戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年02月05日 
(昭和26年)
会議名
第2回宮古群島議会(臨時会)
議事録
第二回宮古群島議会(臨時会)会議録

第二回宮古群島臨時議会会議録
一九五一年二月五日(月曜日)午前十時左記議案に付宮古群島臨時議会を宮古群島政府に招集す。
    記
議案第十一号 宮古群島公安委員選任に付議会の同意を得るについて
    理 由
 宮古群島公安委員に左記の者を選任したいので群島組織法第百二十条により議会の同意を求める。
  一九五一年二月五日提出
   宮古群島知事 西原 雅一
 一 住所 平良市字西里三一三番地
 一 氏名    垣花 實令
 一 住所 平良市字西里五五四番地
 一 氏名    下地 惠位
 一 住所 平良市字西里五八四番地
 一 氏名    川平 昌晃
議案第十二号 群島財産貸付について
    理 由
 左記の者より倉庫及事務所建設の目的を以て別紙表示の群島財産(桟橋埋立地)貸付願出に対し群島組織法第百三十四条の規定により議会の議決を求める。
  一九五一年二月五日提出
   宮古群島知事 西原 雅一
     記
 宮古農業連合会会長
         與儀 喜文
 合名会社太洋商事代表者
         根間 敏雄
 宮古島家畜商組合長
         砂川 玄仁
  追加議案
議案第十三号 宮古群島警察本部長任用条例制定について
    理 由
 群島組織法第百二十六条により宮古群島警察本部長任用に関する条例を左記の通り制定致したいので提案する。
  一九五一年二月五日提出
   宮古群島知事 西原 雅一
     記
 宮古群島警察本部長任用条例宮古群島警察本部長は警視の階級にある警察官の中から宮古群島公安委員会(以下委員会という)がこれを任命する
 前項に該当する者がないときは委員会は警部に任命されてから一年以上経過した警察官の中からこれを任命することができる
   附 則
 この条例は一九五一年二月五日からこれを施行する

一九五一年二月五日(月曜日)
午前十時五十分開議
◎議長(玉城玄教君) 只今から第二回臨時議会を開会致します。
  (議長書記をして出欠席議員並参与の報告を為さしめる。)
   出席者は次の通り
    議 長  玉城 玄教君
    副議長  嵩原 惠典君
 議員
  平良 金一君 福里 芳夫君
  渡久山知照君 下地 敏之君
  福嶺 紀仁君 砂川 玄仁君
  池城 朝清君
 参与
    副知事  東風平惠令君
   厚生部長  宮國 泰誠君
   法務部長  久貝 良順君
   警察部長  砂川 武俊君
◎議長(玉城玄教君) 議事録の署名人二人を定めなければなりませんが、どういう方法でするかをお諮り致します。
○九番(砂川玄仁君) 例によって議長指名によったがよいと思います。
◎議長(玉城玄教君) 只今九番議員から議長指名によったがよいとの意見がありますが、御異議はありませんか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり。)
◎議長(玉城玄教君) 御異議はないようですからこちらで指名致します。
 四番議員渡久山知照君と五番議員下地敏之君にお願い致します。
○議長(玉城玄教君) 只今から知事の挨拶があります。
◎副知事(東風平惠令君) 知事が来年度の復旧予算、其の他の重要問題について折衝を帯びて軍政官と一緒に沖縄へ出張中でありますので、私が代って御挨拶申し上げます。
 警察行政を取扱う公安委員の選出に就いては最も重要でありますから、其の人選に就いては慎重に御審議下さいますよう御願い致します。
 この度下地署長が沖縄転出に伴い、群島組織法に基づいて後任を選出し、警察の民主化を図り警察の運営をスムースに運営せしめると言う意味であります。
 こちらにあげた三人の方々は何れも思考、施政に立派な運営に当る方々であらうと思い茲に提案した次第であります。其れから財産貸付問題については、復興資金を借り受けるのに土地の貸付が必要である関係上、緊急を要するものであるという立場からして、以上二つの議案を提出致しました。本日の議会には全員御出席下さって有難う御座いました。
 何卒慎重に御審議下さいましてこの案を通過せしめるように御願い致します。
○議長(玉城玄教君) 書記をして議案を配付せしむ。
 議案朗読せしめ説明に代える。
 追加議案が出て居ります。
