戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年09月28日 
(昭和26年)
会議名
第11回沖縄群島議会(定例会)第一部委員会 1951年9月28日
議事録
 第十一回沖縄群島議会第一部委員会
  一九五一年九月二十八日(第一日目)金
  於 議会々議室
  午前十時二十分開会
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。出席全員であります。
 昨日の本会議に於て本委員会に付託になりました議案の審査を致します。先ず最初に議案第七十五号沖縄群島工事請負条例制定についてを議題と致します。
 本案の審議については一応休会で研究討議の上本会議に於て決定したいと思いますが如何ですか。
  (全員賛成す)
○委員長(石原昌淳君) では休会をして研究する事に致します。
  午前十時二十五分休会

  午後二時十分再開
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。休会中に於て慎重に研究もしたし、昨日の本会議に於ても本案に対する当局の説明もありましたし、又成案前に於て本案の骨子を委員会に諮って成案をしてありますので質疑に入ります。
○具志頭得助君 第二条第二項に於て三名以上を指名して競争入札に付することが出来るとあるが三名にした場合談合の虞れがあるから三名以上を五名以上とした方がよくはないか、同条第二項第一号の一般競争入札に付するのが不適当なる理由、第二条第二項第二号、第三項第二号の急施と云う用語の具体的例を挙げての御説明、以上三点について御伺い致します。
○工務副部長(西銘順治君) 第一の三名以上を五名以上にするの意見については三名以上も五名以上も談合については同じだと思います。又三名以上となっておりますから原案の三名でよいと思います。
 第二の一般競争入札に付する不適当な理由としては技術を要する工事(例えば橋渠(梁カ)、水中工事の如きもの)、高額の工事、急施を要する工事、落札のない工事等であります。
 第三の急施の具体的例
 第二条第二項第二号の急施は急を要する工事にして入札の告示、公告等の期間の猶予を待つ事の出来ぬ場合を云う。第二条第三項第二号の急施は例えば颱風のために橋がこわれ交通杜絶になり緊急に仮修復でもせねばならぬ場合を云うのであります。
○石原昌淳君 第四条の入札参加者は企業免許を有するものでなければならないと制限してあるが、市町村や団体による工事は此の規定のために出来ない事になりはしないか。議会としては工事は出来るだけ地元市町村にやらせて貰うよう意見書も出してあるがそれとの関係はどうなりますか。
○工務副部長(西銘順治君) 直営と云う事もありますから地元部落や市町村にせしめる(ママ)事が出来ます。特に技術を要する場合は市町村長の責任に於て工事を請負わせている。
○祖根宗春君 工事に関しては補助政策で市町村責任にして工事を施行させ、そしてその維持管理についても市町村に責任を持たせる様にしたがよいと思う。
○石原昌淳君 工事請負の企業免許に関しては信用ある者に企業の免許を与える意味からして予め工務部と打合せの上免許して貰いたい事を要望する。次に第五条の前条の資格を制限することが出来るとあるが第四条は企業免許だけしか規定してないが一つしかない企業免許の資格を制限すると云う事は一寸矛盾の点がある様に思うが、条件を附すると云う事にしたらどうか。
○工務副部長(西銘順治君) これは高額入札の場合の制限の意味でありますからこの通りでよいと思います。
○平良幸市君 刑期満了後三年を経過していない者は第七条の権利の行使が出来ない事になっているが、人権を尊重する意味からして「後三年を経過」を削除して刑期を満了したらその資格権利を回復せしめる様にしたいと思います。
○石原昌淳君 平良委員の意見に賛成するものであります。総ての民主化に伴い法規も民主化して人権を尊重し、又吾々議員が民の立場になって立法すべきものであると思います。唯当局の都合がよいように処理すべきでないと思います。
○祖根宗春君 私も御意見に賛成するものであります。犯罪には種々雑多でありまして、政治犯の如きもあるし又犯罪者にして義侠的な人も相当おる、斯る者を此の法で束縛することはどうかと思う。勿論殺人犯見たような悪質の者は一生その権利を取る可き特別な者もあるが、一般的には社会人として善導すべきであると思います。
○仲村栄春君 第七条の三号迄は御意見の通り賛成する者でありますが、第四号の入札又は請負に不正行為を摘発された者は五年くらいでもよいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 御意見の通り第七条第二号の「後三年を経過」を削除して其の他は原案通りにして差支ありません。
