- 組織名
- 沖縄群島議会
- 開催日
- 1951年03月27日
(昭和26年)
- 会議名
- 第6回沖縄群島議会(定例会) 1951年3月27日
- 議事録
- 本会議第四日目
一九五一年三月二十七日午前十時三分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。本日の出席十八名、欠席二名であります。
◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。五番議員石原昌淳君、及び八番議員平良幸市君から議案送付について議長宛文書が参っております。書記長をして朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」公文朗読)
一九五一年三月二十七日
五番議員 石原 昌淳
沖縄群島議会議長 知花高直殿
議案送付について
群島組織法第六十六条に依り別紙の通り議案を送付致しますから今期議会に提案方御取計相成りたい
(別紙朗読省略)
一九五一年三月二十七日
八番議員 平良 幸市
沖縄群島議会議長 知花高直殿
議案送付について
群島組織法第六十六条に依り別紙の通り議案を送付致しますから今期議会に提案方御取計相成りたい
(別紙朗読省略)
○議長(知花高直君) 只今報告致しました議案は後刻配付致させます。
◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
議事日程第八号
第一、沖縄群島教育基本条例について
(知事提出議案第十六号)
第二、沖縄群島学校教育条例について
(知事提出議案第十七号)
第三、沖縄群島教育委員会条例について
(知事提出議案第十八号)
第四、沖縄群島陸運条例について
(知事提出議案第二十二号)
第五、沖縄群島企業免許手数料徴収条例について
(知事提出議案第二十四号)
第六、一九五二年度沖縄群島歳入歳出予算について
(知事提出議案第十四号)
第七、一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
(知事提出議案第十五号)
第八、割当土地に対する所有者(権カ)の権利(ママ)の制限について
(知事提出諮問第六号)
第九、地方自治委員会委員の指名について
第十、沖縄医師配置委員会委員の推薦について
第十一、協同組合法及び農水金庫の実現方促進の件につき陳情書を提出することについて
(八番議員提出議案第二十九号)
第十二、住宅建築用杉材の輸入促進の件につき陳情書を提出することについて
(五番議員提出議案第三十号)
第十三、泊の公有水面埋立事業に関し意見書を提出することについて
(五番議員提出議案第三十一号)
以上であります。
○本日の会議に付した事件
日程第一、沖縄群島教育基本条例について
(知事提出議案第十六号)
日程第二、沖縄群島学校教育条例について
(知事提出議案第十七号)
日程第三、沖縄群島教育委員会条例について
(知事提出議案第十八号)
日程第四、沖縄群島陸運条例について
(知事提出議案第二十二号)
日程第五、沖縄群島企業免許手数料徴収条例について
(知事提出議案第二十四号)
日程第六、一九五二年度沖縄群島歳入歳出予算について
(知事提出議案第十四号)
日程第七、一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
(知事提出議案第十五号)
日程第八、割当土地に対する所有者(権カ)の権利(ママ)の制限について
(知事提出諮問第六号)
日程第九、地方自治委員会委員の指名について
日程第十、沖縄医師配置委員会委員の推薦について
日程第十一、協同組合法及び農水金庫の実現方促進の件につき陳情書を提出することについて
(八番議員提出議案第二十九号)
日程第十二、住宅建築用杉材の輸入促進の件につき陳情書を提出することについて
(五番議員提出議案第三十号)
日程第十三、泊の公有水面埋立事業に関し意見書を提出することについて
(五番議員提出議案第三十一号)
◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
日程第一の沖縄群島教育基本条例についてを議題と致します。本条例はその審査を文教厚生委員会に付託されましたので文教厚生委員長の報告を求めます。
◎玉城泰一君 教育基本条例並に学校教育条例及び教育委員会条例の三つの条例が文教厚生委員会に付託されましたが、其三つの条例は不離密接な関係にありますので一括して研究する事に致しました。之を同時に上程した方がよいと思われますが如何でしょうか。
◎議長(知花高直君) 文教厚生委員長(九番議員)から同時に議題としたらという動議がありますが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして、日程第一の沖縄群島教育基本条例について(議案第十六号) 日程第二、沖縄群島学校教育条例について(議案第十七号) 日程第三、沖縄群島教育委員会条例について(議案第十八号)の三案は一括議題と致し、三案共文教厚生委員会にその審査を付託してありますので文教厚生委員長の報告を求めます。
◎玉城泰一君 文教厚生委員会における審査の結果を御報告致します。三月二十日に委員会を開催致しましたが只今申上げました通り三条例案共不離の関係にありますので、一括してこれを研究することになりました。文教部長、関係各課長御出席して貰って提案の理由を聴取し、更に各条例、条文に亘って、その趣旨並びに語句などに対する質疑の後審議に入りました。時間の関係で、極く大略を報告致します。まず最初に沖縄群島教育基本条例でありますが、この条例には前文がついております、他の条例に例のないことでありますが、この条例は従来の教育勅語に代る沖縄新教育の目標を明示する重大なるものでありますので、前文にその趣旨を謳った方が適当とおもわれます。これが謳われたとおもいます。前段と後段があります。前段は教育の重要性、後段は教育の理念が謳われております。前段は異議はありませんが後段の第二行、環境から来る制約を克服し、ということを入れるがよいか、とったがよいかという意見がありました。だが沖縄の歴史、地理的な条件から見て、その特殊の条件を謳った方がよかろうという多数の意見でありましたので、原文のままに致しました。結局前文は原案通りであります。
第一条、第二条、第三条、第四条、第五条、第六条、第七条、第八条まで、これは殆んど日本の教育基本法に準拠したもので、そのまま原案の通り認めることになりました。特に申上げますのは第八条の後段、学校の政治活動についてであります。勿論これは原文のまま異議はないのでありますが、解釈について、委員同志、意見を交換致しました。ここに規定してあるように学校は政治活動してはならないということになっております。学校の教員は個々の資格において政治活動しても差支ないという風に解釈します。そのことについて、結局、原案通りといたしましたが、然しながら実際の場合において教員が政治活動した場合、果してこれが学校としての政治活動であるか、教員個人としての政治活動であるか、その判断は非常にデリケートなものである、教員が政治的活動する場合、その立場、その機会、その方法について充分、慎重な考慮が払われなければならんという風に決定しました。それから第九条第二項中括弧で挿入されてある「特定の宗教に反対し又は」は削除したがよい。理由は第九条の第一行目に宗教に関して寛容の態度と云うことが謳われて居ります、宗教に対して寛容なる態度を持つと特定の宗教を非難したり、けなしたりすることはないというので、これを重ねていう必要はないので削除して第十条、第十一条は原文のままに致したのであります。結局此条例での修正は第九条の括弧で挿入された「特定の宗教に反対し又は」の文句を削除しただけで、その他は原案通り可決致したのであります。
次ぎは学校教育条例でありますが修正した箇所を先ず報告致します。第五条一、二、三、四となっておりますが、二、三を纏めるため二の校舎、運動場の営繕の下に備品及び消耗品、これだけを挿入します。そして三は全文これを削除します。もう一度申上げますと校舎、運動場の下に備品及び消耗品、これを入れまして第三号を削除し、第四号を第三号に繰上げます、それから第十七条は全文削除致しました。この学校教育条例が学校教育基本条例に依って制定されることは申上げるまでもない、この条例は戦前の小学校令、中学校令、高等学校令、そういったような、勅令、省令で定めたものを一纏めにして定めたものであります。所で今回提案されました、この学校教育条例は学校教育条例の全部ではなくその一部で即ち初等学校、中等学校、高等学校、その他各種学校に適用される総論的な部分だけである。従って成案がで次第、この条例が学校教育条例の総則となって今回提案されましたのが学校教育条例の第一章総則となるわけであります。その次に第二章初等学校、第三章中等学校、第四章高等学校と次々に追加改正される予定であります。そういうわけで第十七条をここに特に謳う必要はないというので、これを削除いたしたのであります。第五条を訂正いたしますのは、条文を簡潔にするためでありまして議案第十七号につきましては只今申上げました通り一部修正可決致したのであります。
それから議案第十八号の「沖縄群島教育委員会条例」これも修正を加えたところを申上げます。
第十一条の「地区委員会」とあるのは「各地区」に修正いたしました、第十二条第一項中「地区教育委員会」とあるを「地区教育長」に修正致しまして同条第二項は削除致しました、以上二ヶ所であります。
何故そういう風に修正したかというとこの条例に現われた教育委員会条例というのは凡そ教育委員会本来の性格とは余程違っている。教育委員会を設置する趣旨は知事並びに市町村長に属するところの一般行政事務の中から、特に教育行政に関する事務を引離して之を教育委員会に任せるという事によって教育行政を民主化するということが目的である。従って教育委員会なるものは、これは教育行政の実権を握ぎる執行権は勿論決定権も握らなければならんがこの条例によると教育委員会は教育長の手足となって、その諮問に答えるというだけが、その任務になっている。本来の性格からいうと、教育委員会が実権を握って、教育長は手足となって働くというのが本来の性格である。何故その教育委員会本来の姿と懸隔のある、しかも条例になったかということにつきましては、これを提案するとき文教部長から説明があった通りであります。
群島組織法と抵触するためにどうしても、これ以上教育委員会に実権を持たせることができないという意味で従来の教育委員会の性格とは余程、遠いようになったのであります。しかし乍ら例えこの条例がどうあろうとも、その運営については充分、民主的に運営して貰うように希望しておきました。そこで議案第十八号は只今申上げました通り一部修正可決致したのであります、若し御質問があればお答え致します。以上で報告を終ります。
○文教部研究調査課長(安里彦紀君) 教育委員会条例の第四章第十九条一の群島立学校及びその他の次に、これはこの前の文教厚生委員会にかける前に委員の御了解を得て、文章を挿入することをお願い致しました。群島立の学校及びその他の次に「群島立」という文句を入れるのであります、その他の群島立教育機関となるわけであります。この群島立の学校の校長、教頭、教職員、初等学校長、中等学校長及びその他の次に群島立教育機関と「群島立」を入れます。
◎宮城久栄君 私は文教厚生委員の一人でありますが二十日の委員会には病気のため欠席しましたので、この委員会の案には賛成でありますが、ちょっと疑問を質して見たいと思います。教育委員会条例の第二十条の四項です。今日沖縄全島に数ヶ所、学校の移転、敷地の変更で問題があって未だに解決困難な事実があります。ここでは学校の設置、廃止統合、或は学校敷地の設置変更を委員会で指導助言するとあるがこれが決定権はどこにありますか伺いたい。
○文教部長(屋良朝苗君) この件につきまして、従来は教育委員会の方で決定して、知事の認可を得るようになっておりますが、いろいろ研究の結果、教育委員会にそういう権限は与えられない、委員長から話もありましたが群島組織法には教育委員会なるものは出ておりませんので、権限が与えられない、そうすると結局これは、その設立者、つまり市町村長が実権を握ると考えております、今日までもみ抜いた諸問題は今後は市町村長で決定して知事の認可を得る事になっている、これに対して教育委員会が指導助言する、こういうことになっております。
○宮城久栄君 やはり旧国民学校に準じて議会の議決によって、地方長官いわゆる知事に認可権はあるのですね。今でもその通り実施するのですね。
○文教部長(屋良朝苗君) そのつもりでおります。
○宮城久栄君 最後の決定は知事ですね。
○文教部長(屋良朝苗君) 認可ということになります。
○宮城久栄君 それが円満に、議会、村民が一致したら問題でないが、今日その事情を新聞を通じてみると、なかなか地元民では解決できない。そういう場合はやはり多数決で議会は知事に報告するのだから、それによって知事は決定なさるわけですね。
○文教部長(屋良朝苗君) 向うが決定しかねない(ママ)ときには、その自治体自体が解決できない時は知事がする外はないと思いますがどうですか。
○知事(平良辰雄君) 決定ということは知事はできないのです、あくまで自治体の決定であって適当か、不適当かの認可権を持っているに過ぎないので、向うでいざこざがある場合、それを調整する役目は当然もたなければいけない。結局法律的に解釈すると決定権ではなく認可をするということになります。
○宮城久栄君 趣旨は分りましたが、知事が認可してもその村が治まりがつかないときは、一体どうします。
○知事(平良辰雄君) それは今の法規で強制するとかいうようなものがない、それは施行しなければ町村長は罰するとか、なんとかいうものがないのでありまして、そこは施行させるように努力する他はないのであります。
○文教部長(屋良朝苗君) その件については後のそれに違反する場合はどうなるという罰則が謳われるのであります。総ての第一章、第二章、第三章、と終りました後に罰則があるのであります。この条例によってその指令にそむいた場合は罰されるのであります。
○宮城久栄君 罰則は結構であるが、村長の罰則位では痛くもかゆくもない。村民全体の罰ということは法規ではできないが非常に重要問題で村長としては村の教育根本方針にふれる、議会にかけてもおさまりがつかぬ、知事の認可も村民がきかぬ、村長が罰するだけでは薬がきかないと思うのですが、こういう紛争は一年も二年も続けると教育上、大きな問題でありますがそれは法規がまだきまらないにしても、慎重にして戴きたい、これで質問を打切ります。