◎議長(玉城玄教君) 議案第十一号、第十二号、第十三号を一括上程致します。
◎議長(玉城玄教君) 議事日程についてお諮り致しますが、そうむつかしい問題でないから本日中に議了致し度いと思いますがどうでせうか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり。)
○議長(玉城玄教君) 議案第十一号について御質問がありましたら御願い致します。
◎七番(池城朝清君) 此の度新設される公安委員については郡民ひとしく注意している所だが、当局としてもその人選については慎重を期していると思うが、三名が如何なる見識、学歴を持っているかを説明し、又人選に対する方針を説明して戴き度いと思います。
○番外一番(副知事) 只今の御質問に対し御答え致します。公安委員の人選については相当慎重に人選をしました。先づ垣花實令さんは前に公衆衛生部長であり、現在平良市選挙管理委員長であり、前は教育界にあって尽専(ママ)なされ、又台湾に於ては学校長を経て庄長を御務めになり、行政方面に活躍せられた立派な人物であります。下地惠位さんに於かれては教育界におられた方で図書館長を務められ、公益質屋主事、平良市の収入役、タイムス社長、議会議員、前の官房長の経歴を持って居られる方であります。川平さんは、永いこと医業に専念されまして、医学博士の称号を持って医学に尽専(ママ)なされ、其の他宮古の仮厚生協会総裁、全琉臨時厚生協会副会長、琉球臨時協会宮古支所長に推された方であります。三名共に立派な人物であり、群島組織法に示された有資格者であり、此の人ならば初めての警察の民主化の重要な任にあたるものと思いまして推薦致した次第であります。以上を持ちまして説明に代えます。
○議長(玉城玄教君) 別にありませんか。
 それではないようですから議案第十二号について御質問を仰ぎ度いと思います。
◎五番(下地敏之君) 第一回の議会でも当局に念を押して置きましたがこの桟橋埋立地の所有権は何処にあるかということが判然して議案を審議する前提になると思う。恐らく如何なる復興事業でも当時の工事で工費何位、桟橋修繕費幾位、この校舎は坪数幾位で工費幾位と云うように具体的な予算を決められるものである。桟橋埋立地についても具体的な予算書が提出されて軍政府も之に付いて代金を支払った事と思う。それに付いて当時の書類がある筈である。それを見ないと私は断定出来ないものである。又埋立を主張した者が自分の資産で以て埋立てたのか又は何人かの名義で埋立てたかどうかを審議した筈である。この二つの根拠を説明しない限りこれは未確定だと思う。
 何とか其れに対する認可書類を探して事実上の答弁をして欲しい。
○番外一番(副知事) これについて前の復興費の取扱い方を説明致しましたら納得出来ることと思います。前に宮古が一ヶ年で為すべき工事を知事、財政部長、其の他関係者が沖縄の軍政府に行って一年間の工事の認可指令を受け、其れから工事を施工するようにとの事で工事は知事の権限で受けていました。現在の何年何月何日に着手して設計書に基づいて申請書提出していました。前は全般的認可を受けて始めて坪数の認可をされたので、工事をするから認可せよと云う指令を受けて居りました。
 こればかりを認可しようと云う指令はありません。工事の施工者は、群島政府にあるようです。公有水面埋立法第二十二条第二十四条に基づいて所有権はその埋立の免許を受けた者が取得するとある。こういう意味で議案を提出したのです。又軍の係官に対し御願いを致しました所、其れによる関係法令に基づいて所有権の決定をせよと申して居りますので、埋立地は群島政府にあると解釈して居ります。
○議長(玉城玄教君) 別に質問はありませんか。
◎五番(下地敏之君) 貸(借カ)受人の太洋商事は何処に本店があるかどうか、又登記してあるかどうか、いかがわしい点があると思う。実際の所この太洋商事は運輸業をやっている会社でないと思います。根間敏雄が実際の商行為をやっているという建前から会社は合名会社として宮古に登記されてある。
○番外一番(副知事) 実際に於て運輸業をやって居ります。軍政府もこの商行為をして居る会社であると云う事は知って居ります。群(ママ)の発展上是非ボタンは必要なものであるから経営するようギアラン係官からも指示を受けて居ります。
○議長(玉城玄教君) もっとありませんか、ないようですから第十三号について御質問がありましたら御伺い致します。
○五番(下地敏之君) 質問なし進行進行。
◎議長(玉城玄教君) ないようですから議案第十一号について第二読会を開きます。
