- 組織名
- 沖縄群島議会
- 開催日
- 1952年03月13日
(昭和27年)
- 会議名
- 第13回沖縄群島議会(定例会) 1952年3月13日
- 議事録
- (注 会議録原本から収録した。)
第十三回沖縄群島議会(定例会)会議録
自 一九五二年三月十三日
至 一九五二年三月二十日
第十三回沖縄群島議会(定例会)会議録
一九五二年三月十三日
午前十時十五分開会
◎元沖縄群島知事(平良辰雄君) 私は三月一日で知事を退職することになりました。今回からは山城副知事が私に代って知事の職務を執っております。今日迄一年有半皆さんと、群島政務の運営について公私ともに常に御援助を戴きまして厚く感謝申上げます。僅か一年余でありましたけれども、大きな問題については皆さんの意見が十分に完うされたと私は思っております。過去一年間の皆様の御意見なり、御希望なり、或は又要望事項に付きましては私も同感であり、大体において皆さんと意見が一致して、方向は恐らく皆一にしているだらうと考えております。そういう意味で私は、今度皆さんの御支援によりまして立法院議員で又活動することに相成っておりますので今後共皆さんと相提携しまして十分琉球復興に尽したいと考えている次第であります。どうぞ今後公私共に御支援を戴かんことをお願いして、甚だ粗辞ではありますが、お別れの御挨拶に代えたいと思います。どうも有難うございました。
◎副知事(山城篤男君) 本日一九五二年第一回定例会を開くに当りまして御挨拶申上げたいと存じます。
曩に群島知事平良辰雄さんが立法院議員選挙に立候補せられる理由を以ちまして三月一日付を以って退職されたのであります。これに関し一九五二年二月十六日付で公布されました米国民政府布令第六十四号第一項によりまして副知事たる私が職務を代行することに相成ったのであります。就きましては浅学非才又大変経験に乏しい者でありまするが各位の御協力を切にお願い致し、以って平良知事さん並びに皆々様が成し遂げられました幾多の業績を完遂し群島政府の有終の美を挙げ、そして幾多の引継事項を中央政府に完全に引継ぎ、尚群島政府の終末に関して円滑を期したいと思うのであります。尚諸賢の中には今度の立法院議員に当選されまして四月一日から新しい重任を負うて立たれる方が多数おられるのでありますが誠に御芽出度う御座います。この席を借りまして御祝辞を申上げます。尚中央政府に行かれましても殆んどその御重任は今迄と最低においては同じで或は最高においては余程大きな重任を帯びられることと思うのでありますが御奮闘を御願いし、尚六月三十日迄は皆さんの任期が続くようでありまするので、特にこの機会において全議員の皆様方の御奮闘を御期待して、議会招集の御挨拶に替える次第であります。
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十六人、欠席四人であります。
◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。
第十二回議会において議決の上民政府へ書類進達致しました災害復旧援助のため特別資金設定方に関する陳情書に対して民政府から回答がありましたから報告致します。
書記長をして右回答文の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」朗読)
琉球列島米国民政府
副 長 官 室
米民財
一九五二年二月六日
民政官
米陸軍准将
ゼームス・エム・ルウィス
沖縄群島知事殿
災害復旧援助のため特別資金設定方に関する陳情について
一、陳情書提出と題する一九五二年一月二十四日付貴書翰並びに同封の陳情書に対し回答する。
二、琉球列島米国民政府は、右陳情書に述べてある問題については充分認識しており、これら不利な条件を緩和するため種々の(ママ)住民政府に多額の補助金を提供している。
三、米国議会では特別救済貸付金として使用される資金は何一つ割当てていない。それで琉球列島に割当てられた補助金は返済あ(ママ)るには及ばないという建前で提供されているからこれを特別救済貸付金として利用することは不当である。
四、若し米国議会が他の政府へこの特別救済貸付の目的で予算を割当てた場合は琉球列島政府へもその割当方を考慮して貰らえると確信していいと思う。
右副長官の命に依り通牒する。
◎議長(知花高直君) 第十二回議会において議決されました講和会議後における米国の琉球統治に対する要望の件陳情書、軍用土地使用料及び関係事項等に関する陳情書、日本杉材輸入促進方の陳情書、公安委員会制度の存置方の陳情書、以上四件につきましては議長において書類調製の上夫々関係各方面へ進達致しましたから報告致します。その内三件については別紙陳情書が議長一任となっておりましたので、書記長をして右三件の陳情書を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」陳情書三件朗読)
(午前十時二十五分松本恭典君入場)
宛-琉球列島米国民政副長官
発-沖縄群島議会議長
題-軍使用地の使用料及び関係事項について
曩に割当土地に関する臨時処理条例が公布され、これが実施されましてから軍使用地の使用料について、住民の間に色々と論議され、関係者が尠なからず不安を抱いているのであります。就きましては本件に関し左記事項について民政府当局の御意向を確かめて関係者を安堵させたいと存じますから御回答下さる様御願い致します。
記
一、軍使用地の使用料は何年何月分から支払われるか。
二、使用料を支払われる軍使用地の範囲は左記各号の全部を含むものと解釈してよいか。
1、現に軍が使用しつつある土地
2、立入禁止区域内の私有地
3、道路のために潰れた私有地
4、軍命によって正式の使用許可でなく軍の必要とするときは何時でも返還するという条件の下に一時耕作を黙認された私有地
三、一九五一年十二月十七日の軍民連絡会議における軍民連絡所長からの知事宛口頭示達に依る軍使用地の使用料六〇万弗の算定の基礎について左記三項を明らかにして戴きたい。
1、一坪につき一ケ月の使用料地目別平均何円であるか。
2、この六〇万弗の使用料は一九五〇年十二月五日付の琉球列島米国民政府に関する指令中D(3)(g)4項か、D(3)(g)9項か、何れに該当するものであるか。
3、軍使用地の年次別地目別総面積は何坪であるか。
(沖縄群島中央土地事務所の調査に依れば一九五一年四月一日現在の軍使用地々目別面積は左の通りである。)
田 一、〇八五、九六二坪
畑 一九、九五一、六〇七〃
宅 地 二、六四七、七四八〃
山 林 八、九九七、三九〇〃
原 野 二、一九〇、六一八〃
雑種地 一一〇、八五五〃
池 沼 一六、八三〇〃
塩 田 三六、六六三〃
墓 地 四八二、九八五〃
拝 所 二七、三五〇〃
溜 池 四一、〇〇一〃
保安林 一〇五、七〇〇〃
公用地 一、九九八、六八八〃
計 三七、六九三、三九七〃
四、軍使用地の使用料の額は現在沖縄群島府令に依つて各市町村に設置された割当土地使用料評定委員会の評定額以下にならないよう御考慮願いたい。
五、軍使用地を所有者に返還するときは土地を原形に復せしめるための費用を補償して戴きたい。
六、終戦後米軍によつて原形を変じ使用不能となつた土地の損害を賠償して戴きたい。
七、一九五〇年十二月五日付の琉球列島米国民政府に関する指令に基けば土地以外の私有財産に就ても同様の取扱いとなつているから土地以外の私有財産に関しても前各項同様に質疑し要望致します。
右第十二回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
一九五一年十二月二十八日
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
宛:米国琉球民政長官、琉球列島米国民政副長官
日本政府農林大臣、通産大臣
日本参議院議長、日本衆議院議長
参議員(ママ) 島 清
日本の各政党 民自(ママ)党、民主党、社会党
在京の 高嶺明達、比嘉良篤、神山政良
発:沖縄群島議会議長
題:日本杉材輸入に関する陳情について
今次大戦に於て未曾有の大戦禍を蒙り、殆んど全部の建物を失つた沖縄が終戦後米軍当局の御援助に依り別表第一の通りの復興が図られたのでありますが、現在恒久建物として今後五ケ年以上安心して使用に堪える様な建物は別表第一(恒久住宅現在数)の通りであり、必要数に対し僅かに一一・五%に過ぎず、其の他は終戦後軍から与えられた規格住宅も、住民が戦後最小限度の必要のため苦心惨憺して造つた建物(住宅、学校其の他)も共に既に耐用命(ママ)数に達し、又幾度かの復旧建直しのため、其の資材は殆んど再使用に耐えない様な、文字通りの仮小屋であり、尚宿命的に毎年襲来する颱風で、破壊、復旧一進一退を繰返し、そのため住民経済の浪費は実に莫大なるものであり、近くのルース颱風に於ける被害のみでも別表第二の通りで、尚家屋倒壊に因る尊い人命の犠牲も常に予想せられ、是が早急復興に対する全住民の要望は真に切実なるものである。
而して其の対策として復興金融金庫が設立され、金融の方途を開き其の促進が図られつつあるのでありますが、主要資材たる木材が甚だしく高価なため、坪当り建築費一五、〇〇〇円(B円)も掛る様な現状で、復金開設以来十一月末現在に於て一億二千余万円の融資がなされたに拘らず、復興高は一、四〇三棟一四、一〇〇坪に過ぎず、斯くては復興の前途寔に遼遠なるものであり、住宅建物の不足は一般住宅の賃貸料一ケ月一坪三〇〇円乃至四〇〇円の高価を示す状況にある。
沖縄に於ける恒久建物の復興促進の緊急性と重要性に鑑み此の問題解決のため、日本杉材輸入に関し、深い御理解と暖かい御同情を寄せられ、且つは沖縄復興を日本復興の一環として特別の御高配を賜り、特に日本杉材を必要とする左記理由をも御考慮の上別表第三の通り所要量の日本杉材正式輸入に就き特別の御措置を取計つて頂きたい。
記
1、日本杉材は樹脂に富み、弾力性あり、水分を吸収すること少く、耐久力あり、且つ白蟻の被害に堪え、高温湿地帯であり暴風地帯である沖縄の耐風建築に最も適し、戦前に於ても建築資材は其の殆んど全部を日本杉材に依存し一ケ年約六〇万石を輸入していたこと。
2、価格が低廉であり、庶民住宅に適すること。