◎祖根宗春君 教育委員会条例の第十二条第二項を抹殺したとすれば、それに該当する事務は何であるかを、伺いたい。なお教育委員会条例はこれによると、中央教育委員会は民主的な自主的な選挙によって推薦されなければならん。文教部長の推薦によって知事がこれを依嘱するということは官僚政治の教育委員会制度になると思います。その点群島組織法と抵触するならば、速かにそれを改正して、民主的な自主的な教育委員会にするよう、その群島組織法に(ママ)改正して、そして教育条例も教育委員会条例も、その線に沿うて改革するように希望致します。
◎玉城泰一君 第二項の問題についてであります、第一の質問に対してお答え致します。
第十二条の第二項中央教育委員会の事務は文教部職員がこれに当る、これを抹殺したら、これに代るべきものはどうするかという質問でありますが、先に説明致しましたように中央教育委員会というものは、単なる諮詢機関である、委員会の権限に基く事務というものはありません、これは文教部長の事務になるのであります。従って特にここに謳う必要はない、教育委員会の事務はありません。
◎仲里誠吉君 教育基本条例について当局に質問致します。その前に日本における憲法を見てもらいたいが、日本国憲法は戦争の永久放棄を謳っている、しかるに客観状勢の変化と共に日本の吉田内閣は戦争準備へ全国民を引っ張ろうとしており、従って憲法の精神をふみにじろうとする傾向が表れていることは、新聞紙上によっても充分に洞察できるところであるが、このような教育基本条例このような美しい、きれいな、いろいろの法文はとかく、日本の前例にも見られるように、客観状勢の変転と共にこの精神がふみにじられるような傾向があるし、また事実過去においてあったわけである。ところがこの沖縄の教育基本条例を見てみると真先に第一条にこういうことが高々と謳われている。我々沖縄人は一九四五年を境として、新生の歴史を創造すべき使命を担うようになったということを謳いあげているが、然らば当局はその具体的に現実の問題として、沖縄の歴史を創造するためにどのような歴史教育を施そうとしているのか、或は又施しつつあるか、またそのような、施さんとしており、施している現実の基本精神として、過去における沖縄歴史の欠陥をどういう風に見ているのか、それを伺いたい。それからその次は第八条、第九条共に、第八条は政治教育を尊重をしているけれども同時にまた特定の政党を支持し或はこれに反対するための、政治教育とその他政治活動をしてはならないということを規定しているのであるが、過去の実状においては教壇からも或は又教壇を離れても生徒に対して沖縄の特定の政党に反対し、煽動的な言辞を弄して来たのであるが、過去における現実は基本条例の精神をふみにじったのであるが、今後は基本条例、その他の学校条例、委員会条例には何等このような罰則に類するような規定がない。その点、如何であるか、それから第九条の宗教々育もその通りで、若し第九条の宗教の自由、この精神に反して特定の宗教を攻撃するような言動が一部の教員の中にあったと仮定した場合、これをどういう風に取締るか、それを伺いたい。それから第一条教育の目的、そこには教育は、人格の不断の向上をめざし、民主的で平和な社会の形成者としてと書いてある、第二項目に真理と正義に生きる為には我々は報道の自由を与えられなければならない、報道の自由があって始めて如何なる立場の主張が真理である事が判断できるわけである。これこそデモクラシーの基本精神の一つであるわけであるが、沖縄の場合そこまで来ていないのであるが、現実の改善のために教育者はどういう構想を持っているか、以上合せて伺いたい。
○文教部研究調査課員(山田有功君) 新生の歴史という文句でありますが、これはこの歴史は狭い意味の歴史ではありません、新生の生活を創造する使命を担うようになったという意味を、つまり生活を後からふりかえって見れば歴史になります。そういう意味の歴史であります、なお狭い意味の歴史、沖縄の歴史というものが、これまで、割方おろそかにされておりましたので、今度中等学校並に高等学校の社会課(科カ)で沖縄史という課目を指導することになりました。
報道の点でありますが、これは報道の自由ということは最も大切なことではありますが、直接に文教部と致しましては、報道の自由に関する権限といいますか、そうしたものはもち合せておりませんので、たとえば生徒が学報を出すとか、或は自治会の雑誌を発行するとかといった場合に、それを適当に指導してやるという程度しか出来ないようであります。広い意味の報道の自由は文教部以外の然るべき機関がありますのでその点までは謳っておりません、以上申上げておきます。
◎仲里誠吉君 只今の答弁によって教育基本条例の第一の新生の歴史は歴史を主体とするよりも生活の創造であるという事が、明瞭になったわけであるが事実当局が生活のみを対象としておれば生活と言葉を変えなければならないけれども然し同時に学校において沖縄歴史の教育を考えているということであるが、本員が伺いたいのは沖縄歴史は当然再編成されなければならんのであるが、この再編成の基本精神、これを主として聞いているのであるが、一問一答式でいくと本日は議案が多いので時間を取るので要望のみを申上げると、従来の沖縄歴史の欠陥として過去の琉球王国における黄金時代にこれが欺瞞的に謳い上げられて来たのであるが、これは先達ても本員が主張したように、一応は黄金時代であるかに見えたが、その裏面において、当時の人民大衆、就中、農民は苛斂誅求に悩み弧島苦は勿論蘇鉄地獄に悩んで来たという事実をわすれてはならない。歴史を創造し推進していくのは飽くまでも人民の精神力である、この辺のところをよく考えてそういう基本精神に則って沖縄歴史を再編成してほしい、これだけ強く要望しておきます。もう一つ今の解答にぬけたものがありますが、これは政治教育の段、これは特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治活動をしてはならないというのがあるが過去の沖縄の歴史においては、これをふみにじる行為があった、特に選挙の場合然りである、今後このような現象が、再び起った場合、教育基本条例をふみにじる場合があったときは委員会条例には何等これを制裁する規定がないけれども、その場合当局はこれに如何なる態度を以て望まんとするのであるか、それを伺いたい。
○文教部長(屋良朝苗君) これは法理に抵触し、これに反する場合は行政処分に依って処罰せられると考えております。
○議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。
◎仲村栄春君 学校教育条例の第五条の第三項は削除せられまして、第二項の校舎、運動場の営繕、備品及び消耗品という風になっておりますが、この条例そのままでは備品、消耗品はこの条例の発布と同時にそれぞれの設置者が負担をするというかたちになっているが現在の市町村における学校の備品等は特に机、腰掛、教具の類は現在の市町村の財政では聊か無理が来ると思われるのでありますが、この条例の制定と同時にこれ等の設備費を打切られる御予定であるか、成るべくんばこれ等の費用は第一項の但し書にある如くに但し書を入れていただきたいとおもいます。
◎長浜宗安君 目下全島の各学校にある備品はあるいは所によって相当の備品を与えられたのもある、或は所によっては全くその半分の備品も持たないというようなところもありますし、その辺の均衡をとられるために何か対策を文教部はとられたか、お伺いします。
○具志頭得助君 これは委員(委員会カ)付託になったものを更に質疑をするのですか、討論ですか。
○議長(知花高直君) 今討論になっております。
○文教部長(屋良朝苗君) 質問にお答えします。
この条例によると今後市町村の初等学校、中等学校の経費が市町村の負担になるようでありますけれども、しかし今日まで軍の補助に依って備品を配給したものがあります、例えば机、腰掛、黒板であるとかオルガン、顕微鏡、ミシンといったものは配給されていますがこれが必ずしも全部に行き渡ってないのであります。それをこのまま打切ると極めて不公平になりますのでそれは引続き公平にゆき渡るまで支給する積りであります。従って条例にはこう謳われていますが、本年の予算を御覧になれば分りますように、あれには廨庁の備品費、消耗品費というのが去年より高く見積られている、計上されています、そうしますると、今後も引続き備品のあの予算が通りませんと、オルガンが若干配給せられているが残りの学校にはオルガンは配給されない、従ってそういう所は不公平のないようにしたいと考えております。
◎議長(知花高直君) 議案第十六号、第十七号、第十八号を一括して委員長の報告どおり可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして議案第十六号、十七号、十八号は文教委員長の報告通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第四の沖縄群島陸運条例について議案第二十二号を議題と致します。
これは工務委員会にその審査を付託してありましたので委員長の報告を求めます。
◎石原昌淳君 只今議題となりました陸運条例につきまして、工務委員会において審議致しましたその経過並に結果を御報告いたします。三月二十一日工務部の会議室で全員出席の下に審議をしたのであります。条例は七章三十九条からなっておりまして、その条例設定の必要なる理由及び主旨については先日の議会で工務部長から説明がありましたが、これを簡単に要約いたしますと、沖縄の陸運事業につきましては終戦後、米軍車輛が貸与になりまして、軍指令第十一号一九四七年三月二十四日付の陸運車輛の運転及び営繕に関する件、あるいは軍の指示に依って運営されたが昨年の七月で米軍車輛は全部返還を命ぜられ、代って日本車輛が続々入荷しますし、それから島内に於て多数の組立車輛が組立てられまして、その数は飛躍的に増加して来ているのであります。これ等の車輛が活動して各方面に寄与していますが、この増加に伴って、この陸運行政事務を処理する基準法規が整理されておりませんので、その整備を計(図カ)るためにこの条例が設定せられるようになったのであります。その質疑、討論の経過を申上げますと、第五条及び第六条に関連した事項として、即ち自動車運送事業の免許、許可又は認可事務につきましては、これは現在の群島組織法に依ると一部事業面の方は工務で扱ひ、車輛関係は公安委員会でこれを行うようになっていますが、これは今のところ止むを得ないのでありますが、これを陸運行政の円滑なる運営並に決定をやる面から致しましても、あるいはこれを業者関係から見ても監督機構の一元化を計る事の必要を委員会として感じたのであります。そしてこれを工務部に一元化する群島組織法の改正について要望するような意見に決ったのであります。それから本条例の審査に関連致しまして、もう一つの運転手の免許、許可につきまして現在は軍の方でも運転手免許証をくれている、民の方でもくれていますが最近の交通事故の頻発の現状に鑑みまして、これは両方で免許していることが大きな一つの原因であることに鑑み、これを是非民に一元化的に権限をやるように計られたいという事の意見になったのであります。それから、その他各条文について、色々討議したのでありますが、結局条例としては原案の通りに可決されたのであります。然し乍ら本条例実施に当っては特に左の四点について、此の過渡期における措置その他について要望の意見を決定したのであります。
即ち本条例は四月一日から実施することになっておりますが、現在のバス事業経営者が所有して(ているカ)車輛数だけ(けではカ)は現在の交通の需要を満たすことが出来ない実状にありますので、その実施につきましてはその間本条例の根本の目的に添うように適当に善処して運営してほしい。次には何んと申しましても車輛の数が少いのでこれを増やすことが根本の問題でありますので、数を増やして沖縄の産業、且つ経済、交通面の発達を計るためにガリオア資金で車輛の輸入を計りその増加を計って欲しい。第三の監督機構の一元化を計る群島組織法の改正について善処方を希望すること、運転手免許、許可の民への一元化を計って欲しい。
以上四つの希望意見を委員会として持っております。甚だ簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 只今工務委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って委員長の報告通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第五沖縄群島企業免許手数料徴収条例について議案第二十四号を議題と致します。これは総務財政委員会にその審査を付託してありますので委員長の報告を求めますが、その委員長報告の前に知事から議長宛に議案の訂正について、公文が来ておりますので、書記長をして朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」朗読)
沖総号外
一九五一年三月二十七日
沖縄群島知事 平良辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
議案訂正について
議案第二十四号沖縄群島企業免許手数料徴収条例第一条中、「布告第三十三号及び」を「布告第三十三号に基く」に改め、「指令第三十九号に基き」を「指令第三十九号の規定によって」に訂正する。右報告します。
◎具志頭得助君 只今議題となりました議案第二十四号沖縄群島企業免許手数料徴収条例について総務財政委員会における審査の経過並に結果を報告致します。
一九四八年十月二十六日付米国軍政本部特別布告第三十三号に基く同日付指令第三十九号の規定に依て、企業免許手数料を徴収することに相成っておりまして今日まで五段階に分けて手数料額を決めて居ったのであります。即ち資本金二千円未満の企業に対しては二十五円、二千円以上五千円未満者(ママ)六十円、五千円以上五万円未満が一二〇円、五万円以上十万円未満二五〇円、十万円以上が四百円となっております。此の現行手数料額は現在の実情に即しない、又各段階における手数料額において均衡を失しているものと、なお十万円以上のものは一率に四〇〇円となっておりますので、段階を設けまして、そして手数料額を現状に即するように決めたいというのが本条例の主眼となっております。
