戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1945年12月21日 
(昭和20年)
会議名
諮詢会協議会 1945年12月21日 目録詳細 画像を見る
議事録
諮詢会協議会 〔文化・農業・軍民協議〕

 十二月二十一日(金)午前十時。
  於保安部事務所。
  出席  志喜屋、又吉、比嘉、松岡、平田、安谷屋、當山、山城、大宜見、糸数、前門の諸委員。
  公用他出 仲村、仲宗根の両委員。
  病欠 知花、護得久の両委員。
協議事項
 又吉委員
 ハセ中尉の送別会開催の件。
 明二十二日午后五時於当事務所。
 當山委員
  ハナ大尉の斡旋で米軍に沖縄の演芸を観覧させる。
  本日は其試演を行ふ。
  来週火曜日から各キャンプを巡回興業する事になってゐる。
  ハナ大尉は沖縄の演芸を通して文化を紹介したいと云って居られる。
  クリスマス当日午后二時から信者の礼拝を行ひ、後祝杯を挙げたいと思ひますから諮詢会の御援助をお願ひしたい。
  青年団組織するや否や決定の件。
  私としては従来の青年団の弊害を是正して是非組織したい。
  従来の弊害は指導者に其人を得なかった。
 比嘉委員
  従来の弊害を述べ今日紊乱せる社会に於ては何か組織して軌道に乗せなければならないと思ふ。
 又吉委員
  指導者の巧な弁論に乗せらる事をされてはいけない。
  弊害は多くとも、得る所は少いと思ふ。
  故に今日は宗教運動を先にして指導して行った方がよいと思ふ。
 松岡委員
  群集心理として青年団が組織さるれば却而弊害を醸す事が多い(瀬底島の目下の青年団の例を説く)。
  米国では青年により社会が是正されるものとは考へて居ない。各家庭の教育を通して是正して行く。
  之は宗教々育の力によるのである。
 大宜見委員
  人心が安定して居ないから時期尚早である。
 山城委員
  宗教、読書、運動、講演等の方面より指導すべく文化部で計画を立てられては如何。結局時機尚早である。
 當山委員
  文化部としては各地区に於て自発的に組織する所はそれでよいとすることにしませう。
 當山委員
  時期を待つことにしませう。時機尚早である。
  (全委員、賛成)
 山城委員
  学校は軍の計画通り進捗して居ない。
  生徒職員の被服は軍直属になって居る。
 松岡委員
  プライス氏から諮詢会は人を呼んで返へす時にも返した報告はやって居るかと聴かれた。
  各部門の家族呼寄等は各部で取扱はずに一応諮詢会で協議して諮詢会として呼寄せる事にしませう。
  (例を挙ぐ。石原警察学校長がコックとして田井等から人を呼んだが手続未完了であったため軍政府より注意をされた)。
   (全委員賛成)
 志喜屋委員長
  人事問題につき今後注意を払ふ事を喚起す。
 松岡委員
  屋嘉収容所に居る佐保氏の妻の事情につき調査報告をなし、諮詢会で佐保氏を本島に居住させるや否や。
  妻なる者は那覇市本町染物業比嘉なる者、大分で結婚し懐妊中である。
  夫佐保氏は去年七月応召され妻は大分県に疎開せし者と考へてゐた。
 全委員
  佐保氏を本島に居住させる事に賛成す。
 比嘉委員
  本部半島は農具が不足で困って居る。之を早く北部(国頭方面)から輸入したい。
  南部(中頭島尻)では種子籾がなくて困って居る。
  之を早く北部(国頭方面)から輸入したい。
 志喜屋委員長
  本日ワッキンス少佐にお話すべき点。
  1、学校の食糧補給の件。
  2、農具を早く調達する事。
  3、種籾を早く南部へ輸送する事。
  (午后二時)
  出席  志喜屋、又吉、松岡、山城、平田、大宜見、仲宗根、仲村、前門、安谷屋、糸数比嘉の諸委員。
  公用他出 當山委員。
  病欠   護得久、知花委員。
  軍政府  ワッキンス少佐。
協議事項
 軍政府
  護得久委員は昨日壕へ物品を取りに行ったが其結果は如何なるものであったか。
 護得久委員代理津嘉山書記
  津嘉山書記は護得久委員より結果を聴取し松岡委員を通訳として報告左の如くす。
  首里の沖縄興銀の壕は掘起されて全然なかった。
  只用紙があったが其も腐って二、三枚しか持って来てない。
  津嘉山部落の鹿児島興銀の壕の一口は爆弾のため壊されて埋れて居た。一方の穴口より十五間程這入って見ると中の品物は火炎放射のため焼かれ壕内の支柱も焼かれ、ために崩れて何も得る物はなかった。
 軍政府
  仲宗根委員の問はれた毛布の件は数量は分らないが一隻は荷揚げし尚一隻は荷揚準備中であるから近い中に配給になるだらう。
  ローレンス大尉が東京から帰へったから本日其報告に来る事になって居る。
  クリスマス祭日は二十五日で休日になるから諮詢会も之に準じて休んだらよからう。
 志喜屋委員長
  諮詢会も当日午后二時から祝杯を挙げる事になって居ます。
 軍政府
  當山委員の拡声器据付の件についてだが、斯ることは時間の余裕を置いて話されて貰いたい。
  平田委員の車の件は月曜日から決行するから運転手は軍政本部に行って車を受取って来る様にする。
  車は月曜日から金曜日までは石川に置き、土曜日の朝軍政府に行き日曜日まで留め置く事にする。
  修理等は軍政府でやることにする。
  燃料の補給は石川で出来ないから軍政府で補給する。
  青年団の組織はどうなるか。
 志喜屋委員長
  一回は研究したが委員の中には優良な者が集り之が段々拡って行く様にしたらとの意見もあるが未だ研究は尽されて居ない。
 軍政府
  沖縄で組織したら如何なる効果があるか。
 志喜屋委員長
  沖縄には教会等もないから青年を通して教育し尚家庭教育の延長となるのである。
 軍政府
  軍政府としては青年団組織には無関心であるが只宮城と云ふ青年が組織したいと云ったから聴いたまでのことである。
  軍政府でも計画はないから後程ゆっくり考へてよからう。
  沖縄の名称はまちまちになって、オキナワン、島人(トウジン)、グークス、シビリヤンと呼んで居るが、沖縄と琉球と孰れがよいか。
 松岡委員
  オキナワン(人)、オキナワ(島)と云った方がよい。
 軍政府
  土人、島人と孰れがよいか。
 松岡委員
  島人と称した方がよい。
 山城委員
  学生の食糧及夜具の件につきお願ひす。
 軍政府
  学校は前原地区であったが今は軍政府直轄になって一切の責任はハナ大尉になってゐる。
 仲村委員
  学生の食糧及夜具が少くて困って居事情を訴へる。
 軍政府
  ハナ大尉と今明日中に相談して見ます。
 松岡委員
  農具が少くて生産に支障を来して居るから早く調達して貰いたい。種子籾は北部(漢那・宜野座・田井等)から南部(中頭・島尻)に送って物々交換をやりたい。
 軍政府
  物々交換することは出来ない。之は軍政府で研究した。
 比嘉委員
  南部の種子播が遅れるから早く輸送して貰いたい。
 志喜屋委員長
  鹿児島に疎開した沖縄人が帰へれると、ウルマ新報にあったので、カールドウェル様に御尋ねしましたが、未だ御返事はありませぬが如何なるものでせうか。
 軍政府
  私(ワッキンス少佐)との連絡会議は来週より、月、金にします。
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