- 組織名
- 宮古群島議会
- 開催日
- 1951年05月20日
(昭和26年)
- 会議名
- 第4回宮古群島議会(定例会)[3] 合同研究会
- 議事録
- 合同研究
一九五一年五月二十日
開会(午前十一時三分)
◎議長(玉城玄教君) これから合同研究を開きます。先づ詮議に移る前に何れも予算に関係するもので教員優遇について、浦内、上原分校の補助についての陳情書、嘆願書が出て居りますので委員会に付託することに致します。何れも教育に関するものですから委員長の福嶺さんに御願い致します。
◎福嶺紀仁君 只今から委員会を開いて詮議致し度いと思います。では提出された嘆願書、陳情書を朗読して下さい。
(書記長伊川長壯君朗読す。)
◎福嶺紀仁君 今の教育代表からの陳情書を見ますと教育組織が弱体化しているとのことですが、原因は養成機関にあって、待遇が沖縄等に比べ冷遇され、沖縄に転出或は民政府入り、会社入り、沖縄行き等になっているとのことですが、これは復興上実に由々しき問題である。どうぞ慎重に御審議下さいますよう御願い致します。
◎議長(玉城玄教君) 他の会社等との比較は較べることはできないが、群島政府職員の事務官と学校職員との比較はどうなっているのか、充分検討する必要があると思います。
◎砂川玄仁君 予算関係とか、陳情書とかのものは当局としてはあらゆる方面に財源を求めて追加議案としてやるべきはずだが、当局には来ているのかどうか。
○知事(西原雅一君) 来ています。
○砂川玄仁君 若し来ているとすれば、当局としては予算編成前に議会にも出してもらうようにやるべきである。
(「賛成」の声あり)
○副知事(東風平惠令君) 昨日来ましたので研究の余地がありませんでした。教育者の代表を呼出して、その検討を加えて行かねばならないと思います。
○財政部長(島田文雄君) 財政の均衡を考えねばならないと思います。
○砂川玄仁君 予算編成には技術者も入っているのかどうか充分に研究を要します。
◎福里芳夫君 予算の編成上、財政の堅実化を図る意味で財源をかくすことはいけないと思います。或る人の話では、今度の議会に於ける物産検査所の予算に二万円計上してあるが、一般予算書との関係で隠された財源が四万円もあると云う事も聞いている。果してかくされた財源があるのかないのか。
○財政部長(島田文雄君) 一般予算編成上、編成した責任者から見るとぎりぎり一ぱいの予算であります。物産検査所の予算でありますが、かくされた財源があるという訳でもありません。
○福嶺紀仁君 当局の方にも陳情書が来ているようですから民政府の平均給より少ないとすればどちらかを上げるかどうかして両方とも均衡を保つべきである。
○渡久山知照君 両方を研究して行かねばならない。
(「賛成」の声あり)
○福嶺紀仁君 委員会をもうけて検討し、当局としても充分調べてその真相を報告し、後日研究するようにしませう。
◎下地敏之君 現在の学校職員の現給総額はいくらになって居りますか。
○出納長(喜納朝祥君) 学校の現員現給は年八、三八九、四八〇円です。二割増俸したら一〇、〇六七、三七六円です。
◎福嶺紀仁君 西表の嘆願書について御諮り致します。
◎議長(玉城玄教君) 西表には殆どが採炭者が多い、そして家を作るにしても竹富町はいろいろのことについて一銭も出して居ないので自分等で木を切って茅を取って作って居る現状であります。
◎下地敏之君 我々は西表分校は八重山の学校と考えずに宮古の学校の延長だと考えるべきである。
◎議長(玉城玄教君) 当地では先生方の給料は採炭者の給料をもらって支払っているとの事です。今度議員の方々も行って見られたらよく解ると思われます。又将来、そちらは貿易港になるはずである。浦内側から石炭は積込みできるし、平地がないため、野田らの耕地が開放されたらこちらからも相当行くはずであると思われます。
○砂川玄仁君 雨天の日などは地理的に困っている現状です。移民をすればあそこに行くでせうから充分に審議しなければならないと思われます。
◎福嶺紀仁君 宮古の自立経済上移民も重大な問題でありますからこの問題は採択して今後の予算とにらみ合わせ、予算化するか、本議会でやるかを決めてもらって委員会としても研究することにします。尚むこうの部落会長の與儀さんとも話し合うことに致します。
