戦後初期会議録

組織名
宮古議会
開催日
1947年12月26日 
(昭和22年)
会議名
第6回宮古議会[2]
議事録
  十二月二十六日
◎議長(與儀達敏) 午前十一時開会を宣告し出席議員十九名、欠席議員二名の旨報告す
◎議長(與儀達敏) 昨日に引続き上程全議案の質疑応答を致します
○十四番(粟國浩和) 予算案のみならず一般的質問もさせて戴きたい
○議長(與儀達敏) 一般的質問も許します
◎十四番(粟國浩和) 文教部長に御聴きします、國仲女子高校長の事で新聞紙上を賑し社会に一大センセーションを巻起している事件がありますがこの事件の責任上文教部長はその全貌に就て説明して欲しい
 文教部長は社会にああ云う様な事件を巻起す事前に於て文教部長として國仲氏のみならず江田前警察部長及川満巡査部長に対し詳しい調査をしたかどうか
 告訴書類の翻訳を國仲氏が人から依頼されて居たことが何故に辞職しなければならぬ程重大性があるだろうか
 文教部長は先に沖縄出張中、江田氏と会見して事の真否に就て詳しい話をしたかどうか
 五番に当の稲村前校長はこのことは黙認していると云ふのに何故周囲の先生達が騒いでいるか六番に仄聞する所に依ると文教部長は國仲校長の後任として或る人を沖縄より連れて来たと聞いているがそれは調査の結果として必要であると考へたかどうか
 又國仲氏を南静園の宣教師として異動させると云ふ噂があるがことは具志堅知事の公平なる人事政策を朧にしていると思ふ
 退職しなければならない程の重罪であるならば何故断乎として退職せしめ正邪の別を明かしないか
 七番にその宣教師に就て予算に関するが南静園の患者はそんなに迄毎日説教する必要があるだろうか
 次は予算の本質に就て当局に聴きたい
 予算の本質は議会の決議に依り執行するのが本質であるが参事会で調査の結果予算を無視した点に私は疑問を感じている、これに就て知事の確答をお願したい
 次は今度の追加更正予算案には交際費が全く追加になっていないが今後当局は如何するつもりですか、当局は交際をしない考かどうか
 次は警部補派出所を伊良部と多良間に設置することになり当局の親心に対して感謝しているが、一方何故もっと大きな町村があるのにそこには設置せんで多良間と伊良部にだけ設置したか、伊良部村民はこれを置く事に侮蔑の様に感じている、勿論当局の村民を保護し国利民福を計ると云う善意からでたものであろうと、その善意には感謝しているがその維持設備には当局は全責任を持つものと思ふ、伊良部村では強制的に村民から寄附を取っているがそれは当を得ない、警部補派出所の維持には総ての責任を当局は負はねばならぬ
◎議長(與儀達敏) 人事問題にも触れているのでそれは後回しにしたい
◎十七番(砂川玄仁) 提出議案の審議のあとに一般質問はしたら如何にの動議に
  (賛成賛成の声あり)
◎議長(與儀達敏) 只今提出議案審議後に一般質問に移ると云ふ動議がありますが如何ですか……を諮れば
  (全員異議無しの声あり)
◎議長(與儀達敏) 御異議はない様ですから提出議案審議後に一般質問に移ると云ふことにします
 議案第二十一号に対して質問を御願します
◎五番(砂川惠知) 慈善病院強化に就てですがつい最近まで開店休業の状態であった、具志堅知事の御努力に依り最近は実に活動し郡民の保健衛生、食糧増産、経済方面等に大いに貢献している、聴く所に依りますと城辺町、下地村よりも分院の設置要求があるさうだが本予算案を見ますと嘱託医の費用が盛られているがこれは分院設置の前提であるか、分院を設置するならば設置する前に当局の計画を御伺ひしたい
 猶第二十一号議案一九四七年度追加更正予算は旅費の追加が相当ある様に見受けられますが、旅費額といふものは全体に影響するもので職員及機構の強化上已むなしとするも予算の決議は全民政府の旅費支給規程がある筈だからそれに依って決議する必要があると思ふ、旅費規程を配付して欲しい
 歳出臨時部を見ますとモータープール補充費と云ふのが出ていますがそれは民政府直営であるか、直営であるなら特別会計を設けたらどうか、又それは復旧予算の内容にもふれているから尚更特別会計にする必要があると思ふ、復旧予算にふれていないが復旧予算は議案としてするのが分り易いが如何に
○総務部長(與儀達敏) 五番の質問にお答します
 慈善病院の強化拡充並に分院の設置に就ては城辺町特に福嶺学区等の僻陬の所の学区民の陳情があり、下地村からも上地、洲鎌、川満等特にマラリアが猖獗したので分院設置の要求があり当局としても出来得る限り設置したいと思っていますが、本年度に於て設置する場合の難関は医師の問題であります、それで当分の間は出張診療より外無くそのために追加更正予算に組んであります、来年度は何とかして万難を排し医師を探し分院の設置と共にマラリアの撲滅をして増産、衛生、保健を望み度いと思っています
