- 組織名
- 沖縄群島議会
- 開催日
- 1951年03月15日
(昭和26年)
- 会議名
- 第6回沖縄群島議会(定例会) 1951年3月15日
- 議事録
- 第六回沖縄群島議会(定例会)会議録
一九五一年三月十五日午前十時十分開議
◎知事(平良辰雄君) 招集の御挨拶を申上げます。今回は定例会議であります。提出議案が相当多いのでありまして、一九五二年度歳入歳出の予算を始め、五一年(年度カ)の追加予算、条例、諮問案と十五、六件の多数になっております。
予算案については尨大なものになっていますので相当皆さんの研究の時間を要するだらうと思います。皆さんの充分、納得のいくやうに充分に説明を加えて立派な審議を期待して簡単に開会の御挨拶を申上げます。
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席全員であります。諸般の報告を致します。
知事から議長宛に公文が参っておりますので書記長をして朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」朗読)
沖総第一五六号
一九五一年三月十五日
沖縄群島知事 平良辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
沖縄群島議会提出議案について
第六回沖縄群島議会(定例会)において議会の議決を得たいので別紙の通り議案及び諮問案を送付致します。
(別紙省略)
○議長(知花高直君) 書記をして議案並びに諮問案を配付致させます。
(書記議案及び諮問案を配付)
◎議長(知花高直君) それでは本日の議事日程を報告致します。
議事日程第五号
第一、今期議会の会期を定めること
第二、今期議会の会議録署名人選挙
第三、沖縄群島知事の政務報告
第四、一九五二年度沖縄群島歳入歳出予算について
(知事提出議案第十四号)
第五、一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
(知事提出議案第十五号)
第六、沖縄群島教育基本条例について
(知事提出議案第十六号)
第七、沖縄群島学校教育条例について
(知事提出議案第十七号)
第八、沖縄群島教育委員会条例について
(知事提出議案第十八号)
第九、中部農林高等学校移転について
(知事提出議案第十九号)
第十、商業(那覇商業カ)高等学校設立について
(知事提出議案第二十号)
第十一、沖縄群島市町村税条例について
(知事提出議案第二十一号)
第十二、沖縄群島陸運条例について
(知事提出議案第二十二号)
第十三、沖縄群島電気工事人免許試験等手数料徴収条例について
(知事提出議案第二十三号)
第十四、沖縄群島企業免許手数料徴収条例について
(知事提出議案第二十四号)
第十五、沖縄群島知事及び議会議員給与条例について
(知事提出議案第二十五号)
第十六、沖縄群島旅費額及びその支給方法条例について
(知事提出議案第二十六号)
第十七、沖縄群島議会議員費用弁償額及びその支給方法条例について
(知事提出議案第二十七号)
第十八、沖縄群島議会事務室職員給料及び旅費額並びにその支給方法条例について
(知事提出議案第二十八号)
第十九、割当土地に対する所有者の権利の制限について
(知事提出諮問第六号)
第二十、地方自治委員会委員の指名について
第二十一、沖縄医師配置委員会委員の推薦について
以上であります。
○本日の会議に付した事件
日程第一、今期議会の会期を定めること
日程第二、今期議会の会議録署名人選挙
日程第三、沖縄群島知事の政務報告
日程第四、一九五二年度沖縄群島歳入歳出予算について
(知事提出議案第十四号)
日程第五、一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
(知事提出議案第十五号)
日程第六、沖縄群島教育基本条例について
(知事提出議案第十六号)
日程第七、沖縄群島学校教育条例について
(知事提出議案第十七号)
日程第八、沖縄群島教育委員会条例について
(知事提出議案第十八号)
日程第九、中部農林高等学校移転について
(知事提出議案第十九号)
日程第十、商業(那覇商業カ)高等学校設立について
(知事提出議案第二十号)
日程第十一、沖縄群島市町村税条例について
(知事提出議案第二十一号)
日程第十二、沖縄群島陸運条例について
(知事提出議案第二十二号)
日程第十三、沖縄群島電気工事人免許試験等手数料徴収条例について
(知事提出議案第二十三号)
日程第十四、沖縄群島企業免許手数料徴収条例について
(知事提出議案第二十四号)
日程第十五、沖縄群島知事及び議会議員給与条例について
(知事提出議案第二十五号)
日程第十六、沖縄群島旅費額及びその支給方法条例について
(知事提出議案第二十六号)
日程第十七、沖縄群島議会議員費用弁償額及びその支給方法条例について
(知事提出議案第二十七号)
日程第十八、沖縄群島議会事務室職員給料及び旅費額並びにその支給方法条例について
(知事提出議案第二十八号)
日程第十九、割当土地に対する所有者の権利の制限について
(知事提出諮問第六号)
日程第二十、地方自治委員会委員の指名について
日程第二十一、沖縄医師配置委員会委員の推薦について
◎議長(知花高直君) これから本日の会議を開きます。
日程第一の今期議会の会期を定めることでありますが、先刻議会運営委員会にお諮り致しまして、明年度の予算案並重要な件が提出いたされて居りますので、相当に審議研究の日時を要するので期間を十二日間と定めてありますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないようですから十二日間と致します。
◎議長(知花高直君) 日程第二の今期議会の会議録署名人選挙についてお諮り致します。選挙の手続を省いて議長指名に致したいが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって議長は三番議員(稲嶺盛昌君)二十番議員(仲里誠吉君)二人を指名致します。御二人にお願いすることに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議なしと認めます。依って左様に決しました。
◎議長(知花高直君) 日程第三、知事の政務報告を願います。
◎知事(平良辰雄君) 一九五一年の定例会議に当りまして群島組織法に依て知事の政務の報告を致します。
政務につきましては、去る十二月の定例会で全般的に一応御説明申し上げましたので、今回は、其の後の推移と、方策について申し上げたいと思います。
先ず、群島政府行政の運営にあたりまして、四群島政府間に、連絡協調の必要を痛感し、共同により解決しなければならない問題もあり、相互連帯し、全琉の建設を推進すべきであると思いまして、一月九日より十六日までの間に、全琉知事会議を開催致しましたが種々の問題について意見を交換し、共同意見としましては、琉球中央政府の構想、群島組織法及び市町村制中改正要望事項等について、民政府副長官にも進言しているものであります。回答は未だ、発表に至りませんが、四群島知事会議は、政務を行う上に、有意義だったと確信して居りますし、今後も全琉的問題については、其の都度会議を開催したいと思って居ります。
総務部主管事項中労務関係について申しあげますと、さきに、群島議会総務財政委員会からの要望もありましたが、労務者の組織に関し、組合法を制定して良いか、又、団体として交渉権、罷業権も認めるかについて軍に質しました処、大要次のような回答を得たのであります。即ち、(1) 法規を制定する前に、事案につき米民政府の審査を受けること。(2) 群島政府の制定した法規は、民政副長官は拒否権があること。(3) 組織については、自発的たるものであること。(4) 労働組合は国家的利益に反する政策を行ってはならないこと。等でありまして、米民政府に於ても相当、慎重を期して居るように見受けられるのでありますので、只今種々、資料を集め、現情勢下に適応する法規を制定すべく研究を進めて居ります。労務者保護の一端であります労務者傷害賠償につきましては、一九四九年七月以降未払いになって居ります。賠償請求一六五件に対しましては早速支払方折衝致しました処 (1) 民政府は賠償資金を、四九年に使い尽し今、資金を追加しつつあること、(2) 賠償金請求書類が今までの分は、全部不備であるということ等、回答して来て居りますし、早期解決は、中々至難でありますので、直接軍の最高幹部と面接の上、善処せしめるよう、只今、該当者の実数、家庭状況、其の他、手続の有無、雇傭責任者等について、資料をあつめつつありますが、これにより、交渉を更に進めるつもりであります。
労務現業事務関係は今まで全部軍が処理し、知事として、何等タッチせず労務関係の施策上、困難な状態でありましたが、五十二年度予算編成に当り現在の民政官府労務課の所要経費は、軍補助金として、群島政府予算に織込むよう指示があり、計上してあります。これにより、来年度から民政官府労務課の事務が布令第七号の範囲で、当方に移管されるものと思われ、そうすると懸案中の、紹介機関の充実により職業紹介は勿論、職業の指導、補導又は職業相談、労務者保護対策等、相当の事務が行われるものと期待しているのであります。
第二に財政部関係について申し上げます。
新年度予算の編成に当っては、当政府の根本方針の徹底遂行を期し、即ち財政の健全化を図る為、従来の実績を研究の上、現行税制の改正により、より適正なる課税及び負担の均衡を計り先ず健全なる歳入源を確保し、一方歳出面に於いては通常行政費の外に、一九五二年度以降に於ける、ガリオア、エロアの援助資金の打ち切りに備えて経済自立計画の樹立が緊急となり、之に即応すべく、復興事業に併せて、産業促進上の指導奨励事業及び施設費への資金の支出を重点的に勘案し、更に教育施設の拡充、衛生及び社会事業施設の充実に留意して来ているのであります。然し歳入に一定の限度があり、且つ、悪性インフレの発生を防ぐため、あくまで予算の均衡を維持し、従来通り人件費の膨脹を抑え、歳出の適正を計ったのであります。たまたま、旧臘二十八日付の「課税及び予算編成」に関する沖縄民政官府の通報に接し、その内容は(1) 現行の租税徴収方法の改善を図ること。(2) 妥当なる限り現行税率を引き上げること。(3) 人件費の削減を図ること。(4) 新税による税収入は復興事業にのみ振向けること等でありまして以上は当政府の根本方針と大体一致する処でありますので出来るだけ之を取り入れ民政府当局との相互の了解を深めつつ既定の方針を推進して行く積りであります。
政府予算の枢軸であります、行政費即ち民負担分
予算の歳入中、税収入につきましては、徴税方法の改善、徴収能率の向上等を期し、二億八千七百六十万九千四百九円で、前年度に比し、一億一千四百九十九万二千四百四十三円の増収を見込んで居りますし、又税外収入におきましても、収入各面の適確なる捕捉、徴収制度の強化等により、これを確保し八千三百七十六万四千七十一円を見積り之も前年度に比し、五千一百六十二万六千七十三円増収を見込んで居ります。群島政府の出発当初の徴税状況は収入僅に、六千三百万円で、予算額の三分の一に過ぎなかったのでありますが、其の後、税収入の確保に重点的に意を用ひましたので、二月末現在の税収入は、一億四千三百万円に達し、ここに歳入の見通しは、大体ついたものと思って居ります。然し未だ各税に亘る脱税、滞納が相当ありますので、前議会に於て承認を得た、改正税法案の公布を見れば、尚一層徴税の強化を図らなければならないと思って居ります。
米民政府補助金につきましては、目下、桑江本部におきまして審議中でありまして、確定の域には達せず、数次に亘る折衝を重ねて居りますが、どうしても、本議会に提案される予算計上額は確保したいと思っているものであります。
本年度予算を事業別に大別して申し上げますと、
(1) 議会費は、全額民負担で二百十五万四千四百七十円
(2) 一般行政関係費は、純民負担 二千二百五十二万一千二百四十円 米補助金 二千万円、計 四千二百五十二万一千二百四十円
(3) 司法警察費 純民負担、五千二百四十四万一千九百九十九円 米補助金 三千四百六十五万一千九百三十六円、計八千七百九万三千九百三十五円
(4) 文化教育関係費 純民負担、一億四千四百三十二万九千五百十七円 米補助金 一億五百九万円、計 二億四千九百四十一万九千五百十七円
(5) 社会保健衛生費 純民負担、七千三百九十四万八千四百八円、米補助金 七千四百九十二万二千六百九十一円、計 一億四千八百八十七万一千九十九円
(6) 産業経済費 純民負担、三千一百四十八万七千八百八十四円、米補助金 四千五百六十九万八千七百五円、計 七千七百十八万六千五百八十九円
(7) 工務公共事業費 純民負担、二千十一万六千六百五十二円、米補助金 一億七千万円、計 一億九千十一万六千六百五十二円
(8) 地方財政費 これは全額民負担で一千二万四千円
(9) 徴税費 これも全額民負担で、一千四百三十四万九千三百十円、になっています。
尚、今議会に予算案と同時に提出する、政府財産表につきましては、前政府においては、何等これによるべき資料を保有していなかった為に、これが調査に相当の困難に逢着したのでありますが、これは現情勢下において、群島財産の限界に不明な点が伏在して居りましたので、止むを得ないものでありました。提出の財産表は、二億八千七百六万五千二百七十三円となって居りますが、物件と、その評価格(額カ)に、尚検討の必要があることを申添えて置きますが、逐次、整備し、改訂を加え、完璧を期したいと思います。
第三に経済部関係を申し上げます。
政府組織以来、鋭意計画に努力致して居りました、沖縄復興綜合計画案につきましては、各位とも協議、検討の結果、大体の成案を得て居りますので、今後の経済諸政策は、これに盛られた案に添うて、実施実現を期していきたいと思って居りますが、いづれにしましても、財源の捻出を考慮せねばならず、これは、米民政府にも計画案提出と共に強く其の援助方を要望したいと思っているものであります。
農務関係中、糖業につきましては、去る九月二日付をもって、沖縄民政官府、ロスゲブ大佐から、民政副長官が沖縄南部製糖工場のため一九五一年会計年度、ガリオア資金から割当てることを承認され、これを極東軍司令部及び陸軍省に上申された旨、報告がありました。本事業は、愈々再建の緒につくものと思はれ、政府としましても極力、これを援助することとし、本年度は夏植甘蔗の植付を奨励することは勿論、春植株出しを奨励して、来期製糖に備えたいと思うものであります。
耕地につきましては、一九四九年の荒廃地は、三、〇〇〇町歩でありましたが、一九五〇年現在に於ては、逐次増加し、大凡四、〇〇〇町歩もあるのでありまして、これは総体的に見ますと水田の荒廃地は減少し、畑が増加する傾向でありますが、沖縄経済復興の面からも、荒廃地の解消を期さねばならぬと考えて居ります。
蚕糸業につきましては、去る一月五日から、二十五日間に亘り、群島管下五十四ケ市町村に於ける蚕糸業の実態調査を施行しましたが、桑園面積一二〇町歩、養蚕家戸数一、〇九一戸、繭生産額(高カ)五、二〇〇貫でありました。沖縄蚕糸業開発の為、去る二月中旬、日本蚕糸業代表者が来島したのでありますが、それぞれ各会社共、沖縄蚕糸業に注目しているのでありまして、蚕糸業も愈々活況を帯びて来るものと思っています。
青果物につきましては、日本輸出を促進すると共に、本島内に駐屯する米軍部隊並びにその家族に対して青果物の販売ができるように栽培法の改善と検査に万全を期して居りまして、現在沖縄園芸組合連合会及び北中城村の二ケ所において、販売を許可して居りますが、逐次、これの指導奨励と、当業者の自覚を十分ならしめ、遺憾のないように努めさせれば、今後、相当の外貨獲得が期待されると思うものであります。
水産関係につきましては、十二月の政務説明で、現状と其の対策を述べましたが、水産業の発展策は、遠洋漁業への進出と、南方への基地を求めることにあるのでありますので漁民の米国占領地域への送出計画を民政府に、許可方申請中でありまして極力、これが実現を期したいと思って居ります。増産施設につきましては、沿岸漁獲物の増産施設を図るため農林省五一年度予算にこれが、施設費を計上してありますので四・四半期において、沖縄群島に六十一万七千四百六十円の助成金の令達内示がありましたので、年度内で施設する予定であります。その計画とするところは、(1)海人草養殖施設を、仲里村と久志村に各々五万六千五百円宛の工事実施、(2)魚巣施設として名護に八万円、本部に十二万円、上本部、玉城、久米島具志川、羽地、渡嘉敷の各村にそれぞれ四万円宛、(3)航路標識灯施設を、糸満、渡嘉敷、渡名喜村に各々三万四千八百十円宛を以て工事をすることになって居ります。尚、漁業根本政策樹立の為には、其の実態の把握にありますので、今関係職員を各地に派遣し、その確実なる調査を期すよう命じて居るものであります。
畜産関係につきまして、現在の食肉事情方面から申し上げますと、一九五〇年の屠場における屠畜頭数、牛は、四、一七一頭、豚、二万二千六百頭でありまして、これを昭和十二年に見ますと、牛、四千七三頭、豚、四万九千七十頭で、牛は凡そ同数ですが、豚は四九%となって居ります。而して昭和十二年の人口、四十九万人に対し現在の五九万人を以て対比する場合は、現在の消費量は、牛、四千八百八十七頭、豚、五万八千八百八十四頭となるべきものでありまして、食肉の需要面に対する供給量は未だしの感が深いものがあり、然かも一九五〇年の屠殺牛の大部分は大島に依存して居るのを考えますと、沖縄畜産振興の急務が力説されるものであります。
次に家畜伝染病対策につきましては、前にも申し上げましたが昨年十二月末日までに、豚コレラ予防接種一万一千五百六頭に達して居り、又二月十七日、日本より十五万CCの豚コレラ予防液が到着しましたので、二月二十二日以降知念村外十ケ町村に予防接種を実施中であります。
工業方面では、去る十二月二十日に十二尺旋盤、十四尺旋盤及びミーリングマシン各四台宛、入荷しましたので将来の鉄工業進展と従来の実績、現況、地理的条件を勘案精査の上、漁船修理を主体とする工場へ適正に配給致して居ります。
商業関係につきましては、十二月の議会におきまして、商業弗資金獲得の為サービス業の設立斡旋方に努力する旨申し上げましたが、民政官府と連絡の下に、野菜、果実の軍部隊納入、理髪業の部隊内経営、ホテルの経営等は既に実施し、今後も、この種、業務の増加に力を入れたいと思って居ります。
倉庫業につきましては、沖縄中央倉庫株式会社、沖縄資材株式会社、今回新設準備中の貿易庁関係計画による会社の三会社が、それぞれ軍と一定契約の下に、民営に移って行くよう進んで居ます。度量衡検定につきましては各方面から要望されていましたが、予て注文中の検定用具も着荷致しましたので、其の費用は五二年度予算に計上してありますので、確定次第直ちに、その機構を整え実務を開始したいと思って居ります。
第四に工務部主管を申し上げます。
住民の輿論であり、又各位も共に努力致しました学校建築計画につきましては、四千五百万円の支出内示を受け第一次計画で、一一二棟既に入札も済み、着工の運びに至って居り、第二次計画の九十棟分も目下民政官府に申請中であります。
土木事業につきましては、十二月の議会におきまして、各種工事の施工方申請中の旨、御説明しましたが、軍指定以外の公道維持費二二ケ路線と、軍指定公道維持十七ケ所分は許可になり他は来年度に於て計画するように民政府から申越して来たのでありまして、更に計画を進めたいと考慮して居ります。
公共施設事業関係の電気事業につきましては、現在の仮設的電気事業の整備と更に恒久的電気事業の計画は、沖縄の復興上欠くべからざる懸案でありますので御承知の如く去る第三回の議会におきまして、電気委員会設置条例を上程し、御承認を得たのでありまして目下各面に亘り調査、研究をして居るものであります。水道施設につきましては簡易水道の復旧及び戦後の人口動態の実情によって飲料水の最も不自由している地域にこれを施設すべく、合計九ケ所の設計を完了し、民政官府に申請中であります。
陸運事業の車輛輸入につきましては、前年度までは、ガリオア資金によって輸入ができましたが、本年度は、民政官府の指示により商業資金によることになったのでありますので、千七百台に及んだ輸入申込に対しては、懸念して居りますが、商業資金によって、できるだけ輸入を図りたいと思って居ります。官営バス事業につきましては、最近計画書を民政官府に提出しましたが、政府としては現状からして、極力これが、実現を望んで居りますので、公営は困難のような話もありますが一層、これが実現に努力を続ける考であります。
海運事業につきましては、軍布令第二号によって、沖縄における指定港は七ケ所しか指定されておりませんので、全琉間の物資交易上の不利不便が多いため、追加申請をしたいと思い、目下適格港湾の実態調査を進めています。尚、船舶職員の資質向上を企図し、小型船舶職員の講習会を三回に亘り実施しましたし、又軍布令により海技免許制を実施し、これも三回に亘り試験を施行致しましたが、今後は、大型船舶が増加する傾向にありますので、上級船舶職員の養成にも力を注ぐつもりであります。
第五に文教関係について申し上げます。
諸種の重要の教育問題を諮詢する目的をもちまして、この度多方面から代表者を委員にあげて、文教審議委員会を組織しました。これによって教育の基本に関する条例、其の他教育法規の制定の準備もすすめしめ、今議会にも、その審議を経た、
教育基本条例、学校教育条例、教育委員会条例を提案したのであります。実業教育の振興につきましては、各方面からの要望もあり、又絶対必要でありますので新年度より、商業学校を新設し、尚農林高等学校其の他の実業学校の設備も、その充実を図りたいと思って居ります。