(「賛成」の声あり)
○知事(西原雅一君) 集農の問題でどこがやるべきかということですが、群島政府としては側面的に援助することしか出来ない、大体金もないし、どこがやってもよいと考えられます。或は銀行から金を借りてやるか、労働寄附でもやるとかの方法をしてやったらと思います。
次はパサマはどこが保管するかということですが、勿論群島政府が保管する考えである。その保管料の徴収については、池間、佐良浜からは取らない考えであったが、アメリカは皆から取れ、そしてとった金は保管して桟橋の修繕費等に使用しなさいとの事です。尚参議問題ですが、前の諮詢員に基づき、その手続は月曜日にする考えである。
○副知事(東風平惠令君) 集農の市の引継問題ですが、集農は市の所有地でありますから四月一日から早く移管してくれということです。それで政府としては今までやって来たいきさつもありますので、市の計画書を出してくれと話してあります。尚第一農場も引続き経営させ、器具その他も無償寄附し、職員は全部市に引続かせてもらいたいとのことです。
○下地敏之君 これは嘆願書と同様なものでないですか。
○副知事(東風平惠令君) それではそうすることにして委員会の方に出して充分検討することに致します。尚市の耕作地についてですが、耕作組合を返しても差支ないようです。
(大城集農長市の耕作地について図面を以て説明をなす。)
次に商工会議所設置について問題が出て居りますが、宮古としては一万円寄附することに致したいと思います。
○議長(玉城玄教君) 休会して午後から致します。(午後零時二十五分)
◎議長(玉城玄教君) 始めませう。(午後三時二十一分)
議案第五十九号の歳入歳出予算から御願い致します。
○財政部長(島田文雄君) 臨時検査を四〇日と見て居ります。
◎議長(玉城玄教君) 公安委員の事務所はどこに作りますか。
○財政部長(島田文雄君) 警察署内で作ります。
◎下地敏之君 ダンプカーの購入はどうなっていますか。
○副知事(東風平惠令君) ずっと前に購入してあるのです。政府から金を支払われる事になっている。
◎砂川玄仁君 寄附金とは何ですか。
○副知事(東風平惠令君) 島田知事の記念碑代であります。
◎下地敏之君 その中に西表の寄附金も計上したらどうですか。
○議長(玉城玄教君) どうですか皆さん。
(「賛成」の声あり)
西表の方は寄附金としてでなく適当な名前にしてやったらどうですか。
○砂川玄仁君 当局で考慮して欲しい。
○下地敏之君 経済部費の俸給及給料はどうなっていますか。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 農水関係は助成金がないというので今迄の農林省直轄の十一名の補助給料を組んであるのです。開拓課の職員の方は四月から六月までの一期分は農林省側から来るようになっているのでその分は省いてあるが後はどうなるかはっきり解りません。現在開拓課の職員は事務官二名技官三名で計五名となって居ります。
◎議長(玉城玄教君) 第九款の文教部について説明して下さい。
○文教部長(垣花惠昌君) 二人の増になって居りますのは、社会課の砂川惠保氏が西辺に行きまして、社会教育主事と課長の二人の増です。尚予算は当初予算には視学は二人とあったが今度は一人となって居ります。
○嵩原惠典君 当初の予算にはなかったでせう。
○財政部長(島田文雄君) 二人はのけて居ります。
◎議長(玉城玄教君) 第十三款の図書館費は一人増はどうなっていますか。
○副知事(東風平惠令君) 現在経済部の平良惠仁君が図書館経営方法について東京に行って居りますので、予算に組んであります。それに対する後任は補充しないつもりです。
◎議長(玉城玄教君) 農業指導研究所をくわしく説明して下さい。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 最初二二六、一〇〇円であったが、それでは苗圃として運営が出来ないので人員を強化して収入をあげること及び農林省から農事改良に切換えて委託試験をするという意味で委託資金として予算を出来るだけ増した訳です。