○祖根宗春君 第十六条の但し書の予定価格の三分の二を下ることはできないとあるが、此れを八〇%ぐらいに修正した方が適当と思いますが如何ですか。
○工務副部長(西銘順治君) 三分の二が適当と思いますから原案通りにして貰いたい。
○祖根宗春君 第二十条の棄却でありますが、役所が棄却させた場合は次札を以て落札人とするが、自から放棄した場合に於ても棄却として次札を以て落札人とするか。
○工務副部長(西銘順治君) 第二十一条第五号により入札又は落札を放棄した者は棄却されることになっております。
○祖根宗春君 第二十六条に関連して要望致します。工事請負人が工事の下請をして更に下請させると云う風な事がないとも限らんから、これに対しては厳重に監督をして戴きたい。もう一つは一人の工事請負人が多くの工事を請負うことは出来ないと云う条項を此の条例に織込んで貰いたいと思います。其の例として今度の学校建築の如きも一人で多くを請負うている関係で、従ってその工事遅延の一つの理由になっているようであります。
○平良幸市君 本案は休会中に於ても慎重に研究致し、尚成案前に於ても委員会に於て骨子の検討もしましたので、本員は本案に対する修正の意見を申上げ各位の御賛同を得て表決したいと思います。修正の個所を申上げますと、
  第七条第二号中「後三年を経過」を削除する。
 其の他は原案通りと致します。
○委員長(石原昌淳君) 只今の平良委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上其の他は原案通り可決致します。
○委員長(石原昌淳君) 本日の委員会はこれで閉会致します。
  (午後四時散会)

 一九五一年九月二十九日(第二日目)土 於政府会議室
 午前十時開会
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。出席全員であります。本日は議案第七十六号沖縄群島建築基準条例制定についてを議題と致します。
 本案は本会議に於て一応当局の説明は終えておりますが、何分九十五条より成る条例で殊に建築関係の重要なる案件でありますので、審議に当りましては一応休会をして当局と共に逐条的に研究討議の後本会議を開いて決定した方がよいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御賛成のようですから休会をして研究する事に致します。
  午前十時十分休会

  午後二時再開
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。本案は条文が長いので研究未了のままにして、本日は土曜日でもありますし、此れで終了致しまして十月一日(月曜日)午前十時より本委員会を再開して研究する事に致します。本日はこれで散会致します。
  午後二時二分散会

 一九五一年十月一日(第三日目)月 於議会々議室
 午前十時開会
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。出席全員であります。二十九日に引続き議案第七十六号の研究を致す事に致します、休会致します。
  午前十時一分休会

  午後三時四十分再開
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。二十九日以来本日迄長い間休会中に於て研究致しましたので説明を省略して質疑に入ります。
○石原昌淳君 此の条例は市町村全体又は既設建築物に対しても適用されるのであるか。
○工務副部長(西銘順治君) 市町村に於ては此の条例に束縛される虞れはありません。此の条例の適用はこれから建築される建物であります。
○石原昌淳君 此の条例はこれから建築される建物に適用されるとすれば、例えば旧那覇市内に於けるこれからの建築物の如きものであると云う事になるから条例も長いし、研究の日時も短いから次の議会に提案して戴くようには出来ないものか。
○工務副部長(西銘順治君) 御説の様に条項も長いし、研究の日時も短いので御無理の点もありますが、御承知の様に先に公布になりました興行条例、消防法等の建築に関しては本条例にゆずる可く織込んでありませんので、本条例が公布にならんと興行条例、消防法にも支障を来たす事になりますので、是非共御審議の上本議会で可決して貰いたいのであります。
○仲村栄春君 第二条第六号の五百平方米は沖縄現状に於ては大き過ぎはしませんか。
○石原昌淳君 第二条第一号から第三号迄の用語の定義は指定地域外にも適用されるから何んとか圧縮出来たら圧縮する必要があると思います。尚同条第二号の特種(ママ)建築物の工場であるが、工場は町村あたりにも相当あるが小さい工場、例えば鍛冶屋見た様なものも工場として適用を受けるか。
○工務副部長(西銘順治君) 後の条項で面積で制限されております。