教育振興の根本は教師の問題であり、教員養成機関設置は一般の切実なる要望でありましたが、新年度より琉大に師範科が設置されるようになりました。現職員の再教育につきまして来年度より局部的に週五日制をとり、現職員の再教育をしたい計画もありますし、又日本への研究教官の派遣を軍並びに日本文部省にも折衝中であります。
第六に厚生部関係でありますが、
医療方面においては、一月十九日付を以て医師、歯科医師、看護婦、助産婦、保健婦等の資格に関する布令、病院、診療所についての布令及び医師、歯科医師の開業地指定に関する布令等が公布され、四月以降漸次医療制度の改革が行われるようになって居ります。これによりますと四月一日より、全医療関係者の登録が行われ、各委員会によって資格が審査されることになります。公立病院は開業医にその設備を利用せしめるいわゆる開放性病院となるのでありますし医師、歯科医師の開業は、各地区毎に員数が制限され、その配置及び人員に関しては委員会によって取り決められることになるのであります。
病院建築計画につきましては、一九五二年末までに、那覇、名護、胡差の三開放性綜合病院の建設が予定されて居り、費用は全額軍補助に仰ぎ本年度においては、一千二百万円が認可になり、胡差病院の着工を致します。尚日を追うて増加の一途をたどりつつあります不良児の矯正指導及び不幸な盲唖者に対する職業補導機関の設置については、五二年度において、全額を軍補助により職業学校及び盲唖学校を新設致したいと思って居ります。
病院、診療所関係の開業制の施行と共に、厚生部関係予算は変更されるものと思いますが、各委員会の発足が、四月以降になるのでありますので、委員会の発足後、其の方針を決定し、予算も補正致すこととし、一応現状の組織の儘における予算を計上してありますことを、念の為申し上げて置きます。
第七に法務部について御説明致します。
土地所有権認定の事務につきましては、認定証明書の作成が一部離島村を除いては、去る二月末までに大体完了し、現在軍特別布告第三六号(一九五〇年四月十四日付)に基いて、三月一日から三月三十日までの三十日間、各市町村に於て一般の縦覧に供されて居り、此の縦覧期間中に異議申立の受理或は証明書の記載の不備の補正が為され四月一日付で証明書が交付される予定であります。
尚、特別布告第三十六号に依って中央土地事務所、登記所の設置が規定されて居りますが、目下、其の成案を急いで居ります。
土地所有権証明書の交付に伴い、土地に関し諸種の社会問題が派生することは、当然予想されますので、その紛糾を調整するために、適当なる措置を講じなければなりませんが、これについては、中央土地委員会に於いて立案し、今議会にも、これを諮問し、成案を得て、規程化の運びを致したいと思います。
最後に、公安委員会についてでありますが、公安委員会においては、さきに警察機構を再編し、警察官の重点配置を行い、更に、治安対策要綱を決定し、犯罪の予防鎮圧に努め、以て住民の福祉に寄与せんと期して居るものであります。又沖縄群島公安委員会規則を制定し、警察行政の民主的且つ能率的な運営を計っているものであります。
以上で説明を終りますが、尚、予算の詳細、其の他、政務の詳細については、御質問に応じ各部長、各課長に説明をさせることに致します。
◎議長(知花高直君) 日程第四の議案第十四号一九五二年度沖縄群島歳入歳出予算について、を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第十四号朗読)
議案第十四号
一九五二年度沖縄群島政府歳入歳出予算案に就いて
右別紙案に依り議決を求めます。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島政府
知事 平良 辰雄
沖縄群島議会
議長 知花高直殿
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 予算の内容について御説明申し上げる前に、予算編成の構想について申し上げたいと思います。
一、将来全面的に経済の自立を示唆され軍補助金の減少乃至は削減を予想されますので其の線に副い経済自立の態勢確立に即応する様にすることであり
一、次に健全財政樹立の態勢を整備することであると思います。此の二つの基本的構想に基いて
一、復興綜合計画に即応し復興の為の諸施策を前年度に比し積極的に実現することに努める
一、次に均衡予算の編成に留意して財政収入の確保に重点を置き住民の担税力に相応して政府及市町村を通じ税制の確立を期する
一、次に断えず増加の一途を辿りつつある政府諸般の経費を極力抑え就中人件費の抑制其他不要額及冗費を削減し住民の経済力と財政の調和を図る
一、次に教育並に衛生施設の改善充実を期する
一、次に市町村財政の確立を期する
以上五項目に重点を置いて編成致したのであります。
尚民政官府の覚書による均衡予算の編成に関する勧告即ち
一、現行税徴収方法改善の為の確固たる措置
二、次に適当な限り現行税率の引上げ
三、次に政府経費の大幅削減特に人件費の削減
四、次に新税の徴収は復興事業の目的にのみ許可される
以上四原則は政府の考え方とも一致しこれを尊重したことは勿論であります。
以上の方針に基いて予算を編成致したのでありますが、其の総額は歳入歳出共
総 計 八二一、七三六、八一二円
内民負担行政費 三七一、三七三、四八〇円
軍補助金 四五〇、三六三、三三一円
でありまして其の内容に就いて主なる事項を御説明申し上げますと、歳入に於て税収入は二八七、六〇九、四〇九円で前年度に比し一億一四、九九二、四四三円の増加となって居ります。
政府におきましては此の大幅の税負担の増加を合理化する為に税制の改革を企図し、さきに議会に諮問し御答申に基いて目下民政官府に改正方申請中でありますが、民政府当局に於ては所得税の引下げに対してはやや難色を示し居る中に看取されたのであります。
成程これは軍の勧告する税率の引上げに対し聊か矛盾する様でありますが現在の住民の経済力に対し一時税率を引上げることは経済力の培養を阻害し財源を枯渇せしむる結果を招来致しますので税率は負担力の分布の実情を勘案して下げるべきは引下げ、財源の涵養を図りつつ課税し一方負担力の増加に相応して引上げることが徴税の根本策と考えまして政府と致しましては住民の担税力に相応した合理的な課税をする為に極力改正案の実現に努力中であります。
尚徴税に当りましては税務行政の改善強化、徴税機構の充実を図ると共に税に対する理解を深め、納税思想の向上によって納税に対する協力促進に格段の努力を払い極力納税の円滑化、滞納の一掃に全力を傾注し、税収入の確保を期すつもりであります。
税外収入は総額八三、七六四、〇七一円でありまして、前年度に比し五一、六七六、〇七三円の増加となって居ります。
これは収入部面の再検討、収入源の的確な捕捉、領収証制度の強化による会計経理面の確実なる運営と相俟って増収を見積ったのであります。
軍補助金につきましては目下軍と折衝中でありまして其の経過を簡単に申し上げておきます。昨年十二月二十三日民政官府より新年度予算を軍補助金三億四千四百円の範囲内で編成する様指示を受けまして政府としましては、最低要求額として茲に提案致してありますところの四億五千万円で予算として編成し提出致しましたところ、民政官府におきましては更にこれを六億二千万円に増額して民政本部に提出致しましたのであります。所が民政本部におきましては斯る巨額の補助は困難なりとしてこれが圧縮方を指示され、其の要求に基いて五億、四億五十(千カ)、四億、三億五十(千カ)、三億の五通りの概括予算を提出致してあります。
政府と致しましては提案通りの補助方を要望し、最小限度に於いても四億五十(千カ)万円程度の実現方を極力折衝中でありますが、此の補助金に移動を生じた場合更に予算の更正をなさなければならないと考えている次第であります。此の点御了承を願います。
次に歳出の主なる点について御説明申し上げますと、
政府は産業育成費及公共事業費に多額の経費を計上することに致しまして先ず経済部の事業費として八四項目に亘る事業計画中二一項目に対し行政費から一、五〇〇万円を計上し、又公共事業として土木事業費に行政費から一、〇〇〇万円を計上してあります。これ等の経費には新税として創設見込の自動車税及特別商品税と税法改正になる増収の分を振り向け更に暴風対策費として行政費から二〇万円を計上してあります。
尚軍補助金を合すれば産業助成費七、七一八万円、公共事業費一億九千一一万円となって居りまして、以て災害の復旧、資源の保護、経済復興の基盤の培養に努めたいと思って居ります。又従来政府予算中その経費の約六〇%を占めている文教費についても再検討を加え文化教育費として行政費から一億四、四三二万円を計上致して居りまして補助金を合すると二億四、九四一万円となって居ります。
社会政策的事業及保健衛生面に於ても行政費から、七、三九四万円を計上し補助金を合はすと一億四、八八七万円が計上され、住民保健衛生の向上、困窮者の生活保護に万全を期すことに致してあります。
尚本年度に於ては地方自治団体の財政運営の基礎充実に資する為新に市町村財政の調整交付令制度を創設し、これと共に中央地方を通ずる税体系を整備し全面的に健全財政の確立を図るべく意図したのであります。
交付金は一、〇〇〇万円を計上致しましたが其の交付の方法については充分研究致して万遺憾のない様に致したいと思って居ります。又財政的事情から公務員の身分保障の制度のない現状におきまして新年度に少額ではありますが、職員公務傷害費として三〇万円を計上し、職員の公務挺身に後顧の憂なからしむる様措置致しました。
尚本年度八億に上る巨額の予算の執行に当っては予算の経理、会計の運営に充分配慮致しまして、歳入計画及政府の事業計面に基く適正なる支払計画を樹立致し財政運営の万全を期したいと思って居ります。
以上予算に就て概略御説明申し上げましたが、詳細は各費目に亘り予算書に説明致してありますので、それにより御承知を願い、尚詳しい点はお質問にお答え致すことに致しましてよろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 第十四号議案、審議未了のままに致しまして、日程第五の一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算についてを議題と致します。書記長をして議案第十五号を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第十五号朗読)
議案第十五号
一九五一年度沖縄群島政府歳入歳出追加更正予算案に就いて
右別紙案に依り議決を求めます。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島政府
知事 平良 辰雄
沖縄群島議会
議長 知花高直殿
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 一九五一年度沖縄群島政府歳入歳出共に追加更正でありまして、追加の必要を認め提案したのであります。内容について歳入に於ては税外収入において、厚生部の屠畜検査手数料、警察部の没収品売上代金遺失物収入の増加金額一、七八六、二八八円六十四銭、軍補助金において厚生部保健所の補助金の減額に対し、社会事業課、警察部、総務部統計課の補助金の増加で差引三、四六四、九四九円八十四銭の増加になっております。農林省の補助金二、九二七、八六一円の減額を見まして総括いたしまして、総計が四、一五五、三〇〇円十二銭の増加になっております。
歳出に知事室事務局が七、二八〇円の増加になっておりますが、これは備品費、通信費、印刷費から流用しています。総務部の一一、八二三円の増加は恩給事務担当者として定員の範囲内に於て一人配置致しましたのであります。尚通信費の増加は電話使用料、移転料となっております。法務部の減少は消耗品費、備品費、自動車使用料、自動車修繕費、罰金還付金の増額を建築費より流用し、その残額を裁判所に流用して減額になっている。裁判所の四三、〇〇〇円の増加は消耗品費、備品費、通信費、自動車使用料の増加であって工務部建築費よりの流用であります。
刑務所の一四六、六九〇円の増加は通信費、自動車使用料の増加であります。経済部の一一、三五〇円の増加は移植民事務担当費として定員の範囲内で一人配置致しましたので俸給と通信費の増加である。財政部の減は消耗品費と通信費の増加に対し印刷費の減額により、予算減を見ましたので、これを流用して残りは他に流用減となっております。
通信課は去る十月一日から郵政庁となって、その費用について目下、郵政庁と群島政府との間に精算中でありますが、そこに計上致してありますのは既決予算内で、機械、自動車使用料、本庁俸給及び逓送費が減額になりましたので相互流用調整したのであります。社会事業課の備品費九一四、二五〇円の増加はペルーの在留邦人の寄附で厚生園の施設充実のためのものであって、自動車使用料二四五、一七〇円の増額と合せて軍補助金の繰入と附帯事業費から流用となっております。尚軍補助金の増加によって民負担行政費より二〇七、〇一八円四十六銭を流用して減となっております。
弘報室の通信費は旅費の一、二〇〇円の減で行政費より流用しております。
厚生部は電話料が増加している。それは財政部の附帯事業費から流用している。
警察部の一、三三八、〇六〇円四十八銭の増は消耗品費、油脂燃料費、食糧費、加熱燃料費の増加を計上し、警察部収入によって賄うことになっております。尚これは軍民半分の負担となっております。監査委員会の二、〇〇〇円の増は自動車修繕費を計上してあります。予備費の減は社会事業課、厚生園の設備充実のため備品費と文教部教員給与引上費に充当のためであります。給与引上費は各自明細書の通り文教部教員俸給引上の追加計上になっております。保健所八〇万円の減は廨庁備品費及び医療器具費の増加に対し廨庁の俸給及び旅費、動物飼育費、自動車使用料の減額によってカバーして、尚残額を他に流用して減額となっております。
経済部所管の農林省助成金は二、九二七、八六一円の減額になったので費目の流用によって必要なものは増額をして予算構成をなしたのであります。
電気委員会費は三八、一〇〇円は条例に定められた委員会の経費として新たに追加計上致したのであります。
総務部統計課の二、一〇一、四二〇円は軍補助によって国勢調査費を追加計上したのであります。
最後に償還金として計上してありますのは、一九四九年の二月及び三月分の食糧値上げによる社会事業課救済関係の民負担分の償還方を民政官府より督促を受けましたので、その支払に当てたいために計上致しております。
以上大略説明申上げました通りでありまして、歳入歳出とも追加更正額は四、一五五、三〇〇円十二銭であって総額三二八、〇三三、四八六円十七銭中、軍補助金が一一三、九四二、二二〇円五十六銭、農林省助成金五、六三八、四九〇円、民負担が二〇八、四五二、七七五円六十一銭であります。御審議の程をお願いします。
◎議長(知花高直君) 本案は審議未了のままに致しまして、日程第六沖縄群島教育基本条例について議案第十六号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第十六号朗読)
議案第十六号
沖縄群島教育基本条例について
群島組織法第二条第二項の規定に基き沖縄群島における教育の基本に関する条例を別紙案の通り制定したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
沖縄群島教育基本条例
われわれ沖縄人は、一九四五年を境として、新生な(のカ)歴史を創造すべき使命をになうようになった。そのためには、民主的で文化的な社会を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献することが大切である。この理想の実現は、根本に於いて教育の力にまつべきものである。
われわれは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、環境から来る制約を克服し、普遍的にして、しかも個性ゆたかな文化の形成(創造カ)をめざす教育を普及徹底しなければならない。
以上の趣旨により、沖縄教育の基本を確立する目的で、この条例を制定する。
第一条(教育の目的) 教育は、人格の不断の向上をめざし、民主的で平和な社会の形成者として、真理と正義に生き、且つ美を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的にして和の精神に充ちた心身共に健康な人間の育成を期して行われなければならない。
第二条(教育の方針) 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
第三条(教育の機会均等) すべて沖縄人は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならない。その人種、信仰、性別、社会的身分、経済的地位によって、教育上差別されない。群島及び公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
第四条(義務教育) 沖縄人は、その保護する子女に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
群島又は公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料はこれを徴収しない。
第五条(男女共学) 男女は互に敬愛(重カ)し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学を本体とする。
第六条(学校教育) 条例に定める学校は、公の性質をもつものであって、群島又は地方(ママ)公共団体の外、営利を目的としない法人のみが、これを設立することができる。
条例に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が期せられなければならない。
第七条(社会教育) 家庭教育及び勤労(ママ)の場所その他の社会において行われる教育は、群島及び公共団体によって奨励されなければならない。
群島及び公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用、その他の適正な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。
第八条(政治教育) 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
条例に定める学校は、特定の政党を支持し、又これに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない。
第九条(宗教教育) 宗教に関する寛容の(なカ)態度及び宗教の社会生活における重要な地位は、教育上これを尊重しなければならない。
群島及び公共団体が設置する学校は、特定の宗教に反対し、又は(ママ)特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
第十条(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、沖縄人全体に対し(ママ)直接に責任を負って行われるべきものである。
教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
第十一条(補則) この条例に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な条例が制定されなければならない。
附 則
この条例は、公布の日からこれを施行する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎文教部長(屋良朝苗君) 教育基本条例を提案致しました。趣旨を説明申上げます。終戦後、沖縄の教育は教育の理念におきまして、教育の制度、内容、方法におきまして教育の行政面において、大改革を加えられております。
理念、制度、行政内容、方法等の基礎寄りどころがはっきりしておりません。現在教育は施行しているが、どういう基礎に立って、どういう目的をもってなしているか、はっきりわかっておらない。同じやるにしても、その寄りどころを、はっきり分っており、目的をはっきり分って、目的によってこういう風な内容、方法を以ってやるという教育をやれば切実に力強く推進せられると思う。もっとも、寄りどころを、いはゆる教育基本条例というものは本当は沖縄の憲法でも出来て、それに立脚して樹てられなければならんと思いますが、憲法も何時出来るか分りませんし、教育はどんどん進められている、将来憲法が出来ても、こういうようなものが、出来るであろうという、見透しを以て条例を起案して提案したものであります。この基本条例は初め、前文におきまして、教育に対する基本的な考え方を明らかにしております。即ち、その基本的な思想というものは個人の尊厳を重じるという思想であります。目的論的に見ると、目的をどこに置くかが分って来る。第一条に教育の目的、第二条は教育の方針、第三条に教育の機会均等、第四条に義務教育、第五条に男女共学、第六条に学校教育、第七条に社会教育、第八条政治教育、第九条宗教々育、第十条教育行政という風に規定せられているのであります。教育基本条例を提案致しますまでには、文教部がこれを起案して先程知事から御説明かありましたように文教審議委員会で相当時間をかけて審議しているのであります。