◎議長(玉城玄教君) それで全面積使って指導するということですね。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 普通の農家経営をしたいと考えて居ります。そして成るべく能率上るように経営し、そして面積も広げてやる考えです。
◎議長(玉城玄教君) 今迄の農事試験費はどの位あったか御聞きしたい。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 六百万円の割当と思って居ります。
◎議長(玉城玄教君) 全面積出来るかどうですかね。少なくともそれだけの土地ならば十五名位から二十名位は居らんと出来ないでせう。若しそうであるなら今までの式を改める必要があると思います。
○知事(西原雅一君) 一坪も無駄にならない方法をとろうと思います。
◎渡久山知照君 半分は生産に向け砂糖きびを作ってどんどんだせば経費はとれると思います。
◎議長(玉城玄教君) 何町歩ありますか。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 六町歩あります。
◎福里芳夫君 三町歩植えたとすれば三〇万円は利益があるでせうね。
◎砂川玄仁君 とに角これだけの予算では出来るか考慮して欲しいです。
◎議長(玉城玄教君) 荒廃した土地の処分方法はどうするつもりですか。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 出来るだけやって若し出来なければ小作にでもさせてもよいと考える。
◎議長(玉城玄教君) 農林高校を農業指導研究所に移転させるという案に対しどう思いますか。
○文教部長(垣花惠昌君) 現在の農校では水は不便であり、悪くもあるので、非常に経営に困難を来たして居るのです。又父兄会としてもその移転問題については持ち出す考えだそうです。
◎議長(玉城玄教君) 移転した方がよいと思いますね。
◎嵩原惠典君 現在の指導所がやっているのを見ても、却って生徒の実力を補充する意味で大変よいと思う。
○知事(西原雅一君) 決めるなら農校の校舎を作らない前に決めたがよい。
◎議長(玉城玄教君) これだけ予算を見ては、六町歩は耕作不能と思うからどうかと考えます。もっと試験場としてはその面積等についても考えねばならないと思います。
◎砂川玄仁君 私が試験場に入って見ていつも感ずることだが、建物が非常に悪いが、財産管理課に話して修理することは出来ないものか。
○副知事(東風平惠令君) 今まで外国財産管理課が預っている金は全部製糖会社から受けた収入であって、軍政府に皆納めて居る。
◎砂川玄仁君 飛行場の小作料よりその方面に利用し修理したらどういうもんですか。それについて何か民政官府と折衝しましたか。
○副知事(東風平惠令君) 折衝しましたがほっておけとの話でした。出来れば製糖会社からの収入で修理しようと思って居ります。
◎議長(玉城玄教君) 修理したら何年でも持てる。今度民政長官が代ってからは折衝した事があるか。
○副知事(東風平惠令君) 現在になってからはありません。
◎議長(玉城玄教君) やって御覧なさい。
◎砂川玄仁君 次の議会までこの問題は研究を要します。
◎福嶺紀仁君 工務部について大島、沖縄は宮古と比べて大変熱意のある工事に見て居ります。例えば建物だが、向うのは堅固であるがこちらは貧弱である。その点各群島の校舎復旧予算は比較した事はないのですが、沖縄本島と比較して資材の隘路でもあるでせうか。今度十二分に研究して下さい。
◎議長(玉城玄教君) 次に歳入に行きませう。これは五万円の増になった筈だがどれを増やしますか。
◎下地敏之君 繰越を五万円と見て勘案して行けばよいでせう。
◎議長(玉城玄教君) それでは計が九〇二、七四四、-となりますね。それは歳入歳出はよいわけですね。次の項の諮問案第一号について。
◎福里芳夫君 この条例が通過すると物品税はなくなるですね。
○財政部長(島田文雄君) そうです。
◎下地敏之君 これが切換えられると月どの位増えますか。