3、米松材や南方産ラワン材は材質脆く耐風的でなく、腐蝕早く、白蟻の被害も多く、高価であり、沖縄建築に適しないこと。
4、現在沖縄の木材市価は民経済力と著しく不均衡な高価であり、庶民住宅の復興促進のため、日本杉材を輸入し市価の調整を図る必要があること。
右第十二回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
一九五二年一月五日
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
宛:琉球列島米国民政副長官
発:沖縄群島議会議長
題:公安委員会制度の存置方に関する陳情について
群島政府発足に伴い、民主的制度としての新しい公安委員会制度が群島政府解消と共に中央政府統合の方針として廃止なるやに報道されているが、公安委員会制度の存廃可否について本議会は世論を参酌し且社会の現況等をも鑑み左記理由に依り公安委員会制度は尚存続して頂きたい。
記
一、警察行政が政治的色彩を有しない公安委員会制度の管理下に円滑に運営され、新しい時代に即応し、従来の政治警察、官僚警察の形態弊風を脱皮し、真に民衆より、よき公僕として、其の公正を信頼されることは警察行政民主化への道程であり又前進である。
二、総ての制度、機構、運営共に民主化されつつある今日、公安委員会制度の廃止は過去に於ける警察制度に逆戻りし、民警離反、民衆威圧の非民主的警察行政に後退する懸念がある。
三、民主的制度、機構等の運営は警察行政に期待すること大にして、公安委員会制度の下に警察官自体が、住民福祉のため、民主化啓発の支柱となり、人権尊重、民警一致の精神に徹し、以て民衆の信望を得るにある。
右第十二回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
一九五二年一月 日
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
◎議長(知花高直君) 群島監査委員会委員長から前後三回に亘って議長宛に監査の結果報告書の送付がありましたから書記長をして公文丈を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」公文朗読)
監委第七四号
一九五一年十二月十七日
沖縄群島監査委員会委員長
金城 研一
沖縄群島議会議長 知花高直殿
監査結果報告について
十一月三十日より群島組織法第一一七条の規定に依る定例監査を執行しましたので其の結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します。
(別紙省略)
監委第八一号
一九五二年二月一日
沖縄群島監査委員会委員長
金城 研一
沖縄群島議会議長 知花高直殿
監査結果報告について
十一月二十日より群島組織法第一一七条の規定に依り特別監査を執行しましたので其の結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します。
(別紙省略)
監委第八十五号
一九五二年二月二十五日
沖縄群島監査委員会委員長
金城 研一
沖縄群島議会議長 知花高直殿
監査の結果報告について
一九五二(一カ)年十二月十八日より同二十一日迄及本年一月八日より同十二日迄群島組織法第一一七条の規定による特別監査を執行しましたので其の結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します。
(別紙省略)
◎議長(知花高直君) 昨年十二月二十四日付司法書士会長豊村良貞から、司法書士委嘱者からサービス税徴収免除方に関して議長宛に陳情書が参っておりますのでその審査を第一部委員会に付託致します。書記長をして右の陳情書を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」陳情書朗読)
司法書士委嘱者よりサービス税徴収免除方に関する陳情書
西暦一九五一年九月十三日付南税第一三五号でサービス税徴収納方についての御通牒に接して居りますが本件は左記の如き不合理の点があると思われますので御再考の上免除方御取計下さる様陳情致します。
記
一、不動産の所有者又は抵当権者は不動産登記法に依り自ら登記所に出頭して登記を受くるを要すとあり原則としては自ら登記するのが建前であつて司法書士は該権利者の依頼に依り登記の代行をするものである。而して登記をするには登録税を納入せねばならないが自ら登記する者は登録税を納める丈であるのに司法書士に依頼して登記をなす者は同一行為に対してサービス税を納めねばならない、所謂名目を異にした二重課税となる不合理あり。
一、従来理髪行為に対するサービス税が這般廃止になつたが理髪行為は仮令サービス税が課されるにしても二重課税になる実在はないのに対し今回司法書士の登記行為に対して登記義務者並抵当権者は実質上二重課税を課されているのは不合理の点あり、と思料せらる。
一九五一年十二月二十四日
司法書士会長 豊村 良貞
沖縄群島議会議長 知花高直殿
◎議長(知花高直君) 本年一月二十日付沖縄市町村議会議長会長伊佐常喜から市町村制一部改正方要望について議長宛に陳情書が参っております。本件は今期議会に議長提案となっております決議第一号と相関連するので、その審査を第二部委員会に付託致します。
書記長をして右陳情書を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」陳情書朗読)
一九五二年一月十四日
沖縄市町村議会議長会長
伊 佐 常 喜
沖縄群島議会議長殿
市町村制一部改正方要望に就いて陳情
市町村制中議会議員の定数増員方要望並に住民申請権の申請方法明示方の要望に就いて実際に議会の調査、運営等に依り鑑みると現在の議会議員定数は余りに少数にて現在の二倍の議員定数は必要なりと痛感するに就き申請権の申請方法と共に改正方を要望すとの沖縄市町村議会議長会総会に於て要望決議になりましたので、左の(一)(二)の如く改正方御配慮相成度此段陳情致します。
記
(一) 市町村制第十五条議会議員定数増員方要望左の如し
人口 五、〇〇〇人未満 六人を一二人に改正
人口 五、〇〇〇人以上 一〇、〇〇〇人未満 八人を一六人に改正
人口 一〇、〇〇〇人以上 二〇、〇〇〇人未満 一〇人を二〇人に改正
人口 二〇、〇〇〇人以上は現在の規定の通りとす。
理由
(イ)現在の市町村議会議員は全住民の代議機関としての議員定数が余りにも少く全住民の意志を反映せしむるに充分でない状態にある。
(ロ)市町村税等の賦課に当り議員少数なるが故に広範囲に渉り調査研究する等、困難を感ずる場合がある。
(ハ)少数議会は懇談会の形式に惰し易く猶代議制に依る議会の状況を全住民に衆知徹底せしむるに困難を感ずる事あり。
(二) 市町村住民の申請権の申請方法制度中に明示方要望左の如し
市町村制第七条、第八条、第九条に依る選挙及び申請の権利は現在の第十条に依ると、前三条の選挙及び申請に関する事項は別に法律で之を定めるとあるも、第十条を改正し申請の権利の申請に関する事項を制度中に明示相成度要望するものなり。
◎議長(知花高直君) 副知事から議案その他送付について議長宛に公文が参っておりますから、書記長をして朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」朗読)
沖総第一六号
一九五二年三月十三日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
沖縄群島議会議長 知花高直殿
群島議会提出議案等について
第十三回沖縄群島議会(定例会)において議会の議決を得たく、及び報告を致したいので別紙の通り議案等を送付致します。
○議長(知花高直君) 書記をして議案その他を配付致させます。
(書記配付)
◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
議事日程第二十八号
第一 今期議会の会期を定めること
第二 今期議会の会議録署名人選挙
第三 十七番議員請暇の件
第四 知事政務報告
第五 一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
(副知事提出議案第一号)
第六 一九五一年度沖縄群島歳入歳出決算認定について
(副知事提出議案第二号)
第七 琉球政府設立による沖縄群島政府及び琉球臨時中央政府の退職者並びに地区病院、診療所の廃止による退職者の受ける退職金に対する所得税の免除に関する条例制定について
(副知事提出議案第三号)
第八 救済事業に充当のための贈与金受領について
(副知事提出議案第四号)
第九 群島道路の承認について
(副知事提出議案第五号)
第十 知事専決処分報告について
(副知事提出報告第一号)
第十一 市町村制の改正について
(議長提出決議第一号)
以上であります。
○本日の会議に付した事件
日程第一 今期議会の会期を定めること
日程第二 今期議会の会議録署名人選挙
日程第三 十七番議員請暇の件
日程第四 知事政務報告
日程第五 一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
(副知事提出議案第一号)
日程第六 一九五一年度沖縄群島歳入歳出決算認定について
(副知事提出議案第二号)
日程第七 琉球政府設立により(るカ)沖縄群島政府及び琉球臨時中央政府の退職者並びに地区病院、診療所の廃止に依(ママ)る退職者の受ける退職金に対する所得税の免除に関する条例制定について
(副知事提出議案第三号)
日程第八 救済事業に充当のための贈与金受領について
(副知事提出議案第四号)
日程第九 群島道路の承認について
(副知事提出議案第五号)
日程第十 知事専決処分報告について
(副知事提出報告第一号)
日程第十一 市町村制の改正について
(議長提出決議第一号)
日程追加 肥料販売値段据置の件につき陳情書を提出することについて
(十四番議員提出陳情第一号)
◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