御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 本案は文教厚生委員会にその審査を付託いたしたいが、如何ですか、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って文教厚生委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第七沖縄群島学校教育条例について議案第十七号を議題と致します。書記長をして議案第十七号を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第十七号朗読)
議案第十七号
沖縄群島学校教育条例について
群島組織法第二条第二項の規定に基き沖縄群島における学校教育に関する条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
沖縄群島学校教育条例
第一条 この条例で、学校とは、初等学校(ママ)、中等学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校、成人学校及び幼稚園とする。
第二条 学校は、群島、公共団体及び営利を目的としない法人のみが、これを設置することができる。
第三条 学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編成その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。
第四条 群島設置の学校の外、学校の設置、廃止、移転その他監督庁の定める事項は、監督庁の認可を受けなければならない。
第五条 学校の設置者はその設置する学校を管理し、その学校に関する経費の負担は、左の通り定める。
一、学校建築及び学校敷地に関する費用は群島立の学校においては群島政府が、その他においては夫々の設置者が負担する。但し、当分の間、学校建築に関しては、群島立並に公共団体立の学校は、民政官府支出の補助金、その他による。
二、校舎、運動場の営繕及びその他の設備に関する費用は群島立の学校においては群島政府が、その他においては夫々の設置者が負担する。
三、備品及び消耗品に関する費用は群島立の学校においては群島政府が、その他においては夫々の設置者が負担する。
四、職員の給料及び特定の旅費は、群島立の学校並びに公共団体立の義務教育を施す学校に限り、これを群島政府の負担とする。
第六条 学校においては、授業料を徴収することができる。但し、群島立又は公共団体立の初等学校及び中等学校における義務教育については、これを徴収することができない。
群島立又は公共団体立の学校における授業料、その他(他の費用カ)に関する事項は、監督庁がこれを定める。
第七条 学校には、校長及び監督庁の定める相当数の教員をおかなければならない。
第八条 教員の免許状及び資格に関する事項は、監督庁がこれを定める。
第九条 左の各号の一に該当する者は、校長又は教員となることができない。
一、禁治産者及び準禁治産者
二、禁錮以上の刑に処せられた者
三、免許状取上げの処分を受け、二年を経過しない者
第十条 私立学校は、校長及び教員を任命する場合、監督庁の認可を得なければならない。
第十一条 校長及び教員は、教育上必要あると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。但し体罰を加えることはできない。
第十二条 学校においては、学生、生徒、児童及び幼児並びに職員の健康増進を図るため、身体検査を行い、及び適当な衛生養護の施設を設けなければならない。
2 身体検査及び衛生養護の施設に関する事項は、監督庁が、これを定める。
第十三条 左の各号の一に該当する場合においては、監督庁は、学校の閉鎖を命ずることができる。
一、条例の規定に故意に違反したとき
二、条例の規定により、監督庁のなした命令に違反したとき
三、六箇月以上授業を行わなかったとき
第十四条 学校が設備、授業、その他(他の事項カ)について、条例の規定又は監督庁の定める規程(定カ)に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる。
第十五条 私立学校は、毎会計年度の開始前に収支予算を、毎会計年度の終了後二箇月以内に収支決算を、監督庁に届け出なければならない。
第十六条 子女を使用する者は、その使用によって、子女が、義務教育を受けることを妨げてはならない。
第十七条 初等学校、中等学校、高等学校、成人学校、特殊学校、幼稚園及び私立学校に関するそれぞれの各条例は、別に定めるところによる。
附 則
この条例は、公布の日から、これを施行する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎文教部長(屋良朝苗君) 提案の趣旨を簡単に説明申上げます。先刻の教育基本条例と大体同じことでありますが、学校教育法において、はっきりしなかったために、今日沖縄の学校は、設立者は誰であるか、或はその経費はどういう風に負担しているか、ということがはっきりしていない、条例がないために争が起って、なかなか困っているような問題を起している。この教育条例は教育法の総則でありまして、学校の種類、設立の方法、それから学校の管理を明らかにしている、学校経費の負担の区分、授業料の問題について規定している。教員の資格、或は私立学校について、或は懲戒の限界等を明らかにする、或は監督庁の監督の権限を明らかにするということを内容に盛っているのであります。これも先程申し上げましたように、文教審議委員会で審議して提案したのであります。よろしく御審議の程をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 本案も文教厚生委員会にその審査を付託したいと思いますが、如何ですか、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって、文教厚生委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第八沖縄群島教育委員会条例について議案第十八号を議題と致します。
書記長をして議案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第十八号朗読)
議案第十八号
沖縄群島教育委員会条例について
群島組織法第二条第二項の規定に基き沖縄群島における教育委員会に関する条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
沖縄群島教育委員会条例
第一章 総 則
第一条 この条例は、教育が沖縄住民全体に対し、直接に責任を負って行はるべきであるという自覚のもとに、公正にして、実情に即した教育行政を行うために、教育委員会を設け、教育本来の目的を達成することを目的とする。
第二条 教育委員会の組織及び職務は、この条例の定めるところによる。
第三条 教育委員会は、沖縄全地区に中央教育委員会を、各地区に地区教育委員会を設置する。但し地区は左の十区とする。
糸満地区、知念地区、那覇地区、胡差地区、前原地区、石川地区、宜野座地区、田井等地区、辺土名地区、久米島地区
第四条 教育委員会に要する経費は、群島政府の負担とする。
第二章 組 織
第五条 中央教育委員会は七人、地区教育委員会は五人乃至七人の委員で組織する。
第六条 中央教育委員は、文教部長の推薦により、知事がこれを委嘱する。
2 中央教育委員は、群島議員のうちから一人、南部、中部、北部から各一人、沖縄全島から三人を委嘱する。但し、南部とは、糸満地区、知念地区、那覇地区、久米島地区を、中部とは、胡差地区、前原地区、石川地区を、北部とは、宜野座地区、田井等地区、辺土名地区をいう。
第七条 地区教育委員は、地区内から、文教部長の推薦により、知事がこれを委嘱する。
第八条 中央教育委員と地区教育委員及び教育長とは兼務することができない。
第九条 教育委員の任期は二年とする。但し、初回に限り、中央教育委員会においては三人、地区教育委員会においては、三人乃至四人の任期を一年とする。
2 補欠委員は前任者の残任期間在任する。
第十条 教育委員は、委員のうちから、委員長、副委員長各一人を選挙する。委員長、副委員長の任期はその委員の任期間とする。
2 委員長は、教育委員会の会議を主宰する。
3 副委員長は、委員長を助け、委員長事故あるとき又は欠けたときは、その職務を行う。
第十一条 地区教育委員会に教育長をおく。
2 教育長は、教育委員以外の教育専門家のうちから、地区教育委員会と文教部長の推薦により、知事がこれを任命する。
3 その任期は二年とする。
4 教育長は、地区教育行政について文教部長に対し、直接責任を負う。
第十二条 地区教育委員会の事務を処理させるため、教育長のもとに、一人乃至五人の職員をおく。
2 中央教育委員会の事務は、文教部職員がこれに当る。
第十三条 教育委員は無報酬とする。費用(但し、費用カ)を弁償する。
第三章 会 議
第十四条 教育委員会の会議は、定例会及び臨時会とする。定例会は、毎月一回これを招集しなければならない。臨時会は必要がある場合においてその事項に限りこれを招集する。
第十五条 教育委員会の会議は、委員長が招集する。但し、中央教育委員会においては、文教部長又は中央教育委員二人以上の者から、地区教育委員会においては、教育長又は地区教育委員二人以上の者から、会議に附すべき事項を示して、臨時会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
第十六条 教育委員会の会議は、在任委員の半数以上が出席しなければ、これを開くことができない。但し、同一の事項につき、再度招集してもなお半数に達しないときはこの限りでない。
第十七条 教育委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決する。
第十八条 教育委員会の委員は、自己又は配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事項については、その議事に参与することができない。但し、会議に出席し発言することができる。
第四章 職 務
第十九条 中央教育委員会は、文教部長の行う左の職務に参与する。
一、群島立の学校及びその他の教育機関の管理運営のために必要なる細則規定の設定。
二、群島立の学校の校長、教頭、教職員、初等学校、中等学校校長及びその他の教育機関の職員の任免配置その他人事に関すること。
三、諸学校の教育運営の指導助言に関すること。
四、群島立の学校の設置、廃止、統合並びに敷地の設定、変更及び校舎その他の建築物の営繕に関すること。
五、高等学校の学校区域の決定変更に関すること。
六、教育に関する調査統計に関すること。
七、校長教員その他(ママ)教育、職員の研修に関すること。
八、高等学校の施設、備品、教科書その他の購入、保管、活用に関すること。
九、文教部所管に係る歳入歳出予算に関すること。
一〇、教育委員会規則の制定又は改廃に関すること。
一一、社会教育に関すること。
一二、私立学校に関すること。
第二十条 地区教育委員会は、教育長の行う左の職務に参与する。
一、地区の初等学校、中等学校の管理運営のために必要な細則規定の設定。
二、地区の初等学校、中等学校の教頭、教員の任免配置その他人事に関すること。
三、地区の初等学校、中等学校の教育運営の指導助言に関すること。
四、地区の初等学校、中等学校その他地区の公共団体立の学校の設置、廃止、統合、学校敷地の設定変更及び校舎その他の建物の営繕に関することの指導助言。
五、地区の初等学校、中等学校の学校区域の決定変更に関することの指導助言。
六、教育に関する調査統計に関すること。
七、地区の教員の研修に関すること。
八、地区の初等学校、中等学校の施設、備品、教科書その他の購入保管、活用に関することの指導助言。
九、地区社会教育に関すること。
附 則
本条例は一九五一年四月一日から施行する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎文教部長(屋良朝苗君) 教育委員会条例提案の趣旨を簡単に申上げます。
教育の民主化、教育の地方分権化、教育の自主性を確保する意味において教育委員会なるものが、今日盛に叫ばれています。沖縄では既に各地区には教育委員会が出来、教育行政を司っておりますが、この度中央教育委員会もぜひ出来なければならんというのが輿論なのであります。これが先程提案しました教育基本法の教育行政の面から見ても当然、教育委員会制度は樹立されなければならんもので、中央教育委員会、地区委員会の両方を持ち度いと考えて、これを作り提案した次第であります。教育委員会と申しましても、現在日本で制定されております本格的な教育委員会は制定できない、即ち教育行政権を知事から分離して、その行政権を持つような教育委員会は出来ない。群島組織法によると教育の責任は文教部長か、知事の名において持つ、今のところ制定できない、そこで形の上では本格的なものは出来ないが、文教部長の諮問機関、教育庁の委員会として、実質的に行っていきたい、諮問機関として、設置したいという意味で条例を作って提案したのであります。これも文教審査委員会で検討したものであります。よろしく御審議をお願いします。
◎議長(知花高直君) お諮り致します。本案も文教厚生委員会にその審査を付託したいと思いますが如何ですか、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって本案は文教厚生委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第九の中部農林高等学校移転について議案第十九号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第十九号朗読)
議案第十九号
中部農林高等学校移転について
中部農林高等学校を左記理由により移転致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
記
一、移転の理由
現中部農林高等学校は、具志川村田場区金座原の山頂にあって敷地狭隘で校舎、運動場、実習地、寄宿舎等が遠距離に離散し、又暴風被害予防対策上も不利の上、水利の便なく条件が悪い現況に鑑みて、移転敷地選定中のところ今回同村同区内に理想的な敷地を選定しました。即ち、その敷地は平坦にして実習地としても適当と思料せられ更に現在の実習地にも近くなり、水道、電灯の利用についても近くに設備があるので便利である。なお、この移転については、村当局及び村民の熱望するところで、敷地三千坪を提供し、現校舎移転費は具志川村外中部地区各市町村が負担することになっている。
よって、移転するには適当と考えるものである。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎文教部長(屋良朝苗君) 具志川に在ります中部農林高等学校は終戦後現地に設立された、これは元黒坊部隊の後にありまして暫定的に設立されたものと思うのであります。この学校から実習地までは約一キロあります。往復に三十分以上を要する、従って実習も非能率的で、管理、生徒の指導が不便であり水がない、下の部落約五百米のところで水を汲んで来る、寄宿舎も不便である。高い所で風あたりも強い、暴風の時に困る。運動場も高原で設けられないので、田場の初等学校の運動場、三百米あるが、そこを利用している、生徒達は実習も水を汲み上げて使っている。寄宿舎には風呂もありません、掃除も不便で衛生上からも極めて悪い、このままでは農林学校の経営が合理的なものは出来ない。移転を急がなければならんと考えておりましたが、適当な敷地が見つかりましたので、移転するということになって、天願十字路の東南方、安慶名新部落の東側で交通は非常に便利であり、水道で水も引入れられ、実習指導等も好適で運動場も同じ敷地で得られる。現候補地は中部地区としては、やや北に偏しておりますきらいがあるが、交通要路になっておりますので便利であります。この敷地は校舎、寄宿舎、農場も一ケ所にまとめられるので、便利であり、合理的である、学校敷地は三千坪、具志川村が提供してくれた。移転費は中部振興会が負担することになっております。
よろしく御審議の程をお願い致します。
○議長(知花高直君) 第十九号議案の質疑に入ります。御質問がありましたら伺います。
◎祖根宗春君 学校を移転するのは議会の権能に属するものであるかどうか、或はこれから中央委員会が出来ればそれでも決定できるかどうか、その理念をはっきりさせて欲しい。
○文教部長(屋良朝苗君) 教育委員会は諮問機関として出来るので、本格的な教育委員会が出来た場合はこれに移されると思う。
本格的な教育委員会は中央政府が出来た場合にこれを制定するというので、沖縄群島の文教部で起案中であります。それは何時できるか分りませんが差当り、先程提案致しましたところに教育委員会としては指導助言といったようなことは出来ます、提案したりするということも出来ますが、この委員会を以てしては決定することは出来ないと考えている。従って今のところ議会において決定さる可きものではないかと考えております。
◎長浜宗安君 この問題については地元具志川村の者として私がよく分っておりますが、一昨年からこの問題が持ち上がっております。先程も文教部長からの御説明のように北部に片寄っていますが、越来、美里に持っていく可く種々候補地を探したが、どうしてもよい敷地でなくてはいけないというので此所に選定された。現敷地と移転敷地のことは文教部長の説明で明らかであります。よって各議員の賛成を得たいと思います。
○議長(知花高直君) 別に質問はありませんか。
○知事(平良辰雄君) 権限の問題で御質問がありましたが、学校の移転は議会にかける必要はないが、将来土地獲得の問題が出て来るので一応議会の承認を得なければならんという所からであります。
◎新里銀三君 只今知事の敷地問題のお話がありましたが、三千坪は地元で寄附するということでありますが、そうであれば所有権認定の場合でも解消する訳でありますか。
○知事(平良辰雄君) 寄附の場合でも財産の取得という風になる。
○議長(知花高直君) 別に御質問はありませんか。
(「質問なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 質疑を終了しまして討論に入ります、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって本案を原案可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十商業高等学校設立について議案第二十号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十号朗読)
議案第二十号
那覇商業高等学校設置について
那覇商業高等学校を左記理由及び要領により設置致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
記
一、設置理由
1 実業教育の振興を計ると共に人材養成への道を開く
2 那覇市が大都市の形態をなして発展しつつあり、実業教育機関たる商業高等学校設置については、世論も昂まっており必要と考える。
二、設置大要
1 開校期日 一九五一年四月一日
2 募集人員 百人 二学級
3 敷 地 那覇市が提供する。
(旧松山校跡の予定)
4 校 舎 当分那覇市において考慮する。
5 予 算 参拾弐万壱千五百円也
内 弐拾九万壱千六百円也人件費
弐万九千九百円也 机、腰掛等備品費
◎議長(知花高直君) 本案は先月の議会において諮問案として、全会一致可決答申致しておりますので質疑、討論を省略して原案通り決定したいが如何ですか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案を原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十一沖縄群島市町村税条例について議案第二十一号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十一号朗読)
議案第二十一号
沖縄群島市町村税条例について
群島組織法第二条第二項の規定に基き、沖縄群島における市町村税に関する条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
市町村税条例(案)
目 次 (頁)
第一章 総 則……………………一
第一節 通 則…………………一
第二節 賦 課…………………二
第三節 徴 収…………………三
第二章 普通税……………………八
第一節 市町村民税……………八
第二節 土地税…………………九
第三節 家屋税…………………十
第四節 船舶税………………十一
第五節 自転車税……………十二
第六節 牛馬車税……………十三
第七節 屠畜税………………十三
第八節 興行税………………十四
第九節 畜犬税………………十四
第十節 木材類引取税………十四
第十一節 電柱税……………十五
第十二節 電話税……………十六
第十三節 ミシン税…………十六
第十四節 ラジオ税…………十六
第十五節 不動産取得税……十七
第十六節 接客人税…………十八
第十七節 事業税……………十八
第三章 目的税…………………二十
第四章 補 則………………二十一
第五章 罰 則………………二十二
第一章 総 則
第一節 通 則
(市町村税)
第一条 市町村は、他に法令を以て特別に規定するものを除き本条例に因り市町村税を賦課徴収することができる。
(市町村税の種別)
第二条 市町村税は普通税及び目的税とする。
(市町村の普通税)
第三条 市町村は普通税として、左に掲げるものを課することができる。
一 市町村民税
二 土地税
