戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年04月26日 
(昭和26年)
会議名
第7回沖縄群島議会(臨時会) 1951年4月26日
議事録
第七回沖縄群島議会(臨時会)会議録

一九五一年四月二十六日午前十時三分開会
◎知事(平良辰雄君) 招集の御挨拶を申上げます。本日は第七回の沖縄群島議会でありまして議案は十二の案件になっておりますが全部条例の案であります。どうぞよろしく御審議を願いたいと存じます。簡単に御挨拶申上げます。

◎議長(知花高直君) 開会致します。
 出席十八名、欠席二人であります。一人は旅行のためであります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。第五回沖縄群島議会に於て可決されました食糧配給改善に関する陳情書、それから第六回議会に於て議決になりました協同組合法及び農水金庫の実現方促進の件陳情書並に民住宅復興促進のため日本杉材輸入方についての請願書に関しましてはそれぞれ議長名を以て関係各方面に書類発送の手続を終えましたから報告致します。只今から書記長をして陳情文を朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」陳情文朗読)

宛  米国琉球民政府副長官
経由 沖縄民政官
発  沖縄群島議会議長
題  食糧配給改善に関する件について
沖縄自立経済の成否は沖縄農業の振興如何に係る。戦後の沖縄農業は如何に変貌したか。一九四八年末の農家戸数は九三、二六二戸であったが現在は七九、二九二戸となり耕地は一九四九年末に比し田は八九町歩の荒廃田が解消せられたが畑は反対に約一、〇〇〇町歩も減反再び荒廃地と化して生産は逐次減少の一途を辿りつつあり、沖縄農業即経済自立の将来に憂慮すべきものがある。
之は現行移入食糧配給基準の段階別による農家への不均霑と農業生産品価格の低落不安定による生活不安によるものである。依って経済自立の促進即農業不振打開のため現行移入食糧配給基準を左記に依り改訂し農村への適正配給に基き増産意欲高揚を期せしめられたい。
    記
一、メリケン粉は現在沖縄に於ては生産せられざるに依り百パーセント以上の自給農家にも配給せられたい。
二、米は自給農家中の非米作農家にも若干宛配給せられたい。
三、米は補給農家(五一パーセント=九九パーセント)中、非米作農家には現在配給量に増配を考慮せられたい。
四、食用油は農家非農家一率に配給せられたい。
五、ミルク配給に付ては農家非農家の区別を撤廃し母乳なきものに優先配給せられたい。
六、毎月の配給量を現地の食糧生産の増減の状況に応じて季節的な増減を図られたい。
七、島内に於て生産せられる農業生産品及び之が加工品は商業資金に依る輸入品目中より除外せられ農業の振興育成の為島内生産品の販路を開拓せしめられたい。
以上の諸要請の理由
一、カロリーのみを以て食糧配給の基準としたことは沖縄人の食習慣と合致しない。
A、移入食糧の米、メリケン粉は完全カロリーである。
 島内生産の甘藷は土壌に依り品種に依り肥培管理の状況如何に依り必ずしも同一カロリーではない。
 又風害、旱害、就中虫害等に依り不完全のカロリーである。農業研究指導所の虫害状況検査の結果は左記の通りである。

B、米を常食とする者の一人一食(一合=日本に於ける標準量は年一石)の主食カロリーは五二九・三カロリーであるが甘藷を常食とする者の一人一食(二斤)の主食カロリーは一、二九三・二カロリーでなければならない。その対比は二四四パーセントである。然るに米、甘藷同様にカロリーで基準せられ一般の食習慣と関連なく一人一日の所要主食カロリー量を一、四〇四カロリーで抑えこの基準に依って耕作面積で配給段階(生産段階)が設定せられたが故に零細農業経営者迄もが自給農家として取り扱われねばならない結果となった。又耕作面積で一率に段階を決定付けられた事にも不合理がある。生産は土質管理、労力、地勢に影響せられる事が大である。
C、食習慣上又営養(ママ)の点から米は甘藷より遙かに優位である。従って市場価格も亦高い。
二、戦災後同一環境内にある沖縄に於て米を常食とする者と甘藷を常食とする者との相異った生活があることは戦災復興、農業復興の面と関連した場合生産意欲を阻碍する大原因である。自給農家中の非米作農家はその家族構成中米を必要とする老人幼児病人がある場合は配給価格の約三倍もの価格のする同一質量の米を購入せなければならない。
三、既に自由経済の下に物の時代から金の時代に移行した。従って現在では農業者のみが生産者ではない。
 商業、工業共に生産者でなければならない。然るに現行配給基準に於ては農業者のみ生産段階が設けられ他の職域には段階がない。従って一九五〇年四月迄実施せられたる職域別配給が加味せらるべきである。
四、食糧配給という事に依り生活経済に於て一方に保護せられる階層の人と一方に放任せられる階層の人とが区分せられる事は不合理である。生産地域に於ては準被扶助級の階層の者が保護せられず非生産地域に於ては割に裕福特殊生活を営む様な者迄が保護せられる様な現状の配給基準は改訂せられなければならない。
五、農家の家畜飼育は自家消費の目的には飼育せられて居ない副業として換金の為に飼育せられて居る。一九五〇年一ケ年間の沖縄群島政府厚生部の統計に依れば非生産地域(那覇、首里、宜野湾、糸満、与那原、石川、名護、本部、泡瀬、北谷、越来、具志川)十二ケ所市町村屠場に於て屠殺せられたる屠畜数は全屠畜数に対し牛に於て九六パーセント豚に於て八四パーセント山羊に於ては九九・九パーセント馬に於て六三パーセントを示して居り島内屠畜の大部分は非生産地域に於て消費せられ生産地域に於ては極めて少量しか消費せられて居らない。従って食用油の配給は農家非農家一率であるべきであり右統計から見れば寧ろ生産者に多く配給せらるべきである。
六、沖縄の土壌は大方重粘土で農業労働は極めて重労務である。然るに現行配給基準に於ける労務段階は軽労務の取扱いにもなって居ない。日本に於ては経済復興、生産増強の為に特に労務者特別増加配給制を実施して増産意欲を煽り実績を挙げて居るのである。
 右事情御賢察の上特別の御詮議を以て食糧配給基準の改訂方御取計下されたく一九五一年二月十五日第五回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
  一九五一年三月  日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

宛  米国琉球民政府副長官
経由 沖縄民政官
発  沖縄群島議会議長
題  協同組合法及び農水金庫の実現促進の件
一、終戦以来五ケ年有半その間米国琉球民政府当局の御懇篤なる御指導御援助のもと、沖縄の各種産業は逐年復興して参りました。
二、今や沖縄全産業人は、より民主的、より自主的な組織を以て産業復興に邁進せんとの体制を整えつつあり、従ってかねて関係当局から申請中の協同組合法の公布、農水金庫の設置実現を切望している次第であります。
三、特に沖縄産業の基盤をなす農民が之を希望することは更に切なるものがあります。
その理由は
  1、農業は回転率が小なるため、長期低利資金でなくてはならない。
  2、取扱金額が少く、且つ之が対象たる農民は極めて多いから銀行では事務的に繁雑なため取扱いに困難を来すと思われる。
  3、農民には担保力がなく勤労が唯一の資本であるから担保式貸付ではいけない。依って信用貸である農水金庫でなければならない。
  4、農業は季節的に資金の需要が急激に増加する。故に復興金庫では操作困難であると思われる。
  5、各町村に信用組合を設立し農水金庫より融資を受けて農漁民に貸付したり、貯金を受けたりすることができる。
四、依って群島議会は
 協同組合法の公布、農水金庫の設置実現をみて、より自主的に、より民主的な組織を以て希望に燃えつつ沖縄産業の基礎をなす農水業の振興に邁進せんとする農水業従事者の意を体し、沖縄産業振興のため、茲に議決を以て協同組合法の公布、農水金庫の早期実現方特別御取計下さる様陳情致します。
  一九五一年四月二日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直


  米国琉球民政長官 同副長官
  日本政府
   農林大臣
   通商産業大臣
  日本参議院議長
   参議院議員 島 清
  日本衆議院議長
  日本の各政党
   民自党、民主党、社会党
  在京の   高嶺明達 比嘉良篤
   沖縄人聯盟会長 神山政良
経由 沖縄民政官
発  沖縄群島議会議長
題  民住宅復興促進のため日本杉材輸入方に就き請願
一、未曾有の大戦禍を蒙り一時は生きる希望さえも失ったかに見えた沖縄住民も次第に希望を見出し復興の意欲愈々振起し、今や政府も全住民も挙って自立経済確立を目標に、本格的復興へと力強く邁進する迄に至りましたことは、是偏に米国政府並現地占領軍当局の、真に理解と同情ある御指導御援助の賜であり、本沖縄群島議会は茲に全住民を代表しつつ首題の件に就き請願致します。
二、戦争に依り一切を失った沖縄の復興は、米軍当局の折角の御援助にも拘らず、毎年一回若しくは数回も襲来する暴風雨のため、各面共に著しくその進度を阻害せられたのであるが、就中民住宅の復興は、恰も賽の河原の石積みの如く、文字通りの一進一退を重ねて物心両面の住民生活を脅威し、重圧を加え、各般の経済復興を阻害する一大要因をなしたのである。今後の自立経済確立のためにも、又復興精神昂揚のためにも、この住宅問題を解決し、住民の住生活安定を図ることが基盤であり、先決事項であると信じます。
三、沖縄の民住宅建築の現状は終戦後米軍当局の御援助に依り米松又はラワン材を以て建設せられた規格住宅もその多くは暴風雨又は白蟻被害のため損傷し、既に耐用命数に達しており、その他の民住宅も資金難と資材難のため恒久建築は僅かに二パーセントであり、その他は殆どテント張り又はトタン張り、或は茅葺きによるもので文字通りの仮小屋建築であり、若しもグロリア台風のような暴風雨でも襲来せば忽ちその殆どが吹き飛ばされるであろうと想像され、今年も又暴風期を控え、住民は真に不安の状態にあり、住宅恒久建築復興促進に関し全住民の要望は真に切実なるものであります。
四、而してその復興対策は資材と資金の両方面あるも資金の面は外に解決策を講ずることとし、資材の内特に日本杉材の輸入方に就き左に理由を述べますると
  1、民住宅用としての木材の正式輸入がないため、木材欠乏し、木材の市価著しく高騰し、現在の沖縄の民経済力を以てしては到底建築不可能の状況にあり、復興を阻害せること。
  2、日本杉材は樹脂に富んでいるため弾力性あり、耐風建築に適し、白蟻の被害に耐え、水を吸収することが少く耐久力強く、暴風地帯であり、而も白蟻被害の多い沖縄の建築に最も適し、戦前も一ケ年約六〇万石の日本杉材を輸入していたこと。
  3、価格低廉であること。
  4、南方産ラワン材は材質脆く、耐風的でなく腐蝕早く、白蟻の被害に耐えず、価格も合板やテックス等同様高価であり、沖縄の建築に適しないこと。
右述の通り民住宅の恒久建築復興促進は自立経済確立のためにも、民心安定のためにも緊急且つ重要な問題であり、而も是を解決する策は前記の理由に依り一つに所要量の日本杉材を早急に正式に輸入を図ることにありますので、杉材は日本の需要のためにも窮屈であるとも聞いておりまするが未曾有の戦災地沖縄の民住宅復興の重要性と緊急性に深い御理解と暖い御同情を寄せられ、且つは沖縄の民住宅復興を日本の復興の一環として特別の御高配を賜り別表の通り所要量の日本杉材の輸入方に就き御措置御取計下さいます様、沖縄群島議会の満場一致の議決を以て茲に謹んで請願致します。
  一九五一年四月十一日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直
  (別表省略)

◎議長(知花高直君) 三月二十四日付監委第十五号を以て沖縄群島監査委員会委員長から議長宛監査の結果報告が参っております。これが内容につきましては印刷の上配付致しますが公文だけを書記長をして朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」朗読)