◎議長(知花高直君) 日程第一の今期議会の会期を定めることを議題と致します。先刻御出席になった方々と打合せ致しまして、今期議会の会期は本日から来る二十日迄の八日間とし、本日の本会議では政務報告の聴取、議案その他を上程、説明を聴取、委員会に付託致します。明日は特別委員会を午前十時から開会して、他の方々は各自議案の研究をして戴き、十五日の土曜日は第一部、第二部委員会を開きます。十六日は日曜日で休みまして、十七日(月曜日)第一部、第二部委員会を開催致し、付託案件の審査を致します。十八日に全員合同研究会を致し、十九日も前日同様全員合同研究会を致します。二十日は本会議の第二日目で委員会の付託事件の審査結果報告とそれから表決を致しまして会議終了に致したいと思っております。それで今期議会の会期は本日から二十日迄八日間と可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今期議会の会期は今日から来る二十日迄八日間に可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第二の今期議会の会議録署名人選挙でありまするが如何取計いませうか。
○宮城久栄君 今期議会の会議録署名人は選挙の手続を省略して議長から指名せられんことを望みます。
○議長(知花高直君) 只今七番議員から議長指名の動議がありますが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、議長から指名致します。十四番議員祖根宗春君、二十番議員仲井真元楷君、御二人にお願いすることに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。
◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第三、十七番議員請暇の件でありますが、新城君から「ヤマイ ユケヌ ヨロシクタノム アラシロ」という電報が参っておりますし、又昨日の日附で請暇願が出ております。「急性盲腸炎手術入院のため第十三回定例会に出席致し兼ねますから左様手続方御取計い下さるようお願い致します」という理由になっております。今期議会の会期が一週間を超えますので議会の承認を経なければなりませんが、これを許可することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って十七番議員請暇の件許可することに可決致します。
○議長(知花高直君) 日程第四、知事の政務報告を聴取することに致します。
◎副知事(山城篤男君) 群島組織法第十条第二項の規定に依りまして群島政務について御説明申上げます。少し時間が掛るかも知れませんからどうぞ御辛棒の程お願い致します。
御承知のように群島政府は、本年三月三十一日をもって、その全部が琉球政府に引継がれることになっておりますが、先ず過去一年間の推移を述べまして、次に群島政府の解消に関する事項並びに琉球政府へ引継ぐべき重点事項を御話し申し上げたいと思います。
第一に総務部関係について申し上げます。地方行政関係につきましては、地方公共団体の自主的な助長を図って来たのでありますが、その財政暖助としまして二千万円の平衡交付金を配付し、自主的市町村行政運営の円滑を図ったのであります。労務関係につきましては、主として職業の安定と労務者の保護に力点をおいて労務行政の刷新を図った外、労務の実態を調査し、将来における労働政策を樹立するための準備に努力して来たのであります。沖縄群島においては、就業を要する人口が毎月増える傾向にあるので、就業希望者に適当な職業を与えることを主眼として労務事務所設置条例を制定し、群島内に七カ所の労務出張所を置き、求職の斡旋に当らしめています。又布令第七号に基く労務者の賃金率引上については、しばしばその改訂を進言し、軍もこれが必要性を認め近く実現する模様であります。労務災害補償についても、その支払準備が進められ、既に一部が支払をされ逐次解決されるものと思います。統計事務につきましては、御手許に配付になりました沖縄群島統計書を編纂し、各部門の全般について大体の資料をまとめてあります。これは今般種々の施策の参考となると共に、又沖縄群島政府時代の皆様の記念誌にもなると思うものであります。
第二に財政部関係を御説明致します。先ず本年度における最大の問題は何んとしても税制改革の問題でありましたが、所得税の引下げを主眼としたこの改革案が折角群島議会の協賛を得ながら米国民政府当局の承認が得られなかったことは誠に遺憾に思うものであります。その結果、所得税の面において事務上多大の支障を来しましたが財政当局が異議申立の期間を延長すると共に、特に南部地区においては各市町村に出向いて申立の受理をなし、誤びゅうの点を実情調査の上訂正し、漸次事務上の円滑化を図ることができたのであります。更に年度半に来襲した台風被害による所得の変動に対しては特に「災害被害者に対する所得税の減免に関する規程」を設けて臨機の措置をとり、又過年度及び本年度の滞納税を行政措置により徴収し、負担の公平を図るべく群島税徴収条例を公布したのであります。租税の徴収面につきましては中央政府への引継を前にして目下最善の努力を払い折衝、その成果を上げつつあるのであります。
次に予算面でありますが、当初軍からの補助金予算は一括して政府に与え、その予算経理については知事に一任するとの指示でありましたが、軍の方の資金回収の都合により度々その額の変動がありましたので、経理上の煩瑣を来すおそれがありましたのでこれを通常行政費の経常部と補助金の臨時部とに分割して予算の再編成を計ったのであります。又今までの予算編成の方式が旧日本時代における科目別と、米国方式による組織別の両方を混入してありましたので、これも新方式による組織別に改め予算会計事務の管理の合理化を計ったのであります。更に年度途中、急に軍から社会事業関係救済費の削減の伝達を受けたり或は台風被害の復旧事業等のため予算補正の必要に迫られたりしたのでありますが、これは軍と交渉して補助金の重点的割当並びに経常部予算歳出の縮減等により現行税の増税による新たなる住民への負担を極力避けて来たのであります。尚沖縄民政府から引継いだ職員五%増俸に関する債務は、その額が多大でありましたため、三会計年度に分割計上して債務の支払をする計画でありましたが、急に群島政府が本年度限りで解消することになりましたので、退職給与金とともに本年度予算中より全債務を返済すべく各事業を整理し、歳出を縮小し、加うるに警察部関係を主とする税外収入をもって漸く実現の目鼻をつけたのであります。
財政関係は以上の通り群島政府が強力な財政基盤を樹立することはその制約された権限のため遂行できなかったのでありますが、与えられた範囲内では最善を尽し得て微少ながら財政上の新しい方向への第一歩を進め得たと思うのであります。
第三に文教部関係を申し上げます。文教部関係で最も重点的に採り上げられましたのが、何んとしても学校々舎建築についてでありました。一九五一年二月中旬着工になった百十二棟二百六十八教室の建築は輸入資材の木材、セメントの入荷が遅延し、その上島内産保有資材の出荷が不円滑のため工事を中止する業者が続出し、工事の完遂が危ぶまれたのでありますが、これが解決に全力を尽しましたので、現在では久米島教育長事務所、比屋定初中校、美崎初校、仲里初校、大岳初校、具志川中校、久高初中校、嵩江初中校の八棟を除き全部竣工の運びに至っております。右の八棟も今月中にはできる見込であります。残存旧校舎三十三棟百二十四教室の補修工事につきましては、千三百六十二万一千円の予算が軍から認可になり、昨年八月中旬着工し順調に工事が進捗し今月中には全部竣工の見込であります。ルース台風の被害復旧用としては、軍からバトラー十棟を支給されるし、なお又二十五棟百教室分の木材、セメント、ガラス、釘等の配付を軍から受けることになり、関係市町村の責任で建築することになっています。次に日本視察教員並びに研究教員派遣についてでありますが、昨年秋十人の日本視察教員団四人のアイフエル講習受講者が関東、関西、九州各地の教育を視察し、母国の国民感情を充分に味い新教育の在り方をつぶさに視察し、文部省や在日先輩と連絡を緊密にし、感激深くして帰庁して参りました。その後各地区において伝達講習会や報告会を行い、四千教員の師魂を奮起させておりますし、更に近く十二名が派遣されることになっています。又新教育の線にそい現職教員の再教育には最も力をそそぎ、この講習には沖縄における権威者を講師として四月以来土曜、日曜日を利用し、糸満地区より開始し、現在石川地区に至り、三月下旬で久米島地区を除く全島各地区教員の再教育を終了する予定であります。この終了者には琉大の単位を与えることになっています。その他夏季、冬季の休暇を利用し教官補の講習を実施し資質の向上に努めて参りました。なお、実験学校の設置、教育委員会の運営、文教部の諮問機関として文教審議委員会の設置、実業学校の設備充実、各種検定の実施、初中学校に対する学力テスト等に努力して来たのであります。なお実験学校については沖縄教育史上かつてない計画でその中間発表により多大の効果をあげている現状であります。成人学校増設や終戦後初めて行政費で百科辞典、オルガン等を購入し、備品の充実をはかりました。琉大の師範科を増大してもらい、教員訓練所の教員を増加し、教員養成の拡充強化に努力いたしました。
第四に経済部関係を申し上げます。先ず商業関係でありますが、商工界の向上発展と官民一体の重大使命を帯びて発足した沖縄商工会議所は、民貿易開始に備え更に進展し、琉球商工会議所に改編したのでありますが、有力なる実業人を網羅し愈々堅実の一路をたどっています。日本杉材輸入の促進につきましては、官民各位の多年の要望でありましたが、業者、議会、その他全琉官庁の陳情状況等を考慮し、日本の関係当局並びに国連軍当局の意向等調査研究していたのでありますが、日本政府がこの度その輸出を許可してもらったことはまことに感謝に堪えないのであります。ここまで到達し得たことは、住民各位、業者、関係官庁、議会の絶大なる要望の賜であったと深く謝意を表するものであります。島内商業における弗獲得事業につきましては、軍施設内にあるPXの委託事業(例えばクツ修理、時計修理業、理髪業、レストラン、洋服店等)は従来外人が経営していたものが、軍ではその経営を琉球人に優先委託経営させる方針の基に着々その成果を挙げております。沖縄群島政府におきましてはこれに対し、琉球人業者をPXに推薦するに当って技術、経営手腕、財政能力、人格、経歴等充分なる調査を行い、外人経営の場合よりもあらゆる面で声価を挙げるべく努力すると同時に契約の上、経営後における業者についても絶えず関心を持って指導しているのであります。この外(1)清浄野菜の軍部隊や家族への売込みにも成功いたし、(2)清涼飲料の米軍人への販売による利鞘稼体制の整備、(3)島内商業者の米軍人相手の衣料、雑貨の取扱、(4)レストラン飲食店への外人立入許可、(5)軍工事による外国土建業者への労務の売込み等を行い、一九五一年度一、〇〇〇万弗であった商業資金は本年度において愈々増加してきたのであります。