三 家屋税
四 船舶税
五 自転車税
六 牛馬車税
七 屠畜税
八 興行税
九 畜犬税
十 木材類引取税
十一 電柱税
十二 電話税
十三 ミシン税
十四 ラジオ税
十五 不動産取得税
十六 接客人税
十七 事業税
2 市町村は、前項に掲げるものを除く外、別に税目を起し、知事の認可を得て普通税を課することができる。
(市町村の目的税)
第四条 市町村は、目的税として左に掲げるものを課することができる。
一 水利地益税
二 共同施設税
(規定の形式)
第五条 市町村が市町村税の賦課徴収について必要な事項を定める場合においては、条例でこれを定め、知事に報告しなければならない。
第二節 賦 課
(納税義務者)
第六条 市町村内に、住所、居所、家屋敷、事務所、事業所を有する者は、市町村税を納める義務がある。
2 前項の規定に該当しない場合においても、市町村内において土地、家屋又は物件を所有し、使用し又は占有する者は、その土地、家屋若しくは物件又はその収入に対して課する市町村税を、又市町村内において一定の行為をする者は、その行為に対して課する市町村税をそれぞれ納める義務がある。
(納税義務の承継)
第七条 法人が合併した場合において合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人は、合併に因り消滅した法人に賦課さるべき市町村税を納める義務がある。
2 法人が解散した場合において、その法人に賦課さるべき市町村税を納付しないで残余財産を分配したときは、清算人は残余財産の価額を限度として連帯してその法人に賦課さるべき市町村税を納める義務がある。
3 相続の開始があった場合においては相続人又は相続財団は、相続開始前の事実について被相続人に賦課さるべき市町村税を納める義務がある。但し、限定承認をなした相続人は相続によって得た財産の価額を限度としてその義務がある。
(市町村外に在る課税客体に対する非課税)
第八条 納税義務者が市町村外において所有し、使用し、若しくは占有する土地、家屋若しくは物件又はその収入に対しては、市町村税を課することはできない。
2 市町村外において事務所、事業所を設けて行う事業又はその収入に対しても、又同様とする。
(納税義務の発生及び消滅等に伴う賦課)
第九条 年税たる市町村税の賦課期日後に納税義務が発生した者には、その発生した月の翌月から月割をもって市町村税を賦課する。
2 前項の市町村税の賦課期日後に納税義務が消滅した者には、その消滅した月まで、月割をもって市町村税を賦課する。
3 第一項の市町村税の賦課後にその課税客体の承継があった場合においては、前の納税者の納税をもって後の納税義務者の納税とみなし、前二項の規定はこれを適用しない。
4 同一の課税客体について一の市町村において納税義務が消滅し、他の市町村において納税義務が発生したときは、納税義務が発生した市町村は納税義務が消滅した市町村において賦課した部分については、市町村税を賦課することはできない。
5 月税たる市町村税の賦課期日後に納税義務が発生した者には、その発生した月の翌月から市町村税を賦課し、その賦課期日後に納税義務が消滅した者には、その消滅した月分の全額を賦課する。
(課税除外)
第十条 左に掲げるものに対しては、市町村税を課することができない。但し、第二号から第六号までに掲げる土地、家屋又は物件を他に使用収益させる場合においてはその使用収益をなす者に課するとき並びに第二号及び第四号から第七号までに掲げる土地、家屋又は物件を有料で使用する場合においてその所有者に課するときは、この限りでない。
一 群島、市町村その他命令で定める公共団体の事業又は行為。
二 群島、市町村その他命令で定める公共団体において公用又は公共の用に供する土地、家屋又は物件。
三 群島又は市町村の所有する土地家屋又は物件。
四 宗教法人においてその用に供する建物及びその境内地又は構内地。
五 墓地。
六 公衆用道路、鉄道用地、軌道用地、運河用地及び水道用地。
七 水路(用悪水路カ)、溜池、堤塘及び井溝。
八 保安林。
九 命令で指定する私立学校において直接保育又は教育の用に供する土地及び家屋。
十 法人の合併に因る土地、家屋又は物件の取得。
(公益等に因る課税免除及び不均一課税)
第十一条 市町村は公益上その他の事由に因り課税を不適当とするときは、課税をしないことができる。
2 市町村は公益上その他の事由に因り必要と認めたときは不均一課税をなすことができる。
(受益による不均一課税及び一部課税)
第十二条 市町村の一部に対し特に利益がある事件に関しては、市町村は、不均一の課税をなし又は一部に課税をなすことができる。
第三節 徴 収
(市町村税の普通徴収)
第十三条 市町村税を賦課徴収しようとするときは、市町村長又はその委任を受けた市町村吏員(以下市町村徴税吏員という)は徴税令書を納税者に交付しなければならない。
(納税義務等の完了時期)
第十四条 前条の徴税令書の交付を受けた納税者は、その税金を市町村に払込み、その領収証を受けたときは、納税の義務を完了する。
2 税金の払込又は納入について郵便振替貯金の方法によった場合においては、納税者が郵便官署に払込んだときにその義務を完了する。
(違法又は錯誤に係る賦課等の救済)
第十五条 市町村税の賦課を受けた者は、その賦課について違法又は錯誤があると認めるときは、徴税令書の交付を受けた日から二十日以内に市町村長に異議の申立をなすことができる。
2 前項の場合において市町村長の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは市町村議会の裁決を求めることができる。
3 前二項に規定する事項については第一項の規定による異議の決定又は前項の規定による裁決を経た後でなければ裁判所に出訴することはできない。
4 第二項による裁決については、市町村長又は市町村徴税吏員からも裁判所に出訴することができる。
5 前二項による裁判所に対する出訴は裁決を受けた日から二十日以内にこれをしなければならない。
6 第三項及び第四項によって裁判所に出訴した場合においても税金の徴収はこれを猶予しない。
(督促状)
第十六条 市町村税の徴税令書の交付を受けた納税者が、納期限までに税金を完納しないときは、市町村長若しくは徴税吏員は遅くとも納期限後二十日までに督促状を発しなければならない。
2 督促状には条例で定める期限内において相当の期限を指定しなければならない。
3 特別の事情のある市町村においては、条例で第一項に規定する期限と異る期限を定めることができる。
(督促手数料)
第十七条 市町村は、督促状を発したときは、手数料を徴収しなければならない。
(滞納処分)
第十八条 第十六条の規定による督促を受けた者が、督促状の指定期限までに税金及び督促手数料を完納しないときは、市町村長若しくは市町村徴税吏員は条例で定める期限内に群島政府租税徴収法の滞納処分の例に因りこれを処分することができる。
2 前項の規定による処分に不服がある者は、市町村議会の裁決を求めることができる。
3 第一項に規定する事項については前項の規定による裁決を経た後でなければ裁判所に出訴することができない。
4 第二項の規定による裁決については、市町村徴税吏員からも裁判所に出訴することができる。
5 第一項の規定による処分のうち差押物件の公売は、差押処分の確定に至るまで、これを停止する。
6 第一項の規定による処分は、その市町村の区域外においてもまた、これを行うことができる。
7 第二項による裁決の要求は滞納処分をうけた日から二十日以内にこれをしなければならない。
(延滞金)
第十九条 督促をなした場合においては、税金額百円(百円未満の端数があるときは、これを切り捨てる)につき一日十銭の割合を以て納期限の翌日から税金完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収しなければならない。但し左の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。
一、徴税令書一通の税金額が百円未満であるとき。
二、納期を繰り上げて徴収するとき。
三、納税者の住所又は居所が不明であるため公示送達の方法により納税の命令又は督促をしたとき。
四、滞納につき考慮すべき事情があると認めるとき。
2 督促状の指定期限までに税金及び督促手数料を完納したときは、延滞金は、これを徴収しない。
(先取特権等)
第二十条 市町村税並びにその督促手数料、延滞金及び滞納処分費(以下市町村の徴収金という)は、群島税並びにその督促手数料、延滞金及び滞納処分費(以下群島の徴収金という)に次いで先取特権を有する。
2 市町村の徴収金の滞納処分によって財産を差押えた場合においては、当該市町村の徴収金は当該財産の価額を限度として、群島の徴収金及び他の市町村に係る徴収金に先だつものとする。
3 納税者の財産上に質権又は抵当権を有する者がその質権又は抵当権が市町村税の納期限より一年前に設定されたことを公正証書で証明した場合においては、その財産の価額を限度として、当該質権又は抵当権が担保する債権に対しては、市町村税は先取しない。
(時効)
第二十一条 市町村の徴収金の徴収を目的とする市町村の権利は、三年間これを行わない場合においては、時効に因り消滅する。
(繰上徴収)
第二十二条 納税者が左の各号の一に該当するときは、すでに徴税令書を交付した市町村税については納期に至り税金の徴収を完了することができないと認められるものに限り納期前であっても、税金の全額を徴収することができる。
一、群島税、市町村税その他の公課につき滞納処分を受けるとき。
二、強制執行を受けたとき。
三、破産の宣告を受けたとき。
四、相続人が限定承認をしたとき。
五、競売の開始があったとき。
六、法人が解散したとき。
七、納税者に税金を免れようとする行為があると認められるとき。
2 前項の規定により納期前に税金を徴収しようとするときは、市町村徴税吏員は納期限変更告知書を発しなければならない。
(納税延期)
第二十三条 市町村長は、条例の定めるところにより、納税者のうち特別の事情のある者に対し、納税延期を許すことができる。
(減免)
第二十四条 市町村長は、天災その他特別の事情のある場合又は疾病(貧困カ)に因り生活のため公私の救助を受け若しくは扶助を受ける者、その他特別の事情のある者に限り、市町村議会の議決を経て市町村税を減免することができる。
(徴収金納付義務者の承継)
第二十五条 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の未納に係る市町村の徴収金があるときは、合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人が、これを納付する義務がある。
2 法人が解散した場合において、その法人の未納に係る市町村の徴収金を納付しないで残余財産を分配したときは、清算人は、残余財産の価額を限度として連帯して、これを納付する義務がある。
3 相続の開始があった場合において、相続開始前の事実について、被相続人の未納に係る市町村の徴収金があるときは、相続人又は相続財団は、これを納付する義務がある。但し限定承認をなした相続人は相続に因って得た財産の価額を限度として、その義務がある。
(連帯納付義務)
第二十六条 共有物、共同使用物、共同事業に因り生じた物件又は共同行為に対する市町村の徴収金は、納税者が連帯して、これを納付する義務がある。
(過納徴収金の取扱)
第二十七条 既納の税金が過納であるときは、その過納額を未納の徴収金に充てることができる。
2 前項に依り尚余剰を生じた場合は、これを納税者に還付する。
(納税管理人)
第二十八条 納税義務者は、納税地に住所、居所、事務所又は事業所を有しないときは、納税に関する一切の事項を処理させるため、納税地に居住する者のうちから、納税管理人を定め、条例の定めるところにより市町村長に、これを申告しなければならない。納税管理人を変更したときも、また同様とする。
(書類の送達)
第二十九条 徴税令書、督促状及び滞納処分に関する書類は、名宛人の住所、居所、事務所又は事業所に送達する。
2 名宛人が相続財団で、その相続財団に財産管理人があるときは、財産管理人の住所又は居所に送達する。
(公示送達)
第三十条 書類の送達を受くべきものが、その住所、居所、事務所若しくは事業所において、書類の受け取りを拒んだとき又はその者の住所、居所、事務所若しくは事業所が不明であるときは、条例で定めるところにより、書類の要旨を公告し、公告の初日かち七日を経過したときは、書類の送達があったものとみなす。
(特別徴収義務者)
第三十一条 市町村は条例を以て特定の税目については、その徴収の便宜を有する者をしてこれを徴収させることができる。
2 前項の規定による徴収義務者(以下特別徴収義務者という)は、市町村に対しその徴収すべき市町村税を納入する義務がある。
3 第一項の市町村税の徴収については、第十三条の規定によらないことができる。
(特別徴収義務者の税金相当額の納入)
第三十二条 特別徴収義務者は、その徴収すべき市町村税に相当する金額を各納期日までに市町村に納入しなければならない。
(特別徴収義務者の徴収不能額の還付)
第三十三条 市町村は、特別徴収義務者が、その徴収すべき市町村税を徴収することができなかった場合において、正当な事由に因るものと認めるときは、特別徴収義務者の申請により議会の議決を経て、これに相当する既納の金額を還付するものとする。
2 第十五条第二項乃至第四項の規定は前項の場合に、これを準用する。
(特別徴収に係る納税義務等の完了時期)
第三十四条 第三十一条第一項の規定により市町村税を徴収せしめる場合においては、納税者は、その税金を特別徴収義務者に払込んだときに納税義務を完了する。
2 特別徴収義務者は、その徴収すべき市町村税に相当する金額を市町村に払込みその領収証を受け取ったときに、税金の徴収及び納入の義務を完了する。
(特別徴収義務者に対する督促)
第三十五条 特別徴収義務者がその徴収すべき市町村税に相当する金額を条例で定める期日までに納入しないときは、市町村長若しくは市町村徴税吏員は相当の期限を指定して督促状を発しなければならない。
(特別徴収義務者が税金を失った場合の措置)
第三十六条 市町村は、特別徴収義務者が既収の税金を失った場合において、天災その他避けることのできない事由に因るものであると認めるときは、特別徴収義務者の申請により税金を納入すべき日から二十日以内に、議会の議決を経て、税金額に相当する金額を補償するものとする。
2 第十五条第二項から第四項までの規定は前項の場合に、これを準用する。
(特別徴収に係る納入金に関する準用規定)
第三十七条 第七条、第十四条第二項、第十七条から第二十二条まで、第二十五条から第二十七条までの規定は、第三十一条第一項の規定により市町村税を徴収させる場合の納入金について、これを準用する。
(徴収の嘱託)
第三十八条 この条例により市町村の徴収金を納付すべき者又はその者の財産が当該市町村外に在るときは、市町村長又は市町村徴税吏員は、本人又は財産所在地の当該吏員に、その徴収を嘱託することができる。
2 前項の場合における徴収金の徴収は嘱託を受けた者の属する市町村における徴収の例による。
3 第一項の規定により徴収を嘱託した場合においては、嘱託に係る事務及び送金に要する費用は嘱託を受けた者の属する市町村の負担とし、嘱託に係る事務に伴う督促手数料及び滞納処分費は、嘱託を受けた者の属する市町村の収入とする。
第二章 普 通 税
第一節 市町村民税
(市町村民税の納税義務者等)
第三十九条 市町村民税は左に掲げる者に対し所得の状況、資産の状況等を標準とし均等割を加味してこれを課する。但し貧困に因り生活のため公私の救助を受け又は扶助を受ける者に対しては、この限りでない。
一、市町村内に住所を有する個人
二、市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で前号に該当しないもの。
三、市町村内に事務所又は事業所を有する法人及び法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるもの。
2 前項第三号の法人及び法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについては、その事務所又は事業所ごとに、市町村民税を課する。
3 第八条の規定は市町村民税については、これを適用しない。
(市町村民税の課税標準)
第四十条 市町村民税は、資産割と所得割を課税標準とし、均等割を加味した額の合計額によって、これを賦課する。
(市町村民税の賦課総額)
第四十一条 市町村民税の賦課総額は、二百円に第三十九条に定める納税義務者の数を乗じた額を超えることができない。
2 前項の規定の適用については、第三十九条第一項第三号の法人は、その事務所又は事業所毎に独立の納税義務者とみなす。
3 第一項の規定による賦課総額を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(市町村民税の賦課期日)
第四十二条 市町村民税の賦課期日は、六月一日とする。
2 第九条の規定は市町村民税については、これを適用しない。
(市町村民税の納期)
第四十三条 市町村民税は、年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
第一期 七月一日から七月末日まで
第二期 十一月一日から十一月末日まで
第二節 土 地 税
(土地台帳)
第四十四条 市町村は土地台帳を備え左の事項を登録しなければならない。
一、土地の所在
二、地 番
三、地 目
四、地 積
五、賃貸価格
六、所有者、使用者の住所及び氏名又は名称
七、質権者の住所及び氏名又は名称
2 土地台帳に関し必要な事項は命令で、これを定めなければならない。
(土地税の納税義務者等)
第四十五条 土地税は土地に対し、前条の土地台帳に登録された賃貸価格を標準として、その所在地の市町村において、その所有者又は質権者に、これを課する。
2 前項の場合においては、土地台帳に所有者として登録された者をもって、それぞれの土地の所有者とする。
(土地税の賦課期日)
第四十六条 土地税の賦課期日は、四月一日とする。
2 第九条第一項及び第二項の規定は土地税については、これを適用しない。
(土地税の納期)
第四十七条 土地税は年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
第一期 五月一日から五月末日まで
第二期 十一月一日から十一月末日まで
(土地税の賦課率)
第四十八条 土地税の賦課率は賃貸価格の百分の十とする。
2 土地税は各納税義務者について、その市町村における土地の賃貸価格の合計金額により算出して、これを徴収しなければならない。但し賃貸価格の合計金額が十円に満たないときは、この限りでない。
3 第一項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(土地税の追徴)
第四十九条 市町村土地台帳に関して申告する義務のある者がその申告をしないことによって賃貸価格の設定又は修正がなされず、そのために土地税に不足額があるときは、直ちにこれを追徴しなければならない。
2 前項の規定により土地税を徴収する場合及び詐欺その他不正の行為により土地税を免れた者から土地税を徴収する場合においては、前条第二項の規定は、これを適用しない。
第三節 家 屋 税
(家屋台帳)
第五十条 市町村は、家屋台帳を備え左の事項を登録しなければならない。
一、家屋の所在
二、家屋の番号
三、家屋の種類、構造及び床面積
四、賃貸価格
五、所有者、使用者の住所及び氏名又は名称
六、質権者の住所及び氏名又は名称
2 家屋台帳に関し必要な事項は命令でこれを定めなければならない。
(家屋税の納税義務者等)
第五十一条 家屋税は家屋に対し、家屋台帳に登録された賃貸価格を標準として、その所在地の市町村において、その所有者又は質権者にこれを課する。
2 前項の場合においては、家屋台帳に所有者として登録された者をもって、その家屋の所有者とする。
(家屋税の賦課期日)
第五十二条 家屋税の賦課期日は、六月一日とする。
2 第九条第一項及び第二項の規定は家屋税については、これを適用しない。
(家屋税の納期)
第五十三条 家屋税は年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
第一期 本年(其の年カ) 七月一日から七月末日まで
第二期 翌年 一月一日から一月末日まで
(家屋税の賦課率)
第五十四条 家屋税の賦課率は賃貸価格の百分の十とする。
2 家屋税は各納税義務者について、その市町村内における家屋の賃貸価格の合計金額により算出して、これを徴収しなければならない。但し賃貸価格の合計金額が十円に満たなければ(いときはカ)この限りでない。
3 第一項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(家屋税の追徴)
第五十五条 市町村家屋台帳に関して申告する義務のある者が、その申告をしないことによって賃貸価格の設定又は修正がなされず、そのために家屋税に不足額があるときは、直ちにこれを追徴しなければならない。
2 前項の規定により家屋税を徴収する場合及び詐欺その他不正の行為により家屋税を免れた者からその家屋税を追徴する場合においては、前条第一項の規定は、これを適用しない。
(土地税名寄帳及び家屋税名寄帳)
第五十六条 市町村は、その市町村内の土地及び家屋について、土地税名寄帳及び家屋税名寄帳を備えなければならない。