監委第十五号
 一九五一年三月二十四日
  沖縄群島監査委員会委員長
      仲宗根秀俊 印
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  監査の結果報告に就いて
二月十二日より三月三日迄群島組織法第一一七条の規定による特別監査を執行しました。其の結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告します。
  (別紙省略)

◎議長(知花高直君) 知事から議長宛公文が参っておりますから書記長をして朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」朗読)

沖総第二四八号
 一九五一年四月二十六日
    沖縄群島知事
      平 良 辰 雄 印
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  沖縄群島議会提出議案について
第七回沖縄群島議会(臨時会)において議会の議決を得たいので別紙の通り議案を送付致します。

沖総第二四九号
 一九五一年四月二十五日
    沖縄群島知事
      平 良 辰 雄 印
沖縄群島議会議長殿
  市町村制の改正について
首題の件について、別紙写の通り、沖縄民政官府副官ルウィス・ピー・オーアより通牒がありましたから御通知致します。
(別紙)
  琉球列島米国民政府
      沖縄民政官府
米民沖行法
 一九五一年四月四日
  副官
  軍務団大尉
    ルウィス・ピー・オーア
沖縄群島知事殿
  市町村制の改正について
一、一九四八年七月二十一日付軍政府指令第二十六号市町村制現行法には幾多矛盾する所や不適当な所があるので完全な新組織法の制定をおすすめしたいと思う。
二、ついては沖縄群島議会は市町村制の法案を作製して貰い度い。この法案は完全で現実的であるべきである。市町村側が適当であると認め、又こんな市町村制を採用したいと希望している日本の現行法及び軍政府即ち現民政府の現行布令並に指令を採用することを認めてやるべきである。
この法を制定するに当っては現在その必要を認めているもの及び将来その必要があると認められるものは全部その中に織込まなければならぬ。
本法の制定について琉球列島米国民政府の認可が下りたら、本法に抵触する諸法律、布令及び指令は全部之を廃止する。即ち新法の認可と同時に旧法は之を廃止する。そうすれば現在適用すべき法律がないとか、又は同じ問題に関して同時にこの矛盾した法律があるということを無くすることができる。
右主席民政官の命に依り通牒する。

◎総務部(ママ)副部長(稲嶺成珍君)市町村制の改正については只今書記長が読上げた通りであります。曩に現行市町村制の方には幾多疑義がありまして我々数回に亘ってその疑義を照会しておりますが軍の方でも本法が不備が多いということを認めまして今回市町村制の改正についてその法案を群島議会で作成して貰いたいという通牒が来ている訳であります。それによりまして、事前に総務財政委員会の方で自分も出席してお話申上げましたが、一応は総務の行政課の方で立案をして見てそして議会の方にお諮りしたいと思っております。この通牒によりますと沖縄群島議会で草案を作成して貰いたいということでありますので我々で諸般の準備をして各方面の意見も取入れて立案して議会に提案をしたいと思っております。
 以上この前の総務財政委員会の御報告を申上げておきます。

○議長(知花高直君)書記をして議案を配付致させます。
  (書記議案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第九号
 第一、今期議会の会期を定めること
 第二、今期議会の会議録署名人選挙
 第三、沖縄群島財務条例制定について
  (知事提出議案第三十二号)
 第四、沖縄群島労務事務所設置条例制定について
  (知事提出議案第三十三号)
 第五、沖縄群島農産物検査所設置条例制定について
  (知事提出議案第三十四号)
 第六、沖縄群島度量衡検定所設置条例制定について
  (知事提出議案第三十五号)
 第七、沖縄群島度量衡条例制定について
  (知事提出議案第三十六号)
 第八、沖縄群島統計調査条例制定について
  (知事提出議案第三十七号)
 第九、沖縄群島度量衡器検定手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第三十八号)
 第十、沖縄群島屠畜検査手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第三十九号)
 第十一、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
   (知事提出議案第四十号)
 第十二、沖縄群島学校教育条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十一号)
 第十三、病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十二号)
 第十四、沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十三号)
 第十五、学校々舎建築促進及び愛楽園の増改築に関し陳情書を提出することについて
  (文教厚生委員長提出議案第四十四号)
以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、今期議会の会期を定めること
 日程第二、今期議会の会議録署名人選挙
 日程第三、沖縄群島財務条例制定について
  (知事提出議案第三十二号)
 日程第四、沖縄群島労務事務所設置条例制定について
  (知事提出議案第三十三号)
 日程第五、沖縄群島農産物検査所設置条例制定について
  (知事提出議案第三十四号)
 日程第六、沖縄群島度量衡検定所設置条例制定について
  (知事提出議案第三十五号)
 日程第七、沖縄群島度量衡条例制定について
  (知事提出議案第三十六号)
 日程第八、沖縄群島統計調査条例制定について
  (知事提出議案第三十七号)
 日程第九、沖縄群島度量衡器検定手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第三十八号)
 日程第十、沖縄群島屠畜検査手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第三十九号)
 日程第十一、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
   (知事提出議案第四十号)
 日程第十二、沖縄群島学校教育条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十一号)
 日程第十三、病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十二号)
 日程第十四、沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十三号)
 日程第十五、学校々舎建築促進及び愛楽園の増改築に関し陳情書を提出することについて
  (文教厚生委員長提出議案第四十四号)

◎議長(知花高直君) これから本日の会議を開きます。
 日程第一の今期議会の会期を定めることについてでありまするが、先刻議会運営委員会を開催致しまして全員出席の下に今期議会は三日間にして木曜と金曜日の午前中二十八日の土曜日午前中この三日間に亘って本会議を開いて、すべての条例は今回は委員会付託にせず全員で審議したいというように意見の一致を見たのでありますが、会期は三日間に定めたいですが御異議ありませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) それでは御異議ないと認めまして、今期議会の会期は三日間と決定致します。

◎議長(知花高直君) 日程第二の今期議会の会議録署名人の選挙でありますが、選挙の煩を省略致しまして議長指名とすることに御異議ありませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議長は四番議員仲村栄春君、十八番議員野原昌彦君御二人を指名致します。
 御両名にお願い致すことに御異議ありませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 日程第三の議案第三十二号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十二号朗読)

議案第三十二号
  沖縄群島財務条例制定について
 沖縄群島の財務の適正を期するため、沖縄群島財務条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄

  沖縄群島財務条例案
第一条 群島税その他一切の収入を歳入とし、一切の支出を歳出とし、歳入歳出はこれを予算に編入しなければならない。
第二条 分担金は、群島組織法第百四十一条第一項の財産、営造物又は事件に関し必要な費用に充てるためこれを徴収する。
2 分担金の徴収額は、群島組織法第百四十一条第一項の財産、営造物又は事件に因る受益の限度を超えることができない。
第三条 各年度において決定した歳入を以て他の年度に属すべき歳出に充てることはできない。
第四条 歳入の所属年度は、左の区分による。
 一 納期の一定した収入は、その納期の末日の属する年度
 二 定期に賦課することができないため特に納期を定めた収入又は随時の収入で徴税令書、賦課令書又は納額告知書を発するものは、令書又は告知書を発した日の属する年度
 三 随時の収入で徴税令書、賦課令書又は納額告知書を発しないものは、領収をした日の属する年度、但し、交付金、補助金、寄附金、償還金その他これに類する収入でその収入を計上した予算の属する年度の出納閉鎖前に領収したものは、その予算の属する年度
第五条 歳出の所属年度は、左の区分による。
 一 費用弁償、報酬、給料、旅費、傭人料、その他これに類する給与は、その支給すべき事実の生じた時の属する年度、但し、別に定まった支払期日があるときは、その支払期日の属する年度
 二 通信運搬費、土木建築費、物件購入費等は、契約をした時の属する年度、但し、契約により定められた支払期日があるときは、その支払期日の属する年度
 三 補助金、寄附金、負担金等は、その支出を計上した予算の属する年度
 四 第二十二条の規定による欠損補填は、その補填の決定をした日の属する年度
 五 前各号に掲げるもの以外のものは、その支払命令を発した日の属する年度
第六条 各年度において歳計に剰余があるときは、翌年度の歳入に編入しなければならない。但し、議会の議決により剰余金の全部又は一部を基本財産に編入する場合においては、繰越さないでこれを支出することができる。
第七条 夫役現品は、賦課令書により、分担金、使用料、加入金、手数料、過料、過怠金及び物件の賃貸料等は納額告知書によりこれを徴収し、その他の収入は納付書によりこれを収入しなければならない。但し、急迫の場合に賦課する夫役及び納額告知書又は納付書により難いものについては、この限りでない。
第八条 支出は債権者以外の者に対しては、これをすることはできない。
第九条 左に掲げる経費については、群島職員をして現金支払をさせるため、その資金を当該職員に前渡することができる。
 一 外国において支払をする経費
 二 遠隔の地又は交通不便の地域において支払をする経費
 三 非常災害のため即時支払を必要とする経費
 四 特別の必要があるときは群島職員以外の者に対して、前項の規定による資金前渡をすることができる。
第十条 左に掲げる経費については、概算払をすることができる。
 一 旅費
 二 官公署に対し支払うべき経費
 三 補助金
第十一条 左に掲げる経費については、前金払をすることができる。
 一 官公署に対し支払うべき経費
 二 補助金
 三 前金で支払をしなければ契約をし難い請負、購入又は借入に要する経費
 四 土地又は家屋の買収又は収用に因りその移転を必要とすることとなった当該家屋又は物件の移転料
第十二条 前三条に掲げるものを除く外必要があるときは、知事は、議会の議決を経て資金前渡、概算払又は前金払をすることができる。
第十三条 歳入の誤納又は過納となった金額の払戻は、各々これを収入した歳入から戻出しなければならない。
2 歳出の誤払又は過渡となった金額、資金前渡、概算払、前金払及び繰替払の返納は、各々これを支出した経費の定額に戻入しなければならない。
第十四条 出納閉鎖後の収入支出は、これを現年度の歳入歳出としなければならない。前条の規定による戻出金又は戻入金で出納閉鎖後に係るものについても、また同様とする。
第十五条 継続費は、毎年度の支払残額を継続年度の終まで逓次繰越使用することができる。この場合においては、知事は、翌年度四月三十日までに継続費繰越計算書を調製し、次回の会議においてこれを議会に報告しなければならない。
第十六条 歳入歳出予算は、これを款項に区分しなければならない。
2 歳入歳出予算は、必要あるときは経常、臨時の二部に分けることができる。
第十七条 歳入歳出予算には、各項を各目に区分してその予算の基礎を詳細に記載した予算説明を附けなければならない。
第十八条 特別会計に属する歳入歳出は、別にその予算を調製しなければならない。
第十九条 予算は、会計年度経過後においては、これを追加又は更正することができない。
第二十条 予算に定めた各款の金額は、相互にこれを流用することができない。
2 予算に定めた各項の金額は、議会の議決を経てこれを流用することができる。
第二十一条 出納に関する事項は、会計年度経過後三箇月以内にその整理を完了しなければならない。
第二十二条 会計年度経過後に至って歳入が歳出に不足するときは、翌年度の歳入を繰上げてこれに充てることができる。この場合においては、そのための必要な額を翌年度の歳入歳出予算に編入しなければならない。
第二十三条 群島は、議会の議決を経て、群島に属する現金の出納のため、金庫を置かなければならない。
第二十四条 群島の金庫は、本金庫及び支金庫とする。
2 本金庫は群島の事務所の所在地に置き、支金庫は知事において必要と認める地にこれを置く。
3 本金庫は、支金庫を総轄する。
第二十五条 金庫事務は、知事が議会の議決を経て定める銀行をしてこれを取扱わしめる。
第二十六条 金庫においては、出納長の通知がなければ現金の出納をすることができない。
第二十七条 金庫事務の取扱をする者は、現金の出納につき群島に対して責任を有する。
第二十八条 金庫事務の取扱をする者は、知事の定めるところにより、担保を提供せしめることができる。
第二十九条 出納長は、定期及び臨時に金庫の現金の出納及び帳簿を検査しなければならない。この場合において必要があると認めるときは、臨機の処分をすることができる。
第三十条 出納長又は群島職員が、法令の規定に基いて保管する現金又は物品を亡失又は毀損した場合において、善良な管理者の注意を怠ったときは、法令に特別の定があるものを除く外、知事は、監査委員の監査の結果に基き、期限を定めてその損害を賠償させなければならない。但し、出納長又は群島職員が、避けることのできない事故に因ること又は物品を当該職員の使用に供した場合において合規(ママ)の監督を怠らなかったことを証明したときは、知事は、これを監査委員の審査に付し、その意見を附けて議会に附議し、その同意を得て、賠償の責任を免除することができる。
第三十一条 知事は、出納長又は群島職員が現金又は物品を亡失し又は毀損した事件について刑事訴訟が提起されたときは、その判決が確定するまでは、前条の規定にかかわらずこれらの者に対しその損害を賠償させることができない。
第三十二条 決算は、予算と同一の区分によりこれを調製し、左の事項の計算を明記せる説明を附さなければならない。
  歳入の部
 歳入予算額
 継続費繰越財源充当額
 調定済歳入額
 収入済歳入額
 不納欠損額
 収入未済歳入額
  歳出の部
 歳出予算額
 支出済歳出額
 翌年度繰越額
 不用額
 前年度繰越額
 予備費使用額
 流用等増減額
第三十三条 歳入歳出予算は、別記様式に準じてこれを調製しなければならない。
第三十四条 継続費の年期及び支出方法は、別記継続費の年期及び支出方法様式に準じてこれを調製しなければならない。
2 継続費繰越計算書は、別記様式に準じてこれを調製しなければならない。
第三十五条 歳入歳出決算は、別記様式によりこれを調製しなければならない。
   附 則
 この条例は、一九五一年五月一日からこれを施行する。
 (別記様式省略す)