この条例案は今期議会の初日の本会議におきまして、その審査を総務財政委員会に付託されましたので、三月二十四日群島政府会議室において本委員会を開催、全委員出席の下に群島政府総務部長、同副部長、企業免許事務所長の出席を求めまして開会し一応休会の形で質疑を行ったのであります。質疑は主として本条例案第二条左記の資本金額の段階及び、その手数料額におかれたのでありました。即ちこの手数料は税の性質を帯びるものであるかどうか、若しそうだとすれば、一定の率を決めて資本金額にこの率を乗じて得た額を手数料として徴収してはどうかという意見もありましたが、そうなると資本金額の多い者はその手数料額がべら棒に大きい額になる。それよりは寧ろ資本金額の段階を小刻みにして余計に設けるのが適当だということに意見の一致を見たのであります。そこで原案を検討して見るとその手数料額において小資本者に対する率が高く、大資本者に対する率が低いが、どうかとの意見も出ましたが、これは手数料としての性質上、資本金の大小に拘らず寧ろ一定の額にすべきであるが、負担の関係均衡保持の見地から致しまして、一定額ではいけない、矢張段階を余計に設けて、それに予算面とも、にらみ合せて均衡を失しないように手数料額を定めることに意見の一致を見たのであります。次いで本会議(ママ)を開き質疑を省略致しまして討論に入りましたところ、稲嶺委員は第二条の左記を資本額二千円未満の企業に対しては三十円、資本額二千円以上五千円未満の企業に対しては五十円、資本額五千円以上一万円未満の企業に対しては百円、資本額一万円以上三万円未満の企業に対しては二百円、資本額三万円以上五万円未満の企業に対しては三百円、資本額五万円以上十万円未満の企業に対しては四百円、資本額十万円以上五十万円未満の企業に対しては六百円、資本額五十万円以上百万円未満の企業に対しては八百円、資本額百万円以上五百万円未満に対しては千円、資本額五百万円以上千万円未満の企業に対しては二千円、資本額一千万円以上の企業に対しては三千円、に修正いたしまして、その他は原案通りに致したいとの意見を述べられたのであります。この意見に対しまして仲里委員は一万円以上三万円未満の二百円を百五十円に、三万円以上五万円未満の三百円を二百五十円に、五万円以上十万円未満の四百円を三百五十円にしてはどうかとの意見を述べたのでありますが、稲嶺委員は本件については政府の歳入面も考えねばなりませんし、第二段階における即ち二千円以上五千円未満の手数料は原案は八十円であり只今の修正案は五十円となっております。その差額は三十円が減額となっており、これを昨年の実績件数三、七〇〇件を乗じてみますと十一万一千円の歳入不足を生ずることになります。しかも実績件数の最多数を占めておりまする第四、第五段階、即ち資本額一万円以上三万円未満、三万円以上五万円未満の段階において原案は百六十円となっており修正案の二百円を百五十円に、三百円を二百五十円に減額いたしまするというと更に歳入の減を増大する結果になります。政府の予算面を考慮に入れて更に均衡保持の上から致しましても先程申上げました修正意見の通りにして貰いたいと述べられたのであります。
次いで討論を打切りまして表決に付しましたところ稲嶺委員の意見通り本条例案は第二条の左記を修正し、その他は原案通り総員を以て可決されました。簡単ではありますが以上報告を終ります。
◎新里銀三君 企業免許手数料条例は非常に結構でありますが、本員は去った議会にも当局に意見を申上げましたが企業免許切替えの場合、或は企業免許を新たに受ける場合、税務署が納税証明書を持って来いといわれることがあります。これは何れの法文を見てもありません。税務署にいくと市町村の納税証明書を持って来いという風に非常に事務が複雑して一日で出来るものが五日もかかる、税務署に於ては徴税署を設置して更に増員して徴税の能率を上げようとしております。更に督促をして行政執行もするという段取になっておりますので企業と納税とは別個だと本員は考えております。それで企業免許の切替或は申請については納税とは切離して企業免許の仕事だけをして貰って税務署は税務署の立場から強化した徴税を施した方が妥当だとおもいますが、ぜひ切離した方がよいとおもいます。
この点当局に要望すると同時にその対策について御意見を伺いたい。
○総務部長(幸地新蔵君) 十六番議員にお答えします、総て将来に向って研究したいとおもいます。
◎祖根宗春君 企業免許のやり方について一寸意見を述べて当局のこれに対する見解を説明ねがいたいと思います。この企業免許は群島政府直轄の事務としてやっておられますか或は事務は市町村の委任事務としてやっておりますか、この企業免許だけは群島政府が直轄でやったために辺鄙なところ殊に離島はこの切替のため、わざわざ本島地区まで、出て来なければいけない。非常に不便を感じております。従って面倒臭いから無免許でやっている業者が相当いるのであります。これに対する取締も不徹底であるが故に、こういった住民の不便を緩和するためにはこの企業免許も市町村を経由して群島政府がこれを許可する従って之に附随する意見書も市町村長の意見を徴して欲しい。理由は例えば一例でありますが、料理屋を学校の側に申請した場合、中央が状勢を見ないで、許可されると困るし、或は又市町村役所の側に劇場を造られたり、或は学校の側に料理屋、劇場を造られたり、いろんな立場的関係で許可してよいか悪いか、そういう点も中央で調べに行けば結構でありますが離島はなかなか調べにいくことも出来ないので図面上、書類上で認可をする。従って資本金が妥当であるかどうかも一々、本島のように調査にいけない。こういったへき地に対しては出来れば、沖縄全島の企業免許を市町村を通じてやって欲しい、若し急に出来ないとすれば差当り便法として離島地区だけでも実行してもらいたい。若し出来ないとすれば出張して纏めてやって欲しい。こういったことを希望するのであります。殊に離島は十万円以下の小企業者が多いのでありまして、例えば五千円の企業免許を取るため、企業免許料は五十円でありますが、離島の場合は往復の船賃と滞在日数を入れて天気のよい時に千円、天気が悪くて船が延期した時は二千円以上の費用を要する。こういう実状にありますので、これは速かに改正して貰いたい。これは委員会でも希望しましたが本会議にも主張します。それに対する当局の見解を伺いたい。
○総務部長(幸地新蔵君) 只今の御意見尤もと伺われますが、小企業例えば雑貨とかいうものについては差支ないとも考えております。一面技術的な企業になりますと技術者の又それぞれの企業の性質に依りまして、技術的な面を要する場合もありますので、その点は全部市町村におまかせすることは如何かとおもっております。尚企業免許の認可、許可については早く出来るようにという要望も相当あるのでございます。又市町村においては、相当数の政府の委任事務も多いということも聞いておりますので、こういうものを市町村に委任できて喜んで貰えば、そういう小さなもの或は委託してよいものは委託して差支ないとおもう。但し先刻申上げたように技術を要する面は到底そういう技術者も居りませんし、審査も如何と考えます。従ってそういう面全部を市町村に委任することは当分考えておりません、今先の話のように部分的に或は出張して一括免許するということは、離島に対しては考慮するのにやぶさかでないと考えております。
◎仲里誠吉君 この企業免許手数料徴収規則の中に現在吾々がおかれている社会の一つの矛盾点があるとおもうのでこれは各議員、当局にもその点を研究して貰って、来年度よりは、これを全面的に廃止して貰いたい、そういう意味での要望を申し上げたい。
歴史的に企業免許手数料ということを鴻学めいて恐縮ではあるが現在の民主社会において企業の自由が原則になっている。従って企業の自由は封建的世代にはあり得ない、当時の領主は自分達の栄誉、栄華の費用を捻出するために配下にある色々の企業から相当の手数料を取ったわけでありますが、これが如何に民主主義の原則に反するかは歴史的に見てもわかると思う。従って歴史的に見て現在の民主々義社会において企業免許手数料を取る事はいわば封建性の遺制である、その点が一つ。それから免許手数料を徴する理由として当局に伺ってみると、統計上の理由からである。即ち資本雇傭人を知りたい、それと同時に手数料によって増収を計りたい。そういった意味であるが統計を取ることは現実に依って裏切られているわけで、少くとも個人企業の場合、資本金額を正直に申告することは先ず先ずない、従ってその面からいって、統計上の理由から統計(ママ)手数料を徴収する根拠は成り立たなくなる。それから群島政府の収入を計るということであれば別の手段で計ればよろしい。先ず第一に税、何等かの名目、何等かの形で徴収すべきと思う。それから徴収する手数料は実費以上であることは一目瞭然である。更にまた群島政府の増収という建前を一応容認するとしても、この手数料の立方はどういう風に組直して見ても、それから矛盾を除くことは出来ない。即ちただ今読み上げられた新しい手数料の段階手数料率に依て見ても分るように依然として企業者(小企業者カ)が若干負担が大きい。飽くまで負担の公平を期するということがあれば資本金額に応じて小企業者には可及的少く、大企業者に対しては可及的大きくかけるということでないといけないが、当局の考え方は飽くまで収入を増したいということであれば結局このような原則に反して小企業者に依然として、やや重いような形になっている。それからもう一つは企業の自由が軍政府の根本原則で農連や水連の如き農業、水産業の如きものも虐げられた企業者を保護するための保護機関でさえも骨抜きにされようとしている。即ち飽くまでも企業は自由であって独占的な特定の企業のみを免許することは非民主的である、同時に別の角度からいえば軍政府の方針に反するということが分る。
次は免許証を貰うために数日を往復しなければならないために、商人としては商機を逸する。これらの点からみて企業免許手数料を徴することが如何に矛盾を持っているかということが分るとおもう。而し乍ら本年度予算においても計上されるし、又委員会においても一応可決されているので、本員としては少くとも本(来カ)年度からは免許制を全面的に撤廃してもらいたいと希望を持っているのであるがそれに対する当局の見解如何。
○総務部長(幸地新蔵君) ただ今のところこれは軍の布告に依って企業は御説の通り自由であるが、但し三十九号によりまして手数料を徴収せよということになっております。従って今は軍の指令に依て手数料も徴収されております、この布令が改正にならない限り廃止は考えておりません。
◎仲里誠吉君 成る程、この特別布告に依って手数料を徴収しているわけであって、従ってこれが改正にならない限り手数料徴収は廃止出来ないけれども当局としては先程述べたように特別布告を廃して貰うように軍に対して意見具申する意向があるか、どうか重ねて伺いたい。
○知事(平良辰雄君) 免許の問題でありますが、これは成程免許の手数料というと事務的に要する費用だけが手数料だという観念はその通りである。而し乍らこれは群島政府の手数料というのは単にそれだけでなく歳入面も考える、歳入面は税でやるというものも考えられるが、税というものを考えてもその税を補足する意味で、これも幾分そういうような意味を持たしたに過ぎないのでありまして、大体から申上げますと、今のような問題は本当の手数料だけにすべきと考えております。これは今お話しましたように財源の面が絡んで来るので、一応そういうように出してありますが、免許制度も之をもって阻止するという面よりは問題は余り強くないのでありまして、免許を願出たものを阻止するよりも社会の公安を害するとかに就ては阻止もしますけれども、そういう為に特に作ったというよりは、今先のお話の通り一つは色々事務上の統計関係もありませうし、又一方に於ては歳入関係も考えているのであります。それで、そういう不平が出ているが、それに対してどうするかという御質問でありますが、これは相当研究の必要があると思いますので研究を進めたいと思っております。
◎新里銀三君 ただいま二十番議員(仲里誠吉君)のおっしゃる件もよいとおもいますが、それが出来なければ次のことを要望します。免許は一旦受けたらその人が自から廃止するか、廃業するか、或は死亡するか、或は関係法規に抵触してその官庁が停止するか或は廃業を命ずるか以外は一回企業を免許したらその人の意志に依て、永久に認めてもらいたいと希望するものであります。来年からその制度を取ってやって欲しいとおもいますが当局の見解を伺ひたいと思います。
○行政課長(総務副部長カ)(稲嶺成珍君) 指令第三十九号に依て毎年更新するように規定されています。現在のところ、経済状勢の目ま苦(ママ)しい状態における事務の確実なる把握という面からも軍は見ているし又軍は免許制度においても、学校教員の免許も殆んど毎年更新するような制度があるようでありまして、即ち実状に即さない免許を与えてはいけないという風にアメリカはおもっているのであります。然し知事がいわれるように妥当であれば研究を進めて行きたいとおもいます。
○仲村栄春君 委員長にお願いします。第二条の修正された個所を今一度読んで戴きたい。
○具志頭得助君 資本額二千円未満の企業に対しては三十円、資本額二千円以上五千円未満の企業に対しては五十円、資本額五千円以上一万円未満の企業に対しては百円、資本額一万円以上三万円未満の企業に対しては二百円、資本額三万円以上五万円未満の企業に対しては三百円、資本額五万円以上十万円未満の企業に対しては四百円、資本額十万円以上五十万円未満の企業に対しては六百円、資本額五十万円以上百万円未満の企業に対しては八百円、資本額百万円以上五百万円未満の企業に対しては千円、資本額五百万円以上一千万円未満の企業に対しては二千円、資本額一千万円以上の企業に対しては三千円。
◎議長(知花高直君) 本案は委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして、委員長報告の通り議案第二十四号を可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第六の議案第十四号、一九五二年度沖縄群島歳入歳出予算についてを議題と致します。本案は去る二十二日及び二十三日、全体会議において、慎重審議を重ねましたので質疑を省略致しまして討論に入ります。