 モータープールは最初軍政府の命令でトラック全部を取上げ民政府直営のモータープールを設置する様にとの命令がありましたが、それでは一般が非常に困ると考て自動車協会と軍政府に陳情した結果取止めになりその代り二十五車輛だけ民政府が取り直営せよとの命に依りまして現在のモータープールをやって居ります、運営は復旧費でやって居りますが各部の傭車に応じその費用だけ六万円一般会計より補充致し度いと思っています、来年度は特別会計で賄ふ考で居りまして本年度は只民政府直営事業のみで南静園及学校復旧資材運搬のみにとめ、来年度は一般の運搬も致す考で歳入も見積って特別会計を設置したいと思っています、差当り三月迄は復旧資材の運搬のみで歳入が無いためにこの形でやることにしました
 猶復旧予算も議案とする御意見はもっともでありますが、その性質上この計画の一千五百万円余の報告のみで議案にしなかった原因は内容や費目が軍政府から明示されているので輪郭だけに止めた次第であります
◎五番(砂川惠知) 慈善病院の強化拡充方針はよくわかりました、新宮古、楽土宮古の建設は如何にしても衛生より出発しなければならない、衛生機構の楽土建設に於て大きな力をもたらすものである、将来これをより強化することを希望致します
○知事 今の慈善病院分院設置並に整備拡充その他衛生機構の強化の意見には至極同感であります、出来得る限り軍政府の援助をお願し皆様の御協力に依りまして尚一層これが強化に努力致し度い
◎九番(亀川惠信) 慈善病院に対し希望致したいことがあります、慈善病院が出来て一般開業医が日に日に圧迫されていると云ふことは事実でありますがそれは些々たる事情であり郡民の利益のためには是非必要であります、只運営上申上げます、慈善病院の内訳は内科系統が多いのであります、現在一般開業医に於きましても内科費は出来得る限り安く致して居りまして非常に安価であります
 然るに外科に於きましては一寸した手術でも四、五百円の手術費は大きな負担でありまして慈善病院に立派な外科系統の医師を置くことに依りまして内外科共安価になり郡民の利益は非常に大きなものと考へます
○知事 只今亀川さんから御希望がありましたが私が沖縄出張中愈々明日は沖縄を出発と云ふ日に軍政府のスミス軍医部長、南風原氏、松田、比嘉さんと懇談致しましたがその際宮古の状況にふれて一体宮古には衛生部長の希望者も居らんそうだがこれでは沖縄島同様に衛生方面も軍にさせては如何かと云ふ様な話が出ましたが、私は開業医も一般民も共に立てる様に一応考へているが然し場合に依っては強権の発動も已むを得ないと話した事があります
 衛生資材に就ても実は前にスチブンソン前軍医に御願し手術用の発電機、照明装置等入手致してありますが其他の資材の入手あり次第総合病院を設立したい、兎に角私としては民も開業医も立って行ける様にしたいと考へています
◎十四番(粟國浩和) 私の先刻四件にわたり質問せる内第一の人事問題は最初議長から一般質問を許すとの御言葉に依り質問致しましたが私がこれを出したのは正邪の別を糺すと云ふ事でありますが、これは後回しと云ふことになりましたので二番、三番、四番は予算と関連致して居りますから知事の御答をお願致します
○知事 十四番の質問にお答致します、予算の本質は言ふまでもなく議会の協賛を経て運営もし、又その線に副ふのが当然でありますが軍政下なる故予算通りに実行出来ないこともあり、この為予備費充当の道も講ぜられて居ります、例へば軍政に支障無い限りに於ては色々議会にお諮りし議会の意見を尊重してやるのが当然ですがその性質上議会に一々お諮りしては建設上支障ある場合もありまして参事会旅費の予算外支出や予算外収入等議会に諮る暇なく復興費の場合もその時間がなかったし、又水産会への融資も協議をお願する必要もありましたが急の場合でしたし、畜牛購入資金も然りで無畜農家解消資金として交渉の結果然も無利子で早急に八十万円也無畜農家に貸出した結果豚は戦前以上の数字を示しています、牛、馬、豚等の種付料一回に付き五十円は農家にとっては苦しいので此八十万円の中より種付費として無利子で種付を致して本年は馬約二〇〇頭の種付を致しました、資材関係では舟艇の外に第一開洋丸、第三開洋丸を無料で貰受け、ブルドーザー、浮桟橋、牛、山羊、鶏等も貰受けて預託飼育させていますがこれ等も議会に諮る暇無く国利民福の増進上早急にやったことであります、この点悪しからず御了承お願したい
 猶交際費の件に就ては議会で必要は無いとお考になれば仕方がないが私としては或る程度の交際は是非必要だと思っている、自分としては祖先ゆづりの骨董品等を贈ったり其他色々自腹を切ったこともあり、現在は水産会等に御願して民政府や郡民の負担になら無い様に手を替へ品を替へて良心に反しない程度の交際はやっている、水産会から交際費を出させると何だかこちらが水産業者と臭い関係があるだろうと考へる人もあるかも知れぬが決してそうでは無く良心に反し無い様にしている