○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 財務条例を本議会に提案致しました理由の御説明を申上げます。
 財務行政は諸般の行政の根幹をなすものであり、かつ住民の権利義務に密接なる関係を有しその利害に影響するところが多いのでありまして財務事務の処理運営に当りましては十分今日迄注意して参ったのであります。
 即ち財務事務につきましては民政府当局の直接の指導監督の下に予算の編成から執行に至る迄その定める指令や会計手続などに準拠して運営しつつあるのであります。然しながら財務に関する規定は極めて厳格でなければなりませんし又その精密さを期さなければならないと思うのであります。若しも規定が不備粗雑でありますればその間財務の整理を怠りまして、ひいては不祥事の原因をかもし会計紊乱の端を発するおそれなしとしないのであります。茲に於きまして、現行群島組織法に規定せられている財務諸規定を補足する必要がありますし、また同法の第百三十三条第三項の規定、即ち「群島政府は公金使用の適正を期するために財務管理及び手続に関する規定を定めなければならない」という条項に則りまして条例を以てこれを定めるためにここに提案致したのであります。
 立案に当りましては現行日本に於ける関係法規即ち財政法、会計法、予算及び決算、地方財政法、更に地方自治法などを参照しましてその外市町村財務規程或は行政実例を参考とし、更に現に実施している米国式の予算方式或は会計手続などの諸手続に抵触矛盾しないように十分考慮を払ったのであります。尚この案が成立しますればこれに基いてひきつづいて会計規則、営造物及び財産管理処分に関する規則、予算調整(製カ)規程、金庫事務取扱規程などを整備致しまして、その完璧を期して行きたいと思っております。
 以上簡単に御説明を申上げます。よろしく御審議のほどお願い致します。

◎議長(知花高直君) 議案第三十二号は審議未了のままと致しまして、日程第四の議案の第三十三号を議題と致します。
 書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十三号朗読)

議案第三十三号
  沖縄群島労務事務所設置条例制定について
 琉球人の雇傭職種及び賃金率(一九五〇年六月十六日軍政布令第七号修正)の規定に基き、沖縄群島労務事務所設置に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島労務事務所設置条例案
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号を以て条例として登載公布済に付省略)
 (注 五五一頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎総務部長(幸地新蔵君) 簡単に本条例提案の理由を御説明申上げます。従来民政官府の所管であった労務事務が本年度から民政本部の補助金三百十二万円と全額確定しましたが、それを以て群島政府に移管されるので現在の軍政官府の労務課管下にある労務事務所を群島政府の下に設置するために提案致したのであります。
 事務所を設置致して一括知事の管下に収めることはこれから逐次この労務事務所の内容などを検討し更に労資の関係などをよく勘案致しまして、この運営につきましては更に色々と取扱に関する規定、その他条例などを設けまして逐次実践に移しそして労務事務の円滑と正確な運営を期して行きたいと思うのであります。よろしく御審議のほどをお願いする次第であります。
 以上簡単に提案の理由を御説明申上げます。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎宮城久栄君 第一条を見ますと琉球人以外の労務者は適用しないことになっておりますが、これはどういう訳ですか。例えば日本人が沖縄に来て職を求めたり人を求めたいという場合にはこの条例は適用出来んことになっておりますが、その趣旨を一つ御説明願います。
○総務部長(幸地新蔵君) 布令第七号によりまして労務の対象は琉球人と規定されておりますので日本人と琉球人以外の労務者に対しては考慮していない訳であります。布令第七号によりまして琉球人の労務者に対して適用される、従って労資の関係であって即ち雇傭者被雇傭者の関係は日本人が琉球人を労務所を経て使用する場合には矢張り使用者の労務者に対しては及ぶ訳であります。
◎祖根宗春君 第一条の労務者の最古雇傭ということについて詳しく御説明願いたいと思います。その次に第三条の二号の求職の開拓に関するその内容、それからこれは軍作業の労務関係を主として扱うのか、或はまた一般労務者の雇傭求職も斡旋するのか。それから更に軍作業の労務賃銀の問題でありますが、この項目にはないと思いますが、現在労働組合も出来ておりませんので結局賃銀問題の取扱は労務事務所では関心を持って行かなければならない重要問題であると思います。特に軍作業のドルの賃銀の実質的な値上げの問題が論議されているのでありますが、こういった賃銀の値上問題についてこういう事務所が扱うのか扱わないのか、それらについても御説明願いたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 第一の最大雇傭でありますが、この方は求職がありますというとその求職に対しまして最大の就職希望者を募集致しましてそれに最大限に雇傭に応じたいというのであります。第三条の二号でありますが求人求職の開拓でありますが、出来る限りその方は開拓して行く、そして労務を希望する者があれば最大限に斡旋する。同時に将来に向っても琉球人の雇傭に対しましても勿論開拓して行くものだと考えております。尚労務賃銀に対しましても、これは重大な問題でありましてこの方面に対しましても必ずや労務事務所が設置されますというと、この問題に対しても当然触れて行くと思っております。
◎新里銀三君 軍労務問題関係でありますが、今沖縄に於てはドル獲得には軍労務者が非常に大きい役割を果していることと思いますので、その事務が移管された場合に待遇問題について今のところでは随分待遇が悪いように聞かされております。例えば支那人から見た場合フィリピン人から見た場合に非常に差があるということを聞いておりますが、その待遇問題についての如何なる対策を講じておられるかをききたいと思います。次は職業の指導というのと、この職業の補導という項目がありますが、軍作業については余りこれ迄沖縄人の労務者が沢山のドルを獲得するに反しまして関心を持っていなかった、例えば娯楽機関、読書、文庫をつくる音楽をやるとかスポーツ方面或は修養方面に機関を設けるとかいうような要するに余り関心を持っていなかった軍作業員に対しまして、如何なる抱負によって保護指導し更に彼らを十二分に指導してドル獲得に働かして行くのか、その保護指導とかという問題について如何なる考えを持っているか。
○総務部長(幸地新蔵君) 御説の通り賃銀対策につきましてはこれから十分実態を調査してその適正をはかるべく将来に向って努力すべき問題だと考えております。尚補導の問題につきましても現在知事の管下にありませんので手が及びませんが将来これが知事の管下に収まって参りますれば必ずこういう面も雇傭者側についても或は能率の増進或は精神面の向上ということに関しても補導の手が伸びるものと思っております。
◎仲里誠吉君 只今までの労務事務所を廻って色々の論議を聴いて見ると結局労務事務所というのはこの条例の精神から見ると結局事務面のみを掌るものであって只今の賃銀政策とか或は厚生施設に関する色々の研究若しくは指導助言こういった政策面は当然群島政府内の労務課がやるべきものではないかと思うが、その点に関する当局の意見。
 それから政策面は労務課がやると申しても実質的にはそれ以外の労務調停委員会というのがあるので労務調停委員会としては布令第七号によって賃銀その他に関して軍政府に意見具申をする権限が与えられているが然しながら惜しむらくは軍作業に関する限りはそういったのは認められていないようである。
 群島政府の政策面を労務調停委員会を通じて軍作業面にもタッチ出来る権限を与えて貰うように群島政府としては民政府に意見具申をすべきであると思うが、その点に関する群島政府の意見を承りたい。
○総務部長(幸地新蔵君) 将来に向ってそういう必要がありますればそういう風に進めて参りたいと思います。
◎山城興起君 従来軍作業の方は軍の方が掌っておったのでありますが、この度民に移管されたような形になっております。軍カンパンに於ける軍労務者の指導監督面まで群島政府がその権限を拡められたとお考えでありますかどうか、そこを一つはっきりお伺いしたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) この条例が決議になりまして労務所の方が知事管下になりますと布令第七号に示す範囲内に於きまして我々は軍労務者に対しましても出来得る限り触れて行きたいと思います。また触れて行かなければこの問題は円滑に解決のつかん問題だと思いますので今のところその辺ははっきり致しておりませんけれどもそれを掌握して行く、そして実情に応じましてよく勘案してその辺まで押し進めて行きたいという気持を持っております。
◎長浜宗安君 現在地方にも労務出張所がありまして労務事務の一部を担当しておるのでありますが、この地方の労務出張所が一時労務カードの発行をやっておったがいつの間にか那覇の労務事務所でなければ発行出来ないというので非常に地方の労務者がカードの受取に余計な時間と金を費しているということが問題になっております。これが民に移管された場合には地方の出張所にもカードの発行の権限を与えるかどうかについてお伺い致します。
◎稲嶺盛昌君 只今の十二番議員(長浜宗安君)と同じような問題でお伺いしたいのですがその外に労務出張所に於て職員が一人しか置かれていないところもあってその職員が出張したり彼是の時にはその労務事務所に行って用件を果すのに非常に不便を感ずることも本員は聞かされております。それで必要に応じ出張所を設けるということになっておりますが、今の十二番議員(長浜宗安君)の伺った点と同様にこの出張所に対する御計画は現在のままであるのか、その個所とか今申上げるような点あたりに御計画があればその点をお伺いしたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 現在のところは民政官府に労務事務所がありましてすべてカード発行はこの方でやり、現在ありますところの出張所、那覇、与那原、胡差、石川、具志川、名護、渡久地こういうところは募集事務だけをやっているのであります。これを今お話がありましたように第二条によりましてこれが掌握出来ました場合には大体那覇に中央事務所を置きまして最も雇傭者が多かろうと思われるところに那覇にも或は胡差、名護と中南北部の三ケ所に事務所を置きましてそこで大体中央事務所と同じようなことが出来る風に致してそこで労務カードの発行或は登録までして見たいという風な考え方を今のところ持っているのであります。
○議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして討論に入ります。御異議ありませんか。
◎祖根宗春君 この問題を解決する前にちょっと希望を申上げておきます。それは先程二十番議員(仲里誠吉君)からも質問がありましたが、この労務の政策的な行政的な立場とそれから単なる事務処理をする面と二つの面がありますので今後労働問題が政治の大きな問題として発展して行くことに対処しまして単なる一廨庁としてでなくて出来得れば一つの群島政府の中の一つの部としてこれを大きく拡大強化して労働政策の面まで発展して行くことを希望したいと思います。それから沖縄の自立経済についてドル獲得が非常に大きな問題になっておりますので、そのドル獲得の一番手取り早い、金額からいっても一番大きいのが軍作業員のドル賃銀でありますから、この問題について労務事務所はよく研究をされてどれ位がドル賃銀として適当であるか、それから軍労務の生活の実相などもよく研究されて正当なるドル賃銀を計算して軍に要望して是非ドル賃銀の値上げを実現されるように希望致したいと思います。
 只今アメリカの労働者の平均が月九十ドル、一日三ドルと聞いております。更に今日沖縄にやって来ている日本労働者のドル賃銀が最低百ドル普通百五十ドル程度に行っていると、こういう話を又聞きしておりますが、そういった米国の労働者及び沖縄に来ている労働者に比べて非常に沖縄の軍労務者の賃銀が安過ぎるという風に感じておりますので是非ともこの実質的な値上げをお願いしまして自立経済のドル資金獲得に邁進されることを希望するものであります。更に労務事務所の職員の定数でありますが、これもよく慎重審議されまして何人が適当であるか、それをよく研究しましてなるべく少数の精鋭なる職員を配置して最大の能率をあげていただきたい。軍から群島政府に移管したので人間もそれだけの人間が要るか不足であるか、そこらを慎重に検討しまして新しく出来る官庁であるが故にその定数についてもよく慎重を期して貰いたい。以上希望を申述べておきます。
◎仲里誠吉君 只今十四番議員(祖根宗春君)の要望があったのでそれに関連して要望をしたいのでありますが、それは軍の労務者が最大のドルの稼ぎ手であるとか或は軍の労務者のドル面の実質賃銀を値上げをして貰いたい、これは全くその通りであってその点については賛成であるが、然しながらこういった希望に一つの盲点があるということを忘れてはならないと思う。というのはなるほど軍の労務者がドル賃銀を稼いでいる。
 然しこれを国際賃銀に比較した場合に低位にあるので能うべくんば国際水準並まで引上げて貰いたいということは妥当であるけれども、その盾の裏の面を考えなければならない。そのドルが蓄積されて商業勘定になる訳であるが、実際の具体的な数字は分らないけれども、この商業勘定の大部分はドル賃銀であろうということは想像される。このドル賃銀を以て一般輸入業者は日本、台湾あたりから物を入れて沖縄の住民に売りつける訳であるが、労務者は自分達で稼いで、その金は商売人が利用してそのドルを稼いだ当の労務者に高く売りつける。これを知らなければならない訳であって、これは為政者としてはドルを稼いだ労務者に対しては高い値段で売りつけるのでなくて安い値段で売るという風に政治の面を持って行かなければならない訳であって、これはただ単に労務者の賃銀を多く稼がなければならないという面だけを考えると結局労務者は結果的に見て搾取されるという形になるのであるからこの面は議員も群島当局もよく考えてこれは単に労務対策だけでなしに経済政策の重要な一環として考えていただきたいということを述べてこの案に賛成します。
◎議長(知花高直君) 別に御異議がなければ原案通り可決したいのですが如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして、議案第三十三号を原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第五の議案第三十四号を議題と致します。
 書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十四号朗読)

