戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年06月18日 
(昭和26年)
会議名
第8回沖縄群島議会(定例会)法務警察委員会 1951年6月18日
議事録
沖縄群島議会法務警察委員会議事録

        一九五一、六、一八

第八回沖縄群島議会法務警察委員会
  一九五一年六月十八日
  於 政府会議室
  午前十時三十分開議
○委員長(山城興起君) 只今より本日の法務警察委員会を開会致します。出席全員であります。本日の審査案件は十四日の本会議に於て本委員会に付託になりました議案第五十一号、議案第五十二号、議案第五十三号、議案第五十四号の案件であります。先ず最初に議案第五十四号登記再開前に企業免許を受けた会社の取扱いに関する条例制定についてを議題と致します。当局の説明を求めます。
○法務課長(牧野博嗣君) 提案の趣旨を簡単に御説明申上げます。会社は正式に設立の登記をすることによって会社たるの効力を生ずるのでありますが条例の設定がなかったために本条例により、さか上って効力を生じしめたいとの趣旨であります。終戦後沖縄の現状は企業免許を受けた多くの会社が設立されておるのでありますが、未だ登記がされてないため、其の地位や信用又は資格が完全でなく、あらゆる面に支障があるのであります。本条例によって設立登記をすることになりますが、施行の日を以てしては本当の設立の日(企業免許の日)との間に相当の空間が出来るので本条例により企業免許を受けた日を以て会社の設立があったものと見做すの趣旨であります。御参考迄に申上げますが五月末現在の会社は株式会社一六八件、合資会社二三七件、合名会社三〇件、計四三五件となっております。右会社中、銀行と貸借の信用ある(日本との取引関係等)会社は株式会社一四件、合資会社二件、合名会社一件ぐらいの様であります。よろしく御審議を願います。
○委員長(山城興起君) 本案は当然設定さるべき条例でありまして質疑討論を省略して、原案通り可決したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(山城興起君) 異議ないと認めます。依って本案は原案通り可決致します。

○委員長(山城興起君) 議案第五十一号沖縄群島登記手数料徴収条例についてを議題と致します。当局の説明を求めます。
○法務課長(牧野博嗣君) 御説明申上げる迄もないと思いますが、御承知の様に米国民政府特別布告第三十九号に基きまして登記所が再開される事になりましたので、従って戦前にもありました様に登記簿の謄本、抄本、閲覧等の手数料徴収の事務的なことを規定したものであります。よろしく御審議を願います。
○委員長(山城興起君) 本案に対し何か質疑ありませんか。
○稲嶺盛昌君 第二条、第四条の手数料は何か基準があって二十円とされたのですか。
○法務課長(牧野博嗣君) 日本の現行法によって提案したのであります。日本でも二十円であります。
○稲嶺盛昌君 第二条、第四条の手数料は御説明によりまして二十円でよいと思いますが、第三条の閲覧料は抄謄本の手数料に比較して少々高すぎる感がするが如何ですか。
○法務課長(牧野博嗣君) 比較的に高すぎる様だが各市町村に於ても大方二十円のようですからよいと思います。
○山城興起君 非訟事件とはどんなもんですか。
○法務課長(牧野博嗣君) 民事、商事をひっくるめた簡単な事件をきめたもので訴訟迄で行かない事件のことであります。
○委員長(山城興起君) 尚別に質疑ありませんか。
 質疑がなければ討論を省略して、本案を原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(山城興起君) 御異議ないと認めます。依って本案は原案通り可決致します。

○委員長(山城興起君) 議案第五十二号沖縄群島土地台帳条例制定についてを議題と致します。本案の審査につき御諮り致します。本案は長い条項よりなっておりますので相当研究の必要を認めますが如何なる方法で議事進行をした方がよいか御諮り致します。
○稲嶺盛昌君 議案第五十二号の土地台帳条例、議案第五十三号の家屋台帳条例は長い条文からなっておるし、又両案準用された個所も相当あるし、似かよった点もありますので一応休会をして両案共慎重に当局と共に研究討議をなした後、本会議を開いて決定した方がよいと思います。
○委員長(山城興起君) 只今の稲嶺委員の御意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(山城興起君) 御異議ないと認めます。依って休会の上第五十二号、第五十三号議案を審査研究致すことに致します。
  午前十時四十分休会

  午后四時十分再開
○委員長(山城興起君) 開会致します。休会で慎重に研究討議致しましたので説明を省略して議案第五十二号の質疑に入ります。質疑ありませんか。
○稲嶺盛昌君 第二十四条中、第一種地の地目変換の申告には期限があるが、第二項の第二種地の申告に期限がないのはどういうわけか。次に第四十五条に申告は市町村長を経由する事も出来るとあるが、若し市町村長が拒んだ場合はどうするか、この二点について御伺いします。
○法務課長(牧野博嗣君) 御質問の第一の地目変換の件であります。第二種地の申告をなさねば申告者が損をすることになりますので期限を附さなくてもよいと思います。次に市町村長が拒んだ場合はどうするかと云う事でありますが、市町村長は住民の代表であり、従って住民の福祉利益のためには申告を拒むとは考えられないのであります。
○新里銀三君 本案は休会中に於て当局と共に論議し尽された事と思いますので本員は本案に対する修正意見を申上げ各位の御賛同を得て表決にしたいと思います。
  第三節の「地目変更」を「地目変換」と修正
  第三十条第三項一行中「質権者」の下の「は」を削除
  第三十二条第一項中「左の区別」の次に「の」を挿入
  第四十九条第一項中「当該官」を「中央土地事務所係官」と同条第二項中の「当該官」を「係官」と改む
  其の他は原案通りとす。
 尚最後に要望事項として申上げておきます。市町村は市町村税を賦課するために土地賃貸価格を設定せねばならぬので土地賃貸価格調査委員会を設置すると思うが中央に於ても各市町村間のバランス調節を計るため中央土地賃貸価格調査委員会の設置方を要望するものであります。
○委員長(山城興起君) 只今の新里委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(山城興起君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上他は原案通り可決致します。

○委員長(山城興起君) 議案第五十三号沖縄群島家屋台帳条例制定についてを議題と致します。
 本案も休会中に於て細微に亘り検討を加えて来ましたので説明を省略して質疑に入ります。
○松本恭典君 本案は休会中に於て慎重研究されましたので既に質疑討論の余地はないと思います。
 本委員は本案に対する修正意見を申し述べて御賛同を得たいと思います。
  第六条第一項中の「賃貸価格の」とあるを「賃貸価格を」に、同条第二項中「条正」とあるを「修正」と改む
  第十五条中「家屋台帳」の次に「謄本」を挿入
  第十六条第一項中「申告」の次に「を」を挿入
  第二十三条第一項中「当該官」を「登記所係官」に、同条第二項中「当該官」を「係官」に改める
  其の他は原案通りとする。
○委員長(山城興起君) 只今の松本委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(山城興起君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上他は原案通り可決致します。

○委員長(山城興起君) 本日は本委員会付託事件に対し長時間御審議して戴きまして有難う御座いました。これで本日の委員会を閉会致します。
  午後五時十分閉会
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