◎新里銀三君 一九五二年度の政府予算案は総括的な編成であって、軍の補助額もまだ見透しもはっきりしてないがこれも実質を伴わない雲をつかむような金額を予算に上げているのは、吾々としては、これを議決しても余り有効ではないとおもわれます。尚歳出面に於ては知事の政務報告にも財政部長の予算編成上の方針についても税制を確立して、増収を計る、支出面はできる限り、節約してあると認めておりますがその内容を検討してみるに矛盾したところが相当ある。例えば人件費の欄を見た場合、定員以上の人員を予算に計上しております。群島組織法に群島政府職員は三百五十名と決っている、ところが予算案には日給者七十名を除いても三五〇名が四〇八名になって五八名の増員がある、更に予算もそれだけ計上されている。廨庁は七、一四三名が九、二四四名に増員されて、二、〇八三(ママ)名の増員であり、予算もこれと併行している。職員の定数は群島組織法にも条例にも決定しておりますので群島組織法を改廃し、或は条例も改廃するのでなければ増員も出来ない、予算も計上出来ないと本員はおもいます。昨日も工務部長は公有水面埋立を法を盾に強力に主張されました、昨日の議会で七番議員は経済だけでなくて精神面においても強調されています。要するに精神面の昂揚は遵法精神でなければならんとおもうのであります。ところが政府自体が法を無視した場合は人民の遵法精神は果して巧くいくかどうか疑う者である。更に予算を見るとまだ議会に提案もしてない、議会の承認も得てないところの土地の登録(記カ)手数料も相当な額を計上されています。又今先申上げました度量衡の手数料もその通りであります。土地手数料につきましては、町村におきましても、町村の収入として、その一筆について五円乃至二〇円とっている話であります。また裁判所がこれを取った場合、土地につき二種の手数料がとられることになって非常に矛盾している。農民は益々苦しい状況に追いこめられることになります。度量衡検査手数料も然りであります。我々は法治国民であるが故に法律を制定して、先ず案を立て議会の承認を得て初めてここに条例が運営される、出来ましてから予算を計上すべきである。とかく法は厳格なものである、その運営如何によっては幸福になるか不幸になるか大きな岐路に立つのであります。例えば選挙において選挙の投票は朝の七時から始めて午後六時きちんと終る。こういう風に法は厳格でなければならないのでありますが然し、定員或は登記手数料、あるいは度量衡検査手数料の如きも法を盾にしてとるべきではないか、法律をもってせずに予算に計上してあることは当を得ていないと考えております。なお予算の収入面の警察の現船舶関係手数料の如きも十万二百円でありますのが、海運課の方にいくと検査手数料が十万千五十円、速度手数料その他の手数料合計が二九万余円であります。船舶を持っているのは離島関係であるので現在離島航路は離島苦を叫んでいるが議会においても船舶の問題も、ずいぶん出て、二十番議員と十四番議員から離島の船舶の話もありましたがこういう船を持っている人、板一枚の下は地獄である業者に対して、凡ゆる角度からしぼることは余り当を得ていない、むしろ離島航路をするものには船は陸上の道路と同じであるからこれをもっと保護育成して交通難を緩和するのが建前ではないかと思うので、こういう手数料は一括して取って一方を廃止してもらう方が妥当ではないかと思うのであります。更に全予算の住民の割当を見た場合に民負担でありますが今度の中央税で民が負担すべき額は二億八千七百六十万九千四百九円、これを五十九万の人口に割った場合、本年全住民が負担する金額は税外収入を除いて一人当り四八五円、一戸世帯五人として二、四五(二カ)五円を五九万の一二万世帯が持たなければならんという負担勘定になります。更に中央税が出る、あるいは町村費二〇〇円一世帯五名とみた場合千円、部落費、学校後援会費、幼稚園費、体育競技会費、冠婚葬祭費というような、たくさんの出費が町村にはあって、中央税からあるいは市町村税、あるいは部落の団体の費用を入れた場合、農村としてどうしてももちこたえないと思うのであります。金は偏在している、那覇とか都市には金は偏在して相当金まわりもあると、ゆっくりでありますが、農村、漁村や山村こういう金額が平均にいった場合は非常に予算が尨大したことになるので何とか予算の削減方を希望するのであります。
更に接待費であるが、接待費は合計九十六万円であります、知事の接待費四十二万円、月平均三万五千円、一日平均一、一六六円に当ります。他の部長が月五、〇〇〇円、合計九六万円の莫大な接待費を何とか半減してほしいと希望をするものであります。
理由は、農民、漁民、山村の一般大衆から税を取り立てて、こういう莫大な金を計上するのは当を得ていないので是非減額してほしいと希望するものである。更に官庁定員の八五名の増員を見ているが、これは出来るだけ現在の三五〇名をもって減員して、そして有能なものを採用して、待遇方面に改善をしていかなければ今後の物価の暴騰に生活が却って苦しくなると思いますので、もっと減員して待遇を今の物価に釣合してやって後顧の憂のないように職員をして十二分に能力を発揮させた方が得策と思うのであります。
よって凡ゆる角度から見て、この予算案は一つは軍の了解も得ないものを議決する、一つは条例を群島組織法も改正しなくて、予算に計上している、更にその収入を見積っている、或は接待費の多いという理由からこの予算の再編成をしていただきたいと希望するのであります。
◎仲里誠吉君 只今十六番議員から本予算の歳入歳出両面において徹(微カ)視的な立場から述べられたのであるが、本員はこれを透視(ママ)的な立場から批判して見たい。
一九五二年度予算は一九五一年度追加更正予算に比較して若干改善されている点は認める、即ち前内閣において一九五一年度の群島政府の予算の歳入の基礎になっているところの税体系において、当時の勤労所得者即ち月給取は全歳入の実に七七%を負担させられておった、当時議会においても、税体系をそのまま踏襲したのでありますが、これが一九五二年度の税制において若干改善されている。それからまた歳入面においては前内閣時代においては何ら適確に捕捉出来なかったところ、出来ないような仕組になって居ったところの軍補助金を一応はこれを纏め上げた点においては改善の余地が認められる。更に又歳出面においては社会補償費(保障カ)として若干金額が見積られている。それから平良内閣において初めて全住民の待望しておったところの綜合経済計画が樹立されてその一部が本年度の予算にも振り込まれている。以上の諸点は前年度の予算に比較して改善された点であるという点を認めるのには本員もやぶさかでないけれども、しからば更に本質にまで立入ってえぐり込んでいった場合、以上改善された点と、テンビンにかけた場合どうなるか、これを見て見たい。先ず歳入面であるがこれは前年の歳入が一億七千二百万円、今度が二億八千七百万円、即ち前年度歳入に比較して四二%の絶対増である、この四二%の絶対増の歳入を勤労所得者及び事業所得者が負担するのであるが、これの基礎になっているところの税体系を見ると、これは既に去った議会においても本員が指摘したように、所得税のかけ方が綜合所得に対する課税でないという点、然るに当局はすでにその当時において本員が綜合所得に対する課税を主張する以前において最低生活費を決定している。
本員は綜合所得に課税してもらいたいと主張した。勿論その前提として、一世帯(ママ)、二世帯(ママ)、三人世帯、という風に世帯に応じて最低生活費を決めて最低生活水準以上の所得者に対して課税をしてもらいたいということを要求したが、すでに当時は当時において最低生活費が決定されている。即ち一人の場合は二、〇八六円、二人の場合は二、五一五円、三人の場合は三、〇〇〇円、四人の場合は三、五六八円、五人の場合は四、〇七三円、六人の場合は四、三四〇円、七人の場合は四、六三一円こういう風に策定されている。勿論その後物価がやや上昇したので、これは調整しなければならないのであるが、何れにしても綜合所得に対する課税の基礎であるところの最低生活費は決定済みである。それを当局自ら作成しながらこれを採用しないという矛盾、二番目は同じく所得税に関する問題で、これは労働力の再生産の費用としての一定限度以上の医療費の控除を認めない。これが歳入の基礎となるところの税体系における最も大きな矛盾点で、人民大衆から見て絶対に肯ずることが出来ない点である。次に税収入を更に中に立入って見たいのであるが、これは先程も指摘したように本年度の歳入は二億八千七百万円で四二%の増である。但し増税は常に反対すべきものではなく、財政の根本原則として、経費増加の原則というものがあるが、従ってその面からいって必ずしも全面的に増税自体に対して反対するものではない。それから次は綜合経済計画、就中その中心点であるところの農業、水産業の基幹産業を発達させるためには、全住民が挙って若干の負担を耐え忍ばなければならない。そういう意味での若干の増税は認めるのにやぶさかではないけれども、問題はこの四二%の絶対増を如何なる階級が負担するかにある。之を見て見ると結論として先ず申上げますと、増税を負担するのは事業所得者である。更にこの事業所得者の負担する分を見ると、給料者の所得税増加率は三%であるのに比較して、事業所得者の所得税の増加率は七四%である。無論事業所得者の負担率を増加させる点は或る程度妥当であるけれども、では此事業所得者の増加分を誰が負担するかというと事業所得者の中には農業者が含まれている事をわすれてはならない。従って事業者を二つに分けて農業者と其他の業者の二つに分ける事が出来る、この七四%の負担分を見ると、これまた結論としては農業者の負担は一九五一年度が一一・七%、一九五二年度が一二・八%で一・一%の増である、その他業者は一九五一年度八九・三%であったのに比較して本年度は八七・二%の二・一%減である。更にこの数字が如何なる本質を物語るかということを群島政府当局の作成した資料によって展開してみたい。それは納税者総人員に対する納税人員の比率を見ると一九五一年度は四九・九%、一九五二年度は三八・四%即ち一一・五%の減少である、一方納税者の総所得に対する農業納税者の所得の比率を見ると一九五一年度が四五・九%、一九五二年度が二四・六%即ち二一・三%の減である。これは如何なることを物語るかというと納税人員は二・五%減った、減ったということは普通考えればそれだけ人員が減ったのであるから一人当りの儲かる高が増加するということは考えられるけれども実際にはこの数字の結論づけるところによると農業総所得が納税者の総所得に対する比率より二一・三%減少した。即ち納税人員に対する減少率以上に所得の減少率が大きい、約二倍も減っている。之は別の言葉で言えば一応形式的に言えば農業所得は増えなければならん筈のものが実質的にはかえって減少しているということ、更に又非農業者の総所得が納税人員に対する比率は一九五一年度が五五・一%、一九五二年度が七五・三%で二〇%の増加である。これは納税人員に対する非農業者の人員に比較して、その総所得が二〇%増加していることを物語る。
一方納税者の総税額に対する農業者の税額の比率を見てみると一九五一年度は一一・三%、一九五二年度が一一・三%、即ち同じ比率であります。一方納税者の総税額に対する非農業者の税額の比率を見ると一九五一年度が八九・七%、一九五二年度が八九・七%比率の差はない。
形式的にみると負担率は同じではないかという風に見えるが実質的には先程指摘したように農業者の総所得と比較して、二一・三%の減少である。一方非農業者の所得は二〇%の増加である。このように農業所得は減少している、非農業所得は増加しているに拘らず、総税額に対する税負担率がそれぞれ同様であるということは結果的にいって総税額に対する農業所得者の税の負担率が大きいということを意味する、前年よりも増えていることを意味する。
逆に非農業者の税の負担率が減少している、いわゆる逆進的であるということを明かに物語っている。更に又農業者の一人当りの年税額、非農業者の一人当りの年税額を見ると一九五一年度は農業者一人当り税額一八四円、非農業者一人当り、一、四三五円でこの二つの%を取って見ると一九五一年度の農業者一人当り税額は一一・三%、非農業者八九・七%、一方同じ考え方をもって一九五二年度を見ると農業者一人当り税額七三四円、非農業者一人当り税額三、五七七円で一七%、非農業者が八三%であって、農業者の一人当り税額は結局において三三・四(ママ)%であり、非農業者一人当り六六・九%という結果になっている。
結論としてここに一応事業所得者の税負担率は増加しているけれども、これは農業者の方が比率の面からいって、より大多数負担している。即ち農業所得者に対して不利な税体系であることを結論づけることになる。繰返して申上げるがいわゆる事業者の納税者総人員中、農業所得者のみで三八・四%ある。このように種々雑多の事業所得者の中、三八・四%を占めるところの農業者(所得者カ)にとって不利なる税体系である。従って一九五二年度群島予算歳入の基礎である税体系が農業所得者に取って不利である。以上はその予算を認めるわけには参らない。次に歳出批判に移りたい、これは大きく分けて予算統制技術の批判と歳出面における本質的欠陥を見てみたいと思う。予算統制面における欠陥であるけれども、これはすでに予算審議の全体研究会でも指摘したが、繰返して申上げると現在沖縄には日本を通じての世界インフレ輸入がなされつつある。従って今後諸物価は当局にして適切な対策を講じない限りは相当の値上りを見るであろう。そのために従って本予算において八億二千万円の人件費、物価費を見込んであるが、これ等物価の値上げに応じて、単価の値上りを結果すれば当然予算の執行において混乱を生ずるが、この予算執行するためには財政部長は増税を考慮しているということを断言された。この考慮は本質的について如何なることを意味するかというと、これは財政部当局の責任を人民に転嫁したことを意味する。即ちなぜそういう結論になったかというと、それは予算統制が不統一であるからである。備品、消耗品、油脂燃料、薪炭費に到るまでその原価が不統一である。同じ規格が同じ品質でありながら、その単価が異る、それから備品費の如きは規格もまちまちである。従っていらざる冗費がそこから出てくる。備品費、消耗品費を当局の挙げた数字のみをみても一九五一年度が四、四〇〇万円、本年度が五五%増加になっているけれども、これは予算統制の不統一のために相当の冗費があることが察知出来る。自動車修繕費も過大評価がなされておって、本員が民間における自動車会社の一台あたりの一ヶ月の修繕費を調べて見ると、四〇〇円乃至六〇〇円である。それが群島政府においては二千円として計上されている。
以上の予算統制技術の不統一はこれは購入を一方的になせば或る程度矯正し得るのであるが、問題は予算統制の技術の不統一でなしに本質的な欠陥がある。
指摘したように税体系の不合理から来る。何故かと申せばこれは先程の十六番議員も指摘したが接待費であるが、九六万円計上されている、この接待費の計上に当っては与党議員は口をそろえて、この計上を賞賛したのである。即ちこれは渉外費として米人との交渉のために、これだけ使えば沖縄人は有利になるであろう。従って誠に結構であると賛美したものであるが、現実はどうであるかすでにこの予算が計上されてから、各部をまわって見て、各部長が外人を招待して外交力(をカ)に大いに発揮したということは聞かない、あっても微々たるものであると思う。