 交際費は必要である、八重山や大島も盛に鎬を削ってやっているのに宮古だけやらんと支障を来たすんじゃないかと思ひます、警部補派出所の設置で村民が侮蔑されていると云ふことは訂正されたい、警察は飽くまでも民の生命財産に日夜奮闘している、殊に今は年末警戒で警察官は文字通り徹宵して不眠不休に活動し涙ぐましいものであります、警部補派出所を伊良部、多良間に設置七たのは民の保護であり民の福利増進の見地より設置したのである、当初は分署設置の意見もあったが派出所として殊に多良間には治安裁判所があり検事には警察官吏が当る関係上部長よりは警部補がよいと考へた、この見地から治安裁判所と共に警部補派出所を設置した、この為に村民を侮蔑すると云ふことは絶対に無い、従来派出所の建物は村民の負担するのが建前であるが間借りでも差支へなかったけど村民が強いて民を保護してくれるからその建物位は自分等で出そうと云ふ意見があって、それでやっていた、然し民心に反して迄そうする必要は無い、又強制寄附と云ふことは初耳である、これは将来共考慮すべきであり、この件については署長より聞いて欲しい
◎十四番(粟國浩和) 予算の本質及運営に就ては知事の意見に了解した、交際費としては参事会員として感じたことだが追加費に組まれて居らないからこの問題は如何にするやう問ふたものである、警部補派出所のことは善意に解釈して治安保護と云ふのであって、私の村民を侮蔑していると云ふことは当然より大きな下地村、城辺には置かないで何故こと更に伊良部、多良間にだけ設置したかと云ふのである、それは悪意で云ふたのでは無い、寄附の件では村民に悶着がある、これは遺憾なことである、当局の財政で建設をなし村民の誤解を解かれ度い
○警察部長(代理上江洲由三郎) 十四番の質問に回答します、警察の目的は只今知事よりの御話の通り治安の確保である、警部補派出所設置で村民を侮蔑しているとの意見は余りにも曲解である、本署より遠い、便がない、急場の事件に間に合はない、この地理的事情で設置したものである、強制寄附は署としては左様なことはして無い、理解ある村民の自発的寄附で建設に当ると考へているのであり強制寄附では無い、又斯かる行為は警部補派出所でもして無いと思ふが後でこれは調査致します
○知事 実は伊良部にも治安裁判所を設置する様軍政府の要求がありましたがそれは不必要と考へてやらなかった、下地、城辺に警部補派出所を設置しないのは本署所在地の故である、強制寄附は反省を促し将来共この様なことは無い様にしたい、派出所建設で村民が苦しんでいるならば当局としても来るべき議会に計上して皆様に御諮りする用意はある
○総務部長(與儀達敏) 交際費のことで心配のやうですが軍政府関係は是非やらねばならぬが先議会でもこの問題は相当問題になったのでこん度は提出を見合せた、現在では各種団体にお願している状態である、昨日のクリスマスの様な郡的な華々しく出来ない苦しみがあります、それから警部補派出所設置の村民侮蔑云々訂正される様知事よりの要望もあり、又警察官にも影響する所大きなものがあると思ひますから十四番は訂正を御願します
○十四番(粟國浩和) 村民に対する侮蔑云々は私の言ひ過ぎとして取消します
◎十九番(砂川惠一) 新宮古期成会に対する補助に一万五千円組まれているがその必要性を私は強調したい、日本では六月二日より新日本建設の大運動をやっている、本郡も再出発の必要がありこの期成会は是非必要である、総務部長の手許で立案された要旨は新聞でも見たが新聞で見ただけではその性格、組織等よく分からないから説明して欲しい、又十二月一日付軍政府布告は真に本郡に取り大きな問題で政治、財政其他に影響することと思ひます、配給物資がなくなれば予算の五割の財源が無くなり幾多の復興事業にも支障を来しこれは実に重大である、議会としては指示通り配給を停止した場合の民政府の運営に就て八万郡民と共に非常な関心を持っている、愈々配給が無くなった場合の知事の政策を伺ひ度い
○知事 問題が大きな問題である、食糧自給体制に就ては私が那覇滞在中、愈々今日は出発と云ふ間際になって初めて刑務所長の下地恒薫氏より聴き時間が切迫していたが事の重大なる故早速軍政府に行きマシーズ・ラブレ総務部長、キーリング・ロータリー・クレイグ副長官に会見致しまして来年六月一日以降の重要食糧配給停止と云ふことに郡民は非常に驚いている、世界の事情からして万止むを得ないことで郡民も之が打開策に非常に腐心していると云ふ様なことを種々陳情致しました、宮古は戦前輸出超過であったがその主なるものは家畜と水産物でありまして主要食糧である米は月々台湾から輸入していたし又沖縄の藷糟の消費地は宮古でありました、その時は人口も六万そこそこだったが今は戦後の帰還者で二万も人口が増えているけれども軍政府の御同情に依り生活はしている訳です、自給体制と云ふのは早急に出来るものでは無いが全力を尽すことは勿論であります、先の暴風のために十月、十一月、十二月は八〇%も農作物に被害があり、二、三月は食糧の増配も御願している次第であると云ふ様なことを申上げたら六月以降全力をつくしてそれでも足り無いと云ふならば軍政府は決して見殺しにはしない、その点は安心