○石原昌淳君 第三条第二項の大規模の修繕と大規模の模様替の具体的説明を願います。
○工務副部長(西銘順治君) 第二条第十二号、第十三号に定義付けてあります。
○石原昌淳君 第四条第二項の建築主事を置く事について知事と協議の結果、置かない場合があるかどうかその点を承りたい。
○工務副部長(西銘順治君) 協議は適当であるかどうか或は技術的の問題等を勘案するためであります。
○平良幸市君 第四条第二項の協議は其の人が適当であるかないか等の人事の問題ではなく、其の市町村は建築面から見て置いてよいか置かないでよいかの協議だと思います。
○仲村栄春君 第四条第一項に市町村は建築主事を置く事が出来るとあるから、第二項の知事と協議せねばならないと云う事は市町村の自主権を尊重せないことになるから削除したらどうかと思います。又第三項の知事に通知せなければならないとあるを自主性を持たすために報告程度にしたらと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 協議する事はこれは知事が必要である場合でありまして、協議ぐらいはよいと思います。又通知を報告にしても大差はないと思います。これで市町村の自主性を圧えると云う事は考えられません。
○祖根宗春君 離島の如きは本条例により確認行為のためわざわざ出覇する事は相当の経費もかかるので知事に於て其の市町村に委任又は任命する方法を取って貰いたい。
○工務副部長(西銘順治君) それは本条例によって建築主事を置きたければ置いて御説の問題は解決できると思います。
○平良幸市君 第四条の第一項から第三項迄は削除して「指定地域は建築主事を置く」事にして義務づけ「建築主事を置かない町村は群島に置く」として二本立にはっきりきめて「置く事が出来る」「置かねばならない」と云う事はせぬ方がよいと思う。
○祖根宗春君 第四条第三項の三十日前公示すると云う事は削ったらどうか。知事が建築主事を置く時は公示しない、市町村が置く時は公示すると云う事は矛盾があると思います。
○工務副部長(西銘順治君) 原則として此の条例施行により知事は建築主事を置く事になり、市町村はその途中で置くから公示の必要があります。住民に知らすためにも必要であります。
○石原昌淳君 本条に云う建築主事に対して、其の資格条件の規定を設ける必要はないか、確認行為に当っては相当の技術其の他の裁量認識等が入ると思うが知事、市町村長は如何にして任命するか。
○工務副部長(西銘順治君) 御説はもっともでありますが、日本の如く適格者を任命すると云う事は今の処沖縄では困難で、知事、市町村長は適当な者と認めて任命する外は仕方がありません。
○石原昌淳君 本条例の制定により群島に建築主事が置かれると云う事になると、従って増員と云う事も考えられるが、現在の財政的立場から増員はせない様に何んとかよい措置を要望致します。
○工務副部長(西銘順治君) 建築主事を新たに増員するのではありません。現在の建築課の職員に其の資格を与えて兼任させるのであります。又群島組織法にも定員の規定がありますので増員は致しません。
○石原昌淳君 第五条を大規模の修繕又は模様替等にも適用した場合、那覇市には相当影響すると思うが、本条は新しく建築しようとする面に適用した方がよくはないか。那覇市に於ては都市計画によって或程度規制する事と思いますが如何ですか。
○具志頭得助君 現在那覇市は都市計画に副う様に建築許可を与えております。
○祖根宗春君 第五条第二項の二十一日の期間を短縮する必要はないか。若し建築主事が早く出来る事でも、規定せる二十一日迄引張って来た場合、申請者に(はカ)迷惑する事があると思う。
○工務副部長(西銘順治君) これは建築の大小も勘案しての事だし、以内だからこれぐらいの期間は必要と思います。又建築主事は出来る丈住民の便宜を計ってくれると思います。
○平良幸市君 第五条第一項第四号に於て都市計画区域とあるが、日本に於ては都市計画区域は、はっきり法的の裏付けがあるが現在沖縄に於ては都市計画区域はない。従って第四号は意味をなさない事になるから此の号の都市計画区域と云う用語を「都市計画区域とは都市計画を設定した区域を云う」と定義付ける必要があると思います。
○工務副部長(西銘順治君) 御説の通り沖縄には都市計画区域はありませんから此の号を生かすために、第二条第十七号を新しく設定して用語の定義を追加する事にしてよいと思います。
○石原昌淳君 第五条第五項の「百平方米以内の場合にあつては五百円、その他の場合にあつては三千円」を超えない金額の範囲内に於て手数料を納めるとあるが、一般庶民的な建築者に対しても負担せしめる事はどうかと思いますので、五十平方米以内は取らないで、それ以上の場合取るようにし、手数料の額も減じた方がよいと思います。それで此の文句を「五十平方メートル以上の場合千円」と修正したらと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 御意見の通り差支ありません。