次に度量衡検定所の設置でありますが、度量衡の確立は終戦以来各朝野の要望切なるものがあったのでありましたが、幸い努力の甲斐がありまして検定用具の入手を得、昨年五月度量衡検定所を設立し検定制度の確立に努めています。
工業面につきましては、昨年来、(一)自立経済計画案の線に沿うて鉄工業、木工業、煉瓦工業、石灰工業、石材、製塩業、醤油製造業、再生ガラス工業、綿織物工業、(二)島内弗獲得として陶器、漆器、クツ修理、(三)輸出工業について製帽業、絹織物工業の奨励に努めておりますが、今後実施すべき自立経済上基本的工業として計画中のものは、セメント工業、紡績工業、塩酸工業、酸素工業等でありますが、目下沖縄経済の現状は資本難でありますので、これが急速なる実現に至らざることを遺憾とするところでありますので、その打開に更に努力研究しなければならないと思うものであります。
畜産につきましても色々施策をいたしましたが、何んといっても農家への長期低利融資の方途を講じなければならないと確信いたします。一九五〇年度は豚コレラが流行して養豚事業に不振を来したのでありますが、その後適切なる防あつ対策と品種改良によって、農家経済における養豚の地位は愈々高まり、今や農家の切実なる要求である獣疫血清製造所の設置につきましては、これが農林省の管轄であったため再三再四早期設置を陳情したのでありますが終にその実現を見なかったのであります。これは群島政府の事務引継事項の節、強く要望したいと思っています。
一般農業関係につきましては群島政府成立と同時に自立経済計画を樹立し、一九五二年度の農業行政の方針は自立経済計画達成の線に沿うて農業基本施設の拡充強化による自給度の向上、輸出の振興及び各種ドル資金の獲得を目途として政策を推進して来たのであります。農業の基本施設に対しては、当初は米国民政府の援助資金を期待し再三折衝したのでありますが、これが不可能になりましたので政府は戦禍により破壊しつくされた基本施設の復興こそは農村復興の為絶対必要であるとの信念にかわりなく、貧しい政府資金から約一二、〇九四、二二七円五十銭ねん出し、加えるに復興金融金庫の利用によりこれを拡充強化すべく議会の協賛を得たのであります。ここにおいて戦後最初の農村に対する政府資金による補助政策が確立されたのであります。本年度における基本施設として補助設置されたものは次の通りであります。
共同製糖場の設置については国頭村農業協同組合外一〇ケ組合の共同製糖場設置は総工事費三、九八二、五〇二円の二割八四六、六二〇円を補助し、他の八割は復興金融金庫の利用により共同製糖場の設置をみたのであります。
農村共同作業場の設置については、兼城村農業協同組合外五ケ組合の共同作業場設置は総工事費一、八三二、一〇七円に対して七六〇、〇〇〇円の補助をして一、〇七二、一〇七円を復興金融金庫の利用により設置しました。
猪垣の構築は、名護町外四ケ村に対して八二〇、〇〇〇円の補助と地元の労務費等の負担金四、一三一、八五〇円によりまして全長五六、〇〇〇米に亘る猪垣を構築したのであります。蔬菜共同集荷所並びに農産物市場の設置につきまして、輸出蔬菜並びに農産物の販売を円滑ならしむる為、勝連村津堅園芸組合外六ケ組合に対して共同集荷所、沖縄農業協同組合聯合会に対しては農産物市場を設置せしめるため合計一、一〇〇、〇〇〇円の補助をしたのであります。
清浄蔬菜集荷消毒場の設置については、島内における外貨獲得の手段として米国駐屯部隊に対する清浄蔬菜の販売を可能ならしむる為、美里村園芸組合外三ケ組合及び沖縄園芸組合聯合会に対して三一〇、〇〇〇円の補助をなし集荷消毒場を設置いたしました。
なお、自給肥料の増産目的をもって堆肥舎一〇〇棟、小禄村外四十六ケ町村に設置しました。
その他の補助事業としまして、(イ)甘蔗の中間苗圃の設置 農業研究指導所に原苗圃二町一反歩を設置し、首里市外四十七ケ町村に計一〇町四反歩の中間苗圃を設置して優良品種の普及、蔗園面積の拡張を計っています。(ロ)水稲原種圃並びに採種圃の設置 優良品種の普及を計る為の水稲原種圃を南部、中部、北部に合計一町七反設置し、種籾二〇石を検収して採種圃を豊見城村外四九ケ町村合計二三町歩設置いたしました。 (ハ)野鼠、めい虫の駆除 春秋二回に亘る駆除週間を設置して捕獲量に対して買上をしました。 (ニ)自給肥料増産奨励 春秋二回に亘り堆肥積込週間を設置した。 (ホ)荒廃地解消運動 荒廃地解消運動を展開したる結果四七五町七反の解消をみるに至りました。
農業改良委員会の組織の強化について御説明しますと、沖縄群島農業改良委員会並びに市町村農業改良委員会条例を設置して農業改良普及事業の諮問機関といたしました。その他バイラス病防除の為めの種藷購入、茶園の設置奨励、甘藷苗床の設置助成をなしたのであります。
林業については琉球農林省においてはその林野経営の主力が殆んど国有林に注がれている状態で、沖縄群島内の林野の七割を占める民有林については、その施策が殆んどみられない実情でありましたので、政府資金二九一万円によって荒廃沖縄民有林に対して急速なる施業をなし、之に補助をすることといたしたのであります。
蚕糸業については、稚蚕共同蚕室を設置せしめるために六六五、〇〇〇円を補助して今帰仁村外九ケ町村に設置せしめ、なお乾繭所を設置する為に二八七、二七〇円を補助して名護町外二ケ村に設置しました。農業研究指導所支所の移転並びに新築については、石川市東恩納にありし東恩納試験場を二、一七七、四一四円の経費で、越来村八重島原二一、〇〇〇坪に移転して本館並びに附属建物の新築を一、三七七、〇〇〇円の経費で完了したのであります。なお、当所敷地は民有地でありますので将来買収問題が考慮されるのであります。
農産物検査所の設置については、沖縄群島農産物検査所を九一四、四三四円の経費で設置し、砂糖及び砂糖容器の検査を施行すると共に植物防疫を実施しているのであります。昨年度沖縄糖の声価は日本市場において相当悪評があったのでありますが、検査制度の施行及び政府の助成事業による優良品種の普及、又製糖講習会の開催による品質向上及び製糖場に製造技術者を設置することにより漸く日本業者の好評を得るに至ったのであります。なお南部製糖工場の設立については、政府はこれが完成に援助して来たのであります。近く同工場の完成をみる段になりましたので来期製糖期からは糖業は一段と飛躍するものと思われます。尚米国駐屯部隊に対する蔬菜の販売事業も政府の助成により漸く軌道に乗りつつある情況であります。なお日本に対する輸出蔬菜の出荷も日本政府の大量輸入の容認する所となったため生産者も希望を抱き鋭意これが生産に努めつつあったのでありますが、輸出に関する諸掛りが意外に多く、その出荷に対しても集荷所その外に政府の助成政策が効を現わしている実情であります。なお食品加工講習会を開催して加工品の技術向上を計り、それは共同作業場の設置と相俟って輸入製品の防あつに努めてまいりました。斯かる例をとりましても現下の農村の実情はその経済的基盤の貧困性と諸般の悪条件のため農村の保護政策と強力なる助成政策を採用しなければならないと思うのであります。
次に水産関係でありますが、先ず沿岸漁獲物の増産を図るため市町村の水産組合に海人草養殖施設、魚巣施設、海綿養殖施設として補助金八十三万七千八百三十七円、外に水揚場の設置補助として六十八万円を交付し、それぞれその充実を図ったのであります。なお鮮魚介類の公正取引、市場価格の安定並びに流通の円滑を図るため鮮魚卸売市場条例を制定し、鮮魚販売機構の調整にあたりました。又水産関係の重要事項として施策しましたのが水難救済会の設立、船揚場の設置、暴風通報塔の設置、漁業取締りの強化等であります。
なお、経済部の総合的な事業としまして、さきに立案いたしました経済復興自立計画の開発振興実現を期し、その進行状況等を広く一般に周知せしめると共に生産品の品質向上及び販路の拡張を図る目的をもちまして昨年十二月下旬産業復興共進会を真和志中校において開催しましたが、出品物は農林部、畜産部、水産部、工業部、商業部の五部と産業綜合館、移民館の二館に分けて展示しましたが盛会裡に頗る有意義に終了しました。
第五に工務部関係を申し上げます。先ず土木事業でありますが、道路の良否は直接間接に復興の根本たるが故に年度当初の計画は、公道延長二七九哩に対し六千万円予算を要求したのでありますが、内三千二百六十六万円余を認められ現状を保持しているのであります。ルース台風による被害は南部地区に最も激甚でありましたが、全島被害状況を調査し復興計画をたて公道において一千一百二十一万七千八百円、町村関係において六千九百三十三万五千五百四十円の支出方を要請いたしましたところ、与根部落の護岸及び奥武橋の復旧費として九百二十七万九千二百円か認可になったのであります。それで直ちに工事に着手いたしましたところ与根の分は年度内に第一期計画の分が完成いたしましたが、奥武橋の工事は施工が困難なため完成することができず百万円程度の残工事を中央政府へ引継がなければならない状態であけます。マージ台風の被害は北部地区において甚だしかったのでありますが、公道において五千七百六十二万円、町村において一億四千八百七十五万円余を復旧費として軍に要請しましたところ認められないので、更に交通に支障のない程度の応急費を四百万円程度提出したところこれも又認められず政府予算より支出するよう指示を受け四百五万円余をねん出し仮防的工事を終え現状を保持しているのであります。然し年々来襲する台風被害を思うとき常に仮防的措置では愈々不安でありますので、中央政府へ引継ぐに際し恒久的な工事の実現を強力に推進して貰わねばならないと思っています。建築事業につきましては、臨時費に依り建築せるものが一八九棟、工事費八千八百八十四万五千円、経常費に依り建築せるものが四棟、工事費二百二十六万二千円であり、その主なものは学校、中央刑務所の復旧、愛楽園、病院、開放病院、前原警察署、名護情報会館、農業研究指導所等の建築でその大部分は完成しましたが一部工事は未完成、中央政府へ引継ぐことになります。