2 前項の土地税名寄帳及び家屋税名寄帳に関し必要な事項は命令でこれを定めなければならない。
第四節 船 舶 税
(船舶税の納税義務者等)
第五十七条 船舶税は、船舶に対し主たる定繋場所在の市町村において、その所有者又はその取得者に、これを課する。
2 主たる定繋場が不明であるときは、定繋場所在の市町村のうち、船籍港のある市町村に主たる定繋場があるものとみなす。
(船舶税の賦課期日)
第五十八条 船舶税の賦課期日は、八月一日とする。
(船舶税の納期)
第五十九条 船舶税は年額を二分し、左の二期においてこれを徴収する。
第一期 其の年 九月一日から九月末日まで
第二期 翌年 一月一日から一月末日まで
(船舶税の賦課率)
第六十条 船舶税の賦課率は、左の各号に定める額とする。
一、汽船 総噸数一噸につき年額 五十円
二、発動機船
a 五噸まで 年額 二百円
b 十噸まで 年額 五百円
c 二十噸まで 年額 壱千二百円
d 二十噸を超ゆるもの 年額 壱千二百円に一噸を増す毎に五十円を加算する。
三、刳舟 一隻につき 年額 百二十円
四、其の他 一隻につき 年額六十円
第五節 自転車税
(自転車税の納税義務者等)
第六十一条 自転車税は、自転車に対し、その定置場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(自転車税の賦課率)
第六十二条 自転車税の賦課率は、左の各号に掲げる自転車一台に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。
一、自家用 年額 百二十円
二、営業用 年額 百八十円
(自転車税の賦課期日)
第六十三条 自転車税の賦課期日は、五月一日とする。
(自転車税の納期)
第六十四条 自転車税の納期は、六月末日限りとする。
第六節 牛馬車税
(牛馬車税の納税義務者等)
第六十五条 牛馬車税は、牛馬車に対し、その定置場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(牛馬車税の賦課率)
第六十六条 牛馬車税の賦課率は、左の各号に掲げる牛馬車に対し、一台について、それぞれ当該各号に定める額とする。
一、牛 車 年額 八十円
二、荷馬車 年額 百二十円
三、客馬車 年額 百八十円
(牛馬車税の賦課期日)
第六十七条 牛馬車税の賦課期日は、五月一日とする。
(牛馬車税の納期)
第六十八条 牛馬車税の納期は、六月末日限りとする。
第七節 屠 畜 税
(屠畜税の納税義務者等)
第六十九条 屠畜税は、屠畜に対し、その屠畜場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(屠畜税の賦課率)
第七十条 屠畜税の賦課率は、左の各号に掲げる獣畜に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。
一、牛 一頭につき 百 円
二、馬 一頭につき 八十円
三、豚 一頭につき 五十円
2 第一項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(屠畜税の賦課期日)
第七十一条 屠畜税の賦課期日は、毎月末日とする。
(屠畜税の納期)
第七十二条 屠畜税の納期は、翌月十日限りとする。
第八節 興 行 税
(興行税の納税義務者等)
第七十三条 興行税は臨時税とし、興行の都度その興行場所在の市町村において、その興行主に、これを課する。
2 前項の場合においては、劇場主を興行主とみなす。
(興行税の賦課率)
第七十四条 興行税の賦課率は、左の各号に掲げる興行に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。但し無料入場を許す場合はこの限りでない。
一、映画、演劇、演芸 一回につき 二百円以内
二、相撲、拳闘、闘牛、野球一回につき 五十円(百円カ)以内
三、其の他 一回につき 五十円以内
2 前項の規定による賦課率を超えて賦課しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(興行税の賦課期日及び納期)
第七十五条 興行税は当該興行終了日の翌日納付するものとする。
第九節 畜 犬 税
(畜犬税の納税義務者等)
第七十六条 畜犬税は、畜犬に対し、その所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(畜犬税の賦課率)
第七十七条 畜犬税の賦課率は、畜犬(離乳後)一頭について年額五十円とする。
(畜犬税の賦課期日)
第七十八条 畜犬税の賦課期日は、五月一日とする。
(畜犬税の納期)
第七十九条 畜犬税の納期は、六月末日限りとする。
第十節 木材類引取税
(木材類引取税の納税義務者等)
第八十条 木材類引取税は、素材の引取に対し、価格を課税標準として、同一の素材について一回限り、素材生産地の市町村において、引取者に、これを課する。
(木材類引取税の賦課率)
第八十一条 木材類引取税の賦課率は、引取価格の百分の十とする。
(木材類引取税の賦課期日及び納期)
第八十二条 木材類引取税は、その引取の際直ちに、これを納付しなければならない。
第十一節 電柱税
(電柱税の納税義務者等)
第八十三条 電柱税は、電柱に対し、その設置場所在の市町村において、その所有者に対し、これを課する。
(電柱税の賦課率)
第八十四条 電柱税の賦課率は、電柱一本について年額三十円とする。
(電柱税の賦課期日)
第八十五条 電柱税の賦課期日は、一月一日とする。
(電柱税の納期)
第八十六条 電柱税の納期は、二月末日限りとする。
第十二節 電話税
(電話税の納税義務者等)
第八十七条 電話税は、電話の使用又は加入に対し、電話機所在の市町村において、その使用者又は、その加入者に、これを課する。
2 前項の電話機とは、電話の設備及び利用に関する政府との契約に基いて設置されたものを、使用者とは、当該契約の当事者を、加入者とは、新たに使用者となった者をいう。
(電話税の賦課率)
第八十八条 電話税の賦課率は、電話機一台について、年額二百円とする。
(電話税の賦課期日)
第八十九条 電話税の賦課期日は、一月一日とする。
(電話税の納期)
第九十条 電話税の納期は、二月末日限りとする。
第十三節 ミシン税
(ミシン税の納税義務者等)
第九十一条 ミシン税は、ミシン機に対し、その定置場所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(ミシン税の賦課率)
第九十二条 ミシン税の賦課率は、左の各号に掲げるミシン機一台に対し、それぞれ当該各号に定める額とする。
一、自家用 年額 百二十円
二、営業用 年額 百八十円
(ミシン税の賦課期日)
第九十三条 ミシン税の賦課期日は、一月一日とする。
(ミシン税の納期)
第九十四条 ミシン税の納期は、二月末日限りとする。
第十四節 ラジオ税
(ラジオ税の納税義務者等)
第九十五条 ラジオ税は、ラジオ機に対し、その所在の市町村において、その所有者に、これを課する。
(ラジオ税の賦課率)
第九十六条 ラジオ税の賦課率は、ラジオ一機について、年額百二十円とする。
(ラジオ税の賦課期日)
第九十七条 ラジオ税の賦課期日は、一月一日とする。
(ラジオ税の納期)
第九十八条 ラジオ税の納期は、二月末日限りとする。
第十五節 不動産取得税
(不動産取得税の納税義務者等)
第九十九条 不動産取得税は、不動産の取得に対し、その価格を基準として、不動産所在の市町村において、その取得者に、これを課する。
2 前項の適用については、船舶並びに自動車は、これを不動産とみなす。
3 相続、贈与等に因る無償取得の場合においては、当該事項発生の時の時価によってその取得価格を評価する。
(不動産取得税の賦課率)
第百条 不動産取得税の賦課率は、取得価格の百分の二とする。
(不動産取得税の賦課期日及び納期)
第百一条 不動産取得税は、当該事項発生の都度直ちに、これを納付しなければならない。
第十六節 接客人税
(接客人税の納税義務者等)
第百二条 接客人税は、ダンサー、女給、酌婦、その他これらに類する者に対し、その従業地所在の市町村において、これを課する。
(接客人税の賦課率)
第百三条 接客人税の賦課率は、接客人一人一月について五十円とする。
(接客人税の賦課期日)
第百四条 接客人税の賦課期日は、毎月一日とする。
(接客人税の納期)
第百五条 接客人税の納期は、毎月末日限りとする。
第十七節 事業税
(事業税の納税義務者等)
第百六条 事業税は法人の行う事業並びに個人の行う第一種事業及び第二種事業に対し、所得を課税標準として、事務所又は事業所所在の市町村において、その法人及び個人に課する。
2 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものについては、法人に関する規定を準用する。
3 事務所又は事業所を設けないで行う事業については、その事業を行う者の住所又は居所のうち、その事業と最も関係の深いものをもって、その事務所又は事業所とみなして、事業税を課する。
(事業税の種類)
第百七条 事業税を課すべき個人の事業は、左に掲げるものとする。
第一種
一 物品販売業(動植物その他普通に物品といわないものの販売業を含む)
二 金銭貸付業
三 証券業
四 物品貸付業(動植物その他普通に物品といわないものの貸付業を含む)
五 製造業(物品の加工修理業を含む)
六 電気供給業
七 ガス供給業
八 土石採取業
九 放送事業
十 運送業(運送取扱業を含む)
十一 倉庫業(物品の寄託を受け、これを保管する業を含む)
十二 請負業
十三 印刷業
十四 出版業
十五 写真業
十六 席貸業
十七 旅館業
十八 料理店業
十九 周旋業
二十 代理業
二十一 仲立業
二十二 問屋業
二十三 両替業
二十四 湯屋業
二十五 美容業
二十六 遊技場業
二十七 遊覧所業
二十八 貸家、貸宅地業
二十九 其の他これらに類する事業
第二種
一 弁護士業
二 司法書士業
三 税務代理士(ママ)業
四 公証人業
五 会計士業
六 計理士業
七 設計士業
八 諸芸師匠業
九 其の他これらに類する事業
(事業税の賦課標準)
第百八条 事業税は、左に掲げる所得について、これを課する。
一、法人
各事業年度の所得
二、個人
前条に掲げる事業の所得
(法人の所得)
第百九条 法人の各事業年度の所得は、各事業年度の総益金から総損金を控除した金額とする。
2 法人が事業年度の中途において解散し、又は合併に因り、消滅した場合においては、その事業年度開始の日から解散若しくは、合併の日までの期間をもって、それぞれ一事業年度とみなす。
(個人の所得)
第百十条 個人の所得は、前年中(一月一日から十二月三十一日まで)の総収入金額から必要の経費を控除した額とする。
(二以上の市町村に亘る場合の事業税の課税標準とすべき所得金額)
第百十一条 二以上の市町村において事務所又は事業所を設けて事業を行う者に課する事業税の課税標準とすべき所得金額の総額は、主たる事務所又は事業所所在地の市町村長がこれを決定しなければならない。
2 二以上の市町村において事務所又は事業所を設けて事業を行う者に、関係市町村において所得金額を課税標準として事業税を課する場合においては、その所得金額は、前項の市町村長の定めるところによる。
3 第一項の市町村長が所得金額の総額を決定した場合においては直ちに前項の規定によって関係市町村において課する事業税の課税標準とすべき所得金額を定めてこれを関係市町村長に通知しなければならない。
4 関係市町村長は第一項の市町村長が第二項の規定によって定めた所得金額について、第一項の市町村長に対し異議を申立てることができる。
5 前項の規定による異議の申立は、第三項の通知を受けた日から二十日以内に、これをしなければならない。
6 第四項により異議を申立てた場合において、なおその決定に不服があるときは、裁判所に出訴することができる。
7 前項による裁判所に対する出訴は、決定を受けた日から二十日以内にこれをしなければならない。
(事業税の賦課率)
第百十二条 事業税の賦課率は、法人(特別法人を除く)の行う事業及び個人の行う第一種の事業に対しては百分の五、特別法人の行う事業及び個人の行う第二種の事業に対しては百分の二(三カ)とする。
2 前項の特別法人とは左に掲げる法人をいう。
一、農業組合及び農業組合連合会
二、水産組合及び水産組合連合会
三、工業組合及び工業協会
四、其の他命令を以て指定するもの。
(事業税の免税点)
第百十三条 市町村は、個人の行う事業に対する事業税の課税標準とすべき所得金額が二(三カ)千円に満たないときは、事業税を課することができない。但し財政上その他特別の必要がある場合においては、所得金額が三千円に満たないときであっても事業税を課することができる。
(個人別(のカ)事業税、(のカ)賦課期日)
第百十四条 個人の行う事業に対する事業税の賦課期日は、六月一日限りとす。(とするカ)
(個人の事業税の納期)
第百十五条 個人の事業税は年額を四分し、左の四期においてこれを徴収する。
第一期 其の年七月一日から七月末日まで
第二期 其の年九月一日から九月末日まで
第三期 其の年十一月一日から十一月末日まで
第四期 翌年一月(一日カ)から一月末日まで
第三章 目 的 税
(水利地益税)
第百十六条 市町村は、水利に関する事業、都市計画法に基いて行う事業、林道に関する事業、その他土地又は山林の利益となるべき事業の実施に要する費用に充てるため、当該事業に因り特に利益を受ける土地又は家屋に対し、その価格又は面積を課税標準として水利地益税を課することができる。
2 水利地益税(の課税額カ)(数年にわたって課する場合においては、各年の課税額の総額)は、当該土地又は家屋が前項の事業に因り特に受ける利益の限度をこえることができない。
(共同施設税)
第百十七条 市町村は共同作業場、共同倉庫、共同集荷場、汚物処理施設その他これらに類する施設に要する費用に充てるため、当該施設に因り特に利益を受ける者に対し共同施設税を課することができる。
2 共同施設税の課税額(数年にわたって課する場合においては、各年の課税額の総額)は、当該納税者が前項の施設に因り特に受ける利益の限度をこえることができない。
(目的税の賦課期日及び納期)
第百十八条 目的税の賦課期日及び納期は、当該市町村において、これを定めなければならない。
(知事の認可)
第百十九条 第百十六条、第百十七条及び前条の場合においては、条例を設けて、予め知事の認可を受けなければならない。
第四章 補 則
(納税義務者の申告義務等)
第百二十条 市町村税の納税義務者及び特別徴収義務者は、条例の定めるところによって、市町村税の賦課に関し、必要な事項を当該市町村長に対し申告又は報告しなければならない。
(徴税吏員の質問検査権)
第百二十一条 市町村税の徴税に関し必要があるときは、当該市町村の徴税吏員は、左に掲げる者に質問し、又はそのものの事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。
一、納税義務者又は納税義務があると認められる者。
二、特別徴収義務者。
三、納税義務者又は納税義務があると認められる者、金銭又は物品の給付をなす義務があると認められる者、その他当該市町村税の賦課に関し、直接関係があると認められる者。
2 前項の場合においては、当該徴税吏員は、その身分を証明すべき証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
(関係市町村長の意見の異なる場合の措置)
第百二十二条 課税権の帰属その他本条例の規定の適用について、関係市町村長が意見を異にするときは、その申出によって、知事がこれを定める。
第五章 罰 則
(脱税等に関する罪)
第百二十三条 詐欺その他不正な行為により、市町村税額の全部又は一部につき市町村税を免れた者は、その免れた税金の五倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
2 特別徴収義務者が徴収すべき市町村税を徴収せず又は徴収した市町村税を納入しなかったときは、徴収しなかった税金又は納入しなかった税金の五倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
3 前二項の場合においては、市町村は直ちにその免れた税金又は徴収しなかった税金若しくは納入しなかった税金を徴収することができる。
(申告義務者等に対する罪)
第百二十四条 左の各号の一に該当する者は、これを二千円以下の罰金又は科料に処する。
一、第百二十条の規定により申告し又は報告すべき事項について、虚偽の申告若しくは報告をした者又は申告若しくは報告を怠った特別徴収義務者。
二、第百二十一条の規定による帳簿書類その他の物件の検査を拒み、妨げ又は忌避した者。
三、前項(号カ)の帳簿書類で(がカ)虚偽の記載をなしたものを提示した者。
四、第百二十一条の規定による徴税吏員の質問に対し、答弁をなさない者。
五、前号の質問に対し、虚偽の答弁をなした者。
(不納煽動に関する罪)
第百二十五条 納税義務者のすべき課税標準に関する申告をしないこと、若しくは虚偽の申告をすること又は税金の徴収若しくは納付をしないことを煽動した者は、二千円以下の罰金又は科料に処する。
附 則
(施行期日)
第百二十六条 本条例は一九五一年四月一日からこれを施行する。
(用語の意義)
第百二十七条 この条例において所有者とは、所有権が確認されるまで、物件を実際に所有することによって、その物件を使用し、又は占有する者をいう。但し物件につき賃貸料を支払うときは、その支払をうける者を、所有者とみなす。
(関係法令の廃止)
第百二十八条 本条例施行のとき現に施行されている各市町村税賦課徴収条例は、本条例施行の日からその効力を失う。
(旧法令との関係)
第百二十九条 旧市町村税賦課徴収条例によって課し、又は課すべきであった課税については、本条例の規定にかかわらずなお従前の例による。
第百三十条 本条例施行前になした行為に対する罰則の適用又は準用については、なお従前の例による。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 先の第五議会において諮問事項として提案して御承認になりましたものを、そのまま提案してあります。尚その当時事業税の第一種貸家業こういうことを議会側から追加されましたが、今度の提案に当りまして貸家業に課税するならば均衡上、貸宅地にも課税してこれを貸家貸宅地業としたいと思いまして貸宅地だけを加えて提案したのであります。よろしく御審議願います。
○議長(知花高直君) 本議案の質疑に入ります。
◎宮城久栄君 十七頁の第五節不動産取得税で少し質疑がありますがそれを質問致します。二項に前項の適用については船舶並びに自動車はこれを不動産とみなす、船舶を購入する時も、自動車を購入する時も不動産取得税を課すことになっているが現行の日本民法には土地及びその定着物はこれを不動産とする。その他のものは総て動産とする。この民法の八十六条の規定からいうと土地とその土地に定着した物が不動産で船舶、自動車はこの法律の意義からいうと動産に入るべきである。法規にはっきり動産不動産が明記されたのを勝手に条例で動産を不動産とみなすことはそういう見解はないと思いますが、どうですか。
○財政部長(宮里勝君) 只今の御説明は尤もであります。実はこれは二、三日前に問題になりましたが、この船舶については二十噸以上のものである場合、自動車その他のものについては、これを民法規定を排除してよいかという問題になって来ますが提案した吾々の考え方は不動産とみなして課税するという考え方であります。
◎宮城久栄君 政府が税を課する便宜上動産であるが不動産とみなすことは都合のよい考ではあるが、万一現行日本の民法八十六条を持って来て自動車を購入して、これは不動産ではないという場合課税は出来ないと思いますが、その点如何ですか。
○法務部長(知念朝功君) 私の方から申上げます。昨日も財政部長から現実にはすでに動産であるものを条例の規定で不動産にしてしまうことが民法の八十六条土地及びその定着物以外のものは動産になるが、これを不動産として取扱うということが出来るかという相談がありましたが、みなすということは実際とは違うが一つの事実を測定する法律上の効果を生じさせるということが建前でありまして事実でないという証拠を提出しても、それをひっくり返さないという法律上の用語にある効果である。
八百八十六条の民法でありますが胎児は相続についてはすでに生れたものとみなす、人間としてはなっていなくても人としてみなす。胎児であってこれは人間ではないと云いますが、事実はそういうことになります。法律の規定によって一つの効果を生ぜしめるのはいいと思うのですが。
○議長(知花高直君) 暫時休憩します。
午前十一時五十五分休憩
午後〇時五分開会
○議長(知花高直君) 開会致します。
◎石原昌淳君 市町村民税の納税義務者のことについて市町村内に住所を有する個人ということでありますが、この個人、個人という解釈を家族の所得があるものが、家族五名おれば五名別々の対象という解釈だと聞いておりますが、戦前の戸数割は世帯本位にやっていた、そういう風に取扱うのが個人対象よりも徴税の上で便利と思いますが個人対象にした場合は今の若い者には財産もないのが多いし、滞納処分でも不都合があると思います。どういう意味で個人を対象にしたのですか、世帯本位の納税の対象にした方がよいと思いますが。
○財政部長(宮里勝君) 以前は戸主を中心として世帯本位に課税しておったが戦後の税の在り方は総べて個人主義的に解釈して所得税も個人単位になっている。日本でも勿論吾々が施行しているのも全部個人単位で、そういう風に変って来ております。この税法自体も個人を単位にしております。
