戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年09月26日 
(昭和26年)
会議名
第7回宮古群島議会(臨時会)[2]
議事録
 一九五一年九月二十六日
 開議(午前十時三十分)
◎議長(玉城玄教君) 開会します。出席八名、欠席二名(三番、九番)であります。議案第八十一号を上程します。本案に討論の通告がありましたら質問を許します。
◎下地敏之君 砂糖の検査及容器の検査に関連しまして最も問題となるのはその将来性ということである。黒糖の将来はどうなるかはっきりした意見を伺いたい。色々の情報によりますと来年三月から日本では税制が撤廃されるとか十月から業務用として黒糖の入札による払下げをするとか伝えられているが、一体黒糖は他の香港糖等とかいうものと日本市場で太刀打ち出来るかどうか、その点将来への見通しをはっきりして貰いたい。将来への見通しによる対策についても答弁してもらいたい。
○経済副部長(下地明高君) 只今の御質問によります黒糖の見通しについて、私も日本に行った関係上私から申し上げたいと思います。日本が琉球と昔から貿易している関係の商社等により実現されているのは琉球に対する同情であり、琉球の糖業を保護するという同情の現われであります。現在琉球と日本との取引が出来てその取引高を金額にして見ますと、金額だけで約八五万弗に達している現状であります。尚この八五万弗は七、八、九月の三ヶ月に契約されたもので製糖期にかけた砂糖量にして五万丁に達するわけです。昨年の九月から六月にかけての一三八万弗の半分しかありませんが、それに達するにはどうかと考えて居ります。尚十月、十一月、十二月は輸入公表をしなくともまかなえるという予想の下に十一月、十二月は輸入公表にはのせてないのです。然し貿易庁としては前の契約等の関係もあって二、三十万弗は十月、十二月に必要であるとの事ですし、又各群島の生産高もずっと高くなっていますので恐らく大丈夫だと思って居ります。尚日本の砂糖が入札的となり税制が撤廃されるとの御話のようですが、そうなると貿易庁の発している輸入公表によって十二月となるために物価はつり上げ、反対に琉球糖はバランスが取れなくなる。私達が東京に居った時から砂糖の相場は検討されるようになり、黒糖は四、五月頃は日本の金で一貫目五五〇円で、一斤二九円三〇銭の相場であったが六、七月頃からは六〇〇円で三〇円を突破して居り、九月頃になるとまたもとの二九円三〇銭に下って居ります。
 向うの白糖に比較すると九月十五日で調査によると白糖の一貫目一、一五〇円で、一斤六一円四〇銭で琉球糖は二九円三〇銭となり、黒糖は白糖に比べて特別に安いわけであり、その点から見て勿論税制が撤廃すると貿易庁の輸入量や需要量が減って闇価が下ることになると考えられるが、大幅に下るかどうかは考え問題である。尚琉球糖と香港糖とは運賃にして殆ど変りはないが、只香港糖は包装、品質等のためにどんどん売れることになり、琉球糖は包装、品質等が不完全のために取引がむずかしくなって居ります。要するに取引価は問題でなく品質、包装、信用等の問題である。
 商取引の面では黒糖としては改善する道は多いが、打開すべき点は速に打開することが大切である。繰返して申し上げますが、問題は品質、包装、信用を獲得することに努めれば将来の見通しはつくものと思う。
 要するに根本理念は適当なる価格と市場の獲得にあると思います。琉球オンリーが解かれるという貿易庁の情報で私達は十月から十二月の期間に於ける弗の割当もされて居り品質、包装、斤量等に信用をなすためしっかりした契約のもとに砂糖を出すことが急務だと思います。その為には先づ第一に製糖技術に対する改良であります。現在は無統制なことをやって早期製糖をやっている現状でありますが、この点等も大いに考慮して技術の向上を図り検査を徹底的に行い品質、包装、斤量等に充分注意して行くことであります。
 次には琉球の黒糖が外国の砂糖と匹敵するよう保護政策を御願いしなければならないということが必要だと思います。黒糖に対してのみ琉球オンリーは経済状態からして無理ではあるが、この点持続して行くそのために一応は資料を提出して続けて保護政策を加える面に陳情した方がよいと思います。
 次に当分琉球糖には関税がないことが糖価の太刀打ちと釣合いがありますので、その点も日本に御願いする。尚十月、十二月の弗の割当てがないが、黒糖を出す条件として弗の割当てを技巧(ママ)するように日本に陳情する。そして貿易庁とも手を取って行きたいと思います。結論的に申し上げると、どこまでも日本の圏内に入り内国扱いをなすことが望ましい。勿論信託統治下において貿易圏内に置くことを最後的に考えるが、更に進めると日本に復活させるということが隘路がとかれると思います。
 以上簡単に申し上げます。
○副知事(東風平惠令君) 今の問題に関連するので申し上げますが、日本の糖業専門家の中村氏からのお話ですが貿易がスムースに出来るには、郡の生産物の主要問題として取り上げ琉球経済を日本経済に入れて貰うならばもっともっと貿易が開いて行くだらうとのことであります。
 皆様と共に力強く要望したいと思い答弁に代えます。
○知事(西原雅一君) 糖業の生産方面について一言申し上げます。私が申し上げたいのは、議員各位と群島民の指導階級の方々が生産向上についてもっと協力し、指導援助して忌憚ない御意見を言ってもらい、糖業が高まって行くよう希望申し上げます。分密糖工場の設置でありますが、御承知の通り黒糖生産については現在矛盾がある。
 我々が黒糖一点張りで生産する場合には一反八千斤から二、三万斤が出来、黒糖を製造するのは不適当である。分密糖を作ると一反当りから一万斤から二万斤が出来ることになる。
  (嵩原惠典君出席午前十一時二分)
 それは黒糖ばかり製造するのと一万斤のきびを作るより多く収穫するためにはどうしても分密糖工場の一つ位はなくてはならないと思う。勿論工場を作る方法としては農民の資本の搾取的なことは不賛成であるが将来糖業の発展のために政府だけに委すことなく、一般輿論として合理的にして民衆の福祉の行くよう御考えが必要である。尚それについては単に郡民の声として主張するだけでなく政府を援助して行くよう、これは質問外だが希望致します。
◎議長(玉城玄教君) 議案第八十一号については質疑応答はこれ位にして討論質問を省き確定議に致し度いと思いますがどうですか。
 (「賛成」の声あり)
 議案第八十二号についても本件も異議がないようだが決議してよいですか。
 (「賛成」の声あり)
○知事(西原雅一君) 第八十二号議案は修正になった方がよいではないですか。
◎議長(玉城玄教君) 修正になったもので決議する。
 八十三号議案も昨日多少審議致しましたがこれでよろしいですか。
 (「異議なし」の声あり)
 八十四号議案は委員会にも取計いましたがあれでよいですか。
 (「異議なし」の声あり)
 八十五号議案の歳入歳出追加更正予算については別に御質問はありませんか。
 (「異議なし」の声あり)
 諮問案第一号については色々と委員も上げてありますし、その運営等についてはそのまま認めてよろしいですか。
 (「賛成」の声あり)
 それではこれを以て第七回議会は閉会します。皆様御苦労様でした。
○知事(西原雅一君) 慎重に御審議下さいまして有難う御座いました。
 閉議(午前十一時十八分)

 一九五一年九月二十七日
宮古群島議会議長 玉城 玄教(印)
    一番議員 平良 金一(印)
    七番議員 池城 朝清サイン
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