○仲村栄春君 第五条第五項の手数料は条例で定むべきで府令で定める事が出来るかどうか。
○石原昌淳君 本条例の最高額の範囲内でその方法とか技術とかは府令で定め、手数料の徴収面の規定等は条例で定めると解してよいと思います。
○祖根宗春君 第十条第一項に於て市町村は措置によって生ずる損害は時価によって補償しなければならないとあるが、時価の評価は誰がやるか、時価の補償は町村の財政にも関係があるし、被害の程度に応じて補償したらと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 時価は大方わかると思います。若し時価の評価に対し不服があれば同条第三項によって裁判所へ出訴する事が出来ます。
○石原昌淳君 第十四条の届出は確認を受けた建築物だけであるか、又は全部に及ぶのであるか。尚届出の趣旨は統計のためであるか。統計の目的なら着手の場合でなく竣工がよくはないかと思う。
○工務副部長(西銘順治君) 第十四条の届出は全部でありまして統計の目的であります。
○平良幸市君 第十四条が統計の目的ならむしろ町村に統計資料の提出を委任した方がより適確で、本条による届出によっては正確なる統計の資料は得られないと思います。従って本条は削除しても差支えない条項だと思います。
○石原昌淳君 平良委員の説の如く全建物の統計と云う事は困難でありますので、確認を受けた建築物の統計と云う事にして左の通り修正したら如何と思います。「建築物の建築の工事に着手しようとする場合」とあるを「確認を受けた建築物の工事に着手した場合」として確認を受けた建築物のみに届出を限定したいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 削除するよりは修正して現実に即する様にして戴きたいと思います。
○平良幸市君 本条例は防火、耐火、安全、衛生、美観等日本に於ける措置構造をそのまま適用してある様に思うが、沖縄に於ては沖縄に即する独特の構造及措置等をも規定すべきであると思います。特に暴風地帯である沖縄では耐風的構造又はトタン葺等に対する措置が其の例であります。
○工務副部長(西銘順治君) 御説の暴風地帯としての耐風的構造又は措置に対しては第十九条第一項の風圧に含まれておりますので府令でもって規定致します。
○石原昌淳君 第三十八条第一行目の「第一項第四項」は「第一項第四号」ではありませんか。
○工務副部長(西銘順治君) 「第一項第四項」は「第一項第四号」であります。修正致します。
○平良幸市君 第四十五条でありますが「都市計画地域」は第二条第十七号によって用語を定義づけることにしたが「法令」と云う事は都市計画法を云うのでありまして、沖縄には都市計画法の指定を受けた場所がないから従って「法令」の用語は適用しない。それで本条文中法令の定める手続により指定する事ができるとあるを市町村長と協議の上指定すると云う風に修正する必要があると思います。
○工務副部長(西銘順治君) 指定は協議ではない、或る程度強制処分が必要と思います。
○祖根宗春君 第四十五条に云う「法令」は都市計画法であるが近い将来「法令」も出るかも知れない、尚其の他の法も認める事にして本条に「市町村長と協議の上」を挿入して両方即ち「法令」と「協議」を含めて生かす事にしてはどうかと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 知事は強制権のない指定又は法令の定めがない行政処置は出来ないから手続による指定にして現在は勿論法令はないから指定は出来ないが将来を見て生かして貰いたい。
○平良幸市君 第六章の防火地域の指定、第七章の美観地区の指定も法令の定める手続によってしか指定出来ない事になっている。「法令」は飽迄も都市計画法であるからには知事は第六章の防火地域、第七章の美観地区の指定も出来ない。出来なければ死文になる。若し死文にするくらいなら第四章から第七章迄は当分削除して適用出来る場合に追加する事にしたらどうか。
○石原昌淳君 成程直接適用することは出来ないが将来又は目標を指示する程度にして其の儘生かして置きたいと思います。
○工務副部長(西銘順治君) 第四章から第七章迄削除する事によって其の他の条項にも変動がありますから御説の様に将来を見て生かして貰いたい。
○新城徳助君 第八十一条の第四項、第五項の仮興行場は興行条例の第二十八条の四粁以内に抵触はしませんか。
○工務副部長(西銘順治君) 抵触致しません。
○石原昌淳君 罰則についてでありますが第九十二条は十万円、第九十三条は五万円となっておりますが日本と同じ額ですか。