◎祖根宗春君 第五回の群島議会の諮問事項として、税法がかけられた時には市町村税法となっておりましたが、今回は市町村税条例となっておりますが、その変動の趣旨を説明願います。更に本議会においてこの議案が可決された場合すぐに効力を発生するか、軍の了解なり、認可なり、指示を受くべきであるか、更に議会がこの税法を可決した場合、沖縄群島における議会が税法を設定する権能を持っているのか、どうもはっきりしませんので権限の問題についても説明願います。
○財政部長(宮里勝君) 議会は今の市町村税法を制定する権限があります。条例に改正しました理由は群島組織法第三十七条に条例にするという文面がありますので、色々議論もして、条例にするか、法律にするかといったが、群島組織法に条例ということがあって、その方がよいという解釈の下に致しました。これが可決になりましたら四月から全島に施行することになっております。
◎具志頭得助君 先達っての議会におきまして質問したが、市町村内に住所を有する個人、従来市民権といいますか、配給によって市民権が与えられておりますが、現在いるのが現状であるか、外来者であっても住所を持って居ればよいのですか。
○財政部長(宮里勝君) 住所を有しておれば全部含まれます。
◎祖根宗春君 この名称でありますが、群島組織法の第三十七条d項によって法律を以て禁じたものを除く外、税金、使用料、手数料、分担金、加入金、又は夫役現品の賦課徴収に関すること、これが議会の権能の一つになっておりますから市町村税法であるとして、何処までも法として可決した方がよくないかと思います。条例は一定の基本法があって、これに基いて作ったのが条例で基本法である税を条例で片付けないでどこまでも市町村税法という名称の下に議決することを要望致します。
○議長(知花高直君) 異議ありませんか。
◎石原昌淳君 市町村民の納税義務のことでありますが、平等割をするようでありますが、御方針のように個人対象になります場合に家族が乳のみ子から頭割にすると非常に庶民的な家族の多い方が負担が重さむという風な結果にもなりますし、今先申上げましたように徴税上の便利という点から沖縄の実情として、世帯本位に課した方が、事宜に適して最も適当と思うのである。又一人平均の制限二百円というのも大方の頭は世帯割という考え方で低いのではないかというように云われたが一人当り二百円という制度になると、不要の制限になると思いますが実情として世帯本位課税に改める御意志があるかどうか。
○財政部長(宮里勝君) 均等割がありますが、これは最初成案する時にはなかったが、市町村側からの要望で、そういう風にしたのであります。赤子まで課税するのでなく、可働者で市町村は更に市町村条例で決めていく、世帯単位にしてはというお話でありますが、実際の納税者の個人、個人の人格を尊重して、個人単位になっておりますが今更、直すよりも、現在の進歩した法律で個人単位にやった方がよいと思います。市町村側としても二、三の村では反対であったが大体はこれに対して意見はなかったのであります。又二百円は低いと言われたが、低かったら制限外に申請して引上げる方法はあると思います。
○石原昌淳君 低いというのは世帯割という考え方で、もっと引上げたらという議論は個人本位となると二百円というのは、不必要な、むしろ高すぎる制限以上の賦課はあり得ないということが考えられる。
○財政部長(宮里勝君) 個人本位でも二百円はある。個人単位にしても、もっと課税したい町村もありますし、撤回すると税金が集中して課税の公平からもこういう風なものが必要と思います。
◎仲村栄春君 五番議員の意見に賛成する。諮問案のときの条項を審議した場合は一戸を構える個人、一戸を構えなくても独立の生計を営む個人というわけで、これを認めたのでありますが、只今のは住所を有する個人となっている。独立の生計を営むというのは、いわゆる世帯を持ったものでなければならん、という解釈がつけられると思います。家族は生計を営んでいない、世帯主によって生計が営まれているという意味で吾々は諮問案の場合に、そのままを認めたわけであります。御説明の通り各個人に課税せられるという場合は、いわゆる多くの家族を持っているという所が多くの担税力を持たなければならん。
○財政部長(宮里勝君) 諮問のときは一戸を構えるということになっていたという話でありますが、訂正になっていませんか。
○議長(知花高直君) 休憩します。
午後〇時十七分休憩
午後〇時二十一分開会
○議長(知花高直君) 開会します。
○議長(知花高直君) 午前はこれで散会して、午後は一時半から開会致します。
午後〇時二十二分散会
(午後二時開会)
○議長(知花高直君) 開会致します。全員出席であります。午前に引続き沖縄群島市町村税条例について議案第二十一号の審議に移ります。
◎祖根宗春君 この二十一号議案はどこまでも市町村税法でなければいかんと思います。理由は日本に於ても国会において議決している地方税法は矢張り一つの法律になっております。沖縄においては軍政下にありまだ国の所属も決らんので暫定的に群島組織法という憲法に似たものをもって群島議会が組織されてしかもこの組織法を公布した時に軍ははっきり議会に対する権能は立法権を有するものであるとはっきり指しています。従って立法権を与えられたこの議会がすべてこういう重大な法律を作るのに簡単な条例で片づけることは悪例を残す、これから出て来る法律でこの議会で議決する場合にはいつでも条例という名前をつけなければいかんようなことになってしまう。折角与えられた公民権を以て選出された議会が我々の最も大事なものを決めるに条例で以て片づけることは面白くないと思います。条例と法律の違いは条例は法律の範囲内においてそれを基にして作られるものであるし、又法律に拠らないでも手数料とか使用料とか負担金とか敢て法律を作らないでも委された範囲内において作るのが条例で遙かに軽いものである、自から別個のものである。従って一番大きな市町村税はどこまでも市町村税法という法律でなければいかんと思う。現在の軍政上(下カ)においては法律を作る権能は軍にあるのか、群島議会にあるのか、その解釈ははっきりしておりませんが一応立法機関としての権能を与えられた以上は軍の政策指示に反しない範囲内で議決しているならば市町村税法という法律を実施しても差支えないと思う。
軍は認可もしなければ拘束も指示も何もしない群島議会に委されているのでありますからどこまでも市町村税法で行った方が立法権の趣旨からいってもいいと思いますのでどこまでも市町村税法を主張致します。
◎新里銀三君 只今十四番議員(祖根宗春君)がいわれたように市町村税法は基本法であります。これによって市町村に税を賦課して徴収するものでありますからこの基本法は法として命名すると同時にこの基本法に基いて出すのが条例だと思うのであります。例えば町村におきましては更に徴収なりにつき条例を作らなければいかんと思う。町村はこの基本法に基いて条例を作ると思いますのでどこまでも法といった方が妥当なものだと思うのであります。今後医師法というのも出来ると思いますがすべて基本法に基いて発するところの諸法規を条例とつけた方がいいんぢゃないかと思うのでこれはどこまでも法と見た方がいいと思います。
○知事(平良辰雄君) 只今の御質問はよく納得が行きませんが条例というのと法律というのとは何かそこに相当の段階があって違うというのであればそれは意味があると思う。然し内容において同じような形式で議決する場合は名前だけの問題であって何も違いはない、殊に法律というものは議会の協賛を得る、然しながら条例であるとかいうものは法の委任によって各省の大臣がやるといったようにその内容が変っていれば別であるけれども、ただ法律といったからどれだけの重味があるか条例でも同じく議会の協賛を得ているので効力においては差支はない体裁が何だか法律といえば上のような気がするというだけのことではないかと思う。然も法律というものは我々の考え方としては軍から布告によって出した組織法とかいったような軍の布告、布令、そういうものが法である。そしてその範囲内で許されたのが条例であるという考を持っている。ただ今の問題は字句の問題になってしまうのであります、実質的には何も影響はないのぢゃないかと思う。我々としては若い連中が集まって相当議論もしたようであります。条例にするか法律にするか結局議会で同じような形式でやるなら条例と法律と区別するのが困難である位のところで落ついたような訳であります。
◎松本恭典君 先から論議された不動産取得税の自動車を不動産と見なすという話ですが法務部長からも窃盗罪の対象となるものはあくまでも取得し得べきものである場合に電気はどこまでも動産と見なすという意味に解しておりますが、然るにこの場合の動産を不動産と見なすというのとは別個の問題ではないかと思う、見なすということはあくまでも推定でなくして事実によって確定さるべきものだと思う。それでこれは先程知事さんからも何か他の名目で出したらどうかということも言明されていますので課税するしないは別問題と致しまして別の方法で課税する方法を考えた方が理論的に合うのぢゃないかと考えております。
○財政副部長(久場政彦君) 法律上見なすという場合には法律におけるその言葉の範疇からすると非常に工合が悪いと思いますので、「不動産と同様に取扱う」と訂正したいと思います。見なすというのははっきりしないものをそのままでは種類が分らないから見なすのであって、この場合は自動車船舶というものが動産という形を備えておりますのでどうも不適当だと思います。「不動産と同様に取扱う」に訂正したいと思います。
○松本恭典君 賛成であります。
◎議長(知花高直君) 質疑を終了致しまして討論に移ります。御異議はありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして本案原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十二沖縄群島陸運条例について議案第二十二号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十二号朗読)
議案第二十二号
沖縄群島陸運条例について
群島組織法第二条第二項の規定に基き、沖縄群島における陸運に関する条例を別紙案の通り制定したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
陸運条例目次
第一章 総 則
第二章 監 理
第三章 自動車運送事業
第四章 政府直営自動車運送事業
第五章 自家用自動車
第六章 車 輛
第七章 罰 則
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
陸運条例(案)
第一章 総 則
(目的)
第一条 この条例は自動車運送に関する秩序の確立及び事業の健全な発達並に車輛の整備及び使用の適正化を図り、もって自動車運送における公共の福祉を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例で自動車運送事業とは、他人の需用に応じて自動車を使用して旅客又は物品を運送する事業をいう。
この条例で車輛とは、自動車をいい、自動車とは、原動機により道路上を運行する用具をいい、道路とは道路法による道路並びに一般交通の用に供する場所をいう。
第二章 監 理
(監理者)
第三条 沖縄群島知事(以下知事という)はこの条例の規定により自動車運送に関し第一条の目的を達成するため必要な監理をする。
(免許等の条件)
第四条 免許許可又は認可には条件を附することができる。
前項の条件は公共の福祉を確保するため必要があるときは之を変更することができる。
(調査及び臨検検査)
第五条 知事は、必要があると認めるときは自動車運送事業者その他車輛を所有し、若しくは使用する者、又はこれらの者の組織する団体に事業又は車輛の所有若しくは使用に関し、届出をさせ、報告をさせ又は書類を提出させることができる。
知事は、必要があると認めるときは当該職員に、事業場その他の場所に臨検し、事業若しくは車輛の所有、若しくは使用の状況、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、又は質問をさせることができる。
前項の場合、当該職員はその身分を示す証票を携帯しなければならない。
(車輛検査員)
第六条 公安委員会は、警察本部長をして、職員の中から車輛検査員を命じ、第六章の規定による職権の行使を補助させることができる。
車輛検査員は必要があると認めるときは、車庫その他車輛の所在すると認める場所に、臨検し車輛を検査し又は質問をすることができる。
前項の場合車輛検査員は、その身分を示す証票を携帯しなければならない。
(自動車運送審議会)
第七条 知事はこの条例の適正な運用を図るため、自動車運送審議会(以下審議会という)をおくことができる。審議会は沖縄群島政府工務部に置き、委員若干名をもってこれを組織する。審議会の委員は、工務部長の推薦又は申出により知事がこれを任免する。
委員の任期は一年とし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。但し再任を妨げない。
知事は自動車運送に関し、重要と認める事項に対しては、予め審議会に諮り、その意見を徴し、かつその意見を尊重してこれを処理することができる。
第三章 自動車運送事業
(自動車運送事業の種類)
第八条 自動車運送事業の種類は左に掲げるものとする。
一、一般自動車運送事業(特定自動車運送事業以外の自動車運送事業)
(一) 一般乗合旅客自動車運送事業
(二) 一般貸切旅客自動車運送事業
(三) 一般積合貨物自動車運送事業
(四) 一般貸切貨物自動車運送事業
二、特定の自動車運送事業(特定のものの需用に応じ特定の旅客又は物品を運送する自動車運送事業)
(一) 特定乗合旅客自動車運送事業
(二) 特定貸切旅客自動車運送事業
(三) 特定積合貨物自動車運送事業
(四) 特定貸切貨物自動車運送事業
(免許)
第九条 自動車運送事業を経営しようとする者は陸運条例施行細則(以下細則という)の定める所により、事業計画を定め、知事の企業免許を受けなければならない。
(免許基準)
第十条 知事は、自動車運送事業の免許に関し、妥当な基準を定めなければならない。
第十一条 知事は、左の各号の一に該当する者に対しては、免許を与えてはならない。
一、事業を経営しようとする者が、一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられた者で、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しないものであるとき。
二、事業を経営しようとする者が、事業の免許の取消を受けた者で、その取消の日から二年を経過しないものであるとき。
三、事業を経営しようとする者が、破産の宣告を受け復権を得ない者であるとき。
四、事業を経営しようとする者が、法人である場合においてその法人の代表者に、前三号の一に該当する事由のあるとき。
五、事業を経営しようとする者の、資力信用が不充分なため、事業の確実な経営が、著しく困難であると認められるとき。
六、当該事業の経営に因り、公共の福祉に反する結果を生ずるような競争がひきおこされる虞のあるとき。
(物品の附随運送)
第十二条 旅客自動車運送事業者は、知事の許可を得て、旅客の運送に附随して物品を運搬することができる。
(運賃及び料金)
第十三条 自動車運送事業の運賃及び料金については、知事の認可を受けなければならない。
(運送約款)
第十四条 貨物自動車運送事業者は、運送約款を定め、知事の認可を受けなければならない。
運送約款においては運賃料金その他の運送条件及び運送に関する事業者の責任に関する事項を定めかつこれを公示しなければならない。
(公共の福祉に反する行為)
第十五条 自動車運送事業者は、事業計画に定める自動車の運行を怠り、不当な運送条件によることを求めその他公共の福祉に反する行為をしてはならない。自動車運送事業者は、自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。
知事は、前二項に規定する行為があるときは、自動車運送事業者に対し当該行為の取止その他公共の福祉を確保するため必要な措置を命ずることができる。
(運送引受義務)
第十六条 自動車運送事業者は、左の場合を除いては、運送の引受を拒絶してはならない。
一、当該運送に関し旅客又は荷送人から特別な負担を求められたるとき。
二、当該運送が法令の規定、公の秩序又は善良の風俗に反するとき。
三、天災その他やむを得ない事由に因る運送上の支障あるとき。
四、前各号の外、知事が正当と認めた事由のあるとき。
(運送の順序)
第十七条 物品の運送はその申込の順序によりこれを運送しなければならない。但し正当な事由があるときはこの限りでない。
(事業計画等の変更)
第十八条 自動車運送事業者は、事業計画又は運送約款を変更しようとするときは、予め知事の認可を受けなければならない。
(運輸及び会計)
第十九条 自動車運送事業における自動車の使用、運輸施設の整備、その他運輸に関し、必要な事項及び経理の合理化、帳簿保存その他会計に関し、必要な事項は細則でこれを定める。
(運輸に関する協定)
第二十条 自動車運送事業者は、他の運送事業者、若しくは小運送業者と連絡運輸若しくは共同経営に関する契約、その他運輸に関する協定をし、又はこれを変更するには、知事の認可を受けなければならない。
(事業改善の命令)
第二十一条 知事は、公共の福祉を確保するため必要があるときは自動車運送事業者に対し左に掲げる事項を命ずることができる。
一、事業計画、運賃料金その他の運送条件、運送約款を変更すること。
二、他の運送事業者又は小運送業者と設備の共用、連絡運輸、共同経営又は運輸に関する協定をすること。
三、旅客又は物品の運送に関する損害につき保険に付すること。
四、前各号を除いて事業の改善をすること。
(運送に関する命令)
第二十二条 知事は、旅客又は物品の運送を確保するため必要があるときは自動車運送事業者に対し運送すべき旅客若しくは物品及び運送条件を定めて、その運送を命じ、又は旅客若しくは物品を定めてその運送を制限し、若しくは禁止することができる。
知事は、旅客又は物品の運送を確保するため必要があるときは、自動車運送事業者に対し旅客又は物品の運送の順序を定めてこれによるべきことを命ずることができる。
(名義の利用及び貸借)
第二十三条 自動車運送事業の名義は自動車運送事業を経営するため、他人がこれを利用し又は他人にこれを利用させてはならない。
自動車運送事業はこれを貸借してはならない。
自動車運送事業の管理の委託受託並に自動車運送用自動車の貸渡しについては、知事の許可を受けなければならない。
(譲渡合併解散)
第二十四条 自動車運送事業を経営する会社の譲渡又は合併若しくは解散は知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。自動車運送事業者は、知事の許可を受けなければ、その事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(事業の停止及び免許の取消)
第二十五条 自動車運送事業者が左の各号の一に該当するときは、知事は自動車運送事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は免許の全部若しくは一部を取消すことができる。
一、この条例に基く命令若しくは処分又は免許許可若しくは認可に附した条件に違反したとき。
二、許可又は認可を受けた事項を故なく実施しないとき。
三、前二号の場合を除いて公共の福祉に反する行為をしたとき。
四、事業経営の不確実又は資産状態の著しい不良、その他の事由により事業を継続するのに適しないとき。
(免許の失効)
第二十六条 自動車運送事業の免許は、当該事業の廃止の許可を受けたときその効力を失う。
(特定運送事業)
第二十七条 特定の自動車運送事業には第十四条、第十六条、第十七条、第十八条(事業計画に関する部分を除く)、第二十四条第二項及び前条の規定を適用しない。
特定の自動車運送事業者はその事業を休止し、又は廃止したときは遅滞なくこれを知事に届出なければならない。
この場合においては免許は事業廃止の届出があったときにその効力を失う。
第四章 政府直営自動車運送事業
(政府事業)
第二十八条 沖縄群島政府において経営する自動車運送事業には、第五条、第九条、第十条、第十一条、第十三条、第十四条、第十五条、第十八条、第十九条(会計に関する部分に限る)、第二十条乃至第二十六条、第二十七条第二項の規定を適用しない。
第五章 自家用自動車の使用
(有償禁止賃貸制限)
第二十九条 自動車運送事業用自動車以外の自動車(以下自家用自動車という)は対価を得てこれを運送の用に供してはならない。
自家用自動車は、知事の許可を受けなければ対価を得て、これを貸し渡してはならない。
(使用の制限及び禁止)
第三十条 知事は自家用自動車の使用が、この条例の目的に照らし適正でないと認めるときは、その使用を制限し又は禁止することができる。
第六章 車 輛
(車輛検査)
第三十一条 自動車は、細則の定めるところにより、使用に適(供カ)する構造、装置及び性能を有するかどうかについて公安委員会の検査を受けなければならない。公安委員会は前項の検査の結果、車輛が使用に適すると認めるときは、車輛検査証を交付し、車輛番号を指定しなければならない。
第一項に規定する車輛は、車輛検査証を備え付けかつ指定された車輛番号を表示したものでなければこれを使用してはならない。