電気事業は、凡ゆる事業面の復旧開発に欠くべからざるものでありまして、当面の重要問題としまして牧港発電所の余剰電力を利用し既に第一次計画として那覇、真和志、首里を一区域とする事業計画をたて、沖縄群島電気委員会の審議を経て民政府に提出してあり、その工事予算総額は一億五千六百五十一万円を要することになっている。簡易水道事業は、戦前施設の復旧を主体に三九ケ所さく井工事三ケ所で総額九十一万八千八百円の補助を交付し、給水の便を図っております。
次に陸運事業でありますが、乗合自動車用車輛は制規のバスを使用する建前になっておりますが、バス事業の開設当時は車輛が少かったため住民の需要を充し得ない状況から、暫定措置としてトラック改造バスの使用を認めて来ていたのでありますが、本年六月三十日限りでこれが使用を廃止することになっております。
一九五〇年四月、旅客運送事業の民営移管以来バス、トラック、タクシー等の運送事業の認可申請が激増し今日の同業者の乱立は経営困難を予想されますので陸運事業の円滑な運営と健全な発達を図るため自動車運送審議会の協決(ママ)を経て、昨年九月十九日以降の申請に対しては該当路線の需要量調査の上認可することにして参りました。
海運事業につきましては布令第二号における指定港は那覇、泊、安謝、名護、渡久地、馬天、糸満、石川の八港に限定されていたが、列島貿易の簡易化と物資交流の普遍化の見地から指定港の少い東海岸に大浦、与勝、泡瀬、与那原の各港を、又避難港として運天港の五港を指定港として認可方をしたのでありますが、昨年六月民政府より認可され、列島間貿易上多大の便宜を住民に与えることができたのであります。
離島村への航路補助につきましては百五十万円を十一ケ村に交付したのでありますが、従来就航を希望しなかった航路特に大東村の就航にも希望ができるようになり、且つ又就航回数も多くなりその他備品の購入や船体機関の修理も良好になり、船舶の安全性も増加して参りました。その外に造船技術修理(得カ)の為、研究生の日本派遣、船舶職員講習会及び免許試験の実施等海運関係の業績も漸く進展して参っております。
第六に厚生部関係を申し上げます。社会事業の重要性は申し上げるまでもないのでありまして、政府としましては極力これが充実に努めて来たのでありますが、五一年七月以降一般救済費中約八〇パーセントを占める食糧救済費について、いきなり軍負担打切りの指令に接したのであります。従って七月以降の費用一千八百万円というばく大な額が民によって負担せねばならなくなり、再三の軍との折衝も終に功を奏せず二万人近くの被救済者の行方に暗影を投じたのでありますが、厚生部予算を主にして各部の予算を極力節減して漸く間に合わすことができましたのは曩に財政部主管事項中に説明申し上げた通りであります。現在約二百万円の救済金支出で被扶助世帯七、八四四家族一万九千三百七十人の最低生活を充分とは云えませんが支えておるのであります。客年七月以降医者の自由開業制度が実施されたのに伴い、貧困者に対する医料救済を考慮したのでありますが、その扶助費として客年八月百三十六万五千円を計上したのは御承知の通りであります。社会事業施策としては沖縄厚生園の充実を図って参りました。現在入園者二九九人で社会一般の同情もあつまりまして、だんだん幸福になりつつありますのは御同慶の至りであります。その他終戦後の社会混乱のため派生しました戦災児、浮浪児、生活窮乏者の子弟等要保護状態に陥った者が相当多数上っておりますので斯る状態にある児童のために救護院即ち沖縄職業学校を設立し児童七八人に職員十五人を配し、懸命にその救護保育に当っているのであります。なお沖縄盲唖学校を設立し社会より忘れられ勝ちなこれらの青少年のために福祉施設を図って参っております。
次に厚生部主管の医療関係を申し上げますと、終戦後引続き施行中の医療機関の全面的官営制度を改め、一部医療人に対して個人開業許可制度を執りこれが実現を見たのでありますが、三月現在で十医療地区に医師百八人、歯科医師四十二人、介輔十六人、歯科介輔七人が自由開業をして参っております。又看護婦、助産婦等の資質の向上の為に病院、診療所における臨床、保健所における実施訓練、産科の科学的取扱いに遺憾のないようそれぞれ養成訓練中であります。医者の自由開業に伴いまして残っております病院は開放性病院にすることにしまして、米民政府の全面的支援により胡差、那覇、名護の三ケ所に開設することにしているのであります。保健所につきましては南、中、北部に区画し工費約二百三十五万円三百余坪のブロック建が完成してありますし、一保健所約二十万の人口を担当しております。客年八月より業務の開始をみましたが、一般住民への組織的且つ速かなる利用を期し、その施策と計画を進歩させつつあるものであります。その他性病防あつ対策としては、委員会を設け対策を講じると共に各病院においては患者に対し無料診療を施し、根絶を期して参っております。
第七に法務部関係について申し上げます。五一年一月分から十二月までに検事局において取扱った刑事々件は、総数千三百五十五件でありまして如何に多数の事件があったかを物語るものであります。法務関係の一番大きな問題でありました沖縄群島五十六ケ市町村の土地台帳の作製も五十一年末には完了し、群島管下の土地の状況を明らかにするという大事業を成就したのであります。なお、土地事務所は右の事業の外各市町村における土地の測量、土地紛争の問題の解決指導などに多くの任務を果しつつあるのであります。又登記事務所におきましては、住民の財産権の保護、取引の安定に資しておりますし、且つ金融の活溌化に伴って益々繁忙を極めている状態であります。刑務所につきましては、収容者数五十一年度中月平均八百十七人であります。設備につきましては復旧工事費に民政府より一千二百四十一万七千円の多額を受け着々進行しております。なお法務部が関係ある事項としてその解決に尽してきた問題は、割当土地の賃貸料の設定及び占領軍が使用している私有土地その他の財産の所有者に対する使用料の支払の促進でありますが、前者のためには必要な法規の制定を促し助言を供与し、後者のためには諸資料の提供、進言などをなしてこれが解決に努力をして来たのであります。
以上大体政務の大略を申し上げたのでありますが、議会としましても成立以来本回まで十三回の会議を開き、第十二回までの記録は会期日数七十五日、議案審議百題、制定した条例八十一条例の多きに達し、如何に議会が沖縄群島政治に寄与努力されたかがうかがわれるのでありましてこれは又あらためて感謝を申し上げる次第であります。
最後に中央政府に引継ぐべき重要事項を列挙しますと、
総務関係におきましては
一、地方制度の確立を期してもらいたい。
二、地方財政制度の確立を期してもらいたい。
三、布令七号による労務賃金給与ベースの引上げ促進。
財政部関係は
一、地方財政平衡交付金の引継ぎ交付。
二、税制の全面的改革、特に所得税率の改正。
三、所得税審査委員会設置。
四、監査委員会設置。
五、私有地及び同建物使用に属する使用料の支払。
経済部関係は
一、諸産業施設並びに補助事業の継続(農林、水産、畜産、商工事業)。
二、移殖民補助事業の継続。
三、沖縄群島度量衡検定所庁舎建築並びに敷地設定。
四、農水金庫の早期設置。
五、獣疫血清製造所の早期設置。
六、農産物検査所庁舎建築並びに敷地設定。
七、農業研究指導所支所敷地買収。
八、農業研究所畜産科敷地買収。
工務部関係は
一、戦災復興費の増額と継続(復旧完了迄)。
二、災害復旧制度の確立。
三、庶民住宅金庫の設置。
四、全島電気供給事業の完成。
五、離島航路への補助継続。
六、玉城村の奥武橋の工事未済分百万円程度の支出。
七、ルース台風及びマージ台風における被害特に北部地区における道路仮防的工事の強化復旧事業。
八、那覇都市計画事業と那覇市内道路工事。
九、国頭村与那安田線の残存工事。
十、造船技術修得研究生の日本派遣。
十一、開放病院、愛楽園病院、名護情報会館、モータープール改築、中央刑務所復旧工事の残存工事。
文教部関係は
一、校舎建築の解決。
二、実験学校の継続。
三、日本視察教員並びに研究教員派遣の継続。
四、教員再訓練の継続。
五、学校備品の充実。
厚生部関係は
一、救済事業の継続。
二、社会事業各施設の整備拡充。
三、那覇市及び名護町に開放病院の設置。
四、愛楽園の諸施設の整備拡充。
五、麻薬の輸入許可。
法務部関係は
一、占領軍使用の民有地に対する使用料の支払促進。
二、戸籍の整備。
三、司法保護事業の樹立。
以上は極く、引継事項の大要でありまするが、この引継に当っては過去一ケ年の実績をよく調査し又具体的な資料を提供し且つ色々、民論等をも容れまして万全を期してこの事業の継続とか完成とかを願いたいと思うのであります。
尚この政務報告につきましては後で刷物として差上げまするからどうか御ゆっくりと御覧下さる様お願い致します。又疑問の点などについては各部各担当者から御聴取願いたいと思います。長い間有難う御座いました。
○議長(知花高直君) 午前はこれで休みまして午後一時再開致します。
午前十一時四十四分休会
午後一時一分再開
○議長(知花高直君) 開会致します。午後の出席十七名、欠席三名であります。
◎議長(知花高直君) 御諮り致します。十四番議員祖根君から肥料販売値段据置の件につき陳情書を提出することについて議長宛に陳情案の送付がありまするが、本件を本日の議事日程に追加致したいですが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、日程第十二、肥料販売値段据置の件につき陳情書を提出することについて(十四番議員提出陳情第一号)を本日の議事日程に追加致します。
◎議長(知花高直君) 日程第五の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について(副知事提出議案第一号)を議題と致し、当局の説明を求めます。