○税務署長(垣花惠政君) 月五、六万円程増します。
◎渡久山知照君 商品として出ているものにも課税するわけですね。例えば鰹節は店に出ているものにも課税するのですか。
○税務署長(垣花惠政君) それはすでに課税されて居ります。
◎平良金一君 議案第五十三号の第十一条、第十二条を次の様に訂正したいと思います。第十一条「届出なければならない。」-「税務署長の許可を受けなければならない。」、第十二条「届出をしようと」-「許可を受けようと」。
○税務署長(垣花惠政君) 許可制の場合は販売の数を制限することが出来て、酒の品質を向上させるが、届出制になると管理が不行届な所があって、監督が出来ないと思います。
◎渡久山知照君 許可制にして見ませう。
○議長(玉城玄教君) それではその訂正はその様にして下さい。
◎福里芳夫君 議案第五十七号の第五条の条文改正はどうですか。
○副知事(東風平惠令君) この条文はなくてもよいでせう。
◎下地敏之君 第三条の時間外勤務手当を五円に上げたらどうですか。
(「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) 議案第四十八号について御諮り致します。
◎福里芳夫君 第三条の「満一年」を「三年」にして下さい。他の条文は賛成致します。
◎議長(玉城玄教君) この問題は少し考慮しなければなりませんので委員会に付託して研究を要します。理由として過去の一年分の移動を階級別に平均して研究しなければなりませんので次の定例会に提出することに致しませう。
次に所得税ですが、一割か一割五分にするとその結果はどうなりますか。
○財政部長(島田文雄君) 先づ一年間の全所得税受給高は一、三九四、七二九・九〇銭(ママ)、一割減にして、一、八二四、七一九・三〇銭(約二〇万の不足)、一割五分減にして一、五六六、一四三・三〇銭(約五〇万の不足)。
◎下地敏之君 議案第六十一号の第七条の項で次のように訂正「知事又は知事の指定するものの許可を受けなければならない」、それから第二十五条の罰則は重いようですが。
○厚生部長(宮國泰誠君) 旧法に三年以下の懲役又は五千円以下の罰金とありますので、こちらでは、この位が適当だと思いまして作りました。それではこれを次の様に訂正して下さい。「六ヶ月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。」
◎下地敏之君 議案第六十一号の各条項の緬羊、山羊の屠殺は総て削除したらどうですか。
○厚生部長(宮國泰誠君) そうします。
◎福嶺紀仁君 各条文並議案の「指定する医師の」云々は各条文を訂正して単に「医師の」とする。
○副知事(東風平惠令君) 議案第六十号の第十条の第一項を削除することにしてもらう。
○厚生部長(宮國泰誠君) 議案第六十二号の第十八条を次のように訂正する、「一千円以下の罰金又は拘留に処する。」
議案第六十三号の第十六条を次のように訂正する、「一万円以下の罰金又は拘留に処する。」、同号の第十七条の「拘留」を「罰金又は拘留」に訂正。
議案第六十五号の第九条を次のように加除訂正する、「一千円以下の罰金又は拘留に処する。」議案第六十六号の第十条の拘留を下にもって来る。
議案第六十七号の第五条を「受けなければならない」に訂正、第十六条の「認可」を「許可」に訂正、第十八条の「許可」を「認可」に訂正、第二十五条の「科料に処する」を削除して「一千円以下の罰金に処する」に訂正する。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 議案第六十九号の第二条の次に「知事が必要と認むるときは出張所を設けることができる。」と条文を挿入して第三条とし、第三条は第四条に訂正する。
○副知事(東風平惠令君) 議案第七十号の「九六四人」を「九六五人」に訂正並に「八六四人」を「八六五人」に訂正して下さい。
◎議長(玉城玄教君) それでは時間となりましたから明日十時からこちらに御集りして合同研究を実施致します。(午後六時七分)
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