せよと云ふ様な御返事でありました、然しこれは至上命令でありまして全力を尽して自給体制確立の必要があるのであります、幸にもトラクターも来て目下整備中であるが天候回復次第民政府でも各市町村でも積極的に荒蕪地の開墾をすると共に其他開拓庁関係の事業も促進して軍政府の命令通り開墾地にも移住すると共に八重山移民もそれと併行させる必要があると思ふのであります、実は此前開拓庁の連中が宮古の農民は惰農だと云ふことを言ふたが私はこれを反駁した、本郡の農民は数年前より遙かに進歩している、宮古の農民程勤勉な農民は無い、軍政府近辺の土地を見てみよ僅か四、五畝の所も開墾して荒地は少しも見えないじゃないか、沖縄や八重山よりは惰農ではない、只反当の増収(収量カ)が少いだけだと言ふてやったが反当増収だけは是非必要でありこれも開墾と併行すべきことであります、それから新宮古期成会に就ては政党側の求めによりまして低物価政策並に自給体制の確立に就て御協力があり又議会倶楽部の方からも要望がありましたので各部(ママ)と議会、行政部、司法部とにかく軍政府より認められた機関は全部網羅して組織し、民政府の機関としてではなく協力団体、一つの外郭団体、民間団体的性格を有するものであり、案は出来ているが又別に皆様とお諮りしたい、兎に角挙郡一致でやり度いと考へています、先般一回会合はしましたが之は大体の方針を決める審議でありまして近く皆様の御参集を御願ひしまして御智慧をお借り致し度いと思って居ります
○総務部長(與儀達敏) 只今知事の御答弁の通り新宮古期成会への補助金一万五千円は実践運動費としてやり度い、主事或は書記等の人件費並に運動の実費等を考ヘ一万五千円と致しました、近く挙郡的に各階層を網羅して準備委員会を致し度いと考へて居ります
◎九番(亀川惠信) 期成会の下準備には民主党、青年党は参加して居りますが社会党は参加致して居りません、それは大方社会党が非協力的であると考へられたからであると思ひます、然し乍ら理窟の通った、例へば食糧自給体制等の正しい事には勿論協力するのであります、実は民主党より行政整理に就て申し出がありましたが余りにも出過ぎた事であったのでそれには参加せず吾党としては別個に協力的態度を以て行政整理は飽く迄郡情に依ってのみ行ふべきであり、知事はあくまでも民主的でなければいけ無いと云ふ見解に依って意見書を出した訳であります、社会党は如何にも郡の主要問題に対し非協力的であると考へるならば全く残念である、社会党の御願は民主政策を確立するに於て知事がより民主的であり度いと云ふことである、一例を上げれば軍医スチブンソン氏のとった態度は如何であらうか、如何なる患者に対しても親切で有難すぎる程であった、民政府自体はあくまで民主的でなければいけない、よしや知事に独断専行が許されているとしても以上の通りであるならばあくまでも協力する、私は船浮開発事業が特別会計として上程されていることに感謝している、これはとりもなほさず当局の頭の進歩であり非協調でないと云ふことが判りました
○知事 その前の十九番議員の質問に対して補充しておきます、財政面に就て御心配の様ですが財源は考慮を要するが西表の開発は恒久的であり郡民を苦しまさん様に皆様の智慧をかりて将来の民政府の運営に支障なき様にしたい、それから亀川議員の御意見には自分もそう考へている
 期成会に対しては当局としても無条件に協力を求めて居りません、さう云ふ浅はかな考は持って居りません、飽くまで正に対しては協力し民の幸福に反することに対してはどしどし反対して欲しい、軍政府に対しても社会党の意見は宜いことと考て申し上げておいた、社会党としても正に反する道理はなく協力するものと考へています、自分は正に対して反対する者は先づ居ないと確信する次第であります皆様も民の幸福正しいことに対しては御協力御指導して戴き度い、猶民政府は民主主義で行けと云ふことは勿論のことであり私のモットーとする所であります、私は大統領以上の地位を附与されている、独断専行が許され「市町村長まで主宰せよ、総ての責任は軍政府が負ふから」とまで云はれているが飽くまで民主主義で行かなければいけないと思っている、民主主義の根本三権分立で行き度い、司法部に対しても郡民のためなら喧しく干渉したことも無く、議会に対しても尊重しているつもりである、只軍政下である故思ふ通りは行かない場合がある、私は民のためには軍政府に属するが良心的には八万郡民に対しても責任を負ふ心構へで民主主義的な政治を行ひたい、軍布告は超憲法であり至上命令であるが現行法に就てもよい現行法は守り悪法は廃し民主主義の線に沿ひたいと思っている、集農に就ては独断専行であるとの声があるが決して専行では無い、時の食糧対策委員会に諮ってしたものであり、当時の食糧問題を解決するために完遂を決意したものである、赴任当時ではあったが部課長会議で一時それが暗礁に乗り上げ中止の案も出たがそれは失業対策、食糧解決問題には是非必要であると考へ交渉もしたし、集農完遂を図り邁進したものでこれは当時の人々も反対する者は無く決して独断専行ではない、郡民の総意に依って為したことであります、次に慈善病院に対する亀川さんの意見には感謝致します、猶協力の余地ない飽く迄も民政府打倒を決意している人には今や何も言ふ必要は無い、これが民主主義に反するとは考へ無い、私は私の最善を尽して総ての人に反したいとは考へ無い、最大多数の幸福を考へ行ふのみであるが心よりそう云ふ人を憎まず正しい意見を述べられ度い