当局としてはこれだけの接待費は予算編成とか綜合経済計画の場合に職員が遅くまで超過勤務の場合の慰労に当てるのだという風に答弁すればそれは誤謬である。超過勤務に対しては手当がある。雑費の項目がないから、これから若干雑費を見込んであるというかも知れないが、これは軍と交渉して雑費の項目を設けてもらうか、それが出来なければ消耗品費のところで適当に按配するか、但しこれは予算ではっきり表現しなければならんが、しかも接待費の中の大きな矛盾は地方財政平衡交付金と絡んで来るが御承知の通り、これは一千万円の不足である。地方財政は二千万円を絶対的に期待しているに拘らず群島政府としてはその半額しか認めない。然るに群島政府としては、之は全額認めなければならんが、その理由はなぜかということは、その次にこれから述べなければならないのであるが、結局接待費九六万円は如何なる意味を持つものであるかというと地方住民の犠牲において各部長の享楽費、若しくは享楽費とまではいかないにしても冗費に充てていることを結論づけることになる。その次に地方財政平衡交付金であるが不足の絶対額が二千万円、更に群島政府から一千万円補ってなお一千万円の不足、問題はこの不足がどこから来るかという点である。この理由は二つあると思われるのであるが、前内閣における、即ち過去の行政の殺人的な無能から来るものである、それが一つ。見返資金の運用において欠陥がある、全住民からしぼり上げた放出物資代金が農村面に還元されなかったということすなはち農業の拡大、生産のための還元がなされなかったということ、即ち農業の拡大、生産のための還元がなされなかった。そこから来るというのが根本的な原因であるが、それと同時に平行して原因としてあげられなければならんし亦当局並に与党議員が考えなければならん点は、税制の欠陥から来るということ、それは税の根本原則、最大原則とは税の負担の公平であるが、その次は弾力性である、特にこのように経済事情の激しい時代においては弾力性というものが高らかに主張されなければならんというのは経済状勢が変転すれば、出資の増加、一物件当りの単価の増加による全体の出費の増加が来るが、それが一つと、それから又人民に出来るだけ、税を還元させる点からいっても人民の収益の増加に応じて税も吸収されるという風でなければならない。すなはちこれを別の言葉で云えば経済の発展を敏速に反映して経費膨張の原則が満されなければならんということである。然るに地方財政においては、この弾力性という問題が取り上げられていない、というのはこの税の弾力性をもっとはっきり持っているのは所得税、消費税、日本において実施した取引高税であるけれども、この場合は所得税、消費税この二つが一番特徴的である。この所得税と消費税が全部中央税として取り上げている地方税は主として物件税に集中されている、人件税的な性質を持つ住民税もあるが、物件税は弾力性がない、経済の発展を敏速に反映しないということ、従って地方財政としては経済状勢が変化して例えばインフレになってもかさむところの出資を賄うために増税したくても出来ないということを物語る。然らば地方においては若干の弾力性を持たせるために住民税というものをおいてあるではないかという回答があるであろうけれども、この住民税は申すまでもなく、若干の人頭税的性質を持っている。
従って歳出面には予算統制面の不統一から来るところの冗費、次に本質的な欠陥であるところの接待費、これは地方住民の犠牲において計上されている第二の地方財政平衡交付金は当然これは群島政府が全額負担してやらなければならない。
繰り返して申しますが何故二千万円の不足を来たしたかということは結局は弾力性をもっている所得税、消費税を上げて中央税としたために中央税が取り上げたために地方税にまわされなくなった。従ってこれは中央政府の税金であるから当然足りない分は全面的に地方に還元しなければならん。これは日本でも実施していることは御承知の通りである。以上の様に歳入面、歳出面、何れにおいても本質的な欠陥を持っているが故にこの一九五二年度予算に対して反対である。
◎平良幸市君 本員はこの予算に対して賛意を表する者であります。今まで住民が久しく待望しておったところの軍補助金四億五千万円を全部予算化していただいたこと、並に経済復興計画を予算面に、その基本施設を主体にして、事業を予算化され、更に住民が渇望しておったところの平衡交付金、これは沖縄における財政の確立は中央地方を相通じてでなければならないという事の考からして平衡交付金を苦しい財政の中から出された点、更に公務員の災害補償金、更に小さいことではありますが、自動車の修繕費、これは小さいが敢えて取上げます。理由は前民政府時代にはこれがないために、ドライバーは幾多苦労されたか、そのためにしないでもよいことまでもなさなければならんという点は当局が微に入った小さい点まで気付かれたことである。こういった点当局の苦心してこの予算を細部に亘って御検討の上、立案、予算化したのに敬意を表する。この予算を見渡したところ非常に圧縮された予算であり、その事業は沖縄復興途上において是非なされなければならない事業である。圧縮されたということは事業の最小限度必要事業ということである。十六番議員の云われたように民の負担はこれ以上は持ち切れないということであれば、沖縄復興事業に四億五千万円の軍からの補助は絶対に必要であるという風に結論づけるのである。敢えて農林省の例を引くまでもないが軍からの補助金としての予算化が遅れたために沖縄復興途上、過去において幾多遺憾の点が多かったのであります。従って本予算成立後は四億五千万円は絶対に必要であるということを力説され、軍への交渉方をお願いします。四億五千万円を獲得するため必要あることは速かにこの予算を成立させることであります。場合に依っては当局だけでなく議長、副議長も共に軍に当って貰って四億五千万円を絶対に獲得して欲しい。次に細部に亘って予算運営上又何れはこの予算の更正の時期もありませう。そういった場合の御参考のために希望を申上げます。
歳入面におきましては軍補助金を早急に確定してもらうように最善の努力を払って欲しい。
歳入面の基礎をなす税制は、未だ軍の認可を得ていないと思うが速かに認可を得るように最善の努力をして欲しい。尚法務部の登録手数料、経済部の度量衡の手数料は何れも必要であるとおもう、必要であるが故に予算化されたがそれが附随するところの条例は速かに成立させてもらいたい。これは飽までも条例は附随するものであるから附随するものがないからといって切り捨てるわけにいかない、附随したところの事務的なものは早めに成立させて戴きたい。更に歳入面におきまして文教部当局にお願いでありますが、学校実習費、売上金の歳入面であります。手段が目的を決定するという言葉がありますが、まかり間違ってもこういうことにならないように細心の注意をしてほしい。極端な云い方であるが、吹きさらしの野地に建てられた農業高等学校から今度も亦予算化して、この学校に設備なされるとは云え、初年度に十万円の金は、まかり間違えば手段が目的を決めると云った言葉が生れないとも限らない。従ってこれが運営に当っては充分なる注意を払ってほしい。尚平衡交付金制度でありますが、この趣旨をはっきりと全住民に徹底させてほしいとおもうのであります。これは飽までも自治の自主性の強化のため援助育成である。
不足するのを全部補うという意味ではないとおもう。又沖縄の財政の状態においてはそうでなければいかん。此処で問題になるのは先程二十番議員は二千万円の不足だというのであるが、先程市町村長の算定した数字におもいを致した場合、これは重要な部面が抜けているのであります。これは消耗品費の予算、教育費の負担、この算定はこれを抜かしているのであります。これは二千万円以上になるかも知れません。ところが更に立入ってこれを見ました場合、二、三〇九万二三二円の欠陥は、それから臨時事業費を引いた場合には一、二二二万一、九七七円と相成るのであります。これには先程私が申上げました教育費が全然含まれてないこの数を見た場合幾多の示唆が与えられると思うのであります。
例えば勝連、浦添両村が歳入歳出残金なしというところへ持って来て市営バスを持っている首里市の歳入欠陥が九一万円とはどうだらう。更に喜屋武、真壁、(ママ)三和村が歳入歳出差引零、分離したところの中城が四四万円の歳入欠陥、北谷が五〇万円の歳入欠陥は何を物語るであろうか、この数字は更に検討を要するであらう。新しい市町村条例に依て各市町村が新たな予算を立てた場合にこの数字を凡ゆる面から検討を加えた場合、中央地方を通ずる税確立の上から大きな獲物があると思う。何れにしても平衡交付金制度というものは賛意を表するものであり、又これが一千万円で大丈夫とは申しませんが、更に検討を加えて必要であるといえば苦しい予算の中からでも、どうしても出して欲しいとおもう。希望は速かにこれが運営委員会を設置され、市町村をして速かに次年度予算を編成させてこの予算に依る再検討を加え、各市町村の財政確立に一段の努力を御願い致したいのであります。
次は納税奨励交付金を予算化された点は誠によいとおもいます。ただ奨励金のみに止まらず更に進んで所得税法の細則を早急に作っていただきたい。根本の法は出来たにしても、その運営の実務に当るところの細則を持たなくては所得の認定において或は適当を欠くことが出て来ないとも限らない。一九四八年度のこれは当時所得税を課したということがどうかとおもうのでありますが、あの四八年の不均衡な所得税は一々法の不備から来たものが多々あったとおもいます。沖縄の住民は納税思想は決して悪くないとおもいます。右左に見た場合不公平であるからであります。特に所得税をして公平に一般に課すためにはどうしても運営にすぐ役立つところの細則を早急に作っていかなければならんとおもうのであります。依って本員は此処で所得税法、或は関連した法の細則を早急に作って戴き度い事を要望するのであります。さもなければ予算運営の予算の完全なる運営は難しいとおもうのであります。
次は歳出面に移ります。
先に申し上げました自動車の修繕費は誠に結構でありますが、惜しむらくは各部にばらまかれた点であります。次年度予算からは、自動車修繕費、油脂燃料費は一括して一ヶ所に纏めてほしいと希望するのであります。尚備品、消耗品も予め予算課から各部に向って大体の基準を示してほしい。尚定員と予算人員の相違はこんな事業が必要だということを予想されて、こういう結果になっているとおもうが、更に検討を加えて必要であれば定員増加の条例を提案していただきたい。而して定員の増加がなるまでは予算の令達を控えてほしい。次は経済部の七九項目(ママ)に亘る事業費である、全体で八四目でありますが、七九目これは経済部の立案なさった事業費の全予算を投じたもので一見して総花式と云うことは、どなたか、云われた如く感ずるのでありますが、然しこれは経済部の持つ事業を考えれば決してそうではないとおもいます。
経済部の持つ事業費と農林省の事業費と組合せて検討すべきものだとおもいます。従って経済部当局はこの事業の運営に当っては、農林省と緊密なる連絡を取って欲しいとおもいます。申し上げるまでもないが、特に念を押しておきたいとおもいます、でなければ農林省から出るところの予算がおもうように令達にならないという事であれば折角、経済部が立案なさった事業費が結局は総花式にならんとも限らない。次は文教部に移ります。先程審議可決されました学校教育条例で備品消耗品は設立者負担と云うことになっておりますので、文教部当局は各市町村にその他の各学校に大体の基準を示してほしい、勿論これは画一を意味しているものではない、それは学校、村に依って立地条件に依て特色ある経営をするためには違った経費が要るでありませうが、それにしても大体の基準を示した方がよいとおもう。尚文教部の事業費の中の三万円の印刷費は目下の沖縄の教育の運営の現状から見て少いとおもうのですが、幸にして二四万円の経営研究会費があり、七二万円の実験学校の補助がある、二四万円の学校経営研究会費はその運営よろしきを得るならば一万円の印刷費の不足はこれで補えるとおもうのであります。今はそういうこともないとおもうが二、三年前の学校経営研究会は刷物を持っていって職員室の片隅に放り込むということはないとおもうが、この学校経営研究会は文教部自体がもつ、一万円の印刷費の少額をこの面でも補うべく進めていただくように希望するのであります。以上は各面に亘るものであるが総括して前の議会に申しました予算の形式でありますが、大部吾々の希望は取り入れられていますが、甲が乙に入ったりしたものがなきにしも非ずであります。更に次会からは整備した形式をとってほしいのであります。尚この予算には盛られてないが予算と決して無関係でないとおもわれるものがありますので其の点について希望を申上げます。
本庁及び議会議事堂の建設費、四月から発足するであらう職業学校の人件費その他の費用は予算化されているが、建設費(がカ)でない。これは関係当局の御説明を聞いたら軍と既にいろいろ折衝して居りますそうで、理由は分ったのでありますが、ぜひ建設費の獲得に努力していただいて職業学校の運営に支障のないように御配慮方お願いします。私は苦心して作られたこの予算案に賛成し速かに当局をして軍に強力なる交渉をやっていただいて四億五千万円を獲得していただき度いことを要望して賛成する者であります。
◎祖根宗春君 十六番、二十番議員の主張に賛成であります。八番議員の只今の云われた中で二つだけ賛成なのがあります。それは油脂、燃料の款項を一括せよ、定員条例を速かに改正せよ、それまで予算の令達を控えよということでありますが、この点は賛成、その他は反対であります。この議会で、この予算を議決することは凡ゆる点から見て議決すべきでないという結論に達します。
