戦後初期会議録

組織名
沖縄民政府
開催日
1948年03月26日 
(昭和23年)
会議名
定例部長会議 1948年3月26日 目録詳細 画像を見る
議事録
定例部長会議〔予算・会計検査・土地所有権〕

  一九四八・三・二六(金)       島袋
  出 席 志喜屋知事、島袋官房長、比嘉翻訳課長、比嘉外事課長、又吉総務部長、當銘労務部長、仲村警察部長、平田通信部長、前門司法部長、平良補給部長、糸数青重商務部長代理、松岡工務部長、金城金保農務部長代理、山田有昂社会事業部長代理、新里仁保文化部長代理、中山文教部長代理、当銘財政部長、玉城水産部長、大宜見衛生部長、安谷屋工業部長、桑江開拓庁長、宮里貿易庁長。
協議事項
 官房長
  軍との連絡会議の諸報告。
   ○三月十九日(金)ラブリー少佐。中央刑務所移転の真偽如何を質問せし処、そうでない。
    ローターバーグ氏が係で実地調査中で未決定との返答でした。
   ○農務関係の樹の乱伐の件。乱伐させぬ様にとの達しがあり、軍農務から民農務へ、スキュース氏から警察へ達する。別に指令は出さない。
   ○近く帰国される将校は、先に報告したヘイドン准将、クレーグ大佐、ドートリー氏、ウイルソン氏、ホーイ氏、バーネット氏、ジョルダン氏、ローターバーグ氏(CIVとなってライカム勤務)、キーリング氏(残る)。
   ○二十三日(火)ラブリー少佐。六・三・三学制認可指令が来ました。土地生産物の供出と褒賞物資に関する書類も来ました。
   ○二十四日(水)ウイルソン中佐。公職に対する物の増配の件は行き悩んでゐるようだがと尋ねたら、チェース氏はそう言ふ考をもってゐるらしいと、然し骨折ってゐる最中で軍の方でチェース氏を納得させるから民政府からはつゝかぬように言はれました。
   ○民政府の機構改革は未決定。
   ○酒造は現在官営、半官半民にするか研究中とのこと。
   ○二十六日、今日モーアー少将が来島する。民政府にみえるといふ話はなかった。
 衛生部長
  一九四八年三月二十五日付沖縄民政府令第一号、診療費徴収規定を説明。
 官房長
  社会事業部からの豆、二袋半あるが民政府創立二周年祝賀用に使用したい。
 財政部長
  新機構に伴ふ予算関係の内わの発表。軍で査定したもの、純行政費――三六〇〇万円。復興費――五八、五七五、八五〇円。確定でなく中間報告です。査定額は増えることはあっても減ることはなからう。
  機構は補給部独立等、後で変更したので大体そのまゝらしい。
  先週より約十日間、マ司令部会計検査官がやって来て検査をなし昨日までに完了。沖縄民政府は欠陥なしといって賞賛されました。
 官房長
  四長官会議々題提出の件を伝達。
 知事
  通貨切換を希望、全琉球間の貿易促進の件等提案したい。
 貿易庁長
  会計検査は私の方もありました。
 工務部長
  トラック使用料は実費に二割五分加算とす。
 翻訳課長
  各部長は自分の所に来た指令等の書類の内情をよく知ってゐてもらひたい。
 衛生部長
  看護婦の日本派遣については準備を万端整へてゐるがマ司令部からの命令が来なければ具合悪いといって今だに実現しません。スミス隊長曰く「講和会議が済まん中は困難か」と。
 総務部長
  総務部の予算は半分に削減されてゐるが内容はわかりませんが、財政部長でよく調べて下さい。
 商務糸数青重氏
  公職者に対する物の増配の件について軍にきいたら油、蛋白質等を約十一万の職員家族がとったとき他の住民には益々不足すると。
  軍労務も一〇〇%とってゐるがときいたら、然し家族はとってゐないだらうと。又軍労務者も賃銀取りだがどうするかと言はれました。
 知事
  三月五日付ハワイ島沖縄救済会理事長宮城伊栄氏よりの手紙朗読報告。
   内容 学用品送付予定の件。ミシン送付予告。
      布哇よりの家族向小包郵便遅着の理由知りたし。民政府職員名簿の送付願。沖縄新聞送付願。
  民政府の改組問題ですが、大体民が出した通りなってゐるようです。
 財政部長
  リースさんは本週中には出すといってゐます。
 知事
  新聞報道の通り平和会議は今年も見込みがない。
  現状のまゝ続くと困る。
  軍の人からきいたが、然し責任ある人ではないが、余りに長くつづくと沖縄になすべきことはやっておこうと言ってゐた。
  住民も定着せず落着かないといったらその通りだらうといはれた。土地所有のことも平和会議がなくても決るのぢゃないかといってゐた。
  知事公選、議会権限等も軍にねばり強くあたるつもりです。
  やるべき仕事はやってもらひ度いと、各部長より各将校に打診しつゝ希望を述べてもらひたい。
 司法部長
  土地所有権について各地に紛議があります。
  司法部隊長に認るか否か質疑したが事重大だ、研究もしてゐるが、未だそれに至らないとの回答です。
 知事
  家屋等は元所有者が住うように軍では考へてゐるらしい。
  金城清松氏の家は残ってゐる。それは軍で保管したいが番人を置くようにといってゐました。将来は金城氏にやり度い意向のようです。そういふ家でもあったらそんな便宜は民政府でとってやってほしい。
 工業部長
  平和会議が長く遷延すると、産業面からみてもひょろひょろにのびて行くのぢゃないかと思ひます。
  現在不安の中に仕事をしてゐます。
 知事
  人口過剰で困るから比島人のかわりに沖縄人にさせてもらうようになれば沖縄人は助かると思ふ。
  米国人のやる仕事をやるようになれば食糧等も充分入って来て落ちつきが出てくるだらう。
 官房長
  財産管理に関する指令準備中とのことです。
 警察部長
  所有権は認めてゐるといふわけでないですか。
 司法部長
  観念上の所有権はあります。各村長に割当の権能を与へて耕作させてゐる。完全所有権でない。
 外事課長
  財産管理は所有権を認定してゆくものときいてゐます。
 官房長
  軍は軍事施設をやってある処は弁償する肚のようであります。
 翻訳課長
  基地としてどう処置するかと云ふみきはめをつけた上で農地改正法、再分配をやり共存共栄になる仕組みにするのではないかと思はれます。
  基地を主眼として考へてゐる。弁償して住民に機会均等を与へるだらうと思ひます。
 司法部長
  法制審議会の予算はどうなってゐますか。
 財政部長
  別に計上してありません。
                ――以上――
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