車輛検査証及び車輛番号の指定の有効期間と車輛検査証の書換再交付及び返納に関し必要な事項は細則でこれを定める。
(車輛の整備)
第三十二条 自動車については細則に定める整備をしなければならない。
公安委員会は前項に規定する車輛が使用に適しないと認めるときは必要な整備を命ずることができる。
公安委員会は、前項の規定による命令に従わない者に当該車輛の使用を制限し、若しくは禁止し又は車輛検査証の提出、若しくは返還を命ずることができる。
公安委員会は前項の車輛検査証の返還を命ぜられた車輛に対しては、車輛番号の指定を取消さなければならない。
(車輛登録)
第三十三条 自動車を所有する者は、当該自動車につき第三十一条の車輛検査証の交付を受けたときは、直ちに公安委員会の登録を受けなければならない。
公安委員会は前項の登録を申請した者が、当該自動車の真正な所有者であると認めるときは細則の定めるところにより登録をした後、その者に自動車登録証を交付しなければならない。
自動車を運転するには、当該自動車の自動車登録証を携帯しなければならない。
本条例に定めるものの外、登録並びに自動車登録証の書換再交付及び返納に関し必要な事項は細則でこれを定める。
第七章 罰 則
第三十四条 第九条又は第二十三条の規定に違反して事業を経営した者はこれを五千円以下の過料に処する。
第三十五条 左の各号の一に該当する者はこれを三千円以下の過料に処する。
一、第二十四条第一項の認可を受けないで事業を譲り渡し又は譲り受けた者
二、第二十五条の規定による停止の処分に違反した者
三、第二十九条の規定に違反した者
四、第三十三条第一項の規定に違反した者
第三十六条 自動車運送事業者は左の各号の一に該当するときは、これを三千円以下の過料に処する。
一、第十四条第二項の規定にある公示をせず、又は虚偽の公示をしたとき。
二、第十九条の規定に基く細則により許可を受くべき事項を、これを受けないでしたとき及び第十九条の規定に基いて発する細則による届出若しくは報告を怠り又は虚偽の届出若しくは報告をしたとき。
三、第二十七条第二項の規定に違反したとき。
第三十七条 左の各号の一に該当する者は、これを二千円以下の過料に処する。
一、第四条の規定により附した条件又はその条件に基いてした処分に違反した者
二、第五条第一項の規定による届出報告若しくは書類の提出を怠り、又は虚偽の届出若しくは報告をし若しくは虚偽の記載をした書類を提出した者
三、第五条第二項又は第六条第二項の規定による検査を拒み妨げ若しくは忌避し又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
四、第十三条、第十四条第一項、第十六条、第十七条、第十八条、第二十条、第二十四条第二項の規定に違反した者
五、第十五条第三項、第二十一条、第二十二条、第三十条の規定による処分に違反した者
六、第三十一条第四項又は第三十三条第四項の規定に基いて発する命令に違反した者
七、第三十三条第三項の規定に違反した者
第三十八条 左の各号の一に該当する者はこれを千円以下の過料に処する。
一、第三十一条第三項の規定に違反した者
二、第三十二条第三項の規定による処分に違反した者
第三十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員がその法人又は人の業務又は所有し若しくは使用する車輛に関し第三十四条乃至前条(第三十七条第七号を除く)の違反行為をしたときは行為者を罰する外その法人又は人に対しても各本条の過料に処する。
附 則
第一条 この条例は一九五一年 月 日よりこれを施行する。
第二条 この条例施行の際現に沖縄群島政府の企業免許を受け自動車運送事業を経営する者は、この条例の規定によってこれをしたものとみなす。
第三条 この条例の施行に関し必要な細則は府令でこれを定める。
○議長(知花高直君) 当局の御説明を願います。
◎工務部長(渡嘉敷真睦君) 提案理由と経過を御説明することに致します。
昨年の五月九日に主席軍政官から知事宛に書簡が参って陸上運送規程案を早急に草案して提出するように、それは七月一日には同規程の指示指令を出したいと思うから早目に案を作って出せという命令を受けたのであります。従いまして早速陸運課において立案し六月二十三日に陸運規程を作りましてこれを主席軍政官に提出致したのでありますがその後何らの指示もありませずそのままに相成っておったのであります。ところが昨年十一月十四日にこれも文書によりまして沖縄軍政官府から知事宛に運輸規程を制定してそれを実施する責任は群島政府にあるという風な文書による通牒を受けたのであります。こういう通牒を受けましたので早速陸運課におきまして条例の案を作り更に検討を加えその上に工務委員、警察本部長、同次長、交通課長、法務部長、総務部長それに工務の我々が二日間にわたりまして十分な検討を加えた案が今お手元に差上げてありまする案なのであります。この案を立案しまするには日本の現行法規を参考に致したのであります。それは道路運送法という法規を相当参考に致しまして更に沖縄において適すべく最善の注意を払って立案したのであります。なおこの規程は自動車だけに止めてありますがその他の車輛につきましてはもう少し検討を加えてこれに追加したいという風に考えておりますのでこの案は自動車だけに限定されているのであります。従いましてこの条例は何れは追加補足の時期があるということを御含み願いたいとこう思うのであります。この成案を得ましたので群島組織法第二条第二項H項によってここに提案致したのであります。
尚附け加えて申上げたい点はこの細則が実に尨大な法規で今案を練っているのであります。
百二十条位な尨大な案が出来ているのでありますがこれはこの条例が成立しましたならば府令として出していいんじゃないかという考え方をしておりますが然し大事な細則であるが故に一応議会の議決を得なければいかんという御意思であればまた考えなおして行きたいと思います。ただ細則は府令として公布したいという考を持っております。以上簡単に御説明申上げます。どうぞ御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 本案は工務委員会にその審査を付託致したいですが御異議ありませんか。
(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって工務委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十三沖縄群島電気工事人免許試験等手数料徴収条例について議案第二十三号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十三号朗読)
議案第二十三号
沖縄群島電気工事人免許試験等手数料徴収条例について
群島組織法第百四十六条の規定に基き、沖縄群島における電気工事人免許試験等の手数料徴収に関する条例を次のように制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
沖縄群島電気工事人免許試験等手数料徴収条例
第一条 沖縄群島における電気工事人免許試験等については、この条例の定めるところにより手数料を徴収する。
第二条 手数料は、左の通りとする。
一、甲種乙種免許試験手数料 百円
二、甲種乙種免許証交付手数料 百円
三、免許証再交付手数料 五十円
第三条 この条例により既納した手数料は、これを還付しない。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎工務部長(渡嘉敷真睦君) 御説明致します。
これを提案致しました理由の一つは特定の個人のために事務をする場合には手数料を取っていいということが群島組織法の中に謳われておりますのでこれが提案の根本の考え方であります。第二の理由は極く僅少ではありますが群島政府の財源に充当したいという意味合であります。第三の理由は戦前もこうした手数料の徴収を施しておりますので戦後においても取っていいのぢゃないかということであります。その額も他の免許手数料試験手数料とにらみ合せることが大切ぢゃないかと思いまして、自動車運転免許試験手数料が百円になっております。従ってこれの均合の上から額を決めたのであります。尚もう一つこの試験をする場合に相当実地をしますので実地試験に要する電気資材がいくらかかかります。
従ってそれらの点もいくらか考慮に入れてこの額を決定したのであります。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に移ります。
御質問はありませんか。
◎宮城久栄君 第三条は無用な条文ではありませんか、納めた手数料は返さないというのは何か要(ママ)がありますか。
○工務部副部長(西銘順治君) 別に書かなくてもいいんですが条例は普通そういう形式になっているものですから附加えたまでです。
○宮城久栄君 実際の例がありますか。
○工務部副部長(西銘順治君) 志願をして試験を受けんような場合もありますから。
○宮城久栄君 出願をして試験を受けず手数料を返せといった場合……分りました。
◎新里銀三君 第一条の電気工事人でありますが、これはたとえば私が事業を経営して私が免許を受けた場合に使用人はどうなりますか。それからもう一つは甲種乙種の免許試験料は百円でありますが試験した結果は合格、不合格に拘らず本人に知らす義務があると思うが、それを何かの方法で金額を五十円位あげて試験を通ったその証拠に免許証を交付するとか、試験をして発表しないということになると金をとって何も意味をなさないと思うがその辺の御見解はどうでありませうか。
○工務部副部長(西銘順治君) 最初の質問ですがこれは原則としてたとえば新里さんが企業の免許を受けてもその下に使っている工事人が実際に工事人免許試験を受けていて資格を持ったものでなければこれは法的には全然根拠のないものであります。そしてこれは実際にはやっていけないことになります。第二の意味はよく分りませんが。
◎新里銀三君 企業免許だけでなくて試験を受けて事業を経営する場合、人を頼んで手伝をさせる場合にどうなるか、手伝人は試験を受けなければそれが違反になるか、ならぬかというのです。
○工務部副部長(西銘順治君) 工員の種類によって違いますが貴方が電気工事人の免許を持っていれば施工の際に貴方が指導監督でもやられる場合は差支えないと思います。
◎新里銀三君 試験手数料を百円にしてありますが更に免許交付手数料を百円にして試験を受けたからには試験した人はその結果を知らさなければならない義務があるが其場合二番目の交付手数料は取らないで他の方にも少し金額をあげて其結果を合格したら証書をやるという風にしたらどうかと思います。
○工務部副部長(西銘順治君) 一つの方は受験料になります。この方は将来証書なり免許状なり免状と一緒にしても差支えないと思います。
◎議長(知花高直君) 御質問がなければ討論に入ります。御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって第二十三号議案原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十四沖縄群島企業免許手数料徴収条例について第二十四号議案を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十四号朗読)
議案第二十四号
沖縄群島企業免許手数料徴収条例について
一九四八年十月二十六日付米国軍政本部特別布告第三十三号及び同日付指令第三十九号並びに群島組織法第百三十六条の規定に基き企業の免許手数料徴収に関する条例を別紙案の通り制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
沖縄群島企業免許手数料徴収条例
第一条 一九四八年十月二十六日付米国軍政本部特別布告第三十三号及び同日付指令第三十九号に基き沖縄群島における企業の免許手数料徴収は、この条例の定めるところによる。
第二条 手数料は、左の通りとする。
資本額二千円未満の企業に対しては 三十円
資本額二千円以上五千円未満の企業に対しては 八十円
資本額五千円以上五万円未満の企業に対しては 百六十円
資本額五万円以上十万円未満の企業に対しては 三百五十円
資本額十万円以上百万円未満の企業に対しては 六百円
資本額百万円以上の企業に対しては 千円
第三条 前条の資本額とは、個人企業においては、その営業のために使用する総資本額をいい、会社等共同企業においては、新規申請の場合は当初払込資本額、更新申請の場合は当時の払込資本及び運転資本額をいう。
第四条 手数料は、免許証交付の際中央及び地方企業免許事務所においてこれを徴収する。
附 則
1 この条例は、一九五一年四月一日から施行する。
2 一九五〇年九月十日付沖縄民政府告示第二十八号は廃止する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎総務部長(幸地新蔵君) 提案の理由を御説明申し上げます。企業の免許の手数料は当初軍指令第三十七号で資本額の〇・五%を徴収するようにということになっておりましたがこの方は当時高額資本には相当多数の手数料になるようになりまするのでその後軍の方に変更方をお願い致したのであります。従って三十七号が変更になりまして第一号をもって更に一律に二百円を徴収するようにということに改まって来たのであります。ところがこの改まったところの指令は更によく考えてみると今度は反対に小資本家の方が過重になってこれ亦困るというので更に軍の方と協議を重ねたのであります。従って第一号が不適当であるという結論になって五十年一月十九日付で軍からの覚書において手数料は民政府において設定するようにということになったのであります。それで五十年一月三十一日付民政府布告第六号をもって四段階に資本を分けまして最低二十円、最高二百円となって執行されたのであります。
ところが更に五十年四月十二日付布令第七号をもって給与額の一般引上げがあったのであります。それに伴う政府財政面が相当苦しくなりまして、その方にも多少の増収を図らなければならないことになり五十年九月十日付民政府布告第二十八号をもって只今執行しておりますところの最低二十五円、最高四百円の五段階に分けて免許手数料が実施されているのであります。今回これを更に六段階に分けて提案致してありまする理由は五段階の最高額が十万円でございますが、最近の企業の状態を見ますというと相当高額資本の企業が多いようでありまして、三百万円或は五百万円、一千万円と相当高額の企業免許がどんどん参りましたので均衡が取れないような関係でそこにもう一段階を作った訳であります。それが百万円以上という一段階を設けまして他の資本額との均合を見まして手数料一千円としました。更に他の五段階の場合も見まして相当額吊上げてあります。
これは高額の資本に対しましてはこれ位の段階を設け更にこれ位の手数料は頂いた方がいいんぢゃないか一面においては又歳入の多少の補いがつくという考え方からして手数料の均衡をはかるという意味でこの条例を提出して御協議を願った次第であります。
尚御質問でもありましたらお答え致したいと思います。
以上の趣旨をもってこの条例の改正をお願いした訳であります。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎新里銀三君 この改正によりまして従来の予算よりどの位増額になるかを聴きたい。
更に五段階でありますが上にもっと段階をつけたらどうかと思う。たとえば五百万円以上一千万円、一千五百万円以上、二千万円以上と段階を作って百万円の会社とは差額を設けた方がいいと思うがどうか。
○総務部長(幸地新蔵君) 差額の方は今調べさせております。百万円を最高段階に持って行きそれは御説の通り五百万円、一千万円と上の方に段階を設けても差支えないと思いますが、大体のところ百万円以上を一括しておいていいんぢゃないかという風な考え方でそういう風に致してあります。大体今のところ一千万円というのは企業面から見ると最高になっております。
○免許事務所長(幸喜克彰君) 差額は新年度予算の歳入のところの税外収入の総務部収入百六十三万円であります。
◎松本恭典君 企業経営には免許の更新をやっておりますが企業免許の性質からして一旦免許したものは廃止するまではそのまま存続すべきではないかと思いますがそういった方面を質問致します。
○総務部長(幸地新蔵君) 一応そういう風にも考えられるのですが然し又毎年々々その業態が十分に把握出来ないのであります。たとえば資本額が上ったり下ったり資本が相当移動したりする訳ですからそれは矢張り更新しませんとしっかりしたところの資本額の統計が出て来ませんし又企業面もよく分らない。本当に仕事をしているか或は中止しているかはっきりしない、それに対して企業免許は手数料を取るというのが目的でなくてすべての資料の統計を取るというのが目的になっています。従って毎年々々更新して行く必要があるのであります。
◎仲里誠吉君 只今総務部長には免許手数料を取るのは、その存在理由として統計を取るといっているが、軍自体もそういっているが、今までの中小企業者の場合資本額を正直に示しているのはまず全体の一割か或は五分、その程度のものぢゃないかと思う。これは共同企業になるとそういう資本金額のごまかしはきかないと思うがそういう意味において統計を取るために免許事務所を作ったということは今の段階においては正しくないと思う。本員が指摘したいのはこの問題でなくて今問題になっている手数料、これは今先の議員からも要請があったが第五回議会においても本員が述べた如くすべて近代国家においては手数料は税の性質をもっているということをわすれてはならないと思う。話が遡るがこういった企業の免許手数料は封建的な性格をもっているものであって現代においては当然廃棄すべきものであるが、このような歴史的にいって封建的な性格をもっているところの免許手数料というものが現在の民主国家において存在する理由があるとすればこれは事業所得階級に対する政府の補充、足りないところをこれで取るこういった存在価値しかないと思う。あらゆる場合に手数料はそういう角度からのみ見るべきであって従って手数料の段階の刻み方も他の税と同様であってあくまでも合理的でなければならない。然るに百万円以上の企業に対しては千円というところで止めてあるが実際には百万円以上二百万円、五百万円、場合によっては一千万円以上の会社もあるのでこれに対しては矢張り累進をして行くべきであろうと思う。本議員はこれを修正追加するように要求するものである。
◎新里銀三君 新たに企業免許を受ける場合更に更新する場合において企業免許事務所においては税金完納証明書を持って来なければ更新しないようでありますが法的に何か根拠があるか企業免許と税とは別個だと思います。税はどこまでも税務署が取るべきであって事業の実権を握っている企業免許と一しょに税を取って更新しなければならん、これは別の問題だと思う法的根拠をききたい。もう一つは只今総務部長さんは手数料が目的でない統計上の参考だとおっしゃいましたが然し各種営業者が出て風俗衛生問題の関係で警察の方では出来るだけ均衡を保つと同時に業者の共倒れしないように考慮しているようであるが免許事務所においてはそうでなくどんどん自由企業だから許可していいんぢゃないかという風に許可しているようであるが、これは手数料が目的みたいに考えられますがその辺の御見解は如何でありましょうか。
○総務部長(幸地新蔵君) 税金の完納証明書を持って来なければ免許の更新をしないというのは封建的になっているかも知れませんが免許者の方においても滞納者がありますのでそのまま又更新をして行きますと次に又滞納するという工合でだんだん溜って行くようになりますので義務を遂行せんで又権利を主張するということもどうかと思いますしそれは義務を果せば又権利も成立って行くのであります。
又企業の規制ということも考えてはおりますが然し受ける方からしますと企業は自由である。軍の方からも企業は自由でその企業が適正なものであったならば即ち秩序を紊すようなものでなかったならばこれは制限をせずに与えるのだといった傾向がありますので今のところ規制することなく個人が企業を企画して来るならば他の面に支障のない限り免許証を交付している状況であります。まだ規制をする段階には入っておりません。
◎新城徳助君 今の総務部長の御答弁では自由企業だと申されましたが、果して自由企業であるか、ないかをお聴きしたい。或る面には免許を制限して、ある面には自由免許にする、という事は非常に矛盾した事ではないかと思うのですが、その辺の選択は免許事務所にお委せするのであるか或は知事が握っているのかその辺をお聴きしたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 今規制はやっておりません。但し企業(ママ)を受けるのに対しまして矢張り公衆衛生部の関係のものもあるし或は商業面工業面或は警察部の関係、そこの方は合議をしまして他の面に支障のない限り免許事務所では免許証を交付致しております。
○議長(知花高直君) 暫時休憩致します。
(二時四十五分休会)
(二時四十六分再開)
◎議長(知花高直君) 開会致します。本議案は総務財政委員会にその審査を付託致したいですが如何ですか。
(「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって総務財政委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十三沖縄群島知事及び議会議員給与額条例についての議案第二十五号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十五号朗読)