議案第三十四号
  沖縄群島農産物検査所設置条例制定について
 群島組織法第二条第二項の規定に基き、沖縄群島における輸出農産物の検査並びに植物の検疫を行うため沖縄群島農産物検査所設置に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島農産物検査所設置
  条例案
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五五一頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎経済部長(呉我春信君) 御説明申上げます。
 農産物は原則と致しまして正式な検疫を行わなければ他の国へ出せないのであります。尚信用を昂める上或は取引の円滑を期するためにも現在は必要でありますので大体戦前の物産検査所の規定を参考としてここに掲げた次第であります。更にその反対にこちらに入って来る作物、これについても検疫を行う。これは病害虫のあるところから持って来た場合は、こちらにその病害虫を散布されて迷惑であるという意味からでこの両方を併行して行きたい。斯様に考えているのであります。
 尚これにつきまして本来ならば手数料等の件もあるのでありますが、まだその緒についたばかりでありますので時期が参りますれば手数料の制定なども考えたい。斯様に考えているのであります。現在のところは職員も兼務でやって行こうという意味合で提案しているのであります。よろしく御審議の程を願いたいと思います。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。御質問はありませんか。
◎新里銀三君 第四条を見ますと技官、事務官を掲げまして、配付になったものについて職員定数を見ると九名、二頁のところに沖縄群島農産物検査所定員が九名となっております。更に十条に臨時検査員を配置するとなっておりますが、これは兼務でありますか、どの課の職員が兼務するのでしょうか、これと予算面との関係はどうなっているか、御伺い致します。
○経済部長(呉我春信君) 只今御説明申上げた通りまだ他に出す輸出作物が本格的になっておりませんので財政その他から考えましてここ当分は農務課職員その他で兼務してよかろうとこういう意味であります。
◎仲村栄春君 第三条の業務の第二号に於て、その他輸出農産物の検査とありますが御説明にもあった通り輸出に重点が置かれているのでありますが、現在本島内に於ては軍を相手にして、所謂輸出と解されるところの蔬菜類の販売が行われておりますが、こういったものに対しても本条例を適用される御意思であるかどうか伺いたい。
○経済部長(呉我春信君) これは第三条第四号に於て可能だと思っておりますが、但し全般に対して検査したいとは考えておりません。例えば軍に納入する蔬菜については第四号で出来ると思うのであります。
◎石原昌淳君 検査所の設置条例は、この前にこの検査を行う検査条例とでもいいますか、これが先ず決らなければいけないかと思いますが、検査は強制されるのであるか自由であるのか。
 まず検査条例を作って、何々が検査の対象となる、又生産者はどういう義務を負うのか、その検査条例の設置が必要ではないかと思いますが、これはどういう風にお考えでありますか。
○経済部長(呉我春信君) これは主として信用関係でありますので輸出した場合の向うでの取引の関係でどうせ検査を受けてないということになりますればそれだけ信用価値が低下する訳でありますから、これで十分行けると考えております。
◎山川宗道君 沖縄群島農産物検査所という農産物に限っての検査所設置条例を出されているようでありますが、現在は海産物或は輸出物が相当あるようでありますが、その検査はなさらないのでありましょうか、お伺い致します。
○経済部長(呉我春信君) 鰹節その他の輸出品もありますがこれについても今農林省で予算を折衝しておりますのでその経過を見て又附加えまして或は別に検査規定を設けるようにしたいと斯様に考えております。
◎仲里誠吉君 只今の五番議員(石原昌淳君)の質問に対する当局の回答は納得が出来ないのであるが、五番議員(石原昌淳君) の質問内容としてはこういった検査所を作る前に検査を受けなければならない規定を作らなければならない、生産者若くは輸出業者が輸出する以前に於て当然検査を受けなければならない義務を負わさなければならないということであるが、当局の答弁は品質が悪いというと信用問題であるから輸出業者は信用価値が低くなるから検査を受けなければならない様になるであろうという回答であるが、さすれば若しその様な式で行けば或は沖縄の黒糖生産者の作った砂糖、その品質が劣悪で出した場合一回、二回の場合はいいけれども三回、四回と度重れば三、四の劣悪なる黒糖のために沖縄全体がそういったものであるという判定を受けなければならないとも限らないし過去の事例に徴しても明かである。
 沖縄の黒糖その他の輸出農産物の信用を昂めるためには一、二の不心得者のために業者全体が迷惑を蒙ることを避けるために矢張り依然として検査を受けなければならない義務を課す条例をこれと同時に、若くはこれに先行しなければならないと思うが、その点当局の見解を承りたい。
○経済部(ママ)副部長(知念忠太郎君)只今の御質問に対しましては現在農林省で植物検査法というのが出来まして現在軍に於て検討中であります。群島政府としては検査所を設置致しまして、その検査法が軍から参りますればそれによってやるつもりであります。
◎仲里誠吉君 植物検査法だそうでありますが、黒糖その他のものはどうなりますか。
○経済部副部長(知念忠太郎君)農産物全部を含んでおります。
◎新里銀三君 五番議員(石原昌淳君)、二十番議員(仲里誠吉君)の意見に賛成するものであります。先に検査条例を作り、もう一つ例えば鰹節とか泡盛、こういうものをもう少し名前を変えて元の名前による物産検査所ということにして、五番議員(石原昌淳君)がおっしゃったようにこの対象物は鰹節とか泡盛とかすべてのものを包含した方がいいと思う。
○経済部長(呉我春信君) 同感でありますが只今の段階に於ては鰹節などの水産物に関しては今農林省が企画して予算を要求しておりますので、若しこれが実現すればどうするかは又その時に考えたい、予算の関係で只今のところはこうして置きたいと斯様に考えている訳であります。
 尚物産が多くなりますれば今の名前の関係でありますが、これも適宜是正して行きたいと思っております。只今対象になりますのはこういう面でありますので、これを取上げた訳であります。
◎玉城泰一君 技官以下の職務については規定がありますが所長の職務は全然抜けていますが、入れる必要はありませんか。
○経済部長(呉我春信君) 所長の権限はこれに載っておりませんが、若し表示しなければなりませんものでありますれば入れても差支えないと思います。
○議長(知花高直君) 暫時休会致します。
  (午前十一時十九分休会)

  午前十一時二十七分再開
◎議長(知花高直君) 開会します。
 議案第三十四号を審議未了のままと致しまして、日程第六の議案第三十五号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十五号朗読)

議案第三十五号
  沖縄群島度量衡検定所設置条例制定について
 群島組織法第二条第二項の規定に基き、沖縄群島における度量衡の適正をはかるため沖縄群島度量衡検定所設置に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島度量衡検定所設置条例案
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五五二頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎経済部長(呉我春信君) 提案の趣旨を御説明申上げます。終戦直後から度量衡器も大分失いましたし又あっても非常に古くなって不正確になったものが多かった。尚その後は色々従来の経験によってこれを作って売出すとか非常に区々でありまして商取引の明朗を欠いておりますし又消費者の一般大衆も非常に迷惑を蒙っているということは皆さん御承知の通りでありますので、早くこれを実現したいということは世論でもありますし又群島議会に於てもその早期実現を要望しておりますので今度これを提案致した訳であります。その間今日まで延引致しましたのは原器となるものが未着でありましたからで今度原器も到着致しましたので、ここに提案した次第であります。よろしく御審議のほどをお願い致します。
◎宮城久栄君 度量衡器に関する議案が三十五号、三十六号、三十八号と三つ出ておりますが、その内容を、各条例の趣旨を簡単に御説明願いたいと思います。三つ関連しておりますので一括上程されんことを望みます。
◎議長(知花高直君) 只今の七番議員の動議に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第三十五号、三十六号、三十八号は相関連する問題でありますので一括して議題と致します。
書記長をして三十六号議案、三十八号議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十六号、議案第三十八号朗読)

議案第三十六号
  沖縄群島度量衡条例制定について
 群島組織法第二条第二項の規定に基き、沖縄群島における度量衡による取引若しくは証明の適正を期するため、度量衡に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島度量衡条例案
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五五二頁に掲載)

議案第三十八号
  沖縄群島度量衡器検定手数料徴収条例制定について
 群島組織法第百四十六条の規定に基き、沖縄群島度量衡器検定手数料徴収に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島度量衡器検定手数料徴収条例案
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五五九頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎経済部長(呉我春信君) この三十六号議案の方は、大体日本で採用しておりますメートル法を基準にしてその権能と取締関係を規定しているのであります。
 尚これは日本に於ては度々改正が行われておりますので尚ここの実情と照し合せましてずっと後の方に附則を以て当分の間は従来のものも検定を受けて使用していいという経過規定を設けてあります。これはこちらの実情に即すべく規定を設けた訳であります。
 議案三十八号はその検定についての手数料の徴収条例になっております。

◎議長(知花高直君) 議案第三十五号、三十六号、三十八号は審議未了のままと致しまして、次は日程第八の議案第三十七号を議題と致します。
 書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十七号朗読)

