戦後初期会議録

組織名
沖縄民政府
開催日
1947年05月09日 
(昭和22年)
会議名
軍民連絡会議 1947年5月9日 目録詳細 画像を見る
議事録
軍民連絡会議〔選挙法・具志川村役場移転許可〕

  五月九日(金)午後二時半
  出 席 志喜屋知事、又吉部長、前門部長、仲宗根課長(総務)、山田部長、比嘉翻訳課長、當間課長。
  軍政府 レートン中佐、キルトン氏外一名、東通訳。
諮詢事項
 軍政府
  選挙法軍政府案を渡す。
  マック司令部に於て日本の選挙法を写して沖縄にも施行させる為めに東京からキルトン氏が来られた。
  知事に渡した選挙法は選挙法を暗示したもので其れによって市町村長の選挙を行ふ。必しも軍政府案に依るものでなく之を参考にしてやる。
 ◎よく研究して来週月曜日の午後に質問を受くることにする。
  現在の所軍政府案に依らなければならない。
 キルトン氏
 ◎マック司令部の第一のねらいは全く自由の選挙を行ふ。
 ◎此の自由の選挙を行ふために選挙法を作る。
 ◎候補者は同じ機会同じ権利を与へ投票者も同様である。
 ◎沖縄の歴史に於て最初の婦人の選挙権を得るのである。
 ◎選挙者は代理人を許さないこと。
 ◎過去の市町村長選挙に於て村会議員が市町村長を選んだが今度は村民で選挙をする。
 ◎以上は絶対的に取り上げる要望事項である。
  日本の国会の選挙法はマック司令部に於てそんなに変更されて居ない。
 ◎マック司令部は日本の選挙法は其運用を適切に行へば公平な民主々義の方法と考へて居る。
  大きな改善が行はれて居る。其れは選挙費用のことである。
 ◎選挙費用が如何に使用したかの計算書を市町村民が判る様に内訳精算をして、住民一般に掲示して見せる。以上の話は国会議員の選挙のことを話した。県市町村の選挙法は国会のものを多少変更したのである。
  古い法に依ると市町村長の選挙は市町村長がさせた。今度は誰が選挙長即ち責任者になるか。
  日本の知事は選挙されたが内務大臣の命令でもない。又今後も然うである。
 ◎市町村の選挙の時でも選挙委員会が組織されてそれによって選挙が行はる。
  委員会は町村長に対しても責任がなく只人民に対してのみ責任がある。
  昔は選挙委員会は市町村長の下にあったが今度は対等の地位にある。選挙委員会は選挙に対して独自の立場であって市町村長の指示命令を受ける必要はない。
  委員会は日本では市では市議が適当の人を選ぶ。
  沖縄では始めてゞあるから任命する。命令にはよらない。
 仲宗根課長
  誰が任命するか。
 軍政府
  軍政府案にある。
  日本で四月以来四回選挙したが此案で行ったが意見を徴したら良い案だと云って居た。
  之に従はなければ村長のみで委員を命ずれば村長のみの勝手になる。日本では例へば一回して又二回出るとしたら市長が委員を命じたら結局市長の勝手になる。
  選挙の結果委員から当選者なることを知事の承認を得る必要はない。委員が認定すればよい。
 ◎大きなことは知事、部長、課長、市町村長は人民に使へるのであって決して人民に命令するのではない。
  選挙者は全く自由意志によって選挙することである。
  もう一つ申したいことは、委員会に対し選挙者及候補者が誤って居ると思ふ時は裁判に訴へることが出来る。委員の行動が不正と思ったら何時でも訴へることが出来る。
  日本では四つの選挙が行はれたが知事、市町村長、参議院、衆議院、県会、市町村会が行はれたが皆よい選挙であった。
  軍政府の六ケ条は選挙法の事である。
  第七条は市町村長、市町村会の権限である。
  市町村の役場の組織任命も如何したらよいか考へられたい。
 前門部長
  選挙費用の制限があるや否や。
 軍政府
  日本での費用を御覧に入れる。
 ◎選挙費用は最高何程にするかを考へる。
 當間課長
  村会で村長候補者を三人推薦して一般投票によったら如何なるものか。
 軍政府(キルトン氏)
 ◎今度は其方法は用ひない。
 ◎村会議員等が誰を推薦すると云ふことになると公明を欠くことになる。
 軍政府(レートン中佐)
 ◎東京から選挙法の指導にキルトン様が見えましたが当分の間民政府の機構に変化はない。軍民政府が適当と思ふ時機に市町村長の選挙を行ふ。移動して落付いた村から徐々に選挙を行ふ。
  日本に居る子供が母を呼びたいと、来週月曜までに回答せよ。
 ◎與儀清栄様の件につき。
  與儀様の仕事は政府を二つ設立することになるから其計画は不可である。将来は與儀様が政府を設立する時もあるかも知れないが今は志喜屋知事にさせて居るから其計画は許可出来ない。
  総て軍政府への提出物は知事を通して提出せよと云へられたい。
 志喜屋知事
  辺土名の公園(チャン公園)を住民に払下げて貰いたい。
 軍政府
  調査して見ます。
 志喜屋知事
  高嶺の与座川に居る黒人(ネグロ)が婦女子を脅かして困って居るから住民に更へて貰いたい。
 軍政府
  調査して見ます。
 志喜屋知事
  喜屋武に分校を設置したいが其処は住民地区になっては居るが、而し之以上移動出来ないとのことであるが許可して貰いたい。
 軍政府
  住民の住んで居る所ならよいが何かの間違いではないか。仲宗根課長とバナード氏が調査して禁止区でなければよいだらう。
 志喜屋知事
  那覇のq・mの跡のコンセットを払下げて貰いたい(文教部から)。
 軍政府
  一線部隊と交渉して見ます。若し払下げられても全部文教部のみに提供することは如何なるものか。
 ◎具志川村役場は移転してよろしい。
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