○議長(與儀達敏) 休会を宣す(午後零時)
○議長(與儀達敏) 開会致します(午後一時十分)
◎十一番(砂川徹雄) 戦前に於て沖縄県の各試験場の県民に貢献する所は実に大きかった、戦後の試験場も又斯くなくてはなら無い、ところが出納検査員の報告に依ると莫大の費用を投じてあるも何等見るべきものが無いと聞いて大変意外に思っている次第であります、産業試験場の重点的な研究は何か、設備は充分であるかどうか今後の計画に就て説明願度い、又樹苗園については植林は食糧問題と併行して重大であると思ふが参事会の報告ではこれも見るべきものはない、如何なる原因に依って成績が上らんか又今後の計画は如何に、猶前の議会倶楽部でも要望があったが種畜場の種牛、種馬増殖に就て伺ひ度い、又五番議員からも要求があった旅費の支給規程に就て話して欲しい
○総務部長(與儀達敏) 産業試験場の主なる使命は農事試験中心でやっている、前議会に於ける予算の各種工業的試験は一時中止し農産、特に加工の試験を重点的にし係員を八重山に派遣してターフンの研究等をしています、名称も農事試験場に変へたいと考へている、本年度はアルコール分析続行中であるから今まで通りとし将来は農事方面特に食糧問題は篤農家をそれに結び付けてやって行きたいと思っている、旅費支給規程只今刷物にしてお配り致します、樹苗圃、種畜場に就ては農林部長より説明して貰ひたい
○農林部長(與儀喜文) 樹苗圃に就ての不評判に対しお詫び致します、実際技術員も取替へ今は立派に整備し現在では好結果を来して居ります、従来の敷地では狭すぎるので旧製糖会社に有地を借受けて樹苗の増殖に努力しています、種畜場のことに就ては現在の本郡の食糧事情から推し考へまして土地を作ると云ふ意味より自給肥料の増産を考へ内外よりの優良種の生産を考へて居ります、種牛に就ては郡内生産は勿論郡外からもどしどし取り入れる予定で積極的に増殖を計りつつあります、又軍政府より優良な牛、山羊、鶏を貰ひ受けまして牛は城辺町の保良牧場に飼育中でありますが良好であります、鶏は二、三羽斃れたが其外はもう産卵を始めているのもあり、これを繁殖用に考へて居ります、山羊は南静園のものですが種畜場で飼育し優良種を繁殖させたいと思って居ります
○知事 試験場に対する参事会の報告は予算を戴いて日浅く、これと云ふ見るべきものはなかったのでありますが現在は随分立派になって居ります、それからと言って私は満足している訳ではありません、試験は数年を要するものでありまして今後技術員の奮闘を御願しまして発達させたいと思っています、従来宮古は糖業偏重でありまして一般農事は重じられなかったが、飽く迄も本郡の事情に副ふ様な事業を今後試験場に研究して貰ひたいと考へています、樹苗圃の問題に就ては実は郡民性が無骨である、情操が少い、水が少い、耕地も僅かである、樹木が乏しいと云ふ様な関係でありまして、それ故樹苗圃は人の入れ替へを断行して、参事会の調査当時とは比較出来無い程現在は立派になっていると思ひます、五ヶ年計画で本郡の緑化を計り本年度は二百五十万本を播種し本年はこれを皆様にお分け致したいと考へています、何れにしても本郡の緑化は樹苗圃の重大使命であります
◎十一番(砂川徹雄) 試験事業と云ふことは大変緻密を要する事業だと思ひます、人物の選択は重要であり、それが全きを得ないと効果は上らない、私が考へるに果して本郡にはその道の権威者が居るかどうか、居なかったら郡外からでも招いて目的を達成させ度い、それで成績は充分に上げ得ると思ふ
◎五番(砂川惠知) 今先の問題と関連して質問致します、楽土宮古の建設は如何なる構想でなすかと云ふことは八万郡民の注意する所であります、種々の問題の中から何を先になすべきか第一に食糧問題、燃料問題等があるが然し第一番の問題は燃料問題ど考へる、知事の御話の通り樹苗圃の使命は重大である、然しその件では相思樹は七ヶ年で松の二十年と同様な太さに成長する事を考へると松より相思樹が有利である、又燃料は市内でも左様であるが田舎では殊に困って草を伐ったりして使用していることを考へると燃料は食糧より高価である、それに対する暫定案でもあればそれを御聴きし度い
 又私の午前中の質問に復興予算のことがあるが、それに対して議長は費目使途が決していたから議案としなかったと云ふが私は不可解ながらも黙して居った、又集農の予算化問題に対し、知事は食糧対策委員会、部課長会議にも諮ったから決して独断専行ではないと云ふが、それならば食糧委員会に諮れば議会の通過は不必要である、又民政府の寄附、補助等に依る事業は収支を明かにせしめる事が必要であり別途に扱ふものは収支を明らからしめる事は必要ではないか
