- 組織名
- 宮古群島議会
- 開催日
- 1951年12月22日
(昭和26年)
- 会議名
- 第10回宮古群島議会(臨時会)
- 議事録
- 第十回宮古群島議会(臨時会)会議録
第十回宮古群島議会(臨時会)会議録
一九五一年十二月二十二日午前十時左記議案に付宮古群島議会(臨時会)を宮古群島政府に招集する。
記
一 議 案
議案第九十七号 脱税取締条例について
議案第九十八号 民政府府令諸税法を宮古群島条例として制定について
議案第九十九号 群島税徴収条例の一部を改正する条例について
議案第一〇〇号 宮古群島政府退職給与金支給条例について
議案第一〇一号 宮古群島政府物産検査所時間外勤務手当支給条例について
議案第一〇二号 一九五一年度宮古群島政府一般会計歳入歳出追加更正予算について
議案第一〇三号 一九五一年度宮古群島政府物産検査所歳入歳出追加更正予算について
議案第一〇四号 宮古砂糖及砂糖容器検査条例の改正について
◎知事(西原雅一君) 開会前に一言御挨拶を申し上げます。
今回の臨時議会に提出された議案は歳入歳出予算案と物産検査に関する予算であります。各種条例で審議したのでありますが、民政官府布令で群島条例として制定するようにとの税関係であります。又下地敏之外六名から提出されて居ります砂糖検査条例ですが、この問題は群島として大きな問題であり、先に審議してもらった砂糖消費税の廃止問題は特に民政官府よりの指示により認可になり、軍の暖かい□□に対し皆様と共に御同慶に堪えない次第であります。政府としましてはこの問題も条例改正の必要がありますので提出したわけです。どうぞ提出議案に対しては慎重に御審議下さいますよう御願い致します。以上を以て私の挨拶に代えます。
◎副知事(東風平惠令君) 知事の御挨拶に引続き御参考までに、先に提出した陳情文に対し十二月十三日ビートラー少将より送付されたのを朗読致します。
親愛なる西原知事さん
私は私を通して米国の大統領宛の宮古群島議会の陳情文を受け取った。それは上級本部にこれに関する情報と指導を受けるために転送した。貴官の御存知の通りこの陳情文の内容は大体に於て現に□われている。更に琉球の経済、文化、教育の発展のため引き続き吾々は援助と協力を惜しまない事を御誓いします。ロバート・エス・ビートラー陸軍少将副長官
◎議長(玉城玄教君) 開会致します。(午前十一時十分)
出席議員の報告を致します。出席九名で欠席はありません。
公文の朗読があります。
(書記長公文朗読)
議案を配付します。
(書記議案配付す。)
議事日程をお知らせ致します。本期議会を一日としまして会議の順序を提出議案を逐次審議してその後に陳情書に対して委員会を開きたいと思う。次に議事録署名人を選出して戴きます。
(「議長一任」の声あり)
議長一任という声がありますが皆様如何ですか。
(「賛成」の声あり)
それでは五番と七番にお願いします。如何ですか。
(「賛成」の声あり)
議案を上程します。
(書記長議案朗読)
◎下地敏之君 この議案は二十日の委員会に於て朗読審議致しましたから朗読したことにして朗読を省いて進行したらどうですか。
(「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) それでは朗読したことにして省きまして次の第一〇二号、第一〇三号について説明をお願いします。
○財政部長(島田文雄君) 説明朗読する。
◎議長(玉城玄教君) 以上提出議案の朗読が終ったので下地敏之外六名から成る発案第二号がありますから上程します。
(書記長朗読す。)
◎議長(玉城玄教君) 次に議案ではありませんが陳情書が七件出て居りますから朗読します。
(書記長朗読す。)
これで全部朗読を終りました。
◎下地敏之君 去る十二月二十日の法務委員会の結果を報告します。十二月二十日の委員会には全員出席、第九七号議案から第一〇一号議案に対し審議した結果一人の反対もなく終了しました。以上報告致します。
◎砂川玄仁君 只今五番議員から報告がありました第九七号議案から第一〇一号議案は一括上程して貰いたい。次の一〇二号、一〇三号の二つの議案は夫々別個でありますので一つ一つ各号について審議し、それに関係する陳情書が出て居りますので先にそれに関するその二つの議案を審議して貰い度い。
◎議長(玉城玄教君) 只今九番議員から一〇一号は全て審議したので一括上程し後の一〇二、一〇三号は夫々別々に上程して貰いたい。そしてその前に陳情書に関係する二、三については陳情書の内容について審議したいということでありますがどうですか。
○下地敏之君 関係するとはどれに関係するのですか。
○砂川玄仁君 予算にです。
(「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) それでは議案第九七号から一〇一号議案を一括上程審議し、討論に入ります。