議案第三十七号
  沖縄群島統計調査条例制定について
 群島組織法第二条第二項の規定に基き、群島の行政事務に必要な統計調査を行うため沖縄群島政府統計調査に関する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島統計調査条例案
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五六二頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎総務部長(幸地新蔵君) 御説明を申上げます。
 今回提案致しました統計調査条例は基本法として提出したのであります。正確な統計を整理し統計制度の改善発達を図ることの必要については今更申述べるまでもないと思います。ちょうど再建の途上にありまして万般の施策を行いますには政府、住民が共に正確な統計資料を豊富に持つということが必要でありまして、又米国民政府の管理政策に協力し更に進んで我が群島の実態をつかみまして広く対外的に理解と信用を深めるためにも正確な資料を提供する必要があると考えているのであります。
 本案はそれらの緊急な要請に応ずるために立法したのであります。この案の第一条に示してあります如く行政事務に必要な統計調査を行って民勢の実態を把握することによって的確公正な行政運営の基礎資料を得るのが本条例の目的であります。この目的を達するために以下申上げるような各種の事柄を主なる内容として規定したのであります。
 まず第二条、第三条の関係でございますが、米国民政府の指定する統計調査以外の規則で定める統計調査でありまして人或は団体に対しまして申告の義務を定めたのであります。その実施に必要な諸規定を整備致して第四条、第五条に於ては調査区を設けて調査員を置き調査の一部と調査員の指揮監督を市町村長に委任することに致したのであります。
 又統計の確実性を確保するために任務に従事するところの職員並に調査員がその職務を行うのに適当な資格を有することが必要であります。従ってその身分を保障する必要もありますので、ここに規定してあります。
 第六条に於ては実地調査に関する規定を設けたのでありますが、次に統計の迅速性を確保するために住民が真実に申告をするということがあるのであります。又それと同時に申告に関しましては申告の機密につきまして十分これを保護しなければならないのでその方を規定しているのであります。第九条に於ては正確な統計を時期を失わないように速かに公表する、又一般がこれを利用してはじめてその効果を発揮するのでありますからして、それを規定しているのであります。
 これらの統計調査の結果は社会一般の批判を活発に致しましてその改善を促しますと共に住民の統計に関する知識を普及せしめ且つ統計全般の発達を図る上から申しましても結果の公表に関しましては必要でありますのでその規定を設けたのであります。
 第十条には申告の義務を課せられたところの者が義務を怠ったり又は調査員或は職員が申告の秘密を十分に保護することの出来ますようにその罰則を規定してある訳であります。
 よろしく御審議の程をお願い致したいと思います。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎祖根宗春君 遅れ馳せながらいいことだと思って賛成します。当局がお考えになっておられることは差当りどういうような方面、どういう問題を調査の対象にするか、その具体的な案をお持ちであれば承りたいと思います。
 それから第三条の知事はその他の団体に対し調査の必要事項を申告させることが出来るとこうなっているが、沖縄群島内の機関には知事の権限の及ばない、例えば貿易庁、琉銀、農林省、そういった団体に対する調査の方針でありますが、つまり申告の義務のない官庁方面から資料を得る場合の方法について伺いたいと思います。
 それから更に志喜屋知事の時代から現在に至るまで色々と調査ものを沢山やっておりますが、今迄に出来た調査書類、統計書類の保管調査蒐集整理、そういったものに対する方針もついでに承りたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) お答え致します。只今やっておりますのは民勢要覧の発行を計画致しております。それは大てい八月中迄には完成したいと考えております。更に群島統計調査条例に基きまして各種の統計調査の規則を制定致しまして或る企画の下に全般が分るように七月中にこれにかかろうかと思っております。尚各種の報告の様式なども区々でありますので、その方も制定致しまして同時に七月頃からこの様式によりまして一定の方式の下に総括して資料を得て編纂致したいという考えをもっているのであります。五月以降只今やっておりますものは国勢調査は現に整理中でありますが農家の経済力の調査を七月頃から始めて見ようかと思っております。
 それから消費価格の調査などもやって見ようかと色々立案は致しておりますが人手が足りませんので果して出来まするやと思っておりますが全力を尽してやって見たいと思います。過去五ケ年に亘って各種の統計をやっているようでありますがそれが各部に分れてばらばらになっておりまして企画統制されておりませんので、なかなか纏めるのに困難を来しているようであります。それで只今の実情を申上げるというと要覧一切も出来ていないという実情で誠に対外的に求められてもそれに答える立派な統計資料がないのであります。それで今度そういう資料を整理しまして正確な信用ある統計を編纂したいと今職員が一生懸命にやっているところであります。
◎平良幸市君 第十条の左の各号の一に該当するものは五千円以下の罰金に処するとありますが、条例を定めて罰金刑を処する法的根拠を承りたいと思います。
○法務部長(知念朝功君) 群島組織法の第二条の一番終いにRというのがありますね。そこに条例の違反について罰則を制定するという字を用いているものですから原文上は一つも異議はございません。
◎平良幸市君 そう致しますと組織法第百四十七条第二項に前項に定めるものを除く外条例で五千円以下の過料を課する規定を設けることが出来るとなっておりますがこれとは別でありますか。
○法務部長(知念朝功君) これは五倍を取ってもいいし又条例で以て五千円以下のものを取ることも出来るということで、これとは別です。
◎平良幸市君 つまり分担金使用料に関してのみですね。
○法務部長(知念朝功君) そうです。
◎玉城泰一君 第三条に知事は人又はその他の法人に対してという文句になっておりますが、疑問の点は人と法人と対立さしてあることでありますが法律上は法人の中には人も入りますが強いて人を使うとなれば上の人は自然人でなければならないと思うが。
○法務部長(知念朝功君) 普通人と法人は両方をひっくるめて人という言葉を用いております。人という法人は自然に対する特別の意味で法人といっておりますが人という場合に法人を含まない場合があります。そういう意味で人と法人は区別しております。民法の中にも人といって法人を含まない場合もあります。
◎新里銀三君 平良議員の質問した条例で五千円以下の過料となっておりまして、この統計調査条例で知事には罰金は認められていないことになっていますがこれでいいですかな。その点を一つ……
○法務部長(知念朝功君) 百四十七条には特に過料ということが明示されています。賦課金分担金ああいうものに関する処罰でありますが然し第二条のRには刑罰規定を定めるということでありまして行政上の罰である過料とは区別していわゆる刑としての罰金を課することはいいと思います。
◎新里銀三君 然し第百四十七条の二項は前項の定めるものの外でありますからこれは分担金以外のものだと思いますが、それ以外のものというのに提案中の統計調査条例も含まれるのではないですか。
○総務部(ママ)副部長(稲嶺成珍君)第百四十七条の第二項は結局条文の受け方として第一項を受けておるのでありまして一項に規定されたものについての分担金、使用料、手数料の徴収を免れたものはその徴収を免れた金額の五倍の過料を課する、前項に定めるもののほか又五千円。結局第百四十七条の一項を受けたのが二項でありましてこれは明らかに第百四十七条だけを指しているのであります。
◎議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして討論に入ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして、議案第三十七号を原案通り可決致します。午前はこれで散会致しまして午後一時開会致します。
  (十一時五十八分散会)

  一九五一年四月二十六日午後一時開議
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十九名であります。日程第十の議案第三十九号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三十九号朗読)

議案第三十九号
  沖縄群島屠畜検査手数料徴収条例制定について
 群島組織法第百四十六条の規定に基き、沖縄群島屠畜検査手数料徴収に関する条例を左記の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
    記
  沖縄群島屠畜検査手数料徴収条例(案)
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五六三頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎厚生部長(宮城普吉君) これは御説明する迄もないと思いますが、一九四七年四月一日沖縄民政府令の第三号によって手数料を徴収しておりましたがこれを群島組織法によって条例として案を出したので従来の通りであります。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎新里銀三君 去った議会に於ける予算に於て牛四千、馬百、山羊三百七十、豚二万五千として計上してあったがこれはそれ以上の金額を税収入として計上されていますが、それはいつのものを基準にされたのですか。
○厚生副部長(大森泰夫君) この予算は各屠場での予想頭数を押えましてそれによって決めたものであります。
◎石原昌淳君 第一条の検査の対象でありますがこれは食用に供する自家用の屠殺にも適用されるように解されますが、そういう意味でありますか。販売用だけを対象にする訳ではない、単に食用に供するとなると自家用にまで及ぶことになるが又実際に及ぼせるものかどうか。
○厚生副部長(大森泰夫君) 矢張り大衆に売るところの屠畜が対象になりますが、終戦後衛生面の立場から自家用と雖も原則として取扱上検査をするということになっております。従って検査の場合は自家用でも検査料を取っている訳です。これは日時と場所を指定してその受持の最寄の獣医に連絡して検査を受けるという風にしてありますが、万止得ない場合或は土地の事情によりまして獣医の検査が受けられないといった場所に於ては検査なしということも起る訳です。
◎新里銀三君 旧屠場法でこれを運営しているか、それを御伺いします。更に地区に於て或は村に於ては自家用屠殺の検査は衛生課に獣医がおりませんから、町村長に申請して、そして町村に駐在している技手をして検査させた方が妥当と思う。何故ならば例えば町村に豚疫がある場合には町村ではすぐ察知出来ますが、豚疫にかかったものを業者として或は個人として病気と知り乍らこれの屠殺を申請して衛生課の検査を受けてパスする場合があります。その場合に村の勧業課に届出れば病豚の発生を聞入れすぐその屠殺を禁止することも出来るのでありますが、衛生課には獣医もいないし、又勧業方面に連絡もないのでありますから、地区衛生課長よりも町村長に願い出て町村長は更に駐在の技手に連絡して豚疫方面の予防なり、或は病豚を殺させない方策を講ずるのがいいと思うが、それに対する御見解はどんなもんですか。
○厚生部長(宮城普吉君) 今の御質問は尤もだと思います。戦前は警察で扱っておりましたが、そういった事務に関しましては全面的に警察を離れて衛生課に移った訳であります。それで厚生部としましてはこれの取扱を地区衛生課にしてありますが地区衛生課となれば住民の不便もありますのでその尖端の市町村には市町村衛生課がありますから、それの扱にした方がよかろう、それが便利じゃないかという訳で市町村衛生課で取扱うことになった訳であります。
 尚今度保健所が出来ますと、或は厚生部に関する末端の事務の取扱は保健所に分けまして地区衛生課も総べてこれに包含される訳でありますが、従って自家用の豚については保健所扱にしなければ、いかんと思っております。市町村での取扱ということについてはまた研究する必要があると思います。
◎稲嶺盛昌君 この屠場の設置につきましては私は出来るだけ各町村にはその希望に応じて、各町村に数多くやった方がよくはないか、また住民の要望もその方向にあるように承っております。と申しますのは第一に数が多くなって、自分の町村で屠殺が出来るようになれば所謂危険性のある密殺防止の方面に効果があるのじゃないか。又そのほか住民のこの方面に対する需要を充たす便利もありますし、一面また村の経済面の極く微々たるものか知れませんがその足しにもなりますし、村民の経済上に於てもこれがよくはないか。屠場がないために勢い遠いところまでその豚を運んで行って屠殺しなければならんといった不便がある、尚又そういう関係のために密殺する。豚疫彼是の危険性の多い密殺を防止することが出来る。又厳重に取締りしようとした時には勢い家畜の生産者が非常に不利な立場でこれを売るというような場合もあり得ることでありまして、各方面から総合検討し、尚又一般の希望から考えても出来るだけ屠場を殖やした方がよくはないか、こういう風に本員は考える次第であります。そういう風にお願い致したいのだが然し承るところによるとこの方面に対しては屠畜検査員その方面で人事の問題で非常に苦しい立場でどうにもならないというような状態と承っておりますが、今この屠場の検査の人員の配置の模様を承りたい。それからそれに対して何とか将来本員が希望する方向に増加致しましてその要望に副うような御計画は樹てられんものか、その二方面について御見解を承りたいと思います。
○厚生部長(宮城普吉君) 屠場に関しましては、大変住民が関心を持っておりまして、屠場の設立については殆ど各市町村が考えておりはせんかと考えます。戦前本庁関係では二十三の屠場があったのでありますが、現在は二十七許可になっております。戦前の状況でもこれは宮古、八重山を除いての数字でありますが二十三であった、宮古、八重山を入れますと県としましては他府県に比べて非常に屠場が多かったというような状態で、屠場の設置は原則として一郡一市に一つということになっております。更に土地の状況を見て地方長官は状況によっては殖やすことも出来るといった行き方で戦前から来た訳であります。こういった意味で要するに屠場は衛生施設であります以上は屠場には相当の維持費がかかりますし、潰すところの屠畜に対してそれぞれ使用料とか税金とかいったものが納ってその町村の財源にもなりますが、時にはその町村は負担しきれんということもあって戦前の例から申しましても島尻の或る屠場が暴風雨のために倒れた、その後復活しきれんで六年目に主務省から廃止するかどうかということで八釜しく言われて交渉の結果六年目に復活した事例もあります。実を申しますと現在の屠場と申しましても全くの仮小屋でよく町村長さん方が仮屠場という言葉を使っておりますが今の屠場は仮屠場でもない、全くの仮小屋である。施設の改善については種々いわれているし、又資材の関係で露天でさせる訳にもいかんので仮小屋でもという意味で現在はそういう風にやっておりますが、今年度は各市町村とも予算をたててもらって全部本建築にして貰いたいということも申しております。それで問題はこの屠場を設備規定に副うような衛生施設を十分に作っていただかなければならないということを考え、また指示もありまして町村にも通知しております。それから先に申上げたように屠場は原則として一郡一市に一つ、但し土地の状況については増やすということになっておりますが、今度群島組織法によりまして希望に対しては或る程度考慮しなければならないということで許可することになっております。でありますので、これは出来得れば理想的な屠場、然も最近肉を軍相手に販売したいという様なことも巷間計画されているようでありますが、屠場をよくすることによって軍にも買って貰うことも出来る、又或は他府県或は外人があるので本当に屠場という名のつく屠場は現在ありません。あれを見られたのでは、あれが屠場かと実に恥しい次第であります。是非共施設の改善を各市町村に督促申上げているのでありまして、これは単に群島政府の立場だけでなくして軍からもその係の方から言われております。それで只今経費の都合も町村でよく御研究になって尚今迄の仮小屋では駄目ですから是非本建築で施設の規定に副うように屠場を造っていただくならば結構だと思っております。尚それに関連して既設の屠場でも或は閉鎖をして貰わなければならないことが出て来るかも知れません。
◎稲嶺盛昌君 私のお願いしたのは今の検査員の配置状況とその方面で検査員が非常に少いために、そして屠場に制限を加えられているかの如く承っておりますので、その検査員の配置状況と将来この方面の打開、増強の方面の御計画がありますか、この二つの点について伺ったのであります。
○厚生部長(宮城普吉君) 衛生関係の専属の獣医と畜産技術員で駐在しております者に嘱託してやっている者と、それから病院勤務の者に嘱託している三つの方法でやっております。それでそういった場合は従って新しく申請される場合は最寄りの市町村関係の獣医にも協力して戴く、そして将来もこの通り行きたいと思います。
◎稲嶺盛昌君 検査員は何名位でありますか。
○厚生部長(宮城普吉君) 数字は持っておりませんが那覇、首里、宜野湾、糸満、与那原、津嘉山、石川、名護、本部、今帰仁、屋我地、上本部、与那城、具志川、以上に専属がおります。それから中城、羽地、久米島、宜野座、北谷、越来、金武、嘉手納、以上が嘱託の獣医であります。それから屋部は名護病院勤務の方がやっております。
○議長(知花高直君) 別にありませんか。
◎宮城久栄君 こういう手数料、使用料の徴収条例には違反者は制裁し密殺しても罰をする訳にはいかんのですか。
○厚生副部長(大森泰夫君) 手数料は前納でありますから前に納めない者は潰せない訳であります。
◎宮城久栄君 密殺はどうなりますか。
○厚生副部長(大森泰夫君) 密殺は屠場法違反で、外に取締規定があります。
◎議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして、討論に移ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして、議案第三十九号を原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十一の議案第四十号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第四十号朗読)