○知事 造林を早急になし燃料問題を早急に解決したい、又西表の成功は五十年、六十年の恒久的なものでありその開発に依り解決するものと考へ、それに依り局面は打開したものと考へます、先の集農問題はお話の通り致し度いと思ひますがこれは何れ事務方面と打合せをして左(次カ)の議会に御諮りし度いと思ひます
◎五番(砂川惠知) 燃料問題の計画は何時より実施するか
○知事 学校復旧を三月まで完了せよと云ふ軍政府の命令なので学校復旧問題の次に実施致したいと考へています、又製材機及各種資材の入手を軍政府に御願して約束してありますから入手次第早急に実施する
◎五番(砂川惠知) 燃料は市内も左様であるが農村では非常に困っている、藷よりも高い一斤一円以上もする故に民政府でも燃料問題は重要問題として実現を計られ度い
○知事 此点は那覇滞在中も何とか解決したいと思っていた、実際藷よりも高いと郡民は苦しんでいるが郡民が黙っているのは西表のためである、早急に実施する
○議長(與儀達敏) 五番よりの質問の復旧予算の件はあとでお話致します
◎十番(塩川寛誠) 只今の上程議案二十一号は長時間検討せられたからこれで読会省略確定議に付し度い
◎二十一番(玉城玄教) 二十一号予算の件で人件費の追加よりも旅費の追加が多い様である、旅費には種々仕事に依って違ふものと考へる、一方は警官の様に是非行かねばならぬものがある、財産管理費の追加となっているが収入はどうなっているか、繰出金は先に五十万円、今度十万円計六十万円を出しているが戻出(入カ)を考へ繰出さなければいけないと思ふが公益質屋の現状は如何であるか、提出議案には農林学校敷地の問題があるがそれと同時に郡運動場の設置は如何に、海軍飛行場に設置出来たら立派なものと考へる、又西表の開拓と同時に学校復旧に郡内の資材を動員しなければいけないが資材難で非常に困っている、沈没船の引揚げで幾分助かると思ふから一日も早く実現せられる様にして欲しい、これは前の議会倶楽部でも論ぜられたが今だに出来ない、所在場所が不明であるかそれ共前の契約に縛られて出来ないのか、やる人はいるのか如何か、やれる人がいるのに前の関係で出来無いのか、これを明然(ママ)して貰ひたい
○議長(総務部長カ) (與儀逹敏) 財産管理に御答へします、飛行場の管理は軍布告に依りまして軍政府に移管致しましたがこれが管理は民政府で致します、費用は何れ戻って来るものと考へます、又沈没船引揚の場合の立会の費用も見ている、元製糖工場の貸付金回収の費用も見ている、財産管理に就ては管理費が要る、何れこれも出来次第又歳入もあると考へる、郡運動場の設置は何れやる、高等学校に郡運動場を造てはと考へているが地形はどんなものか、郡運動場は兎に角必要だ、将来隣村八重山との親善もスポーツを通してやり度い、来年は先島を一円とする競技会をしたいと考へている、是非運動場の建設は必要であり場所は今後考へて行き度い、沈没船は契約人が今すぐ着手出来ねば当局でやる、天候回復せば早急に着手せしめる様にする、公益質屋に就ては厚生部長より御願ひしたい
○厚生部長(下地徹) 十二月二十二日現在、繰入金四四五、〇〇〇円の内十二月二十二日迄の取扱高平良市一、四八二件(五四三、四六〇円)城辺三〇件(一一、五五〇円)下地二六件(一〇、八五〇円)伊良部三件(一、七〇〇円)計一、五四一件(五六七、五六〇円)となっています
◎議長(與儀達敏) 十番の動議に依り追加予算の審議を終了致しましたが御異議はありませんか
◎十七番(砂川玄仁) 二十一番よりの質問に対する議長の答弁をはっきりさせて貰ひたい、お互議会人として公人として責任ある仕事を必要とする、引揚物資に就ては学校復旧と関聨し全郡民の注視の的である、先日の市町村長会に於ても一日も早くやろうではないかと協議し当局にも陳情したがこれは本当に出来るか、現在契約してある人が何時から着手するか明確にして欲しい、若し出来なければ出来る人にさせては如何に
 交際費に就ては十四番より話があった通り予算に計上されていないが交際はして無いのか、私はその心底を察するに前の議会で相当に問題になったので今度は追加せなかったと思ふ、交際費は知事個人の交際費では無くして郡民に代っての交際である、現在種々の問題食糧燃料問題等がある、それには知事に真剣な活動にまつ外ありません、交際費が要るならば要るで判然した数字を総務部長は確答して貰ひ度い
○総務部長(與儀達敏) 沈没船引揚は契約中の人が能力は無いと断定せられたならば解約し外の人にさせて復旧に活用したい次に交際費は打明けて御話するならば是非必要だが先議会に御願ひしたものを再願することは厚かましい様に考へて出さなかった、現在交際は各団体に御願ひしやりくりでやっている、出来るならばこの予算に計上致したい、交際費は知事活動の原動力でありまして至極必要であり三月分までの分として五万円位を御願ひ致したい