◎砂川玄仁君 只今上程になった五番議員からの議案は法務委員会で慎重に審議研究されたものであるから質疑討論に付さないで貰いたい。
◎議長(玉城玄教君) 議案第一〇一(一〇〇カ)号の内第十条を六ヶ月以下に訂正されたが、それでよいですか。
(「賛成」の声あり)
それでは本議案の附則の月日を本日にして下さい。
◎下地敏之君 発案第二号について説明致します。
大体商品の価格は状況の如何によっても違うのです。需要者を多く集めるということが実際問題として必要であります。砂糖に限らず他の商品もそうですが日本向けよりも沖縄向けが多い。そうすると砂糖の消費市場は両方にかけてやるべきで一方のみにやると抜きさしならぬ経済状態になる。それで黒糖の価格維持からしてもどうしても両方に売買することが出来るようにすることが必要である。尚そこで考えねばならぬのは日本向けとしての木箱はそれでよいが沖縄向けにも木箱を採用しますと価格や値段に差引きがあり、即ち沖縄、大島との取引きは琉球に於ての木箱と紙箱の差額は一斤一円二十銭である。そうすると他の処と太刀打ちすることは出来ないことになる。結局宮古だけが一円二十銭だけ損することになり、それは必ず農民の懐に影響するから木箱のみに一定することは値段からして金融の接近(ママ)が起り商人は困るようになる。それでどうしても紙箱にして日本向けの木箱と競争させ急迫を考えねばならない。尚日本向けに取引きされる砂糖は条例による検査を厳重にすることにより次第に内容はより良くなることになる。検査を厳重にすることによってより良き品質が生じ総ての危惧をなくすることとなると思う。以上をもって説明を終ります。
◎砂川玄仁君 議案の説明は提案から先にして貰いたい。
◎議長(玉城玄教君) 議案第一〇二号、第一〇三号は関係陳情書を審議してからにしたがよいとのことですが皆様はどうですか。
休会します。(午前十一時五十分)
開会します。遅ればせ乍ら陳情書がもう一つ出ています。
(書記長朗読す。)
これから休会して引き続き陳情書を審議して午後□時に再会致します。(午前十一時五十一分)
陳情書に対する審議会記録
◎議長(玉城玄教君) 陳情書の一つは平良市議会から出たもので埋立地に関する件ですが、それと同じような□□が五ヶ町村から出ています。何れも三件は護岸埋立□□に出ていることでどちらも一利一害があると思うが五ヶ町村とも話し合ってまとめる必要があると思うが。
◎下地淳一君 この問題は八代旅館で話合いがあった。結局各町村とも諒解しているが、民政官府に陳情する前に議会として何とか善処してもらいたい。
○嵩原惠典君 或程度五ヶ町村も歩み寄るのが必要ですね。
◎池城朝清君 五ヶ町村長、三役、議会と懇談することにしてしばらく保留したらどうですか。
◎砂川玄仁君 当局の考えとしてはどうですか。
○副知事(東風平惠令君) 当局としては関係者を呼び早目に処置を講じたいと思う。
○池城朝清君 明後日あたり出来ますか。
○副知事(東風平惠令君) 出来ます。明後日関係者を民政府に午前十時集めたいと思います。
◎議長(玉城玄教君) この問題はその通りにして議員は全員集ってもらいます。
次は下地、城辺、伊良部の陳情書ですが、何れも金に関係していることですが、政府の財政方面はどうですか。
○出納長(喜納朝祥君) そういう予算に関することは三月頃迄保留して下さるよう御願いします。と申し上げるのは現在の政府の状況をよくお含み下さいまして適当な処置をしてもらいたい。
◎池城朝清君 その内伊良部の問題は片付けて、後二つは来年三月まで保留してもらって、市町村の財政□□補助ともにらみ合わせて出納の時期にやったらと思う。
◎下地敏之君 来年の三月までとは待たないでやることに決定してその後の問題は政治的な問題で解決したがよいと思います。そして金額、その時期は政府できめてもらいたい。
○知事(西原雅一君) 金額を大体きめて下さい。
◎下地敏之君 下地六万、城辺十万、伊良部二十万にしたらどうですか。
◎議長(玉城玄教君) そうしませう。時期については政府にまかせることにしませう。
砂糖消費税の問題は民政官府に出すことにしたらどうですか。
(「よいでせう」の声あり)
次に砂糖容器の問題ですが、それに対する話合いを致しませう。要するにこの問題は検査を徹底的にやるということが眼目でないでせうか。そして価格を統一してやるということが大切だと思う。
それでは委員会はこれ位にしませう。(午後四時)
本会議
◎議長(玉城玄教君) 開会します。(午後四時十五分)
議案第一〇二号、第一〇三号の二つを一括し質疑討論に入ります。
◎下地敏之君 この二つの議案は検討を加えた結果別に二つについては討論する必要はないと思う。省略し、原案通り。