議案第四十号
  沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
 群島政府の機構の改廃に伴い廨庁職員の定数に変動があるので沖縄群島政府職員定数条例(一九五〇年十二月二十二日条例第三号)の一部を改正する要があるから、その改正条例を左記案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
    記
  沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例(案)
 (一九五一年六月二十八日沖縄群島公報第二十五号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五六四頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎総務部長(幸地新蔵君) 提案の理由を御説明申上げます。今回実(定カ)員の増加は主として新機構の設置によるものであります。各廨庁とも増加の理由を御説明申上げます。先ず総務部管下でありますが、この方は先に条例で御審議を願いました労務事務所の方の新設によるところの廨庁として六十四名の増であります。その点につきましては先に十四番議員、十六番議員からの御要望もありましたが、その人員につきましては、これは軍から許可になりました六十四名でありますが実際につきましてはあの要望につきまして考慮したいと考えております。
 文教部管下でありますが、この方は三十二名の増になっておりますが、内訳を申上げて見ると高等学校が三十名の増であります。これは商業学校の新設に伴う人員の増加、更に各高等学校の学級増に伴うところの増員であります。中等学校に於きましては百四十七名の増加になっておりますが、これは初等学校に配置してありましたところの英語専任の先生方を実業学校と児童数千人以上の学校を除いて他の初等学校の英語専任の先生方は中等学校に配置替をしたそうであります。従って初等学校に於きましては百二十五人の減になって参りました。尚更に図書館の方で十名の減になっておりますがこれは軍に移管された関係であります。尚映画班の事務も軍に切替えられましたので減になっております。英語学校はそのまま教員訓練所は六名の増になっておりますがこの方は内容を充実するために増になっております。差引三十二名の増になっております。尚職業学校及び盲唖学校が新設されましたのでその職業学校に十五名、盲唖学校に八名ということになりまして、計二十三名の増であります。尚法務部に於ては今回機構の改革によりまして中央土地事務所、登記事務所が出来ますので土地事務所に二十二名、登記事務所に九十六名計百十八名の増であります。尚経済部の管下では度量衡検定が今提案中でございますがその方に八名、群島農産物検査所に九名を予定致しておりますので十八名の増でありますが総体に於ては四十一名の減であります。と申しますのは耕地課が五十九名おりますがこれが全部今度農林省に移管されまして、差引四十一名の減となる訳であります。工務部の方は現状通りであります。その他も現状通りであります。結局二百三十七名の増に対しまして減が四十一名で差引百九十六名の増となる訳であります。以上簡単に御説明申上げておきます。
 尚序でに誠に失礼でございますが、先の議会で予算書による人員と定員との差異が出来て誤解を招いた点がある様でありまして、この際明らかにして御了承を願いたいと思うのであります。本庁の分についてはおよそ予算の点から見ますと五十何名かの差異がある様でありますが、この方は中央免許事務所の方の十七名、日傭の八名、それから今度新設しました度量衡検査所の八名、物産検査所の九名等が計上されている訳であります。本庁職員の方に計上されて更に財政部の職員に日給者がありますが、それが重複して十六名計上されておりまして結局茲に誤差が出来ているのであります。
 それで結局現在のところ三百五十名以内で運営されておりますからして左様御了承を願いたいと思います。尚廨庁の方に於きましても廨庁の定員数と予算面とは二千八十名くらいの差異が生じておりますがこれはこういう状態であります。文教部の方の所管の成人学校の教員はすべて嘱託でありますけれどもこれを廨庁職員の人員に計上されて誤って計上されております。千二百何十名が入っている訳であります。それから今度の機構の改革によりまして廨庁の設置により必然的の人員の増加等も加わって二重計算されているのであります。こういう工合で更にその他にも厚生部の所管の病院関係の日給者が若干増加しております。それから厚生部廨庁の日給者もこれに入れてあるし、その他臨時雇の場合の例えば家畜防疫の場合の臨時に豚をつかまえる人数迄もこの計算に入れられて二千いくらかの誤差が計算に入っている様でありまして左様御了承を願いたいと思います。要するに人事行政の根幹と致しましては定員を基盤と致しまして行政を運営しておりまして、予算はあっても定員が常にその執行を拘束するのでありまして今後の人事行政の運営にも遺憾がないように期して行きたいと思うております。以上それだけ附加えまして前議会の予算面と定員数との差があったところを御説明申上げて御了承を願っておくと同時に御理解を願いたいと思います。
○議長(知花高直君) 質疑に入ります。御質問ありませんか。
◎祖根宗春君 先月の議会に於て我々はこの内容が分らないで予算の数字を議会が議決して提案者も非常にそそっかしい。その内容を十分に検討しないで議会が簡単に議決したこともお粗末だと思う。それで本来から云えばこの条例を改正すると同時にあの予算も出して只今の様に丁寧に説明していただけば無駄な時間だの要らない誤解なんかも招かないで済んだと思いますが、今後希望としては是非そういう場合には条例の改正を先に出して貰うことを希望致します。それから職員定数条例を中心にしまして、月給者が大体どれ位いるか、どういう計画か、それを承りたい。そして日給者が年中常傭の形で職員の定数の不足なものを日給者で埋める様な懸念はないか、そういった点も併せて御伺いしたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 日給者の方は定数が定まっているのでありますが、大体常時日給者の方は七十名程度と覚えておりますがそれは例えば掃除婦、宿直、運転手等の費用であります。尚臨時の日給者の方は多少あると思っております。例えば先も申上げたように家畜防疫の場合の人夫とかその他工務の方で臨時に人夫を傭うとかいうこともあると思います。その臨時人夫の方は定数ではありません。常傭人夫は七十名程度そこそこだと思っております。はっきりした数字は持っておりませんが。
◎祖根宗春君 三月の予算に盛られた定数条例にない定員が我々の計算では約二千二百人になったと思いますが、只今の当局の説明によると、ダブったり嘱託を定員に入れたり色々重複な点もあるので結局それに伴う約七千四百万円の予算増になっておったと思いますが、こういう風に定員が重複したりしたものを整理したらその予算はどういう風に変動になるか、その辺を承りたいと思います。
○予算課長(糸数青重君) これは先程総務部長から一寸説明がありましたが私の方の調査ではダブってはおりません。本庁は三百五十名(二月末現在)それからその後精査しましたところが本庁では三百五十名は変りません。それから日給者が九十名、七百三十五名の延人員でありますが、これは延でありまして以前三月の議会に於て参考資料としてつけましたが、それには延という備考をつけてなかったので誤解を生じた訳であります。
 それから廨庁の方は二月末現在で七千百四十名の定員でありましたが予算の上では七千二百四名になっておりまして、これは成人教育の学校の講師でありまして、これは時間給でやります。延人員でありますがこれもあの当時人員に計算されていたのが間違っておりました。これから四十七名の選挙管理委員会になっておりまして、結局予算を分析するとこういう風になっている。それから日給者の廨庁に於ける六百六十二名、本庁に於ける九十名はその程度は是非、各部に於ては自動車の運転手、掃除婦とか臨時傭人等日給者として傭うものは必要だと思って計上してある訳であります。
◎宮城久栄君 県庁時代に動もすればこういう弊害があった。廨の定員を圧縮してそして県庁に廨の名義を以て勤務をさせている例が沢山あった。一例は真和志なんか県庁に近い学校の訓導名義にして学務課で仕事をした例があったが他の廨と本庁との関係にもあったのではないかと思いますが、今日こういう定員条例を設けて廨と本庁とは判然条例通り実施しておられるでありませうが、また将来これが先刻申上げたように廨を圧縮して本庁にゆとりを持たせるようなことはしないかを承りたい。
○総務部長(幸地新蔵君) 全然そういうことはありません。将来もありません。
○宮城久栄君 それは是非やめて貰いたい。
◎平良幸市君 文教関係について二つだけ伺います。一つは英語教員が初等学校から中等学校に切替えられた理由、また在籍千名以下の学校に於ける英語教育は如何するか。二番目映画班の十七名が軍関係職員に切替えられておりますがそれはただ俸給の出所が違ったのであって仕事の上では従来と変りはないでありませうか。その二点だけ承りたい。
○文教部(ママ)副部長(仲宗根政善君) これ迄初等学校の方に英語教員が各学校に一名宛配置になっておりましたところが実際の英語学習の効果をあげる上から考えて見ますと、初等学校に置くよりはむしろ中等学校に於て丁度英語に対する興味が相当出た頃に力を入れた方がいいと思いまして今度から初等学校に配置されておった教員を中等学校に廻した訳であります。それからこれ迄初等学校に於きましては極く小さな学校に於ても非常に在籍数の多い様な学校に於ても一人宛配置しておったのでありますが、実際に於て相当生徒数の多い学校に於ては色々の点に於て教員が不足して苦労をしているのでありまして、それで千人以上のところには配置することに致しました。それから実験(業カ)学校に於ては、これ迄の教員を更に引上げるということもその実際の効果をあげる上から如何かと思いまして、実験(業カ)学校だけは英語教員を残してあるのであります。それから映画班の十名でありますが映画班は実質的に現在インフォーメイションセンターの管轄に入ってあるのでありまして、現在の社会教育課の中にはその機能はないのであります。インフォーメイションセンターに行っているために十七名が軍の職員に切替えられたのであります。
○議長(知花高直君) 質疑を終了致し討論に入ります。
◎祖根宗春君 この実施についての希望を申述べます。日給者或は傭人が何名必要であり、何人が妥当であるか我々よく内容が分りませんので、今後運営しながら必ずしも定員を組んであるから月給者の予算を取ってあるから、それだけ使うというのでなくて実際に要るものはやるが節減出来るものは徹底的に節減して貰いたい。それから監査員はこういった問題についても是非監査をして貰いたいということを希望致します。先に経済部の農産物検査員の九名も嘱託でやって行かれるとの経済部長の説明がありましたが、そういった式にして現在の職員を以て兼務で出来るところはなるべくそういう風にしてやっていただきたい。それから今度新しく登記事務所が出来ますが、それに対する人員もこれより余計要るが、これを更に切り詰め得るか、それの検討は今後事務の進捗とにらみ合せて、成可く減らして行って、この定数条例で可決したから全部その通り当てはめるという主義を成可く止めていただいて、その人員の節減と、こういう点に御配慮をお願いしたい。希望を申述べます。
◎議長(知花高直君) 議案第四十号は原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第四十号を原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第十二議案第四十一号を議題と致します。
 書記長をして議案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第四十一号朗読)