議案第一号
一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
群島組織法第百五十九条の規定に基き一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算を別紙の通り定めたいので議会の議決を得たく提出する。
一九五二年三月十三日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
(注 別紙予算書は、一九五二年三月二十五日付け沖縄群島公報第二十号に登載のものを採録した。)
沖縄群島告示第九号
一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算の要領は別紙の通りである。
一九五二年三月二十五日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 只今議題となりました一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について説明致します。
今般群島政府の解消に当りまして、政府と致しましては、今日まで未解決になっておりました予算上の諸問題と又新たに追加を要すべき予算をこの際一挙に解決すべく先般来慎重検討を加えて参りましたが、漸くその成案が纏まりましたのでここに本案を提出したような次第であります。この歳出の追加から申上げまするというと、退職金に於きまして九百三万五千円、民政府時代の職員増俸未払の追加と致しまして一千八十二万円、民政府に対する軍車輛賃貸返還金として五十八万一千二百五十円、渡嘉敷診療所に充当する家屋購入費として五万円、学校手持資材校舎建築費として二百三十三万六千円、指定寄附による事業費として四万四千四百八十九円八十五銭、粟国駐在所の設置費及び喜舎場駐在派出所の移築工事費として三十万五千六百円、その他各部に於ける予算不足見込額の追加として三百九十八万四千四百四十五円十銭、合計歳出面におきまして追加すべきものが二千七百三十万百八十四円九十五銭の追加を行なったのであります。それに対する財源と致しましては、布告、歳出規程、予算規程を慎重に検討致しました結果次の通り捻出したのであります。俸給の方から五百九十七万五千六百十円、調査研究費から二十一万二千百八十円、旅費から三十七万四千二百八十円、需要費から四百五十三万三百七十円、通信費から十七万六千二十円、修繕費から十四万四千二百二十円、特殊備品購入費から三十七万七千四百二十円、奨励金から五十二万円、租税過誤納払戻金から二十七万二千円、諸手当から二十六万三千百三十円、諸事業費より百六十三万九千八十円、建築費より百七十七万七千九百九十円、訓練講習費より十一万八百円、賃貸(借カ)料十七万三千八百六十円、雑費から八百円、鑑定料から千五百円、衣料費から十二万八千七百十円、食糧費から三百五十二万二千八百三十円、計二千二十万八百円を捻出致しまして、尚更にその不足額に対しましては歳入面に於て過年度収入において十九万六千四十八円、映写技術関係手数料として二万五千百円、砂糖及び砂糖容器手数料(検査手数料カ)として十二万八千円、指定寄附による寄附金その他の増加収入で二十五万二千五百三十三円八十五銭を歳入に新たに追加計上致しまして、尚警察部収入において六百四十九万七千七百三円十銭を追加して、この方の歳入歳出のバランスをとったのであります。資金面におきましても現在徴収の方の強化を図っております関係上今の通りで行きますならば、この方の歳出面も十分に賄い得るという自信を持っております。
以上簡単ではありますが御説明を終りまして、尚詳しいことは御質問によってお答えしたいと思います。宜しく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第一号は第一部委員会にその審査を付託致します。
◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第六の議案第二号を議題と致し、当局の説明を求めます。
議案第二号
一九五一年度沖縄群島歳入歳出決算について
右別冊に依り認定を求めます。
一九五二年 月 日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
沖縄群島議会
議長 知花 高直殿
(注 別冊決算書は、一九五二年三月二十六日付け沖縄群島公報第二十一号に登載のものを採録した。)
沖縄群島告示第十号
第十三回沖縄群島議会に於て認定せる一九五一年度沖縄群島歳入歳出決算の要領は別紙の通りである。
一九五二年三月二十五日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 一九五一年度沖縄群島歳入歳出決算について大体の御説明を申上げたいと思います。
一九五一年度歳入予算におきましての総額が三億二千八百四万三千四百八十六円十七銭に対して歳入決算が二億九千五百八十六万七千八百五十五円六十四銭でありまして予算に比し三千二百十七万五千六百三十円五十三銭の収入減であります。歳出予算に於きましては総額が三億二千八百四万三千四百六十五円十七銭に対し支払決算が二億七千六百九十二万五百六十六円七十二銭で予算額に比し五千百十二万二千八百九十八円四十五銭の予算残額となっております。歳入決算から歳出決算を差引きますというと、差引金額と致しましては一千八百九十四万七千二百八十八円九十二銭の剰余金となっております。歳入といい使用額といい何れも多額の数字が見えますが、これは予算に行政費と補助費とを合併して計上してありました関係上、これを一応分割して御説明申上げまするというと、行政費で歳入面に於て二億八百四十五万二千七百七十五円六十一銭が行政費で、行政費の収入におきましては予算より増額致しまして二億一千二百三十万四千二百六円四銭であります。従いまして行政費は歳入予算に比しまして三百八十五万千四百三十円四十三銭の収入増であります。
同じく行政費の歳出予算面におきましては予算面(額カ)が二億八百六十六万七千二百四十三円三十一銭に対して決算額が一億九千三百四十二万六千八百四十七円二十二銭であります。差引予算未執行額が一千五百二十四万三百九十六円九銭であります。更に補助金においては受入額が八千三百五十六万三千六百四十九円六十銭で支払額が八千三百四十九万三千七百十九円五十銭となりまして補助金におきましての収支の差引残が六万九千九百三十円十銭ということになっております。これの合計で一千九百十六万一千七百五十六円八十二銭となりまするが、歳入歳出決算を差引きますというと総額剰余金が一千八百九十四万七千二百八十八円九十二銭と相成っているのであります。それから特別会計におきましては免許事務所における特別会計と致しまして収入に於て百六十九万九千七百七十一円六十銭に対し支出が七十三万一千六百三円七十銭でありまして差引剰余金が九十六万八千百六十七円九十銭となりまするが、これは先程申上げました行政費の収入の中に含まれております。
以上が五十一年度決算の大体の説明でありまするが、尚詳しいことは御質問に応じてお答えしたいと思います。よろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第二号は第一部委員会にその審査を付託致します。
◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第七、議案第三号を議題と致し、当局の説明を求めます。
議案第三号
琉球政府設立による沖縄群島政府及び琉球臨時中央政府の退職者並びに地区病院、診療所の廃止による退職者の受ける退職金に対する所得税の免除に関する条例制定に就いて
琉球政府の設立によって当然解消される沖縄群島政府及び琉球臨時中央政府の退職者並びに地区病院、診療所の廃止による退職者の受ける退職金に対しては其の所得税を免除致し度いと存じます。依つて別紙案の条例を制定致し度く群島組織法第三十七条第一項A号の規定に依り提案致します。
一九五二年三月十三日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
琉球政府設立に依(ママ)る沖縄群島政府及び琉球臨時中央政府の退職者並びに地区病院、診療所の廃止による退職者の受ける退職金に対する所得税の免除に関する条例案
琉球政府設立による沖縄群島政府及び琉球臨時中央政府の退職者並びに地区病院、診療所の廃止による退職者の受ける退職金に対しては沖縄群島所得税条例(一九五一・一二・一七沖縄群島条例第六十二号)第五条の規定に拘らず、此の条例により所得税を免除する。
附 則
此の条例は公布の日から施行する。
◎財政部長(仲宗根秀俊君) この度群島政府の解消に伴いまして相当の職員退職者が出まして、これら失職者に対する手当を支給する必要があるというような関係から致しまして四群島財政部長会議におきましても相当意見を述べまして、それから軍に対して八ケ月分の退職手当を支給して戴きたいという要望を致したのでありまするが、色々の都合上軍におきましては三ケ月を超えてはならんという通牒が参ったのであります。その通牒によって三ケ月分を支給すると共に退職金に対しては所得税は免除するという通牒も併せ来ておりますので所得税法の条文に照らしまして所得税を免除するについては特別の条例を制定する必要があるという意味合からこの条例案を提出したような次第であります。どうぞ宜しく御審議を願いたいと思います。この税法に対する改正を要する場合は予め軍の認可を受けろというような趣旨で前の税法が条例に切換えられた場合の指示がありますが既にこの所得税の免除の方は別に認可を受ける必要はない、予め向うからこうしろというて来ております。認可を受ける必要はないが然し条例の運用上どうしても特別条例を制定する必要があるというので本案を提出した次第であります。どうぞ宜しく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第三号は第一部委員会にその審査を付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第八、議案第四号を議題と致し、当局の説明を求めます。