議案第二十五号
沖縄群島知事及び議会議員給与額条例について
群島組織法第百五十三条の規定に基き沖縄群島知事及び議会議員の給与額に関する条例を次のように制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島知事及び議会議員給与額条例
第一条 沖縄群島知事及び議会議員の給与額については、この条例の定めるところによる。
第二条 給与額は月額左の通りとする。
知 事 一万二千円
副知事 八千五百円
議 長 七千円
副議長 六千円
議 員 五千円
附 則
この条例は、一九五一年四月一日から施行する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎総務部長(幸地新蔵君) 知事及び議員の給与については群島組織法第百五十三条に規定されているのであります。それを去った四知事会議の場合に現下の経済事情からしてこの条項は改正してもらいたいという風に話がまとまりまして軍に要望致したのであります。その結果全面的にこれが改正になって参りました。
即ち元は知事及び議会議員の給与は月額左の通りとするという風に固定してあったのでありますが今度知事及び議会議員の俸給は条例でこれを定め民政副長官の認可を経なければならないという風に全面的に改正になって来たのであります。それで今日これを条例と致しましてここに提案致した訳であります。
尚知事及び議員の給与の月額につきましては現在の経済状勢やその他の会社、銀行との場合などを対照しましても提案している額が相当額であるとあろう(ママ)いう風に考えまして提案致したのであります。尚附加えて申上げたいことは副知事の分も規定致してあります、第百五十三条には副知事は知事を補佐して知事の代理をつとめるのでありますから知事に準じて本条例には含めてあります。以上簡単に御説明申上げます。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
御質問があれば伺います。
◎祖根宗春君 ちょっと伺いますがこれは軍の内々の了解を得た提案でありますか、或はこれから議会で議決したものを軍に持って行って承認を得るものでありますか。
○総務部長(幸地新蔵君) 第百五十三条にありますように民政副長官の認可を得なければならないのですから条例で定め民政副長官の認可を受けることになります。
◎新里銀三君 知事は八十条にあるところの職員三百五十名の中に入っているのですか。
○総務部長(幸地新蔵君) それは入っておりません。
○新里銀三君 そうすると知事は政庁本部職員でないという事になる訳ですね。
◎議長(知花高直君) 別に御質問はありませんか、御質問がなければ質疑を終了致しまして討論に移ります。御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。
よって議案第二十五号を原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十六沖縄群島旅費額及びその支給方法条例について第二十六号議案を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十六号朗読)
議案第二十六号
沖縄群島旅費額及びその支給方法条例について
群島組織法第百五十四条の規定に基き、沖縄群島旅費額及びその支給方法に関する条例を別紙案の通り制定したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
(注 公布条例と照合の上、句読点等を是正した。)
沖縄群島旅費額及びその支給方法条例
第一条 沖縄群島政府は、知事、副知事、政府職員又は委員が職務遂行のため管内を旅行するときは、この条例により旅費を支給する。
第二条 旅費は、船賃、車賃、日当及び宿泊料の四種とし、別表に定めた額により支給する。但し、官用その他料金を要しない船、車により旅行した場合は船車賃を支給しない。
第三条 日当は日数に応じ、宿泊料は夜数に応じ、船賃及び車賃は実費を支給する。
第四条 陸路片道十六キロ未満の地域に出張する場合において宿泊するときは事由を具し要宿泊の命令を受けねばならない、その場合は十六キロ以上の出張と看做す。
第五条 同一地に滞在する場合における日当及び宿泊料は、その地に到着したる日の翌日より起算し、滞在日数十日を超ゆる場合においては、その超過日数につき定額の一割、二十日を超ゆる場合においては、その超過日数につき定額の二割、三十日を超ゆる場合においては、その超過日数につき定額の三割に相当する額を減ずる。
第六条 両年度にまたがり出張を要するときは、各年度に区分計算してこれを支給する。
第七条 管外旅行のためこの条例により難い場合には、実費を支給することができる。
附 則
1 この条例は、一九五一年四月一日から施行する。
2 沖縄民政府旅費支給規程(一九四九年六月二十五日沖縄民政府訓令甲第二号)は、廃止する。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎財政部長(宮里勝君) 現行旅費支給規程は一九四九年六月二十五日付沖縄民政府訓令第二号をもって制定されております。その支給額が現在の実情にそいませんので今回これを廃止致しまして新に沖縄群島政府旅費支給条例を制定致しまして財政の許す範囲内において引上げ、職員の事務能率の増進と優遇を図る趣旨をもってここに提案致したのであります。現行の規程と異なる点は旧規程は一律に宿泊の場合は一泊百五十円、日当が三十円でありまして宿泊しない場合の日当は半額の十五円となっておったのであります。今日の改正においては課長以上の者についてはその社会的地位や職務上の責任の程度も考慮致しまして四段階に区分してそれぞれ宿泊の場合は二百円乃至三百円日当は五十円乃至百円と定めたのであります。次に同一地区に長期にわたって滞在する時には短時日の旅行よりゆとりを生じますから財政的に考慮する場合一定の日数を超える場合には一割乃至三割程度の減額を致したのであります。
尚財政上許せば赴任旅費とか移転料も考えられ、ひいては管外出張の場合の運賃、外国旅行などについても考慮すべきでありますが、目下のところ財政上政府の事務の状況より見て以上の通り制定致したのであります。尚実際の運用に当りましては不急不要の出張は極力控えまして有機的に機能を発揮するように十分留意致すつもりであります。よろしく御審議をお願い致します。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に移ります、質問があれば伺います。
(「質問なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御質問がなければ討論に入ります。
御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十七沖縄群島議会議員費用弁償額及びその支給方法条例について議案第二十七号を議題と致します。書記長をして議案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十七号朗読)
議案第二十七号
沖縄群島議会議員費用弁償額及びその支給方法条例について
沖縄群島議会議員の職務を行うため要する費用弁償の額及びその支給方法に関する条例を次のように制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議員費用弁償額及びその支給方法条例
第一条 沖縄群島議会議員は、この条例の定めるところにより職務を行うため要する費用弁償を支給する。
第二条 費用弁償の額は、左表の通りとする。
第三条 費用弁償の支給方法は、沖縄群島旅費額及びその支給方法条例を準用する。
附 則
1 この条例は、一九五一年四月一日から施行する。
2 沖縄議会議員の手当、費用弁償額及びその支給規程(一九四九年四月一日沖縄民政府告示第六号)は、廃止する。
◎議長(知花高直君) 本案は可決になりました二十六号議案に準じておりますので質疑討論を省略して可決致したいと思いますが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって本案原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十八号沖縄群島議会事務室職員給料及び旅費額並びにその支給方法条例についての議案第二十八号を議題と致します。書記長をして議案の朗読を致させます。
(書記長「新垣良正君」議案第二十八号朗読)
議案第二十八号
沖縄群島議会事務室職員給料及び旅費額並びにその支給方法条例について
沖縄群島議会事務室職員の給料及び旅費額並びにその支給方法に関する条例を別紙のように制定致したいので、議会の議決を得たく提案する。
一九五一年三月十五日提出
沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会事務室職員給料及び旅費額並びにその支給方法条例
第一条 沖縄群島議会事務室職員(以下職員という)は、この条例の定めるところにより給料及び職務のため要する旅費を支給する。
第二条 職員の給料の額は、左の通りとする。
一、書記長 沖縄群島政府各部の課長給料額の範囲内において議長がこれを定める。
二、その他の職員 沖縄群島政府職員の給料を準用する。
第三条 職員の旅費の額及びその支給方法については、沖縄群島旅費額及びその支給方法条例を準用する。
附 則
この条例は、公布の日から施行し、一九五〇年十一月二十日から適用する。
◎議長(知花高直君) 本案も二十六号議案に準じておりますので質疑討論を省略して可決致したいが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって二十八号議案原案通り可決致します。
◎議長(知花高直君) 日程第十九割当土地に対する所有権の制限についての諮問第六号を議題と致します。書記長をして諮問案を朗読致させます。
(書記長「新垣良正君」諮問第六号朗読)
諮問第六号
割当土地に対する所有権の制限について
近く土地所有権証明書が交付されることになっているが左案の通り所有権の制限に関して、琉球民政府に進言しこの件について布告を発布して貰いたいので、議会の意見を諮う。
一九五一年三月十五日
沖縄群島知事 平良 辰雄
一、制限の理由
市町村長がその賦与された権限に基いて所有者以外の者に割当て使用させている土地に対し、所有者が所有権証明書交付と同時に所有権を全面的に行使することを許すのは社会の混乱を惹起する。
二、制 限
1、所有権証明書交付の日を以て土地の所有者と割当を受けて所有者の土地を使用している者とは該土地について賃貸借契約を締結したものとみなす。
2、所有者は所有権証明書交付の日より左に掲げる区別に従い割当土地に対しその使用の権能を行使することができない。
イ、公用又は公共の用に供されている土地については五年
ロ、宅地については三年
ハ、宅地以外の土地については二年
但し左に掲げる事由の一がある場合は、所有者は使用者に対し土地の明渡を請求することが出来る。
イ、使用地を所有者の承諾なくして転貸したとき
ロ、使用目的を変更したとき
ハ、使用者が使用地以外に同一目的のために使用し得る土地を有するとき
ニ、著しく土地を濫用したとき
3、借賃の設定は土地賃貸料審査委員会(仮称)の定める基準に拠る。
附記 本諮問における所有者とは土地所有権証明書の交付を受けた者をいう。
○議長(知花高直君) 当局の説明を求めます。
◎法務部長(知念朝功君) 一九四六年以来土地の所有権の調査が進められて参りまして字にも市町村にも中央にも委員会が出来てこの仕事に当って来ているのであります。去った二月に終了致しまして去った一日から来る三十日までの三十日間一般の縦覧に供されているのであります。予定しておりますのは縦覧が終って出来るだけ早く所有権証明書の交付を致したいと思うのでありますが、その時に、所有権証明書の交付と同時に所有者の権利が全般的に所有者に返って行くことになりますと非常に混乱を来すことは明らかなことであります。御承知の通り所有者というものは所有物を法令の規定内に於て無制限に使用し収益し処分する権能をいうのであります。
この権能が所有者に復帰致しますと直ちに土地を明渡せということが出て来るのであります。処分の権能は別に制限する必要はありませんし、所有権証明書交付と同時に要らんからといって渡すことは構わないし、抵当に入れて金を借りたりする事も問題はないのでありますが、ただ自分が所有権証明書を貰ったからこの土地を使用するということは制限しなければいかんと思うのであります。大体所有権も私権の一種でありますが、私権ということは公共の福祉に従うのが原則であります。権利の行使や義務の遂行に当っては真理に従い誠実にこれを為すということが現在の観念なのであります。それでここに掲げました制限、一は制限の理由、二の制限これは最初出しました案には制限の内容と書いてありましたが制限でもよろしうございますが、証明書の交付されると同時にその日を以て土地の所有者と割当を受けて使用している者との間に賃貸借の契約が締結されたものと見なすという風に考えておりますが、この点について議会の議員の方々の御意見を伺いたいと思います。ここで他人の土地を使用しているというのは市町村長から土地の割当を受けて使用している者をいうのでありまして、例えば乱暴者が若し他人の土地に入って勝手に家を作った者とか或はあっちこっちの部隊から許可を受けて例えば洗濯業をやっている、中部地区なんかでは部隊の証明書なんかでやっている、こういうものはその中には包含しないのであります、ここで一つ御了解を得ておかなければならないと思う事は市町村長がいつどういう書面に基いて土地割当をする権限を誰から附与されたかということでありますが、今この証明になる資料はどこにもないのであります、これは現在監査委員長をしておられる仲宗根さんが一番初めにこれに関する文書を受領されたのでありますが、これがグロリア台風か何かの時に飛ばされて残っていないのであります。
話は前後致しますが今のように割当を受けて他人の土地を使用しているものは割当てられた土地に対して賃貸借契約を結ぶものと見なすと一応こういう風に考えたのであります。これも大体割当てた日から契約というものを成立させるべきか、或は証明書交付の日を以て契約締結の日と見なすか色々議論はあるようでございます。勿論賃貸借の契約ということになりますれば、ここに賃料を支払うことになりますが、交付の日を以て賃貸借が締結されたとすればその日以後の賃料を支払う事になりますし、市町村長から割当てられた日を以てすれば賃料もその時に遡及して賃料請求が出来る事になるが、そういうことは色々問題になると思います、賃貸借契約を締結したものと見なすというのが大体一つの制限になります。こういう契約が締結されれば使用者は賃借人としての義務を負わなければいかん、もちろん権利も発生しますが義務が発生して所有者の権利を制限することになるのであります。
それから第二項に掲げてありますのが証明書が交付になりました日から公共の用に供されている土地については五年間明渡し請求をしてはいけない、宅地については三年、宅地以外(農耕地を含む)については二年と大体の案を立てているのであります、然しながらこういうように制限しても結局使用者側に於て所有者の承諾なくして他人に貸してしまうとか農耕を目的に割当てられたものが家を造るとか、或は土地をこわしたとか、こういう場合には明渡を請求さして裁判所でこれを認めてやるのが当然ぢゃないかと考えるのであります。
それからもう一つハの項でありますが使用者が割当を受けている土地以外に同一目的に使用出来る土地を所有している場合、例えば他人の農耕地の割当を受けている者が自分も亦農耕に供せられる土地を持っている場合には所有者の方の権利を重く擁護して使用者はそういう場合には明渡すという風に書いたのであります、この割当を受けた土地の使用者と所有者とが賃貸借を締結することになるのでありますが、この場合の借賃賃料(ママ)でありますが、これは賃貸料を審査して適正な価格を設定する委員会を組織致しまして、この委員会の基準に拠らなければならないのぢゃないかと思うのであります、当事者の自由に放任するのが契約自由の原則ではありますが、それでも矢張り高い賃料を取るおそれもありますので、こういう準備もする必要があると思うのであります。
最後に書いてあります本諮問にある所有者というのは所有権証明書の交付を受けた者というのでありまして、真実の所有者は別におって詐欺とか何か不正な方法によって所有権証明書を貰うのがいるかも分りませんが、こういうものは別に処置があるのでありまして実際の所有者と違う場合があるかも知れないが、兎に角一応所有権証明書を貰った者をここでは所有者ということにしてありますが、証明書を受けた者が必ずしも所有者でないことがあり得るのであります。
○議長(知花高直君) 本案の質疑に入ります。
◎具志頭得助君 これと関連しますが従来不在地主は軍で管理しているが、これは所有権を確認された場合には市町村長にその権限が移るということでありますが現在の不在地主は所有権が確認された場合には例えば日本本土に所有者がおってその所有者が委任状でも発行した場合には、之は沖縄本島でもその権利が行使されるものであるかどうか、その辺をおききしたいと思う。
○法務部長(知念朝功君) 第一の御質問に関しましては特別布告第三十六号、去年の四月十四日の布告でありますが、これの第八条に一定の土地に対する所有権の申告又は主張がない場合又は土地所有権証明書の受領者がいない場合はその土地の所在地の市町村長が管理するとあるだけでありまして、はっきり分っているものは財産管理課の方で管理して行くだろうと思います。第二の御質問、証明書が発行になった場合沖縄以外におって委任状なんかで所有権の行使が出来るかということは私の方では分りません、若し何でしたら財産管理課の方に問合せの上お報せ致します。
◎松本恭典君 この案で転貸した時は明渡を請求することが出来るとありますが、那覇の実情は一応市長から割当を受けてそれを他の人に転貸しているのが多いが、こういうものは市長から割当てられた土地として一応はここで決めている宅地が三年という条件を認めてやりますが、それとも所有権が確認される場合に直ちに明渡を請求することが出来るかという問題でありますが、その点についてお伺いします。
○法務部長(知念朝功君) そういうことに対しては皆さんの御意見を承りたいと思うのであります。この案の考としては所有権証明書交付以後のことを考えているのであります。
◎議長(知花高直君) 本案の審査並びに答申案の起草を、法務警察委員会に付託致したいのですが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案は法務警察委員会に付託致します。
◎議長(知花高直君) 日程第二十の地方自治委員会の委員の指名について及び日程第二十一の沖縄医師配置委員会委員の推薦について一括議題と致します。この両方の件に就いては議会の指名又は推薦すべき適当なる人物の選考を議会運営委員会に付託したいですが御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本二件は議会運営委員会に付託致します。
◎新里銀三君 当局に希望事項を申上げます。
知事の施政方針演説を印刷して配付してもらいたいと思う、これは来る二十何日かに質疑応答がありますから一応それを見ておかんといかんと思います。財政部長さんの分も印刷して議員に配っていただきたい。
第二は就任以来一ケ年の知事の施政に対する懇談会、就任以来三月までの色々の問題について懇談日を設けてもらいたいことを希望致します。
それから予算期についてであるが、この予算から見ると民負担よりも軍の補助金が多いのでありますが、軍の会計年度は七月からと聞いておりますが、若しそうであれば我々の予算の会計年度は後十日余りしかありませんが、軍では予算半ばですからゆっくりしている、そのためどうしても施行出来ないようなことも出て来る、軍の補助金を以て運営するからには軍の補助金を受ける間は軍と同じ会計年度にした方がよい、検討の余地がないかと思います。
◎議長(知花高直君) 予定の議事を終了致しましたので本日はこれで散会致しますが明十六日は議案研究のため休会致します。十七日は法務警察委員会を開くことになって居ります、十八日は日曜日で休みまして十九日午前十時本会議を開催致します。
本日はこれで散会致します。
(午後三時二十五分散会)
出席者は左記の通り
議員出席者氏名
議 長 知花 高直君
副議長 稲嶺 盛昌君
議 員 与儀 清秀君
同 仲村 栄春君
同 石原 昌淳君
同 普天間俊夫君
同 宮城 久栄君
同 平良 幸市君
同 玉城 泰一君
同 松本 恭典君
同 具志頭得助君
同 長浜 宗安君
同 山川 宗道君
同 祖根 宗春君
同 山城 興起君
同 新里 銀三君
同 新城 徳助君
同 野原 昌彦君
同 崎山 起松君
同 仲里 誠吉君
政府側出席者官職氏名
知 事 平良 辰雄君
副知事 山城 篤男君
総務部長 幸地 新蔵君
経済部長 呉我 春信君
財政部長 宮里 勝君
法務部長 知念 朝功君
文教部長 屋良 朝苗君
工務部長 渡嘉敷真睦君
弘報室長 崎間 敏勝君
総務副部長 稲嶺 成珍君
財政副部長 久場 政彦君
工務副部長 西銘 順治君
経済副部長 知念忠太郎君
文教副部長 仲宗根政善君
厚生副部長 大森 泰夫君
法務副部長 金城 信範君
公安委員 桃原 亀郎君
公安委員 新垣 義常君
警察本部長 仲村 兼信君
企業免許事務所長 幸喜 克彰君
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