議案第四十一号
  沖縄群島学校教育条例の一部を改正する条例について
 沖縄群島学校教育条例(一九五一年三月三十一日条例第十七号)に初等、中等、高等学校、特殊学校、幼稚園、雑則、及び罰則の規定を追加する必要があるから、この条例の一部を改正する条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島学校教育条例の一部を改正する条例
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五六四頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎文教部長(屋良朝苗君) 提案の理由を簡単に御説明申上げます。前の議会に於きまして教育の基本条例を制定していただいて、それに基いて引続き学校教育条令(例カ)の一部を制定していただいたのであります。然し乍らあの教育条令(例カ)は完成されたものではないのでありまして、学校教育条例の総則に当るものでありました。それで前の条例を第一章総則と訂正致しまして、引続き第二章初等学校令、第三章中等学校令、第四章高等学校令、第五章特別教育令、第六章幼稚園、第七章雑則、第八章罰則という風に加えて関係条例を完成したいのであります。これは元々一括して先月出す可きでありましたですけれども先月は全部は間に合いませんでした。そうするというと一括して本月提案すべきであったとも考えられますけれども各市町村の予算編成前でありまして教育経費の負担の限界を明らかにしておかなければならない。そしてその教育の費用を各市町村に予算化していただく必要に迫られておりましたので切離して提案するのは不合理とは知りつつ前の一部を先月、後を今月という風に提案した次第であります。
 立案に当りましては日本の学校教育法に基準を置いたのであります。尚この案は文教部に設置せられておりますところの文教審議委員会に於ても十分審議をして戴きました。どうぞよろしく御審議を願いたいと思います。
◎議長(知花高直君) 本案は審議未了のままに致しまして、日程第十三、議案第四十二号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第四十二号朗読)

議案第四十二号
  病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例について
 病院診療所布令(一九五一年一月十九日民政府布令第三十四号)に基き、沖縄群島における病院の賄料を改正する要があるので、別紙案の通り病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例を制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  病院及び診療所使用料徴収条例の一部を改正する条例
 (一九五一年四月二十七日沖縄群島公報第十七号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五六九頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎厚生部長(宮城普吉君) これは一九五一年三月二十三日の条例第七号にあります。第一条の訂正は入院料の件であります。
 入院料が病院一日三十円(食費共)これは診療所一日二十円(給食なし)とこう書いてあります。これの問題であります。その後布令やら色々出ましてそれによりますと、モデル病院を設置以来、将来全沖縄の病院、診療所を全部モデル式に変えたいという事がありまして差当って胡差の中央病院、名護病院その二ケ所でやって見ようということになったのであります。軍ではいきなり地区病院も全部一斉にやれという強硬な態度でありましたが、色々な実際の実情からいいましても我々の習慣からいっても、これは却って住民の混乱を来すという訳で、まず試験的に今の二ケ所の病院でやって見ようということになっております。
 モデル病院と云いますと、結局患者は病院に預ける、患者の附添は病院に住込まない、病室の中に住込まないで見舞に来る場合も決められた時間に来る、病人の事は一切医師及び看護婦がやるし又病人の身の廻り一切のこと、食事も病院側から給食するというやり方であります。これは外国から帰って来られた方々の御意見を聴きましてもアメリカでもそういう制度をとっている、非常によいとおっしゃる方が多いので、当然我々もそういう方向に将来は進んで行くことになると思いますが、今は転換期でありまして相当に民衆の混乱が予想されますので試験的にそういう風にして、結局モデル式の病院になった場合に困るのは、治療等の点は従来の通りでありますが、従来よりももっと教育された看護婦も多数おりましてうまく行くと思いますが、一番困るのは食事であります。従来は配給を取って島内生産品をつき合せて病人としては勿論、その家族がどうしても相当営養の付く様な食事を要求するのであります。そのために従来の病院の食事がまずかったという意味で患者に対する看護の附添が沢山おりまして、又病院の食事以外におかずを作っておりましたが、これが建物の脇で火を起したり、或は甚しいのは病棟の中で火を起したりする等色々なことがあったので、こういうことをさせないように徹底的に病院でやって見たいということになりまして、賄費を四十五円としましたが、我々の計算ではこれで十分だとは思っておりませんが、一週間分の献立の予定表を作らしたりして、色々計算したところこれ位なら入院患者も満足するだろうと思います。それでも若し満足が出来ないならば又特別に考慮して或は次々に改めて行くかも知れません。救済者の分は考慮に入れております。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎祖根宗春君 極く最近の新聞にこの群島議会で議決した診療所使用料徴収条例、それを軍が拒否した、こういう新聞の記事が出ていたのですがその辺一寸、これに関連する問題であると思いますがどういう風になっているか承りたいと思います。
○厚生部長(宮城普吉君) それは確か今月の新聞に出ていたと思いますが、実はこれは軍から一つの布令の案として、私の方には二、三日前に来ております。それと明日病院長会議を開いて検討して見ようということになっておりました。ところが新聞では布令として出た様なことを書いてありますが、新聞も何処からか、それを嗅ぎつけて来たのではないかと思います。布令案として、私の方には廻って来ております。それを協議し合った上で報告することになっております。それはちゃんとした、はっきりした布令ではありません。
◎仲村栄春君 只今の御説明で指定病院は乳幼児に至るまで結局附添なしの治療を受けなくちゃあならんということになりますが、治療上の点からは理想的だという感じを持つのでありますが現在の胡差の中央病院の施設の状態で果して保護者なしに小さい乳幼児の治療が果してうまく行くものであるかということに対して心配するものであります。従いまして小児科病棟を現在のままでこの条例に示す通りの所謂保護者なしの治療をなされるおつもりであるかどうか承りたいと思います。
○厚生部長(宮城普吉君) 申し忘れましたが乳幼児の場合、子供の場合はそのお母さんがついておれる様に相談しております。それから重態な患者、重症患者の場合も同様であります。それは係の医者が判定をして、その他の場合でも或は止むを得ない場合には附添を置くという風に医者が判定する様になっております。建前として附添を置かないということになっておりますが特別の場合は出来るのであります。
◎議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。御異議がなければ議案第四十二号を原案通り可決したいですが如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十四の議案第四十三号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第四十三号朗読)

議案第四十三号
  沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例について
 沖縄群島市町村税条例(一九五一年三月十九日条例第十号)の船舶税中帆船の課税率を設定する要があるので別紙案の通り沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例を制定いたしたいから議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例
 (一九五一年五月八日沖縄群島公報第十九号に条例として登載公布済に付省略)
 (注 五六九頁に掲載)
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 提案の理由を御説明申上げます。本案は群島条例第十号市町村税条例の一部を改正致しまして、帆船の項を設けて適正に課税するために提案致した訳であります。
 帆船は最初その他の船の中に含めまして課税することに致してあったのでありまするが、大型のものにつきましては、くり舟との均衡上低きに失するように思いますので関係市町村側の御意向も参酌しまして別項として新たに税率を設けて課税することに致したのであります。税率につきましては発動機船並にくり舟と比較勘案致しまして五トン迄はくり舟と同額とし、五トンを超えるものにはそれぞれ発動機船の半額程度に定めたのであります。よろしく御審議を願います。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
  (質疑なし)
◎議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして討論に入りますが、討論を省略して原案通り可決致すことに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第四十三号は原案通り可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十五の議案第四十四号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第四十四号朗読)

議案第四十四号
  学校々舎建築促進及び愛楽園の増改築に関し陳情書を提出することについて
 学校々舎建築促進及び愛楽園の増改築に関し別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
 一九五一年四月二十六日提出
  文教厚生委員長 玉城 泰一