◎十七番(砂川玄仁) 交際費に対する総務部長の心境は充分に解った、多分私の考では先議会でこのことに対し云々せられたから気にかかり苦しい立場から計上しなかったと想像致します、これは勿論外部の輿論に従って仕事をすることも必要ですが真に必要なるものは本当に必要なる責任ある仕事をして欲しい、沈没船の問題ですが議長は出来なければ解約すると云ふが契約者は出来る可能性はあるか否か
○知事 沈没船引揚問題は私の赴任当初より各方面からの運動がありまして又色々噂もあった様でありますが、私と当間君とは昔警防団時代よりの友達でありますが友達と云ふ点に於ては私は沖縄より宮古に多いのであります、然し仕事は感情にとらわれては駄目でありまして名分の立つ様にしなければ郡民に対しましても申訳け無いのであります
 この問題に就きましては契約者が三ヶ月以内に着手しなければ破棄致したいと考へて居りますが現在続行中でありまして八重山から潜水夫を連れて来て仕事を致して居ります、学校復旧には早急に引揚を必要と致しまして日限を切って約束をしたいと考へています、その日限までに出来なければ解(契カ)約を破棄すると名分が出来る様に破棄(契約カ)したい、決して感情でしてはいけ無い、一度間違えば頭が上らぬ、要は名分の立つ様にする或る期間を与えて、それが出来なければ直営又は何人かにさせ度い
◎十七番(砂川玄仁) この問題に対し軍政府から民政府でやれと布告した様なものが来ていると聞く、そうなれば何のかかわりもない、郡のために早急に着手しては如何か
○総務部長(與儀達敏) 軍政府より通知は来ているが契約があるので日限を決めて公正妥当にやり度い
◎九番(亀川惠信) 学校復旧と関連して引揚は重大である、それで早急に解決を願ひたい、噂に聞くにある団体では優秀なる潜水夫を連れて来て現在の契約者が出来なければ断乎としてやると云ふている
○総務部長(與儀達敏) 御意志に副ふやうにしたい
◎十三番(池村好雄) 質疑応答はこれで完了致しまして数字の検討を致したい
◎二十一番(玉城玄教) 質疑応答は終ったものとして議案二十一号は番外一番の説明にある通り交際費が計上されていない、民間団体にお願ひすると云ふことは体面上も如何かと思ふ、それは又その団体のためのみをする様に誤解される懼れもある、それで知事の交際費として五万円を計上しこれを読会省略して確定義に附し度い、議案二十四号分譲地に就ては色々の困難もあり成果は未知数だが克服して宮古が助かる様に事業を進めて貰ひたいことを希望して可決したい
 二十二号、二十三号の水産、農林の敷地は全員調査の結果最適地と認む、これで全議案確定議に附し終了致し度い
◎議長(與儀達敏) 只今の二十一番の動議、全案審議を打切り確定議に附すに御異議はありませぬか
◎二番(下地盛壽) 期成会に対する一五、〇〇〇円の補助を不必要と認めゆづって確定議に附したい
○総務部長(與儀達敏) 期成会の件につけ加へて御参考に致したいことは議会倶楽部も本運動に干与致して居りまして本運動の大体の輪郭は議会議員、学校長、各団体の代表を網羅し挙郡的問題、例へば自給体制確立の実践面は民政府の問題だけではなく全民挙って解決すべき問題であり挙郡的運動が必要である、期成会に対する補助はお認め願ひましてこの追加予算を確定して戴き度い
◎十七番(砂川玄仁) 二十一番の動議に賛成致します
◎三番(砂川玄令) 二十五号議案に就て質問致します、先の議会に於ける復旧の話では民政府だけでも材木五、七〇〇石要ると云ふ話だったが本予算案では一、〇〇〇石となっている、残りはどうする考か
○総務部長(與儀達敏) 船浮分譲地だけでも四校復旧は危険である、工務部長よりもう山に入っている、船浮で牛二頭を貰ひ受け伐採していると云ふ通知が来て居りますが向ふの材木だけでは危険である、平良市では大浜町と交渉して松木六〇〇石許可する様御願ひして居り、大浜町ではそれに対して協力して居り伐採隊も既に二十名派遣した、この二つで学校復旧は充分と思っている、西表の開発は最初から難関であるかも知れ無い、大体一、〇〇〇石で好いと考へている、又歩留も八分程度で早く伐れるものから伐るといふ様にしている
◎九番(亀川惠信) 水産学校の敷地問題だが最初学校の要求は三町歩とききますが本案では二町二反となっている、校長の考では三町歩は職員の自活農園又生徒の農園ときく、この八反を削っては職員の生活安定は期し得られないし又校長が苦しい立場になると思ふ、猶実業学校に就ては従来の考では駄目である、父兄は実業学校を劣視している、この旧観を打破しなければいけない、水産学校よりも開洋学校に名を変へたらどうか、教員の質の問題は重要である、この意味でも八反を削って種畜場にやるよりも種畜場は農林学校と併置し新しい構想を持った学校教育の振興を考へたい
○総務部長(與儀達敏) 二町二反六畝にかへた理由は水産学校の充実は必然的に船の運営にある、寄宿舎も必要だし、それで製糖工場の附近も考へたが止めた、自活園は水産学校のみならず俸給取りは皆然りである、産業試験場他の余分があれば分けると云ふているから適地があればそれでやりたい