議案第四号
救済事業に充当のための贈与金受領について
左記の通り海外同胞から「ルース」颱風の被害の救済金並びに戦歿者の祭礼(祀カ)料へ充当してもらいたい趣旨をもつて寄附金の贈与があるが、これは一般予算に繰入れその目的の事業に充てたいと思うので、群島組織法第三十七条H号に基いて議会の議決を得たく提案する。
一九五二年三月十三日提出
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
記
一、金四万四千四百八拾九円八拾五銭也
但し伯国沖縄人同志会から戦歿将兵の祭祀料として参百七拾弐弗参拾仙の贈与でありB円にして四万四千六百七拾六円なるも為替料百八拾六円拾五銭で差引現金受領額四万四千四百八拾九円八拾五銭なり。
一、金弐万参千九百円也
但し馬哇琉球連盟から「ルース」颱風見舞金として弐百弗の贈与であり、B円にして弐万四千円なるも為替料百円で差引現金受領額弐万参千九百円なり。
一、金拾壱万九千五百円也
但し沖縄復興布哇キリスト教後援会から「ルース」颱風見舞金として壱千弗の贈与金でありB円にして拾弐万円なるも為替料五百円で差引現金受領額拾壱万九千五百円なり。
合計 金拾八万七千八百八拾九円八拾五銭也
◎厚生副部長(大森泰夫君) 議案第四号の説明を致します。在外同胞から群島政府の社会事業課宛に先立ってのルース颱風被害者の救済金とそれから戦歿者への祭祀料として指定しまして総計十八万七千八百八十九円八十五銭が群島政府に寄附が来ております。この三月一杯、今年度内で群島政府としてこの趣旨に従って支出し又事業をし、仕事を終りたいと思っております。宜しく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第四号は第一部委員会にその審査を付託致します。
◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第九、議案第五号を議題と致し、当局の説明を求めます。
議案第五号
群島道路の承認について
沖縄群島道路条例(一九五一年七月二十日群島条例第三十七号)第九条の規定によつて、群島道路は、議会の承認を経て知事が認定することになつております。ついては、群島道路を別案の通り認定いたしたいので、議会の承認を得たく提案する。
一九五二年三月十三日提出
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
(注 別案の一覧表は、一九五二年三月三十一日付け沖縄群島公報号外に登載のものを採録した。)
沖縄群島告示第十二号
沖縄群島道路条例(条例第三十九号)第九条の規定に依り群島道路の路線を別紙の通り認定する。
一九五二年三月三十一日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
◎工務部長(渡嘉敷真睦君) 只今議題となりました第五号議案の提案理由を簡単に御説明申上げます。
既に制定された道路条例の第九条に群島道路は群島議会の承認を経て知事これを認定するというような条項がありますのでこの条文に従いまして、ここに提案したのが第一の理由であります。それから群島道路は事実吾々の方で群島道路と仮定致しましてその維持管理に当って来たのでありまするが、まだ法的には承認を経ておりませんでしたのでこの機会に承認を得たいと思いまして提案した訳であります。第三の理由と致しましては中央政府に引継ぐのにはどうしても各群島共群島道路を制定して持寄るのではないかと思われますので、一応琉球政府道路を決定するのに群島政府で認定した道路ということは、色々審議決定して行くのに必要な条件になりはしないかと考えまして、ここに提案した訳であります。尚附加えて置きたいことは提案の理由でなしに提案の遅れた理由を申上げますと、道路条例の制定はずうっと以前に見たのでありますが、遅れましたのは道路敷地の補償問題が目鼻がつきはしないかという考え方もしておりましたので聊か延引しておったが未だ目鼻がつきませんので、この道路敷地の補償問題につきましては別の公共建物の敷地もありますのであれと同様の解決に俟たなければならない、遅れたのはそこが目鼻がつきはすまいかといったことが今日迄延引しておった理由であります。以上の理由で提案致しました。どうぞ宜しく御願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第五号は第一部委員会にその審査を付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十の報告第一号を議題と致し、当局の説明を求めます。
報告第一号
知事専決処分報告について
一九五二年度補助金追加更正予算(一九五一年六月十四日議案第六十号を以つて知事専決処分として指定された米民政府補助金に関する予算)について別紙の通り専決処分しましたから群島組織法第三十三条第二項の規定に基き報告します。
一九五二年三月十三日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
(注 別紙予算書は、一九五二年三月二十五日付け沖縄群島公報第二十号に登載のものを採録した。)
沖縄群島告示第八号
第十三回沖縄群島議会に知事専決処分事項として報告した一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算の要領は別紙の通りである。
一九五二年三月二十五日
沖縄群島知事代理
副知事 山城 篤男
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 知事専決処分について御報告致します。去る十二月から一月にかけて関係各部におきましては臨時部予算を検討致しました結果、若干の科目に不足を生じ若干の項目に余剰科目が見込まれましたので、これを部内予算の範囲内で補正すべく民政府に夫々申請致しましたところ申請通り補正の委託を受けたのでありまするが、予算継続上直ちに執行の必要がありましたので知事において夫々追加更正の専決処分を行なったのであります。尚又臨時部予算の、部内の更正措置は従来民政副長官の認可の上に施行しておりますが四月二十八日付民政官の依命事項によりまして爾後知事の専決処分すべき旨の通牒を受けたのであります。それで関係各部においては慎重に検討を加えたところ、猶若干の科目に不足乃至剰余が見込まれたのであります。年度末でもあり、群島政府の解消を控え出来る丈予算の効果的運営を期する意味から去る二月末と今月始めに、夫々知事において追加更正の専決処分を行なったのであります。専決処分になりました科目は多数に上っているのでありまして、その詳細につきましては予算書によって御諒解を願いたいと思います。尚更に御質問に応じて御説明申上げたいと思います。特にここで申上げておきたいことは、第四部文教部第一款第六項第一目建築費における二百九万六千円の追加更正であります。これに関連致しまして、曩に颱風災害による校舎建築費の追加を民政府に申請し屡々折衝の結果遂に民政府で直接市町村に施行させることに決定されたのであります。処で大体政府の本件に関する計画の中には文教部割当示達済の他の科目の予算からも二百余万円捻出して振向けるべく申請してあります関係上、去る二月十四日ルウィス准将の名を以てこの金額を一般へ交付させるよう通牒に接しましたので直ちに支出すべく去る三月六日に追加更正の専決処分を行なったのであります。以上簡単ではありまするが御報告と致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第十一、決議第一号を議題と致します。
決議第一号
市町村制の改正について
市町村制の改正について別紙の通り沖縄主(首カ)席民政官へ回答致したく議会の議決を得たいので提案する。
一九五二年三月十三日提出
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
宛 :沖縄主(首カ)席民政官
経由:沖縄群島知事
発 :沖縄群島議会議長
題 :市町村制の改正について
一九五一年四月四日付沖縄民政官府副官から知事宛の依命通牒に係る首題の件について沖縄群島議会は左の通り回答致します。
記
一、市町村制の改正については第七回議会の本会議(一九五一年四月二十六日)において議会の承認を得て群島政府総務部行政課で之が改正の立案を致すことになりました。
二、行政課においては慎重審議の上漸く成案を得此の程議長宛に右改正案の送付がありました。この改正案は二百余条に亘る厖大なものとなつており、之が条文の研究整備迄には今後相当な時日を要するものであります。
三、処が本年四月一日を期して琉球中央政府が発足することとなり之に伴い群島政府は解消せらるることになつたのであります。
四、従いまして同改正案中群島と市町村との関連事項について考究するに今改正をしても群島政府解消後更に改正を要しますのは必定であり、従つて本議会としては行政課係員、市町村長側の改正要望意見や日本の諸法規、現行民政府令並びに指令を参酌し、現行市町村制中改正を要すべき主なる事項を別紙の通り調製致したのであります。
五、依つて別紙現行市町村制中改正を要すべき主なる事項を勘案の上大島、宮古、八重山各群島の実情をも考慮し琉球中央政府立法院において市町村制の改正立案を行つた方が得策だと考えます。
一九五二年三月 日
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
現行市町村制中改正を要すべき主なる事項調
1、現行第二条の市町村は法人とする「市町村はその公共事務及び法令により市町村に属する事務を処理する」とあり概括的に称えてある事務を例示的にする。
2、現行第三条の「市町村の廃置分合又は境界設定(注 欠落のため挿入)は関係市町村議会の意見を徴して知事がこれを(注 挿入)定める」は「関係市町村の申請に基き知事は群島議会の議決を経てこれを定める」こととする。
3、現行第四条市町村の境界に関する争論は関係市町村議会の意見を徴して知事がこれを(注 挿入)裁定することになっているのを、関係市町村が裁判所にその確定の訴を提起するようにする。争論がない場合には知事が裁判所に境界の決定を求めることができる様にする。