理由はこの予算は先ず議会の権能に属すべき定員条例の改正もしないで二、二〇〇人の増員予算を編んでいる、これは明らかに違法である、吾々はこれを承認議決する必要はない。それから歳入面の第六項の登記手数料の二、七〇〇万円の尨大なる手数料を編んでいる。これは所有権認定登録のために新しく設けられた手数料という名前をつけているが税金では取れないから手数料とつけている。二、七〇〇万円の税金的な手数料は誰から取るか殆んど土地を持っている者から取る、その土地でも都会にある地主は値上りで痛くないが、段々金欠病に犯されて瀕死の状態になっている農村から大部分二、七〇〇万円が徴収されるかたちになる。ただですら疲弊困憊している金詰りの農村から二、七〇〇万円という手数料を徴収することは非常に問題が大きい。而かも平衡交付金として、市町村に還元するのは一千万円、新しく取られるものは二、七〇〇万円、これでは益々金欠病が多くなる。こういう観点にもなりますし、更に登記手数料徴収条例を先に議決してから予算を承認しなければ、予算を先に承認しておいて、その条例を後で議決する事は主客転倒であって吾々議決機関が執行機関の手足となる執行機関のいう事はなんでもかんでも聞かなければならない、執行機関の云うことは編んだ予算を無条件で通すというこんな不合理なことはしたくない。即ち議会は立法権を与えられた以上は、こういった登記手数料徴収条例とか或は定員改正条例、或は船舶臨時検査手数料条例、或は度量衡検査手数料条例、そういった条例と一緒に議決すべきであるがこの四つの改正、或は新設の条例も議会にかけないで直ちに議決することは、違法である、違法を吾々議会が承認することはよろしくない。その次、この税法の新設なり、改正に対する理念が吾々の持っている理念と一致しない、理由は戦争に依て沖縄の住民は殆んど裸である、六年後は裸はうんと裸で、持っているものはうんと持っている。同じ戦災被害をうけた沖縄住民が非常に貧富の差でもって、世の中を構成して来た。そして社会の色々の犯罪が次々と大きくなって悪質になっている。これら社会悪は貧富の差、社会政策の不徹底から来ている。いくら警察官を増やし法律を強化しても、この社会悪は貧富の差が甚だしくなるに従って犯罪は大きくなる。その貧富の差を調節するのは税金でなければならん、強制的に富裕階級からその資産を取り上げることは出来ない、何で出来るか即ちこれは税金でなければいけない、税の改正、或は新設は貧富の差を調節していくことに重点をおかなければならん。そういった意味で今度の税制改革も新税の設定もこの線には沿うてない。そしてこの予算、この税制の通りに進んだら益々農村は枯れる、肥える者はうんと肥える、総て沖縄の資金は商業部面に吸収されて、生産部面は段々枯渇していく、従って自立経済にもひびが入る、そういうような現象を来たしつつあるので、この税制の理念についてももっと徹底的に改革していかなければならん。例を云えば先ず所得税の面であるが基礎控除も成る程七千円に引上げた、七千円の例えば俸給生活者の安定のたしにはならない、基礎控除を僅かばかり引上げた以上に物価が上っている。そして脱税も出来なければ、源泉課税で頭から天引される、俸給生活者(のカ)に基礎控除と扶養控除は倍まで引上げていかなければ生活は安定しない。それから次に現在一三億のB円か発行されてその内預貯金とか、銀行の手持資金として約三億が銀行の手にあって、仮に一〇億円が沖縄全住民の手に渡っているとすればそれを九〇万の人口で割ると一人当り一、一〇〇円、五人家族五、五〇〇円の金を平均持っていなければならんが、持たないところは殆んど持っていない、持っているところは何百万円でも持っている、現金で持たなくても品物を持っている、そういったような偏在な仕方をしている、現今に於ては税金の取方もある所から余計に取るように積極的に税制を改正してほしい。その次に軍の補助金は会計年度が違う関係で、この予算はこれだけ欲しいという、吾々はこれだけなければやっていけない、この欲しい金額だけが盛られているわけであるが、果して、それだけ貰えるのか、増やすのか、減されるのか、或は要求だけくれるのであるか分らない。即ちはっきりしない軍補助金が編まれている、吾々は分らないものを承認して、ここで議決することは面白くない、それでこの軍の補助金の見透しが大丈夫これ位もらえる見透がつくか、或は、はっきり、軍がこれだけ補助すると云う軍の意向がはっきりした後に議決することが妥当ではないかと思うのであります。
その次に交際費の問題が出ましたが、各部に六万円宛含まれているが、これも予算技術の面から知事事務局に一括して、その使途については、それが必要であれば、その部の請求に依て出す事が望ましい。各部に持たされているが故に而も機械的に六万円を持たされているので、交際がなくても予算に編んである以上は使いたがる、必要があれば知事室事務局を通じて出せば知事も、どの部長がどういう風に使ったか、そうなれば決算をするにも節約するにも便利である。これは一括して、知事室事務局に包含せしめ、出来れば半分に減らしてもらいたい。交際をやって見て、どうしてもこれだけで足りないときは予備費があるからそれから持って来た方がよいと考えられるのであります。
その次に消耗品費、備品費は一括計上するように一つの係を設ければ予算の一割二割は優に節減出来ると思うのでその点を修正してほしい。修理工場、印刷工場は自分等の手で直営でやっていけば、これも亦一、二割の経費が節減出来早くもできる、民間がこういった方面にゆとりを持って政府が直営するよりは安く出来て、而も早いという時が来れば民間に払下げてもよいが只今のところは直営のものを以て経費の節減に当ててもらいたい。以上の観点からして、この予算は今日ここで議決することには反対します。
尚先刻要求した件を充分条例をそろえて議決していきたい、議決したものが直ちに明日から実行は出来ない、実行出来ない予算を議決するのは違法であるがために、この次まで延期をしてもらいたいと思います。
○議長(知花高直君) 午前はこれで閉会して午後一時半から再開致します。
午後〇時三十六分閉会
一九五一年三月二十七日午後一時三十分開会
○議長(知花高直君) 開会致します、出席議員十八名、欠席二名であります。
○議長(知花高直君) 午前に引続き日程第六の議案十四号の討論を続行致します。
◎祖根宗春君 先の討論の追加を二つしたいと思います。市町村長からの切なる要望である平衡交付金、これを二千万円に増額することを主張します。その財源は日本と同じように富裕税を新設すること、日本では五百万円以上の財産者に対する富裕税を百分の四宛課しているので沖縄に於ても富裕税を新設して財源に充てられたい。その次には二千二百名の廨庁の定員増の予算を計上しているのであるからその中からこの財源に充てて貰いたい。それを節減出来ると思うので、それから絞り出して貰いたい。その次は群島政府の本庁、廨庁の人員を縮減して待遇改善に充ててもらいたい。
◎仲里誠吉君 先程の質問の続きであるし、又は八番議員の意見に対し同じがたいので再び繰返して批判を申上げたいと思う。
その前に先程から軍補助金の四億五千万円が若干問題になっているがこの四億五千万円は必ずしも批判をする場合の本質的の問題とはならない。これに対しては当局筋が回答すべきであるからして、本員としてかつて回答すべき義務はないから四億五千万円かまだ決定していないから云々ということは、本予算の本質的な問題ではないと思う。それは別として、只今の八番議員の平衡交付金に対する強調点であるけれども、要旨は次の通りである。平衡交付金に対しては市町村側に対して強調したいのである。それは平衡交付金制度というものはあくまでも全額を補助すべきものでなくて、その一部を補助しさえすればいい、その点を市町村側はよく知って貰わなければいけないという意見であるけれども、この見解は誤謬であると思う。何故ならば平衡交付金二千万円の不足、それを埋合せるためには勿論群島政府としては、かなり苦しい思いをしなければならないであらう。而し乍ら問題は苦しいところから若干を捻出してやったというところにあるのでもないし又平衡交付金の赤字金額の大小如何ではない。問題は飽までも本質のところまで遡って行って結局はこの平衡交付金の地方財政の赤字がどこから出ているか、それが問題だ。この場合先程申上げたことを繰返すのであるが、結局は人民大衆から就中人口の約八割程度を占めるところの農民大衆から、取り上げたところの円予算が農村面へ還元するように仕組まなかった。つまり農村の生産力の培養のための手が打たれてなかったということが一つ、それから近因としては飽までも税制の欠陥から来るということ、この二つの点に市町村側は留意するように市町村長に強調したい。従ってこの税制の欠陥というのは結局群島政府の欠陥そのものに外ならないのであるから、金額の如何を問わず群島政府としてはこの欠陥を補填する使命を有する平衡交付金の金額を問題にし埋合すために捻出した金額を問題にし、捻出する方法を問題にするのは誤謬であるというのではないけれども、本質に対する検討を外さんとするものである、意識的ではないかも知れないが、結果的にそうなっているのである。
◎仲村栄春君 本員は五十二年度予算案に対して賛意を表するものであります。反対された方々の意見を要約致しましたら二億八千万円に対する税収入に対する一般への還元が少いということが一つであり、更に本予算に関連する手数料徴収条例が後先になって不法である、この二つが要約したら反対理由であると思うのでありますが、最初の二億八千万円の政府収入に対する一般への還元は財政部長の予算説明に謳われております如く教育費一億四千万円、社会事業費に七千三百万円、経済費(ママ)事業費一千五百万円、土木事業費に一千万円、暴風対策費に二百万円、合せて二億四千五百二十六万円で税収入二億八千七百六十一万円に対して八五%を占めているものは結局これ等の税収入に対して一般庶民への還元が重要な大部分を占めていることが窺われるのであります。従って最初の理由はむしろ私は当局の御努力に感謝すべきであると思うのであります。第二の理由、手数料徴収条例が後先であって、不法であるということに対しては私は全面的に反対する者であります。我々は電気の審議会委員をしておりました時に徴収条例は予算に対して後になっても差支えないという改正法の立法措置があったと私は思っておるのであります。これに対して果して我々の考え方が妥当でなかったか、或はこれを不法であると云う、本員に対する反対者側の意見が正しいのか、この点について法務部長の意見を問いたいと思います。更に二十番議員に(はカ)農民への所得税が重税であるということを云われたのでありますが、私が考えます場合に所謂多面積を有している農民階級多収穫即ち高額所得税(ママ)を持っている者はその所得に応ずる所得税の課税を受けるのは当然であると思うのであります。而も農林業者は一九四九年度の十月末現在で約十一万余人が農林業者の可働力ということになっているのでありますが現在その中から約三万人を軍労務者と見ても約八万人の可働者があるのであります。それに対して約一千万円の農民課税であると思っております。従ってこれら等の約一千万円の農民関係の所得税は、大方私の見たところ千五百坪乃至二千坪でなければ課税の対象にならない。その理由は基礎控除が増額になった、更にその上老人、不具者、未亡人控除が設定せられた、現在農民の大部分を占めている小額所得者は殆んど免税になるものと本員は考えているのであります。更に本員の希望条項を申上げますと先程八番議員が云われましたところの地方財政交付金に対しては十分なる検討を加えていただきまして、単なる赤字補填に留まらずしてよくその市町村の実情を調査の上交付の適正を期していただきたい。更に第四款総務部の第一項移動費の点につきましては、予算協議会でも要望致しました如く、その移転料の基礎算定が極めて杜撰であるように本員は考えているのであります。
従いまして、その基礎算定を十分にして戴きまして軍当局にこれが折衝をしてその単位移転料を総括して貰うように要望致します。更に第六款経済部第七項の事業費にあたりましては本員は予算協議会でも申上げた如く盛沢山の項目が並べられているのでありますが、その内沖縄にとって最も重大である食糧問題に関しての配慮が余りに見当らないのであります、というのは基本的施策に対する問題ではなくして食糧調整費という項目が欠けたように見受けますので補助金の増額を期していただきまして七項に食糧調整費を是非織込んでいただきたいと思います。以上の要望事項を持ちまして原案に賛成を表明する者であります。
○法務部長(知念朝功君) 条例が制定せられないものが制定せらるることを見込んで、これから手数料条例が制定されることを見込んで予算に計上することは違法でないと解釈します。
税制に関しましては所謂手数料でなく、租税に関しましてはこれは住民の権利義務に関することでありますので前以て法律が制定せられて、これに基いて算定されなければならないのでありますが、即ち予算によって租税を変更させないというのが建前なんです。結局予算で従来の租税或は、新しい課税をするという税法を制定しないで、それ以前に予算に計上することは違法でありますけれども行政上の単なる報償、仕事に対する報償である手数料は住民の権利義務を拘束するということはないのでありますから、これは前以て制定してそしてそれから立案という風になっても構わんと解釈します。それからもう一つ附加えて申上げますと金が入って来ないのを予算に計上するのはおかしいということがいわれておりますが、大体予算というものは収入に対しては政府を拘束しないのであります。予算外の歳出ということは政府は出来ないのでありますが、収入は減らうが多くならうが、この予算に於ては政府を拘束しない、執行機関を拘束しないというのが建前でありますので、こういう風に計上するのも当然であると思います。
◎新城徳助君 今議会に提案された歳入歳出予算に関しましては全面的に賛成であります。
平良内閣成立以来半年足らずの間に従来は無軌道状態にあったのが諸条例の作成、自立経済対策、人事の縮減等幾多の難関を突破してやや行政機構の整備が実現されたことは住民福祉のために誠に感謝に堪えないのであります。取残された機構が次々とその姿を現し住民は非常に安堵の胸をなで下ろしていると思うのであります。これに対し苦言を呈する議員もいるが、今の場合この程度で満足すべきものと思います。政府諸公に対して敬意を表します。殊に本提案事項につきましては一部を委員(委員会カ)付託となり予算案は二日間に亘って慎重審議を重ねたものであります。然るに本日になって更に論争を繰返すことは誠に遺憾に思います。云うまでもなく議会は全住民の福祉増進のために厳粛に議事を審議すべきであって、いささかなりとも自己宣伝の言動があってはならんのであります。十四番議員は色々と政府の中傷的なことを云われましたけれども、これだけの予算は取入れて大して間違はないと信じます。強いてそれを追究するならば、その時に改めて方法を講じてよいと思います。二十番議員が接待費予算に対しましては部長の享楽費だといいましたが政府の予算を賄う者が接待費は当然すぎる程当然であります、それを危険視するような者があっては知事不信任を表明する者だと思うのであります。それでは予算に対しては全面的に危惧の念を持たなければならないのであります。今後お互に民衆の代表として選ばれた者が大いに自重すべきであると思います。
