戦後初期会議録

組織名
沖縄民政府
開催日
1947年07月16日 
(昭和22年)
会議名
沖縄・大島・宮古・八重山四知事打合会 1947年7月16日 目録詳細 画像を見る
議事録
沖縄・大島・宮古・八重山四知事打合会

  七月十六日(水)午前九時半(於知事室)
  出 席 志喜屋知事、豊島大島知事、具志堅宮古知事、吉野八重山知事、又吉、安谷屋、比嘉永元の諸部長及島袋官房長、貿易庁側、宮里、富田(大島)、福里(宮古・八重山)の諸委員。
協議事項
 志喜屋知事
  大島、宮古、八重山の知事にお礼申上げます。三知事共沖縄に寄せらる御同情に対し感謝の意を表する次第であります。
  昨日軍政府から四知事で協議をせよとの命によりこれから開会します。
  決議は出来ず話合をする外はないと思ひます。例せば酒の件であるが如何なる意味か、話合すればよいかと思ひます。各民政府に於ても様相を話合されたい。
  明日は大島、宮古、八重山は軍政府と話合がある筈であります。
  只今日の話合の様子を御話なさればよいと思ひます。比嘉秀平様どうですか。
 比嘉秀課長
  其の通りであります。
 志喜屋知事
  酒醸高は如何なるものですか。
 大島知事
  大島はスポイル、ソテツ、甘藷等で自由に作らして居る。
  農家の勤労に関係し財政関係もあるから現在の程度を許したい。一、〇〇〇石。
 宮古知事
  二、〇〇〇石程作って居る。食糧用で作るのではなく甘蔗汁で作って居る。
 大島知事
  甘蔗汁で作るのは悪いことはないか。何故なれば大島から砂糖を送って居るから困ると思ふ。
 八重山知事
  八重山では、米製二〇〇石、其外粟等で六〇〇石作って居る。
  米は一、二期で一、〇〇〇石余り収穫す。
  粟・麦で一、〇〇〇石以上取れる。
  甘藷は六、八〇〇万斤取る。
  米は酒に一、三%、粟は二、五%。
  今後甘藷は過剰の見込である。一、二〇〇石を作りたい。
  希望すれば沖縄にも輸出したい。
 宮古知事
  軍政府に比重計、温度計、封緘、セメント等を下付する様御願したら如何なるものでせうか。
 八重山知事
  然うしませう。
 安谷屋部長
  沖縄では米国よりの輸入物資のスポイルのみで作ることになって居て現在の所スポイルもなく其んなに作って居ない。
 志喜屋知事
  酒については之で終りませう。
 大島知事
  食糧で作らないのが根本である。
 志喜屋知事
  食糧で作ることは軍政府からやがましく云はれて居る。
 志喜屋知事
  貿易に移りませう。
  宮里委員御意見を述べて下さい。
 宮里委員
  保証する品種は、家畜、薪炭、あだんば等。
  資金は二、五〇〇万円であるから価が廉ければ回転が多くなるから成るべく値段を廉くしたい。
  保証金の出る品種は家畜、薪炭、鶏、砂糖等である。其外は保証なしの品物である。
 宮古知事
  資金のないため宮古には八〇〇万円の鰹節のストックがある。資金を廻はされたい。
  肥料の値段は沖縄の十倍になって居るが沖縄民政府で何とかして貰いたい(要望事項として)。
 志喜屋知事
  分量は如何なって居ますか。
 宮里委員
  宮古・八重山で15%、大島15%、沖縄は70%になって居ます。
 大島知事
  砂糖は五円余りであるが鹿児島では二十五円余りになって居る。
 宮古知事
  軍政府は米国物資も見返へる品として居る。
 大島知事
  砂糖の値段が廉いから何とかして貰いたい。
 宮古知事
  然うして貰いたい。
 宮里委員
  台湾との貿易を考へとのことで、米、茶等が欲しい。
 比嘉部長
  甘藷が増産すれば米が欲しくなる。
  魚類を出して米を入れたい。
 宮古・八重山両知事
  製氷会社を設立すれば幾程でも輸出出来る。
 比嘉部長