◎五番(砂川惠知) 農林校の二町二反は認めますが復旧予算には買収金として五十万円組んであるが敷地が飛行場、試験場地であるならば買収費は要ら無いと考へるが如何か
○総務部長(與儀達敏) それに就てパイナガマを敷地に考へていたものだから、そのためである、買収費は出ない、高校は一つになっているが女子部、男子部を別個に予算は許され無いと云ふ軍政府の御話でした、それで分離して別にした訳で予算は訂正の必要があります、元の中学校に男子部を造る、名称も今の名称では駄目で、水産部、農林部でやる考へです
◎九番(亀川惠信) 議長は学校には自活園はないと云っていますが各学校には自活園はあるやうに聞いています、殊に校長として三町歩やると云ふてやらなければ立場が苦しくなり、これは是非総務部長の親心によりまして種畜場は農林校でやりまして水産校に敷地を与へては如何
○総務部長(與儀達敏) 産業試験場も約六町余りしか無い、一町八反削られては苦しい、もし必要なれば場長に御願ひしてやりたい
◎議長(與儀達敏) これで全議案読会省略確定議に附したいと思ひますが御異議はありませぬか
◎十八番(嵩原重夫) 食糧の自給体制の確立は重大なる問題であり特に食糧問題は平良市民に取って重大であります、昨日知事の挨拶にもありましたが集農は開拓庁に移管する様に了解済の様ですが誠に自給体制の強化は開拓庁の仕事を一日も早くすることが第一であります、集農に対しては平良市は地主の立場にあり、それに移管に依る土地の買上げについては非常な関心を寄せているのでありまして地価は適当な価格で開拓庁が買上げられる様御願ひしたのであります、それから十四番の最初の質問に対し正邪の別を明らかにすると云ふことは必要でありまして総ての人が納得する様に御願ひします
 知事の云ふ名分の立つ人事、教育界は人材の集りであります、正は断乎として正、邪は邪とし明らかなる人事を要します、人事は仕事の半ばであります
○知事 集農の移管問題は既定の方針でありまして開拓庁並に軍政府と話合ひしていたものであります、公表の時期ではありませぬが大野山林は日本軍に依り伐採せられ荒廃したものでありまして早急な造林はむつかしいと、それで戦災復旧としてやると自分は内々で考へていたものでありまして開拓庁でも軍政府の了解があるならば異存は無いと云ふ話でありました、開拓庁事業促進はやっていますが真剣にやってくれません、私が行って始めて開拓庁も願を出したと云ふ状態で各所で出来る限り引摺り廻す様にしなければならぬと考へています
 買上げ資金に就ては民政府で早急に立替払をしなければならないだらうし価格については評価委員会等を作ってそれでやると考へる、人事問題に就ては文教部長より御話されたい、全部云ふのは時期尚早いかも知れない
◎十四番(粟國浩和) 人事問題に就ては文教部長も会場に話すのは心苦しいだらうし又感情に来る場合もあり得るし今日はこれで打切り委員数をあげ委員会で善処し次の議会で報告するとしたら如何に
  (賛成、良案だの声あり)
◎議長(與儀達敏) 十四番の人事問題に対する質問に就ては委員会で解決すると云ふ意見ですが議会より委員を揚げ善処致し度いと思ふ、委員の選定については如何がしますか
   (議長一任の声あり)
◎議長(與儀達敏) 議長一任の声がありますが御異議ありませんか
◎十八番(嵩原重夫) 委員に就て希望があります、粟國氏を委員に加へられたい
◎議長(與儀達敏) それでは私の方から指名致します
 二十一番(玉城玄教)、十九番(砂川惠一)、五番(砂川惠知)に御願ひ致します
 この委員に依り文教部長とお話し願ひまして納得行く様に解決致したいと思ひます、それから五番から質問のありました復旧費の予算化の件ですが
  (予算書説明)
 計九、九六七、六七六円であります、この内マクラムの命に依り南静園に五、七九五、六七六円を廻しましてこの金はあとで交付すると云ふことになっています、許可されました金が一千五百万円余これで復旧を実現する訳ですが現金が全部来てないので予算に組むには出来得れば現金が来てからと思って居ります、又設計によりまして資材入手等もわからぬし又南静園は金は無いがやれとの命令により為している訳で猶設計変更もあり、と云った様な以上な関係で正式に予算を組み協賛を御願ひすることは困難であります、現金受領に依りまして予算を組み八重山資材、郡内資材を動員し実行致したいと考へています
 いづれこの件に就きましては通常議会で御諮り致します
◎議長(與儀達敏) これを以って上程全議案可決確定致しまして本議会を終了致します
 閉会宣告(午後二時四十分)

 一九四七年十二月二十六日
 宮古議会議長  與儀 達敏
   議会議員  平良 一夫(印)
   〃  〃  池村 好雄(印)
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