◎九番(砂川玄仁君) 議案第十一号は七番議員の質間により学識経歴等推薦により判然しました。如何に当局が人選に対し慎重に審議したかが伺はれる。其れで一括して二、三読会は省略して確定議に致し度いと思います。
○議長(玉城玄教君) 読会省略確定議に致し度いとの意見がありますがどんなものでせうか。
◎五番(下地敏之君) 議案第十一号に対して私は九番の動議に対し反対致します。公安委員は警察運営の職責を持ち警察の指揮監督をする重要な機関であるから、法制的な知識もないものが公正なる、しかも正確な警察運営が出来ようか。又此等の人々は全部自由党から出ているものである。公安委員の制度は日本の地方自治法の立案者、同時に群島組織法の立案者であるテイルトン氏の委員選任の方針であるところの委員は全員が同一政党員であってはならず、中少なくとも一人は他の政党でなければならない。故に同一政党からの人物では警察の公平公安の維持は決して公正に行われるとは言えないとの理由によって反対する。第十二号議案については知事の説明もあり、沖縄ではこの工事に対しては、一千万円或は二千万円を何々に使ったと云う書類がある。宮古では其の書類がないとおっしゃるが、私は平良市桟橋を復旧すると云う事で予算を貰って進めたと思う。或る話によると港を復旧すると予算を貰って他の方に使用して軍政府から叱られたと云う話も聞いて居る。所有権は公有水面埋立法により決定すべきでない。平良市に所有権がある。
 当時の書類がないとおっしゃるが、これは何れは法的関係が出てくると思う。これに対しては賛成は致しかねるものである。
○議長(玉城玄教君) 別に意見は御座いませんか。
◎三番(嵩原惠典君) 議案第十一号について、七番の質問に対し知事(副知事カ)の答弁、九番の意見に対し賛成する。
◎八番(福嶺紀仁君) 知事(副知事カ)から公安委員の人選に対しお答がありましたが、九番の意見に対し当局の答弁も成程である。去る議会に於ける監査委員並現在公安委員を見ても三氏の経歴についてはとやかく言わないが、中に過去において猛烈な政治運動をした人もおり、同意しかねる。五番議員の意見に対し同意見である。
◎議長(玉城玄教君) 議案第十一号に対し賛不賛がありますので当然採決をしなければならない。第十一号議案に対し不賛成の方は御起立を御願い致します。
  (不賛成者 二人)
◎議長(玉城玄教君) 議案第十一号に賛成の方は御起立を御願い致します。
  (賛成者 六人)
◎議長(玉城玄教君) 多数と認めます。議案第十一号は確定議に致します。
 第十二号議案についても反対の意見が一人あるようですからこれも採決をとり度いと思います。
◎二番(福里芳夫君) 太洋商事株式会社社長何々は間違っていますから、合名会社太洋商事代表者誰々と訂正して貰い度い。
○番外一番(副知事) それでは合名会社太洋商事代表者根間敏雄に訂正を御願い致します。
◎七番(池城朝清君) 五番の意見も成程と思われます。宮古の産業発展を一日も早くする為に早急に実施したがよいと思います。それで所有権は別として、貸付に関し賛成致します。
○議長(玉城玄教君) 所有権は別として貸付についてはどうですか。
◎五番(下地敏之君) 所有権は別として貸付については七番の意見に異存ありませんが、合名会社太洋商事は内容が貧弱で好みません。現在事業はしていてもこれに対してはいかがわしいと思います。
○番外一番(副知事) 合名会社太洋商事は内容が貧弱であるとおっしゃいましたが、現在三隻の船を以て輸送業、貝殻蒐集に努力している事は事実である。
 これをなさんとする工場の機械も百台到着して居りますので内容が貧弱であるとは考えて居りません。軍政府からも援助して居ります。
◎議長(玉城玄教君) 貸付に対しては唯今の知事(副知事カ)の御説明によっても納得なされ異議がないようですから、議案第十二号は読会省略確定議に致します。
 議案第十三号についても全員賛成のようですから、読会省略確定議に致します。
 施行の日附は、一九五一年二月五日と致します。
◎議長(玉城玄教君) これで本日の議会は閉会致します。
◎番外一番(副知事)  これで民主警察も出来ると思います。誠に有難う御座います。(午前十一時三十分閉議)

 右会議の顛末を記載し其の相違なき事を証明する為茲に署名する。
一九五一年二月五日
  宮古群島議会議長
         玉城 玄教サイン
一九五一年二月 日
  宮古群島議会議員
         渡久山知照サイン
         下地 敏之サイン
上へ戻る