○工務副部長(西銘順治君) 日本と同額であります。
○石原昌淳君 外の条例の罰則は大方日本の三分の一になってをる様だが別の条例との均衡関連もありますので適当な額にしてはどうかと思います。
○祖根宗春君 本条例の罰則は懲役刑がないから二分の一にして第九十二条は五万円、第九十三条は二万五千円にしたいと思います。
○委員長(石原昌淳君) これで質疑を打切りまして討論に移ります。御異議ありませんか。
○仲村栄春君 本案に対しては二日間に亘り研究もしたし、又今迄質疑もされましたので討論の余地はないと思います。依って本員は本案に対する修正の意見を申上げ各位の御賛同を得て表決したいと思います。修正の個所を申上げます。
  第二条中用語の定義として「十七 都市計画区域 都市計画を設定した区域を云う」と十七号を追加する。
  第五条第五項中「百平方メートル以内の場合にあつては五百円、その他の場合にあつては三千円」とあるを「五十平方メートル以上の場合は千円」と修正
  第十四条第一項中「建築物の建築の工事に着手しようとする場合」とあるを「確認を受けた建築物の工事に着手した場合」と修正
  第三十八条第一行目の「第四項」を「第四号」と修正
  第九十二条の「十万円」を「五万円」と第九十三条第一項の「五万円」を「二万五千円」と修正
 其の他は原案通りと致します。
○委員長(石原昌淳君) 只今の仲村委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上其の他は原案通り可決致します。
○委員長(石原昌淳君) 本日の委員会はこれで閉会致します。
  午後六時散会

 一九五一年十月二日(第四日目)火 於議会々議室
 午前十時開会
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。出席全員であります。本日は議案第七十七号沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例案、議案第七十四号一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算についてを審議する事に致します。両案に対する審議に関しては休会をして研究の上本会議に於て決定したいと思いますが如何ですか。
  (全員賛成す)
○委員長(石原昌淳君) では休会をして研究する事に致します。
  午前十時二分休会

  午後二時再開
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。最初に議案第七十七号沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例案を議題と致します。当局の説明を求めます。
○経済部長(呉我春信君) 本会議に於ても御説明申上げましたので殊更御説明の要はないと思いますが大略御説明申上げます。砂糖及び砂糖容器の検査をすると云う事は貿易商品にするためでありますが、群島として貿易関係に権限があるかどうかと云う点でありましたが、貿易庁に於て告示を出して、群島に於て検査した以外は輸出出来ないと云う事で権限があると云う事になったのであります。分蜜糖は本条例に入れてありませんが、分蜜糖に関しては税収入の目的でなく品質の向上と云う点のみの検査なら、せないでもよいとの各方面からの声もありましたので取入れてありません。何分、分蜜糖は御承知の通り大きな工場設備のため品質が殆んど同一であるのと又此の検査に関しては化学的分析でないと検査が困難と云う理由によるのであります。赤糖に関しても従来なかったから除外する事にしてあります。何時かの委員会で百斤詰なら砂糖樽の輪は四つでよくはないかとの御意見もありましたが、四群島経済部長会に於ても論議されましたが結局五つの輪にする事に決定したのであります。
 尚本条の罰則の点に於て比較的適用条項がないのは検査そのものが第五条によって任意行為の規定になっているからであります。よろしく御審議を願います。
○委員長(石原昌淳君) 質疑に入ります。
○祖根宗春君 第一条の目的として品質の向上、規格の統一とあるが其の他に信用を高める意味はないか。
○経済部長(呉我春信君) 品質を向上させ規格を統一させる事は商品価値の信用を高める意味になると思います。
○仲村栄春君 分蜜糖は品質の検査をせないにしても包装と規格を統一する必要はないか。
○経済部長(呉我春信君) 分蜜糖が本条例に規定されてないからよいと思います。
○崎山起松君 分蜜糖についてでありますが、大阪あたりで粗悪の分蜜糖があるが砂糖不足の時期に粗悪な分蜜糖を内地市場に出した場合本物の分蜜糖の評価を下げる虞れはないか。
○平良幸市君 第三条の検査員についてでありますが、砂糖は沖縄の重要物産の検査であるがため特に検査員に対する資格認定を規定する必要はないか。