別紙
宛  米国琉球民政府副長官
経由 沖縄民政官
発  沖縄群島議会議長
題  学校々舎建築促進及び愛楽園の増改築の件について
未曾有の戦禍を蒙りました沖縄が次ぎ次ぎと復興され、今や自立経済確立を目標に本格的復興へと力強く邁進する迄に至りましたことは、これ偏に米国政府並に現地占領軍当局の御指導、御援助の賜で沖縄群島議会は茲に全住民を代表し衷心感謝申上げる次第であります。
本議会文教厚生委員会においては、文教厚生行政運営に資する目的を以て四月九日から十三日迄五日間本島内学校、病院、診療所等を具さに視察したのでありますが、その所管事項中当面の緊急措置を要すべき重要事項と致しまして、学校々舎建築及び愛楽園の増改築二件について左記の通り陳情致すことに相成ったのであります。
一、学校々舎建築促進の件
 1 学校々舎建築促進方に就きましては、本年一月十日付第十四号を以て知事の副申書添付の上、本議会から沖縄民政官宛陳情書を提出し、之が早急実現方お願い致したのでありますが、就中一一二棟の校舎建築に関しましては民政府の特別なる御配慮を辱うし、一九五一年度において工事完成すべくその着工を見たのであります。この一一二棟の校舎は今日迄恒久建築校舎の全然なかった学校に割当てられたのでありまして、地元住民は非常に喜び、労務を提供、協力致しました結果、基礎工事及び壁体工事は大体完了の域に達したのでありますが、木材資材がないため工事施工に一頓挫を来たしている現状であります。就きましては米国琉球民政府において右所要木材を早急に輸入せられ一日も早く一一二棟分校舎建築工事の完成方特別なる御取計下されたい。
  理由
 (イ)現在の仮校舎はその腐朽甚だしく暴風雨に際し倒潰の虞あり、来る台風期を控え真に不安である。
 (口)暴風雨に際し学校用備品、消耗品を保管するに現在の仮校舎を以てしては前述の通り倒潰の虞あり而も恒久建物が一棟もないので教育上支障を来たすものである。
 (ハ)依って現在施工の一一二棟の校舎は来る台風期前にその工事を完成せしめなければならない。
 (二)全住民は来る台風期を前に校舎建築工事の速かなる完成を期待していたのであるが工事の遅々として進捗しないのに痛く失望し尠からぬ不安の念を抱いており、斯くては住民の教育に対する関心をそぐこと甚だ大なるものがある。
 2 戦前の残存旧校舎(恒久建築)が一一一教室分二九棟ありますが、之も腐朽しており、暴風時に際しては倒潰の虞がありますので来る台風期前に修理増強方取計って貰いたい。
 3 沖縄群島における学校の最小限必要教室数(学級数)は三、〇四六教室で、内一九五〇年度において完成した教室数は七五八教室、未完成教室数は二、二八八教室でありまして、この内二六八教室(一一二棟)は第1項前述の一九五一年度において完成すべきものとして現在施工中のものであります。従いまして差引二、〇二〇教室の未完成分が残ることになりますが、之も一九五二年度中におきまして全部完成せしめて頂きます様特別なる御取計をお願い致します。
二、愛楽園の増改築の件
癩療養所愛楽園の入園者住宅並に病棟を早急に改築並に増築方御取計下されたくお願い致します。
理由
 1 愛楽園戦前の恒久建物は戦禍に依り全焼せるため戦後、入園者住宅及び病棟は茅葺規格家屋或はコンセットに造り替えられたのであるが、毎年の暴風雨被害等に依って現在何れも雨漏が非道く相当腐朽している。
 2 従って暴風雨に際しては倒潰の虞あり、而かも避難すべき恒久建物が全然ないので万一の場合入園者の生活をおびやかし延いては不穏の状態を惹起する虞がある。
 3 依って来る台風期前に之が改築の必要を痛感するものである。
 4 同園の患者収容可能施設は七五〇人と相成っているが、入園者数は現在八八三人収容し一三三人超過せる現状である。
 5 尚園外患者数が概略六〇〇人乃至七〇〇人予想されており、之等の患者は現に一般住民と一緒に日常生活を営んでおりまして癩予防上等閑に附されない問題で一日も早く之等を収容し得る設備を整え之が収容をなさねばならない。
 6 依って同園収容人員を一、五〇〇人程度可能ならしむるよう速かに入園者住宅の増築を取計って貰いたい。
右実情御賢察の上特別なる御詮議を以って学校々舎建築並びに愛楽園増改築の早急なる実現方御取計下さる様沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
  一九五一年四月  日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

○議長(知花高直君) 提案者の説明を求めます。
◎玉城泰一君 私から提案の理由を簡単に申し上げたいと思います。本月の九日から十三日迄五日間に亘りまして文教厚生委員一行が全地区の学校、病院を見て廻ったのでありますが、その結果第一に校舎の建築促進、第二に愛楽園の増築と改築、この二つの問題を取上げまして各位の御賛同を得て軍に陳情致したいと思いまして、ここに本案を提案したのであります。先ず校舎の問題でありますが、五十一年度中に完成する事になっておりました百十二棟の校舎の建築工事が遅々として捗りません。丁度我々一行が廻った時にはどこの工事場も休んでいる、工事中止の状態であったのであります。その理由を調べて見ると煉瓦が足りないとか、或は石材が粗悪で不合格品が沢山出たとかいう様なこともその原因の一つになっておりますが然し主なる理由はセメントが手に入らないのが主なる原因であります。ところが最近になりましてそのセメントが漸く入荷致しまして工事を再び進めることになった様でありますが、今度は又木材が足りないという様なことで工事が出来ない様な状態であります。予算の閉鎖期は迫っておりますし、又暴風期も近くに迫っております。果して予定の百十二棟がそれ迄に完成出来るかどうか頗る懸念されるので、次の三点について軍に陳情致したいと思う。
 一つは木材を早急に日本から輸入して予定の百十二棟の校舎の完成を急いで貰いたいということ、その二は残存校舎、これが只今百十一教室二十九棟あります。これが破損が甚だしくて、とても暴風に堪えられない現状でありますので台風期迄にこれが修繕をして貰いたい。第三番目に五二年度中には少くとも普通教室の全部即ち学級数だけの校舎を建てて貰いたい。この三点を織込んで陳情したいとこう思うのであります。次は愛楽園の増築と改築でありますが、この問題につきましては今月の十七日のタイムス紙上に詳細報道があった通りで保健衛生上誠に由々しい問題だと思うのであります。
 愛楽園の収容力は七百五十名となっているのでありますが現在収容されている患者数は八百八十三名で既に百三十三名の定員超過になっております。而も次々に入園を希望する患者が来る様な状態で職員の話によりますと沖縄の患者総数は約千五百名内外であろうと推定しております。従って未収容の患者が約六百名予想される訳であります。今月二十二日発行のうるま新報によりますと、那覇近郊の某初等学校の教室に癩患者らしい者が無断で宿泊したのを早登校の学童が発見して消毒するやら大騒ぎをしたという話がありましたが見た者が子供であるために確かなことは言えませんが然し愛楽園の収容力が足りない現状ではあり得ることであり、誠に慄然たらざるを得ない話であります。尚現在の愛楽園の患者住宅と病棟は戦後コンセット規格住宅でありまして、それが今では暴風に耐えられない様にいたんでいますのでその改築も急を要する問題だと思うのであります。以上の理由によりまして、校舎建築の促進と共に愛楽園の増改築を陳情致すことに対しまして各位の御賛同を得たいと思います。
◎議長(知花高直君) 本議題は質疑討論を省略して原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って原案通り可決致します。

◎工務部長(渡嘉敷真睦君) 校舎建築百十二棟の建築に関する軍との交渉の結果を極く簡単にかいつまんで御報告申上げることに致します。基礎工事が順調に行ったことは御報告申上げた通りでありますが、今先御説明がありました通り資材の不足のために、この百十二棟の建築が思わしく行きませんでしたので、再三再四に亘って軍に交渉を致したのであります。その結果セメント三万袋は去る四月十六日に入荷致しましたのでセメントを使う工事は着々進捗中であります。ところが木材の入荷の予想が付かんという軍のお話で御座いまして、更に本月の十七日に木材資材の入荷の予想がつかんので屋根の設計替をして提出しろという風な御連絡を受けたのであります。従ってこの屋根の設計替と申しますのは、鉄筋コンクリートにするという意味であり、鉄筋は約五百トン、セメント十二万袋が一ケ月以内に入荷の予想がつくから大体出来ると思うが、工賃その他の費用がどうなるか、はっきりしないので設計替をして提出しろという風に連絡がありまして、早速設計を致しましてその数字を二十日に軍に提出致しまして、その数字によって打合せを致したのでありますが、その数字が結局こうなったのであります。
 四教室一棟の二十二棟造る様になっているのがセメントに変えるために十六棟しか出来ない、つまり六棟はオミットしなければならない。二教室一棟、九十棟が六十五棟しか出来ない。結局二十五棟はむつかしい。計百十二棟の中に八十一棟は出来るが三十一棟はむつかしい。こういう結果を得たのであります。
 これに対して軍は一応百十二棟の校舎を造ってやると契約をした以上は百十二棟は何んとか工面して造ってやりたい、こういう風な御見解で、それでは一応鉄筋建は保留して、今度は木材資材の不足調べをして出せという風に連絡を受けたのであります。即ちこの百十二棟を造る木材資材の要求資材を各集積所の手持資材と睨み合せて一体いくら位の数があるかということを調べて報告しろという連絡があったので、審さ(ママ)に調査を致しまして報告致しました。その結果によると又考究するからという風に相成っておったのでありますが、その結果によって二十三日に軍の方から何分の指示をするからというお話であったので去った二十五日に参りましたら、工務部の出した不足調べによって色々考究して見たが尚交渉もして見たが見通しがつかない。それで軍の工務自体が購入する様に今考究中であるというのが昨日の連絡だったのであります。本日の午前中の連絡は、軍の工務課として比島から木材を購入すべく桑江本部の了解を得た、尚桑江本部の予算課長も認定した、それで今比島の木材会社の代表のストーバーという人が来ているので本日午後取引の交渉をやることになっている、若しこの契約が軍の工務課とストーバー氏との間の契約が四十五日以内に入荷出来るという契約が成立つならばライカムのエンジニアから木材を貸す、これは責任者も了解済である、こういう風に今日相成っているのであります。それで今日午後の交渉の結果によって百十二棟の校舎建築の曙光が見えるかどうかということになりはしないかと思うのであります。尚不足資材が八十五万ボードフィートその金額一千百五十三万円、これは輸送費を含まない様であります。尚ガリオア予算の計上額が千四百万円あるので軍の工務課としては大丈夫という見当をつけている様であります。それから尚今日は予想通り着荷しない理由について桑江本部も沖縄民政官府も勿論責任は持つが別にも理由があるということを知って貰いたいということでありました。以上簡単に理由を申上げます。
◎普天間俊夫君 本陳情を決めました場合に委員全体の意見で左の二点が纏まっております。と申しますのは無論この二点は本陳情文の方に加えてやった方がいいんじゃあないかという様なところまで行きましたが、そうなると却って煩瑣になるから重点的にこの二点に留めて後の二点は要望事項として政府の方に申上げようということにまとまったのであります。一つは校舎建築と並進して最小限度の備品、その内容は机、腰掛、オルガン、事務用テーブルの如きもの、この実現を期して戴きたい。我々が視察して参りました場合にまだ机、腰掛の不備が相当ありました。中には石ころを持って来て、それに腰をすえている様な学校もあります。
 それから二番目は愛楽園、厚生園並に金武の特殊病院に於ける職員並に看護婦の待遇をよくして職員を優遇して戴きたい。地方の職員と同様である様ですが、ああいった特殊の場所で犠牲的にやっている職員には何とかして優遇して向うで喜んで仕事に従事していただく様にして貰いたい、というこの二点を政府に要求することになっておりますが政府としてこれに対する御意見、御方針を承りたいと思います。
○文教副部長(仲宗根政善君) 備品、消耗品の件でありますが只今はっきりした数字は持っておりませんが、その備品、机、腰掛が一通り各学校に行きわたる迄は政府としても備えて行きたいと考えております。オルガンが今度の予算によって各学校一台宛購入する予定になっております。次々と壊れて行く机、腰掛まで補充するということは今のところ出来ませんが、一回も配給されていない学校の机、腰掛については私共考慮して行くつもりであります。
◎議長(知花高直君) それでは議案第四十四号は議長に於てそれぞれ関係筋に事務の手続を致します。
 本日はこれで散会致しまして、明日午前十時本会議を再開致します。
  (午後二時二十八分散会)

出席者は左記の通り
 議 長     知花 高直君
 副議長     稲嶺 盛昌君
 議 員     与儀 清秀君
 同       仲村 栄春君
 同       石原 昌淳君
 同       普天間俊夫君
 同       宮城 久栄君
 同       平良 幸市君
 同       玉城 泰一君
 同       松本 恭典君
 同       具志頭得助君
 同       長浜 宗安君
 同       山川 宗道君
 同       祖根 宗春君
 同       山城 興起君
 同       新里 銀三君
 同       新城 徳助君
 同       野原 昌彦君
 同       仲里 誠吉君
 群島知事    平良 辰雄君
 副知事     山城 篤男君
 総務部長    幸地 新蔵君
 財政部長    宮里  勝君
 経済部長    呉我 春信君
 法務部長    知念 朝功君
 厚生部長    宮城 普吉君
 文教部長    屋良 朝苗君
 工務部長    渡嘉敷真睦君
 知事室事務局長 宮城 寛雄君
 警察本部長   仲村 兼信君
 警察本部次長  西平 宗清君
 総務副部長   稲嶺 成珍君
 経済副部長   知念忠太郎君
 財政副部長   久場 政彦君
 厚生副部長   大森 泰夫君
 文教副部長   仲宗根政善君
 人事課長    比嘉 幸安君
 予算課長    糸数 青重君
 農務課長    森根 武信君
 労務課長    比嘉 準栄君
 統計課長    岸本 政智君
 商務課長    石川 世秀君
 社会事業課長  嵩原 久男君
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