4、新たに市になる要件、町になる要件を制定する。
5、現行規定の「条例及規則」の事項を増制する。
主なるものは条例に違反したものに対しては条例の中に罰則が設けられる様にする。規則についても同様である。尚条例、規則の公布方法も具体的に決める。
6、現行規定の住民の権利である第八条、第九条の請求権の発動に関する規定を設ける。
7、議会議員の定数を左の通り変更する。
人口 二、〇〇〇未満 八人
〃 二、〇〇〇- 五、〇〇〇未満 一二人
〃 五、〇〇〇-一〇、〇〇〇未満 一六人
〃 一〇、〇〇〇-二〇、〇〇〇未満 二〇人
〃 二〇、〇〇〇-五〇、〇〇〇未満 二六人
〃 五〇、〇〇〇以上 三〇人
但し条例で減少ができるようにする。定数変更は一般選挙の場合からとする。
8、現行第十六条規定の議員の任期のことを改訂する。
9、現行第二十三条の議会の事務調査に関する規定を具体的にする。
10、市町村議会に委員会を置くことができる様に新たに規定する。
11、現行第三十二条の規定では議員が過半数出席しなければ会議を開くことができないことになつているのを半数出席すれば会議を開ける様にする。
12、現行第五十八条の市町村長の任期の規定を改訂する。即ち市町村長の任期は四年とする。任期の起算については一般選挙の日から起算する。但し任期満了による選挙が市町村長の任期満了の日前に行われたときは前任者の任期満了の日の翌日から起算することとする。
13、市町村に副収入役、出納員を置くことができる様にする。
14、職員任用に関する規定を変更する。即ち公務員法制定を考慮して。
15、現行第八十九条に議会の議決又は選挙が権限を超え又は法令若しくは会議規則違反は再議を要求し、再議後尚違反を認めるときは知事の裁決を請うことができると規定されているのを、議会を被告として裁判所に出訴せしめる様にする。
16、選挙管理委員会の規定を新たに設ける。
17、監査委員に事務補助をさせる書記を置くことができる様にする。
18、市町村職員に退隠料、退職給与金、死亡給与金、遺族扶助料を受けることができる様にする。
19、市町村の条例で定める特に重要な財産又は営造物については当該市町村の選挙人の投票においてその過半数の同意を得られないときは当該財産又は営造物の独占的な利益を与える様な処分又は十年を超える期間に亘る独占的な使用の許可をしてはならないことにする。
20、分担金徴収に関しては予め公聴会を開かねばならない様にする。
21、市町村の起債については別にこれを府令で定めることとする。
22、公金支出の制限規定を設けることとする。
23、現行第一二三条の補助の規定中、その施設を一般に開放する公共事業に対し補助することができるとあるを、「市町村は公益上必要がある場合においては寄附又は補助することができる」に改正する。
24、雑則に市町村は原則として財産の売却及び貸与、工事の請負並びに物件、労力、その他の供給は競争入札に付する様規定する。
25、現行の「第七章市町村長の協議会」は削除する。
26、現行の「第九章地方自治委員会」は削除する。
(写)
琉球列島米国民政府
沖縄民政官府
米民沖行法
一九五一年四月四日
副官 軍務団大尉
ルウイス・ピー・オーア
沖縄群島知事殿
市町村制の改正について
一、一九四八年七月二十一日付軍政府指令第二十六号市町村制現行法には幾多矛盾する所や不適当な所があるので完全な新組織法の制定をすすめたいと思う。
二、ついては沖縄群島議会で市町村制の法案を作製して貰いたい。この法案は完全で現実的であるべきである。市町村側が適当であると認め、又こんな市町村制を採用したいと希望している日本の現行法及軍政府即ち民政府の現行布令並に指令を採用することを認めてやるべきである。
この法を制定するに当つては現在その必要を認めているもの及び将来その必要があると認められるものは全部その中に織込まなければならぬ。
本法の制定については琉球列島米国民政府の認可が下りたら、本法に抵触する諸法律、布令及指令は全部之を廃止する。即ち新法の認可と同時に旧法は之を廃止する。そうすれば現在適用すべき法律がないとか又は同じ問題に関して同時にこの矛盾した法律があるということを無くすることが出来る。
右主席民政官の命に依り通牒する。
第七回沖縄群島議会々議録抜萃
一九五一年四月二十六日の本会議初日
市町村制の改正についての公文朗読報告後総務副部長から左記の通り議会に報告
記
○総務副部長(稲嶺成珍君) 市町村制の改正については只今書記長が読上げた通りであります。曩に現行市町村制の方には幾多疑義がありまして我々数回に亘ってその疑義を照会しておりますが軍の方でも本法が不備が多いということを認めまして今回市町村制の改正についてその法案を群島議会で作成して貰いたいと云う通牒が来ている訳であります。
それによりまして事前に総務財政委員会の方で自分も出席してお話申上げましたが一応は総務部の行政課の方で立案をして見て、そして議会の方にお諮りしたいと思っております。
この通牒によりますと沖縄群島議会で草案を作成して貰いたいと云うことでありますので我々で諸般の準備をして各方面の意見も取入れて立案して議会に提案をしたいと思っております。
以上この前の総務財政委員会の御報告を申上げておきます。
◎議長(知花高直君) 只今議題となりました決議第一号市町村制の改正について、提案理由を説明申上げます。
昨年四月四日付沖縄民政官から現行市町村制は幾多矛盾する処や不適当な処があるので、これが改正案を沖縄群島議会で作成して貰いたいという知事宛通牒があったのでありまするが、四月二十六日の第七回議会本会議の承認を経て総務部行政課で一応改正の立案を致すことになり、行政課で六ケ月余に亘り慎重審議の上漸く成案を得て、この程議長宛にその改正試案が回付されたのであります。而してこの改正試案は二百余条に亘る厖大なもので条文の研究整備までには今後相当の時日を要するものと思います。処が本年四月一日を期し琉球中央政府が発足することになり群島政府は解消せられることに相成ったのであります。この改正案の内容では群島と市町村との関連事項が相当規定されております関係上、議会で条文の整備をなし改正案を纏めた処で群島政府解消後更に改正を要するのは必定であります。それで本議会としては、現行市町村制中改正を要すべき主なる事項を纏めて民政府に回答した方が得策だと考えまして行政課からの改正試案に基き、尚第二部委員会委員の御意向を参酌致しまして議長において回答文を起草し今回提案致した訳であります。以上簡単に提案理由を説明致しました。宜しく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 只今の決議第一号はその審査を第二部委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 次ぎは日程追加になりました日程第十二、肥料販売値段据置の件につき陳情書を提出することについて、十四番議員(祖根宗春君)提出陳情第一号を議題と致し、提案者の提案理由の説明を求めます。
陳情第一号
肥料販売値段据置の件につき陳情書を提出することについて
肥料販売値段の件につき別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
一九五二年三月十三日
十四番議員 祖根 宗春
別紙は議長一任
◎祖根宗春君 本件は十六番新里議員と共同提案であります。今沖縄の農民が非常に困っている問題は色々ありますが、この肥料の値段が只今一ドル対六十円の換算で以って販売されております。それによりますというと調合肥料が大体農家の手元迄に渡る場合は二百五十円内外の販売価格になっておりますが、仄聞する処によりますと軍の方では近く一ドル対百二十円換算のレートにしまして肥料の販売価格を上げるような方針だと聞いておりますので、若しそういう風にして上げられたならば今二百五、六十円している肥料が約五百円近くになって来るのでありまして、農民が現在金詰りで非常に疲弊困憊しているさなかにこの値段を上げられることは農業生産の非常な隘路となりますので、この販売価格は現在の一ドル六十円の換算を据置にして販売して戴くことを軍の方で値上げを決定しない前に議会の議決を得まして米国民政府に陳情したいとこう考えております。それでこの問題については既に農業協同組合、各組合及び協同組合連合会、更に昨日は市町村長会でもこれを採上げて決議しているようであります。議会としましても全沖縄の農民の要望を是非米国民政府にお伝えして据置方を陳情しようとこう思います。宜しく御賛同を願いたいと思います。
◎議長(知花高直君) 陳情第一号は只今十四番議員(祖根宗春君)から提案理由の説明がありました通り農民として至って重大な問題でありまするが故に、本案は別紙議長一任となっております。それで本案は質疑討論を省略して、原案通り可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って陳情第一号は原案可決致します。
◎議長(知花高直君) 本日の日程は終了致しました。
来る二十日(木曜日)午前十時本会議を開会することに致しまして、本日はこれで散会致します。
午後一時三十七分散会
出席者は左の通り
議 長 知花 高直君
副議長 稲嶺 盛昌君
議 員
仲村 栄春君 石原 昌淳君
普天間俊夫君 宮城 久栄君
平良 幸市君 玉城 泰一君
松本 恭典君 具志頭得助君
長浜 宗安君 山川 宗道君
祖根 宗春君 山城 興起君
新里 銀三君 野原 昌彦君
崎山 起松君 仲井真元楷君
副知事 山城 篤男君
財政部長 仲宗根秀俊君
経済部長 呉我 春信君
工務部長 渡嘉敷真睦君
文教部長 屋良 朝苗君
警察本部長 仲村 兼信君
知事室事務局長 宮城 寛雄君
監査委員長 金城 研一君
総務副部長 稲嶺 成珍君
財政副部長 久場 政彦君
工務副部長 神谷 米信君
厚生副部長 大森 泰夫君
警察本部次長 西平 宗清君
主計課長 板良敷朝基君
主税歳入課長 祝嶺 春徳君
土木課長 伊佐 真人君
会計課長 本村 朝宜君
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