○経済部長(呉我春信君) 御説の通り必要でありますが、それは主に経験が主なる要件だと思いますので当分任命で行きたいと思います。
○祖根宗春君 第五条の文面についてでありますが、「この条例によつて検査を受けなければならない」とあるが検査を受けるのは当然此の条例によるので、簡略にする意味からして「この条例による」と打切る様に修正したら如何ですか。
○経済部長(呉我春信君) 条文をはっきりさせる点からして原案の通りがよいと思います。
○石原昌淳君 第十三条の手数料の件でありますが、本条例は砂糖及び砂糖容器共に手数料を徴収する規定になっておりますが、戦前に於ては砂糖容器は徴収していない。これは財源のための手数料であるか、若しそうでなければ輸出奨励の立場から取らぬ様にして本条例に織込んで頂きたい。
○経済部長(呉我春信君) 御意見の通り本条例に織込んでもよいが標題から修正せねばなりませんので、第二項によって手数料は別に条例を以て定める事が出来ますので砂糖容器は手数料を徴収せない様に規定致します。
○委員長(石原昌淳君) 尚別に質疑ありませんか。
  (「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 質疑がなければ本案は休会中に於ても研究討議されましたから討論を省略して表決に入ります。本案は原案通り可決致したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って本案は原案通り可決致します。

○委員長(石原昌淳君) 次は議案第七十四号一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算についてを議題と致します。当局の説明を求めます。
○主計課長(板良敷朝基君) 本会議に於て一応は御説明申上げましたが御手許の一覧表を御覧になればよく御わかりの事と思います。経常部に於ては増減ありません。厚生部の食糧救済の軍補助金の減一七、二〇五、〇〇〇円の補充に対しては二ケ月分の増俸一四、二〇三、〇二〇円と厚生部予算より減じて充当したのであります。厚生部の薬品購入費の減は大きいが行政費より減じても支障はないと思います。選挙費の二〇九、九〇〇円は予備費より全部出してあります。警察部俸給は軍補助金、行政費半々でありましたけれども、どうしても出して貰えないと云うので行政費より二、〇三九、四三〇円追加したのであります。
 建築費の増は建物はただで貰いまして、その建築に対する費用のみ工務部の見積額によって三一二、四四八円計上してあります。よろしく御審議を願います。
○委員長(石原昌淳君) 質疑に入ります。
○石原昌淳君 警察部俸給補助について将来は半額を補助して貰う見通しがあるか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 年度半で資金がないと云っているが来年度は出来ると思います。
○祖根宗春君 第九部第三款第一項第一目俸給の十二名の減はどう云う理由ですか。
○主計課長(板良敷朝基君) 検討をした結果十二名を減じたのであります。
○仲村栄春君 最近救(ママ)済者が減員になるとの事で既に人選を終えた様に聞いておりますがどういう訳ですか。
○社会事業課長(嵩原久男君) 被救済者家庭とそれに次ぐ家庭とを比較した場合最低基準生活のきめ方を再検討する必要があると思います。救済の対象はその家庭の財政収入調をやり最低基準生活費からその収入の分を差引いた差額が即ち補助の対象となるのであります。そう云う様な調査だと思います。
○仲村栄春君 被救済者は割当制の様で町村では更に部落に割当をしている様に聞いているがその点を承りたい。
○社会事業課長(嵩原久男君) 吾々の方針はそうではなく今先申し上げた者が救済者の対象であります。吾々の方針が徹底してないのであります。若し事実そう云う事があれば御一報を願いたい。吾々は更生委員会に於ても常に指導をしております。
○平良幸市君 職業学校、盲唖学校の食糧費は減じたが収容人員も減じなくてよいか、来年度の予算の見通しはどうか、現在の薬品配給所は将来とも必要か、以上の三点について御伺い致します。
○社会事業課長(嵩原久男君) 御答致します。
 第一の職業学校、盲唖学校の収容人員の件であります。職業学校は百名の予定が現在五〇名、盲唖学校は五〇名の定員が現在三十八名でありますから差支ありません。
 第二の来年度の救済費予算に関しては国家が保証するという立前からして軍が持つべきだと思います。
○厚生部長(宮城普吉君) 第三の質問にお答致します。現在那覇と名護にありますが医師の自由開業に伴い追々必要はなくなると思います。