(「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) それでは御異議はないようですから議案第一〇二号、第一〇三号はこれで決定します。次に発案第二号について御審議願います。別に変ったことはありませんか。
(異議なし)
◎議長(玉城玄教君) 別に御意見はないようですからそれでは議案第一〇四号として上程します。議案一〇四号について御意見がありませんか。
◎福里芳夫君 宮古砂糖及容器検査改正条例案は生産者の方から考えても立派な案と見做し賛成する。例え沖縄行きと雖も条例と同じような規格をもつ容器は五〇斤詰として決して宮古の品位を傷つけないようにして欲しい。
◎嵩原惠典君 二番議員の御意見に賛成ですが容器□□品質については沖縄向けの紙製のものには条例第四七号の規格通り正しい煉瓦糖が出来るように慎重に考えねばならない。沖縄からのしめ出しを受けても木箱に切り換えることが出来るようにして欲しい。
(「賛成」の声あり)
◎池城朝清君 二番議員の御意見に賛成します。砂糖容器に関する議案について議決された時我々としては品質の向上、市場の獲得、宮古糖の成果(ママ)の手本等の点に留意して来ましたが、更にその点気をつけてもらいたい。現在沖縄向けの販路の状態が紙箱でまにあうならば、農民のために是非そうして欲しいが紙箱の使用の場合木箱の生産者がなくなるとも限らないから、その点簡単に切り換えて内地向けにも出来るかどうか。しかし議会も当局も一致して努力すれば容易に解決出来ると思う。二月前までになれば沖縄、大島は最盛期に入るが、その時製品がだぶらないように気をつけてもらいたい。
尚又出先(目先カ)のことに惑わされず将来間違いのない政策を立て紙箱を制限するとかどうすれば日本向けに□えることが出来るかを考える。
結局方法は処置の問題となる生産者と取引者が安心して仕事に取付くことが出来るような政策が必要である。
◎砂川玄仁君 議案第一〇四号については説明通り賛成する。
◎嵩原惠典君 二番議員に賛成であると云うたが、私の考えたことは条例により定められた幅、長さ等は何時でも日本に輸出される面から考えても規格にかなったようにして欲しいということに賛成である。付け加えて申し上げます。
◎議長(玉城玄教君) 議案第一〇四号についての御意見は尽きたと思うから確定議に附したいと思うがどうですか。
(「賛成」の声あり)
◎砂川玄仁君 砂糖消費税については議案八〇号により産業の保護と奨励の意味から撤廃して決議したが成□□郡民大会の名に於て農連の陳情書の通り宮古の黒糖は例規にあると見て議会の名に於て軍政府に陳情して欲しい。
もう一つは先の五月の定例議会に於て特別商品税をもうけて特別商品から税金をとっていたが、これは中□□が政策として取るなという軍からの伝えがある。しかしこれは我々としては取るべき権利があると思う。よってこれは軍政府に諫言しなければならないと思うがどうでせう。
(「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) それではそれ位にして施行月日を本日に致します。尚九番からの議会の名に於て中央政府に意見書を出すようにとの事ですが方法その他についてはどうしますか。
◎砂川玄仁君 議長に一任したいと思う。
○下地敏之君 発送その他手数一切議長に一任致します。
○議長(玉城玄教君) どうですか皆さん。
(「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) それではその様に取計います。これで今期の議会の全部済んだことに致します。最後に知事の挨拶があります。
◎知事(西原雅一君) 長い時間御慎重に御審議下さいまして有難うございました。私達当局として条例に従って仕事をすることは当り前である。当局として今後社会状勢にかんがみ忠実になす考えです。尚特別商品税について皆様方が同意なされ意見書を提出なされるということに対し感謝する。
尚砂糖消費税に対しても決議されたことに対しては□□になしとげる決心です。撤廃問題についても間断なく努力したが残念ながら出来なかった。私としてもアーレン大佐にもお願いし会見をしたわけである。昔の様に砂糖が主要物であるならば当然とらねばならないが、現在の状態では不適当であると思う。
大変長い間色々と有益なる御協議をして下さいまして有難うございました。
○議長(玉城玄教君) 休会します。(午後四時三十分)
◎議長(玉城玄教君) 開会します。
皆様方有難うございました。これで閉会致します。(午後四時三十二分)
一九五一年十二月二十二日
宮古群島議会議長 玉城玄教(印)
下地敏之 サイン
池城朝清(印)
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