今後はいうまでもなく真面目に慎重に審議して議会の面目を遺憾なく発揮したいと思います。最後に望みますが軍のガリオア資金というものが正しく運用されているか、又成可これを知事に委して貰いたい、そういう要望を軍に知事からお願いしたいと思います。(拍手)
◎仲里誠吉君 ただ今四番議員と十八(十七カ)番議員から賛成表明があるし、終いには十八(十七カ)番議員から野党議員に対するお叱言まで頂戴したがそれが当らざるを解明したい。野党側の反対理由として税の還元が足りないということを申してはいない、手数料の問題それから本員が税の取上げ方は農民に対して過重であるといっているけれども農民としては大所得者がいるからそういうことにはならない。又それから沢山取るのは当然であるといっているが、還元の問題はこれに対して、更に回答の限りでないけれども若干参考までに申上げれば、すべての費目すなわち文化教育費、四番議員のあげられた文化教育費、公共施設費、保健衛生費、社会保障、一般行政、地方財政援助費、こういうものがあって結局三億七千一百万円になっている。この還元を云々したことはないけれども強いてこれを取り上げればただ今の四番議員の行政と、補助金の合計したものであると思うが、この行政費四千五百万円の批判は必ずしも本質的な問題ではないと申したけれども何れにしてもこの補助金はどういう風に変動するか分らない。これは参考までに申し上げるのであって決して本員の反対理由としての本質的のものではないけれども、参考までに申上げるならば去った一九五一年七月二十五日の軍政官府から諮詢委員に対する回答によれば一九五二年度の弗予算での中で群島政府に割あてる分は三億五千万円と明言している。恐らくは財政部長もそういう注意を受けたと思う、そうだからといって引込まなければならない理由は毫もないのであって、それは本員としては一億余万円計上することに対しては反対ではない。補助金がどう引っくり返るか分らない、だからそれを抜きにして行政費のみをみて貰いたい。これはどういう風に還元して行くかをみたいのであるが本員は還元を問題にしていない。これは行きがかり上はっきりしておきたい。行政費から農業面に還元される分として、文化公共費、公共事業費、産業経済費、この三通りがあげられる訳であるが、農業の拡大再生産に直接に連るものは公共事業費と産業経済費である。一応それを取り上げてみると行政費の中から、公共事業費が二千万円、産業経済費三千百万円、合計五千百万円、これの行政全体三億七千万円に対する比率は僅か十一(ママ)%である、その辺のことを知って貰いたい。次に大所得者に対する問題、これは形式論としては大所得者がそれに応じて相当の税を払うのは公平である、全くその通りである。然し飽までも巨視的にみた場合、問題の本質を一応巨視的にみたいと思うのであるが、本員の記憶に間違がなければ農林省の作成した統計に農家人口の七六%が三反六畝以下である。更に五反以下を入れると実に九〇%に達するということ、すなわち農家戸数の圧倒的大多数が五反以下であり、その中の七割六分が三反六畝以下である。従って先程も指摘したように納税者の納税人員は減っている。然しながら一面税の負担額はふえている、すなわち、そこに矛盾点があるということは結局税制に欠陥があるということを証拠だてるものであるといった訳であって、その点から反対を唱える理由となるのである。それから十八番議員のいわれたことであるが今まで慎重に合同研究会で審議を重ねたのに改て云々するのは自己宣伝であり議員はもっと慎重に構えなければならない。これは野党側全体にたいする非難であると思うが、何故ならば、あれはあくまでも研究会であって討論会でない。すなはち討論に処する我々の態度を決定するための研究であって当局に対して税制がこうなっているから、こうして貰いたいという要求はしていない。要求せんがための資料を集めんがための研究会である又接待費は享楽費であるというけれども、これは知事に対する不信任表明に外ならない。予算にたいして危惧の念を表明するということは、本員は予算にたいして危惧の念を抱くだけでなくて反対であるといっているが、接待費が享楽費であるとはいっていない、速記録を調べればはっきりするが「若しくはそれに近いものだ」といっている。九十六万円というのは地方財政の貧困化の上に立脚しての接待費であるということ、もう一つは接待費を容認する理由としては外人との外交のために必要であるからと云われたが過去四ヶ月間の実績をみると各部長が五千円宛の接待費を貰っているが、果して外人との折衝のために使ったか、何月何日何処で使ったということをはっきり指摘して貰いたい。従って十八(十七カ)番議員の批判はあたらないと思う。以上の理由によって反対する。
◎議長(知花高直君) 討論を終了致します。十四号議案を表決に付します。十四号議案にたいして原案賛成の方の挙手をお願い致します。(挙手多数)
◎議長(知花高直君) 挙手者多数と認めます。よって議案第十四号を原案通り可決確定致します。(拍手)
◎仲里誠吉君 ただ今本予算にたいする要望を申上げたいのでありますが、ただそれは例によって多数の力によって押切られたのである。こと止むを得ないのであるが、当局にこの予算に基いて、この予算を執行して行く面に地方財政平衡交付金とも関連して当局に要望致したいことは、この数字の上でも、科学的にすでに証明されているように地方財政は二千万円以上の赤字であるが仮に当局から一千万円の財政的な援助をして貰っても地方政府にたいする中央政府からの財政的の援助の占める比率は相当に大きなものであると思う、それが一つ。それから先程申上げたように客観的な情勢は物価漸騰の傾向にある訳であるが、そうなれば勢い地方財政としては市町村側としては予算を執行する場合に出費増加という現象になって、ますます困却に陥るばかりである。
再び財政の批判に戻るけれども現在の物件を主とする地方財政体系においては、経済状態がインフレに向うに従って貧困化するということは当然であるが、もう一つ問題点となるのは中央税の方から市町村当局にたいして財政平衡交付金を交付する場合、適当の時期を誤って貰いたくないということ、市町村当局は差迫ってこれこれの出費をしなければならない、それを使い果して交付金を待っている、なかなか下らない、そうなる場合に地方財政当局としては借入金によるか、若しくは寄附金を仰ぐか、それも不可能となれば地方住民の生計費単位、これを切下げなければならないのであるが借入金で行くにしろ、これは利子も相当嵩む、結局寄附金となった場合、ただでさえ過重になっている農村の負担をますます重からしめるものである。生活費を切下げるとすれば、これは綜合経済計画にもとる訳で毎年の生活を切上げるべく計画をしている訳だ。従って地方財政平衡交付金は当然市町村当局の予算の状況に応じて適当な時期に間違なく交付して貰いたいということ、それから二番目にはこれは予算技術の問題であるが地方財政、市町村の予算面にはこの交付金をはっきり明示させるよう指導して貰いたいということ、斯くすることによって初めて交付金が当該市町村の財政にどの程度の比重をしめるものであるか適確な判断の材料になる。以上の二点を考慮し慎重な態度をもって野党側の全面的に反対した本予算の執行にあたって貰いたい。
◎議長(知花高直君) 日程第七の議案第十五号一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算についてを議題と致します。本案は二日間に亘る全員合同研究会において、慎重に審議を行ったので茲に質疑討論を省略し原案通り可決致したいが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって議案第十五号原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第八の諮問第六号割当土地に対する所有権(者カ)の権利の制限についてを議題と致しまするが、これについて法務警察委員会にその審査を付託してありましたので委員長の報告を求めます。
◎山城興起君 ただ今議題となりました割当土地に対する所有権(者カ)の権利の制限について法務警察委員会における審議の経過並に本諮問に対する答申案を御報告申上げます。
土地問題については終戦直後から持越された問題でありまして、個人所有権の不可侵原則と現状とからみ合い、従来軍政府は極めて慎重を期し、漸くにして近くその確認が実現されるように相成り、土地所有権証明書が交付される運びと相成っております。ところが所有権が確認された後には、それに伴う当然の権利の行使というものが生じて来るのであります。現在農村でも都市でも終戦直後市町村長が賦与された権限に基きまして、所有者以外の者に割当てた者によるところの使用権は継続致しているので、所有権と使用権を如何様にして公正に抱合せて行くべきかはなかなかむつかしいところであります。これを所有者と使用者との話合だけでやって行くことになりますれば、事態は混乱して来るのは火をみるより明かであります。すなはち所有権証明書交付と同時に所有権を全面的に行使することを許すことになりますれば、社会の混乱を惹起するもので、それを避けるためには何んらかの政府による強制の力がなければならないのでありまして、その強制の方法を米国琉球民政府に進言致しまして、そしてこれを発布してもらうというのが本諮問の主眼と相なっているのであります。この諮問案は三月十五日の本会議において法務警察委員会に付託されましたので去る三月十七日群島政府会議室において法務警察委員会を開催し全員出席、群島政府主務部長及び主務課長の出席を求めまして質疑を行ったのであります。
質疑は主として同諮問案第二項制限の第一号の件であります。即ち「所有権証明書交付の日をもって土地の所有者と割当を受けて所有者の土地を使用しているものとは該土地について、賃貸借契約を締結したものと見なすとなっております。これは所有権証明書交付の日から賃貸料の債権債務が発生することであります。ところが十二月十九日付琉球列島米国民政府に関する指令によりますと、軍が使用している土地に対しては、軍は一九五〇年六月三十日までの使用料を遡って支払うことになっております。而して民関係については所有権証明書交付の日から支払うことになりまするというとそこに片手落の結果になるのではないか、民関係についても遡って支払うべきではないかというのが、この質疑の焦点であります。ところが実際問題として使用者が遡ってこの使用料を払い得るかどうか、その能力があるか、どうかということになりまして、結局論議の結果軍使用地の支払の指令とは別個の取扱をなすことと致しまして、所有権証明書交付の日を押えることに原案通り決定されたのであります。その他制限に関する条文について質疑が活溌に行われたのでありますが、その詳細については、速記録に譲ることに致します。ついで質疑を打切りまして、本諮問案第一項第二項各項について、逐条審議をなし、条文の追加又は修正を加えまして、答申案を作成致しました。次で委員長において作成致しました答申案を読上げましたところ総員をもって本答申案を可決致した次第であります。
これから答申案を朗読致します。
答 申 案
答申第六号
割当土地に対する所有権の制限について
一九五一年三月十五日付諮問第六号首題の件左記の通り追加又は修正の上米国琉球民政府へ進言し布告発布方手続き相成りたく沖縄群島議会の議決により茲に答申する。
一九五一年三月二十七日
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
記
第二項「制限」中
一、第1号中「所有権証明書交付の日」の下に「(証明書記載の交付年月日をいう)」を挿入する
二、第2号但し書左記の(ママ)イ号を左の通り改める
イ、使用地に対する権利を所有者の承諾なくして転貸又は譲渡したとき
三、第2号但し書左記ハ号中「土地を有するとき」の下に「但し一年の告知期間を置かなければならない」を加える
四、第4号として左記の通り追加する
4、割当を受けた者との合意によりその土地を使用している者と所有者との関係についても同様とする
その他は原案通りとする。
甚だ簡単ではありますが以上を報告致します。
◎具志頭得助君 先日の委員会の時にもお伺しておきましたが、更に法務部長におききを致しますがいわゆる不在地主にして、委任状をもって行使出来るかどうか、この点をお伺い致します。
○法務部長(知念朝功君) 本日琉球民政官府に各課長が行きまして向うの意向を聞いたところ、一応身近なものに委任状を渡しておいてその者をして所有者に代って権利を執行させるということは軍としても望んでいるという意向を漏らしております。
◎議長(知花高直君) 本諮問に対する議会からの答申につきましては、ただ今法務警察委員長から報告された答申案通り可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よってただ今委員長から報告の答申案通り答申することに可決致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第九地方自治委員会委員の指名及び日程第十沖縄医師配置委員会委員の推薦、これを一括して議題と致します。
この両案件は議会運営委員会に銓衡を委されていたのであります。その結果を私から報告致しまして皆さんの御賛同を得たいとおもいます。
地方自治委員会委員
仲本朝昌君
沖縄医師配置委員会委員
玉城泰一君
〃 〃
野原昌彦君
以上銓衡委員会で決定してありますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。
◎議長(知花高直君) 次は日程第十一の協同組合法及び農水金庫の実現方促進の件について陳情書を提出することについて議案第二十九号を議題と致します。提案者の説明を求めます。
議案第二十九号
協同組合法及び農水金庫の実現方促進の件につき陳情書を提出することについて
協同組合法及び農水金庫の実現方促進の件につき別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
一九五一年三月二十七日提出
八番議員 平良 幸市
別紙は議長一任
◎平良幸市君 提案の理由を説明申上げます。