  魚骨、魚は家畜の飼料及肥料にもなるので沖縄は欲しいから両先島、大島に製氷所を設立することを要望します。
 大島・宮古・八重山三知事
  之を要望す。
 志喜屋知事
  今の問題は七番に触れて居ますから。
 宮古知事
  製氷、燃料、魚具の補給方をお願ひしたい。
 志喜屋知事
  四知事から軍政府に製氷、魚具、燃料を要望しませう。
 大島知事
  四知事で請願することにしませう。
  日本と経済状態が異って居るから日本視察に派遣したいが。
  例、日本にはストック品もある様だが出して呉れないと。
 志喜屋知事
  七番につき何かありませぬか。
 宮古知事
  燃料、食塩等の必需品が欲しい。
 志喜屋知事
  税問題は如何なりますか。
 大島知事
  現在は違ってよいと思ふが将来はなるべく一つにしたい。
 比嘉部長
  増産に必要な資材については廃税したい。
 志喜屋知事
  五番はそれくらいにしませうか。
  六番は百合の件ですが。
 宮里委員
  百合栽培は奨励してよいと思ふ。
 宮古知事
  進行を願ひます。
 志喜屋知事
  八重山に於ける移住の件。
 比嘉部長
  開拓の仕事もあるから。
 桑江開拓長
  開拓庁の仕事は土地の拡張、米穀の生産を本として居る。沖縄では人口調整の関係から八重山を計画して居る。移住は割当を以てしたい。
 八重山知事
  八重山では待兼ねて居る。早く移住計画をして入植させて貰いたい。
 宮古知事
  宮古も人口の関係から八重山に移住させたい。
  開拓庁を無視したこともあると云はれて居るが決して然うではない。
 大島知事
  最初の考とは異なり経費が合はないとのことであるが如何なるものか。
 桑江開拓庁長
  経費は援助するが補助はしないとのことである。
  予算を見なければ判然としない。
 比嘉秀課長
  資金は廻流資金になる様である。
 比嘉部長
  従来五万町歩あったが二万町歩を増して七万町歩にして一戸当一町歩にし土地は開拓庁の仕事で出来ると思ふ。
 宮古知事
  議事進行を願ひます。
 志喜屋知事
  琉球列島に於ける補給関係は如何。
 宮古知事
  日用雑貨の補給が急を要すと思ふが。
 八重山知事
  八重山は主食糧はメリケン粉の外はよいと思ふ。
  副食物は調味料と食油の外はよい。日用雑貨品を要求す。
 志喜屋知事
  四知事からお願ひすることにしませう。
 安谷屋部長
  衣料品が困ると思ふが。
 大島知事
  種子物類を至急必要である。
 志喜屋知事
  レプラ療養所につきて。
 池原課長(公衆衛生部)
  屋我地に九〇〇人余り収容して居る。
  住宅にも困り土地拡張問題があり、他よりも復興が遅れて居る。
  大島の患者も早く故里に帰へしてくれと訴へて居る。食糧其外の関係もある。
  彼等は住民の作物を荒してトラブルを惹起して居る。可成的離れた島に移したい。
  燃料や炊事等に困る。早く解決されたい。
 宮古知事
  一千二百万円を要して施設をしたいと軍政府に願って居る。
  現状では宮古・八重山を一所にするかも知れないが而し成るべくは別々にしたい。故に八重山も協力して貰いたい。
 大島知事
  脱走者は食料と治療材料がないために多い。
 志喜屋知事
  南列島に於ける諸問題。
 大島知事
  此の問題はよいでせう。
 八重山知事
  西表は民政府のものか軍政府のものか。
 宮古知事
  開拓庁の仕事を早く各民政府に調査派遣して進めることを軍政府に願ふ必要はありませぬか。
 志喜屋知事
  各知事から希望なり陳情なりをしませう。
  有難うでした。
                 終り
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