○社会事業課長(嵩原久男君) 救済問題は大きな社会的問題で当然軍がやるべきだと思います。議会としても此の点特に御留意して戴き度いのであります。日本に於ても国家が此れを保証しておりますし、信託と云う関係で民負担ともなれば大きな問題で今後軍に然可く折衝をする必要があると思います。万一の場合は日本政府にでも願出でたいと思います。
○平良幸市君 七月からの増俸に関しては布令七号、救済費の打切等色々の事情からして実施出来なかったが、今回此の予算が通過せば間違なく九月から増俸出来るか。当局は此の増俸に対してはっきりした見通しを持っているか。布令七号との関係は軍と既に了解済みになっているか。若し再び増俸が出来ないとなると、この予算は議決しても意味をなさないことになる。
○人事課長(比嘉幸安君) 増俸問題に関しては布令七号に拘束されておりますので職種俸給改訂について軍に承認を申請して居りますが目下審議中で近く来る事と思います。現在の実状からして必ず支給される予定であります。軍の行政法務部では賃金問題、軍作業問題等十一月頃には全面的に改訂するとの事であります。町村に於きましては自治の立場からたやすく出来ますが、政府は群島組織法に拘束されまして思う様にならないのが遺憾で組織法の改正をも要望しております。
○平良幸市君 救済費の行政費での埋合せ、又災害復旧費の約束の五〇〇万円が出来ない。従って需要費其の他の節減によって充当すると云う具合になるが、後は借入等をも当局は考慮に入れておるか。兎角増俸問題に関しては議会からも議長、副議長が軍に行かれて軍の意向をはっきり確めて貰いたい。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 災害復旧費五〇〇万円は約束しているが出してくれず、北部線復旧に使った三六〇万円は予備費より出してありますが、一八〇万円は行政費から出すから半分の一八〇万円は軍より出して貰う様要求をしております。こう云うような財源のためには目下需要費の節減又は車輛関係の節減等を考慮しております。
○祖根宗春君 前の増俸の場合も群島組織法第八十条、第八十一条により反対したが、今回も軍の了解を得ないで提案したのであれば承認出来ない。速かに群島組織法第八十条、第八十一条の改正をして増俸を提案すれば賛成する。吾々議会に於て議決された事が軍の拒否権によって拒否された場合議会の体面にもかかわる。第一回の増俸、七月の増俸、今回の増俸が実現出来ないとせば議会の権威にもかかわると思う。従って増俸に関しては軍の確答を得てから、その結果によって本案を議決すべきであると思います。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 偶々救済費の打切になったので七月の増俸の件は時期が悪かったのであります。当局としては年度半に打切られては財源等よりして困るからと軍と色々折衝しましたが、軍は増俸予算を以て充当せよと云われましたので今回二ケ月の増俸予算を更正したのであります。増俸に関しては部長以外は枠外だからそれ以外はよいとの事でありますから九月からは間違いないと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 御説の布令七号の改正には一生懸命であります。本増俸が実現出来ないと議会も知事も面目ありません。吾々は毎日程も折衝に努力をしております。今迄の交渉の結果は九分通り成功する事と思います。
○委員長(石原昌淳君) 議会として救済費の問題、災害復旧の五〇〇万円の問題、増俸の問題、其の他軍使用地問題等に関して、議長、副議長をして軍に交渉して貰う事に致します。
○委員長(石原昌淳君) 尚別に質疑ありませんか。
  (「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 質疑がなければ本案は討議し尽されましたので討論を省略して表決に入ります。
 本案は原案通り可決する事に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って本案は原案通り可決致します。

○委員長(石原昌淳君) 最後に当局に対し要望事項を申上げておきます。
  今後行政費が重む事と思いますから車輛の一括責任管理による油脂燃料の節約並に需要費の一括取扱による節約をして貰いたい事
  次に災害復旧費の五〇〇万円を約束通りの補助実現方を折衝して戴きたい事
  次に日本に於ても救済費は政府負担であるから是非軍補助にして貰いたい事
  次に増俸が実現出来るよう与軍の認可方に努力して戴きたい事
  次に警察部俸給の二分の一を新年度より軍が出して貰いたい事
 以上であります。
○委員長(石原昌淳君) 本日を以て第一部委員会は終了致します。これで本日は散会致します。
  午後四時三十分閉会
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