
  諮詢会事務所にラジオの設置をお願いしたいが。
 軍政府
  ラジオ設置は望みはない。
  何故なれば米国から見ると沖縄は未だ敵国であるから。
  去る月曜(二十四日)日の晩、一千人余りの日本軍が米軍を攻撃すると云ふ情報があって南部方面の将校達は銃を取り武装して居た。
  此の事は秘密にして貰いたい。
  斯る事は自治制を施行するに支障を来した。
  将校の中には沖縄は未だ全然信ずる事は出来ないと云って居る将校も居る。又、山中に籠って居る日本兵と協力をやって居ると想像する人も居る。
  若し今ラジオの設備を願ひ出たら其れを通して日本及び山中の日本兵と連絡を取るためだらうと疑はれる。
 又吉委員
  本日田井等に行ったが該方面でもしかじかの話があったと田井等市長は話して居たが根拠のない事であると云って居た。女の子から出た様な話であった。
 松岡委員
  一月分の行事予定表提出。
  諮詢会書記事務員に配給せし物品名及其員数の報告書提出。
  日布事時取寄方をお願ひす。
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