農村振興の立場から、どうしても協同組合法の制定は早期に必要だとおもいますのでそれについての詳しい理由は説明するまでもないとおもいます。更にこれをうらづけるところの協同組合の中央金庫俗にいう農水金庫がどうしても早急に実現しなければならないとおもっているのであります。最近の新聞紙報道によると協同組合法は四月初旬に発布になるという事であります。たとえこれが公布になりましても、この農水金庫が実現しなければ画竜点睛を欠くものと思っております。ずっと以前から我々はこれの早期発布を希望しておりますが軍でも来月は間違いないといっているようで延び延びになって今日まで来ておりますが、新聞紙報道の通り初旬に出るものとおもいますが、農村民或は水産人の希望としては一日も早くこれが実現を渇望しているのであります。尚農水産業を振興させるため色々と群島政府においては幾多の施設を予算面にも盛られているのでありますが、同時に農民自身、生産人自身が欲する施設も講じてやらなければいかんとおもいます。こういった手軽に運営出来るところの農水金庫が実現すればその面において農水産人は非常に助かる。よって本員は議会の決議を以ちまして民政副長官に早急に協同組合法の公布とこの協同組合の中央金庫、俗にいうところの農水金庫の早期実現方を陳情したいとおもいます。尚陳情書はこれは、はっきりしていることでありますし、又簡単に成ることとおもいますので文案は議長に一任したいとおもいます。御賛同を得たいとおもいます。
◎議長(知花高直君) 只今提案者の説明がありましたが本案陳情書を提出することとし陳情書は議長に一任することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。陳情書は議長において調製の上提出することと致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第十二議案第三十号を議題と致します。提案者の説明を求めます。
議案第三十号
住宅建築用杉材の輸入促進の件につき陳情書を提出することについて
住宅建築用杉材の輸入促進の件につき別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
一九五一年三月二十七日提出
五番議員 石原 昌淳
別紙は議長一任
◎石原昌淳君 提案者と致しまして提案の理由を簡単に御説明申上げます。
本案は工務委員会において沖縄の住宅復興の急務なること、そしてこの住宅の復興を早く解決するためにはどうしても日本杉材を入れなければいけない。現在日本では輸出貿易管理令によって沖縄に対し又は外国に対して杉材の輸出を禁止しているのであります。特に沖縄の住宅復興が急務なること、その理由と致しましては沖縄では一旦暴風にあえば殆んど八、九〇%が吹飛んでしまう現状であって、併しその暴風は毎年襲来するということが考えられるし、今年も亦暴風期を控えているということ更に民経済の安定のために又沖縄経済の自立を図るために非常に重要なことであること及び住民の住の安定なくしては復興の精神的安定もなく、積極的な復興精神も生れないという風なことを具体的に訴え、この沖縄の特殊事情を特に日本の方でよく理解し、同情して貰って沖縄の住宅復興、戦災復興は即日本の復興だというところまで考えていただくように我々の切実なる要望を訴えまして、特別の途を拓いて貰いたいという意味の陳情を送りたいと思っております。特に杉材を入れたいと思いますことは杉材以外南方のラワン材なんかを入れることも軍では考えているようでありますが、杉材のやみ相場より二、三割高い値段でなければ入らないようであります。今の杉材のやみ相場でさえも一般は建築出来ないのにましてや南方ラワン材或は日本の代用建築材を以てしては到底不可能である。尚現在正式に入らないために殆ど三倍にも近いべら棒に高い値段になっておりますので民の経済力では到底出来ないのであります。この住宅問題を切実に考えていながら、それの復興は遅々として進まないというようになる事情を訴えまして杉材を早期に必要な量を正式なルートで入れて貰うべく陳情書を議会の議決に依り提出したい。その提出先は琉球米国民政長官、同副長官、日本政府の農林、商工、通産省の各大臣、日本の各政党、参議院、衆議院、沖縄人連盟、それから高嶺さん神山さん、比嘉さんの各先輩及び島参議院議員、こういう方面に沖縄全住民の切実なる要望を訴え特別の途を拓いて貰い、日本杉材を利用することによって住の復興を一日も早く解決するように陳情書を議会の議決により送付したいと考えております。皆さんの御賛同を得たいとおもいます。
◎議長(知花高直君) 只今提案者から説明がありました通り陳情書を提出することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして左様に決しました。陳情書は議長において提案者の御意思に副うて調製の上関係各方面に提出することに致します。
◎議長(知花高直君) 次は日程第十三の議案第三十一号を議題と致します。提案者の説明を求めます。
議案第三十一号
泊の公有水面埋立事業に関し意見書を提出することについて
泊の公有水面埋立事業に関し別紙の通り意見書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
一九五一年三月二十七日提出
五番議員 石原 昌淳
(別紙)
泊の公有水面埋立事業に関し沖縄群島議会は群島組織法第三十九条に依り左記の通り意見書を提出する。
一九五一年三月二十七日
沖縄群島議会議長
知 花 高 直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
泊の公有水面埋立事業に関する意見書
泊の公有水面埋立事業は沖縄群島政府の事業として速かに実施相成りたい。
理 由
一、逐年増加する政府財政の財源確保のため適当なる事業であること。
二、本地区の埋立は沖縄中央都市建設と密接なる関係を有し、尚中央貿易港としての泊港との関係もあり、沖縄群島政府において之を計画実施すべきである。
三、群島組織法第二条第二項に依り公有水面埋立事業は群島の行う事務と明記されて居る。
◎石原昌淳君 提案の理由を説明申上げます。本案も先月の工務の常任委員会におきまして泊港の港湾開発工事と関連致しまして、泊港の南の公有水面を政府事業として埋立てる御計画に対し委員会としては、この議案の方にも簡単に理由をつけてありますが、それか(ママ)らの理由によって速かにこの事業の実施をして貰いたいと要望の意見書を提出したいと考えております。先ず理由の第一は逐年増加する政府の財政の財源確保のため適当な事業であると思うのであります。特に終戦後群島政府財政でもって賄われます道路網が、相当に延長拡大されておりますし、これ等の財源確保のためにも恒久的な税外収入として確保出来るところの事業であるという点、次は本地区は沖縄中央都市建設と密接なる関係を有しており、而も沖縄の主なる貿易港となる泊港との関係もある点から群島政府においてこれを計画実施すべきであるという風に考えているのであります。特にこの点を考えますことは、港湾の管理特に主たる貿易港の管理ということは将来とも是非群島政府においてこれを管理さるべきである。これと接続地帯になっており、更にこの港湾の施設と相当密接な関連を持ちます地区の埋立でありますので、政府事業を以って行わるべきであるという風に考えているのであります。次は群島組織法第二条第二項に公有水面埋立事業は群島政府の事業として施行するという権限が明記されておりますのでこの点からして沖縄住民の福祉のために是非この事業を施行すべきという風な見解の下にこの問題を政府事業として速かに実施されるよう要望の意見書を提出したいと考えております。皆さんの御賛同をお願いします。
○議長(知花高直君) 本問題の質疑を省略して討論に入ります。
◎具志頭得助君 ただ今の議案は出し抜けに議会に提出されたようでありますが、本件は昨日本員から質問を致しましたが、併し那覇市においてはすでにシーツ少将のサインも貰っているし、ただ今の提案者の石原議員の説明は中央都市としての建設というようになっております。都市計画というのは埋立の一部で実施出来るものではないのであります。何故こういう議題を出す前に政府としては一応は那覇市が計画しない前にこの案を出していれば本員としても賛意を表しますが、個人が出したものに対しては適当なものである、更に市が出した場合には群島政府がやるという風な行き方は私としては非常に喜ばないものであります。何故この議案が議会提出として案が出たのか、群島政府の案として予算化して進むのが妥当ではないか、こういう見解を持っておりまして、この提案に対しては反対を表明します。
◎祖根宗春君 この問題は最近新聞紙上を賑わしている問題でありまして知事も那覇市と相談をして善処したい、こういう意味の新聞記事を読んでおります。この問題をただ今議会で取上げて群島政府にやらすことは控えて行きたい。何故かならば今この問題については我々もどっちに果して権限があるのか、ないのか群島組織法の二条によっては成程群島政府も出来ることになっておりますが、それかといって那覇市が出来ないということもないし、又出来るということも分らない。今群島政府、那覇市との見解の相違で対立した問題でありますから、議会でこれを決定することは早計に過ぎると思います。従って那覇市と群島政府がよく歩み寄って調査研究をし、更にシーツ長官が(のカ)許可のある問題を我々が勝手にここで議決してすぐ群島政府にやらすことはどうかと思う。それでもう少し内容を我々が検討するまでは次回の議会まで研究期間を置いていただきたいと思う。それで出来れば群島政府は許可権を持って実際の執行には那覇市にやらすとか、或は沖縄全住民の福祉のためになるものだとすればそれに対する埋立てた後の問題についても慎重に研究をしなければいかん、こういう点もあるし、これを茲で議決するのは見合せて行きたいとこういう希望を持つものであります。
◎稲嶺盛昌君 十一番議員(具志頭得助君)のおっしゃった一個人の希望に対しては適当と認め、那覇市が申出たら群島政府で執行しようとしているというような、ただ今の御意見がありましたが、これは昨日の工務部長の説明によりまして、その事実無根なることが分りました。それでそういった事実がないことを信じてこの案に賛成するものであります。なお一つ十四番議員(祖根宗春君)からまだ法規上どこが執行していいか分らんということは、これは昨日この法規上の問題に関しましては工務部副部長の説明によりまして分りました。それで群島政府がこれを執行することは勿論違法ではないということが、はっきり分りました。私は理由としては全くここに掲げられた通りの理由をもちまして、これは当然群島政府で執行して貰うようにこの議案に賛成致すものであります。
○具志頭得助君 事実無根だということを明示して貰いたい。
○稲嶺盛昌君 それは昨日工務部長の説明で分りませんか、個人が申出た場合にこれに賛意を表したいということですが。
○議長(知花高直君) 暫時休憩致します。
午後二時三十七分休会
午後三時五分再開
○議長(知花高直君) 開会致します。三十一号議案について別に御異議ありませんか。
(「賛成」「不賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 討論を終了致し表決に付します。原案に御賛成の方は挙手を願います。
(挙手多数)
◎議長(知花高直君) 挙手者多数と認めます。よって第三十一号議案を原案可決致します。
○新里銀三君 那覇市では一歩も譲らない、どこまでも戦っていくということで市民大会まで近くやることになっているそうですから、その辺は御用心して喧嘩しないように……(笑声)
○議長(知花高直君) 十三日間に亘って委員会なり本会議で色々と重要議案を審議致されましたことを厚く御礼申上げます。閉会に臨みまして知事から御挨拶があります。
◎知事(平良辰雄君) 比較的長期間に亘って皆さん真剣に審議していただいて全部決議をしていただいたことを感謝致しております。色々御意見がありましたので、その点これが運営については十分皆さんの御意見を尊重して執行して行きたいと考えているのであります。皆さんの御精励に対して感謝の言葉を申述べて御挨拶に替える次第であります。(拍手)
◎議長(知花高直君) これをもって第六回沖縄群島議会を閉会致します。
(午後三時十分閉会)
出席者は左記の通り
議員出席者氏名
議 長 知花 高直君
副議長 稲嶺 盛昌君
議 員 与儀 清秀君
〃 仲村 栄春君
〃 石原 昌淳君
〃 普天間俊夫君
〃 宮城 久栄君
〃 平良 幸市君
〃 玉城 泰一君
〃 松本 恭典君
〃 具志頭得助君
〃 長浜 宗安君
〃 山川 宗道君
〃 祖根 宗春君
〃 山城 興起君
〃 新里 銀三君
〃 新城 徳助君
〃 野原 昌彦君
〃 崎山 起松君
〃 仲里 誠吉君
政府側出席者官職氏名
知 事 平良 辰雄君
副知事 山城 篤男君
総務部長 幸地 新蔵君
経済部長 呉我 春信君
財政部長 宮里 勝君
文教部長 屋良 朝苗君
工務部長 渡嘉敷真睦君
法務部長 知念 朝功君
弘報室長 崎間 敏勝君
警察本部長 仲村 兼信君
総務副部長 稲嶺 成珍君
財政副部長 久場 政彦君
工務副部長 西銘 順治君
厚生副部長 大森 泰夫君
文教部研究調査課員
山田 有功君
以 上
◎委員会の報告書
一九五一年三月二十七日
沖縄群島議会
総務財政委員長
具志頭得助 印
沖縄群島議会議長 知花高直殿
委員会付託事件審査結果報告について
第六回沖縄群島議会(定例会)初日の本会議において付託されました沖縄群島企業免許手数料徴収条例について総務財政委員会における審査の結果を左記の通り報告致します。
記
総務財政委員会付託事件審査結果報告書
一、開会、休憩及び散会の年月日時刻
一九五一年三月二十四日
於 政府会議室
開会 午前十時十六分
散会 午後一時五分
二、出席した委員並びに群島政府職員氏名
委員長 具志頭得助君
委 員 仲里 誠吉君
〃 稲嶺 盛昌君
〃 平良 幸市君
〃 崎山 起松君
〃 長浜 宗安君
〃 普天間俊夫君
〃 祖根 宗春君
総務部長 幸地 新蔵君
〃副部長 稲嶺 成珍君
企業免許事務所長
幸喜 克彰君
三、付託事件の件名
沖縄群島企業免許手数料徴収条例について
四、議 事
別紙の通り
五、結 果
第二条左記を
資本額二千円未満の企業に対しては 三十円
資本額二千円以上五千円未満の企業に対しては 五十円
資本額五千円以上一万円未満の企業に対しては 百円
資本額一万円以上三万円未満の企業に対しては 二百円
資本額三万円以上五万円未満の企業に対しては 三百円
資本額五万円以上十万円未満の企業に対しては 四百円
資本額十万円以上五十万円未満の企業に対しては 六百円
資本額五十万円以上百万円未満の企業に対しては 八百円
資本額百万円以上五百万円未満の企業に対しては 千円
資本額五百万円以上千万円未満の企業に対しては 二千円
資本額千万円以上の企業に対しては 三千円
に修正し其他は原案通りとする。
六、表決の数
異議なく総員を以て可決
(終)
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