- 組織名
- 宮古群島議会
- 開催日
- 1950年12月22日
(昭和25年)
- 会議名
- 第1回宮古群島議会(臨時会)[3]
- 議事録
- 一九五〇年十二月二十二日(金)
◎議長(玉城玄教君) 只今から開会致します。(午後三時七分)
(書記をして出欠議員の報告をなさしむ)
出席議員
議長 玉城 玄教
一番 平良 金一
二番 福里 芳夫
三番 嵩原 惠典
四番 渡久山知照
五番 下地 敏之
七番 池城 朝清
八番 福嶺 紀仁
九番 砂川 玄仁
欠席議員なし
◎議長(玉城玄教君) 議案を上程する前に群島組織法に基づいて議会常任委員会の設置についてお諮り致し度いと思います。
議員は、(一) 税務財政、(二) 経済、(三) 工務、(四) 文教厚生、(五) 法務、(六) 総務(各廨庁を含む。)と云うようにして特にやかましい食糧対策に於ては特別委員会を設置したいと思いますがどうでせうか。
◎三番(嵩原惠典君) 群島組織法第六十条、六十一条、六十二条によって常任委員会の設置に際しては賛成致します。法第六十三条によって特別委員会の設置に対しても賛成致します。
○議長(玉城玄教君) 如何で御座いますか。
◎五番(下地敏之君) 私は昨日其の事で質問したのは、休会中でも審議して当局が之に賛同して之がよいと云うことに就いて賛成致します。
◎議長(玉城玄教君) 日程を御知らせ致します。本日は追加議案第八号、第九号、第十号についてお諮り致します。
(書記をして朗読せしむ)
先づ最初に議案第八号の御説明を御願い致します。
◎番外第九番(下地寛忠君) 闘鶏場が出来てから色々な弊害があります。先づ其の二、三の例を申し上げますと、或る高校生が其れに熱中して学業を顧みないとか、又は城辺町では或る農家が多額の金を持って三日間も帰宅しないで闘鶏に行っているとか、下地町では財産を処分しようとする処まで行き家族が発見し中止したとか、最近又学校の生徒が闘鶏に夢中になり他人の鶏を盗んだとかがあります。
其の外色々ありますが唯単なる二、三の例であって郡民の要望により本日の議会の問題として取り上げたわけです。早急に其の措置をとるべく読み上げて説明にかえさせて戴きます。
其処で問題となるのは罰則の件であります。法定刑を如何に考えるかと云う点でありまして何卒皆様方の充分なる御審議を御願い致します。
◎番外第六番(眞喜屋惠義君) 議案第九号について申し上げます。本日午前中米人との話合いにもありました通り、甘藷の萎縮病が急速に蔓延している状態にありますので、皆様方の御審議の上食糧事情の対策を御願い致します。
以下朗読して説明に替えます。
朗読します。
序に申し上げますが、甘藷のバイラス病が現在群島内で何位蔓延して居るかを申し上げます。
平良市-四五%、城辺町-四五%、下地町-三〇%、上野村-三〇%、伊良部村-八〇%、多良間村-八〇%、これは十一月上旬現在の調査であります。更に実情を賢察なさって御審議をお願い致します。
○議長(玉城玄教君) 議案第十号について何かありませんか。
◎番外第一番(総務部長) これに書いてある通りであります。
◎五番(下地敏之君) 二、三お伺い致します。
一つ、第一条の本則に於て闘鶏とはとありますが「シヤム」と「シヤム」との喧嘩であるか、又は「シヤム」と島鶏とか、其の点が判然しないように考えます。寧ろ私の見方では軍鶏と軍鶏、例の沖縄でよく云われる「タウチー」を指して賭事とは見えないがこちらの軍鶏と軍鶏との勝負の所かどうも判然しないがどう考えるか御伺いしたい。軍鶏と島鶏との喧嘩は許さないのかどうか。
もう一つは、第四条の第一項の「鶏券を売り賭事行為を為し、又は賭事行為をさせてはならない」とあるが、現在五十円宛出してやって居る行為は鶏券になるかどうか。
第三番目に、第八条の項ですが、これは八条の三項を除いて第二、三項(条とのカ)とも重複規定でないか、これは第二、三条で判然しているから改めて出す必要はないと思う。
○番外第九番(下地寛忠君) 五番議員さんの質問にお答えします。「シヤム」と「シヤム」の喧嘩は出来るが島鶏と「シヤム」の喧嘩は出来ないとの意味です。
次に第四条の五十円の鶏券を売る時は賭事だから売った場合は賭事としていけないことになるわけです。
三番目に第八条の項ですが、五番議員さんのおっしゃる通り重複していますから削除したいと思います。
○議長(玉城玄教君) それでは第一、二条を残して第八条全部を削除します。
○番外第三番(島田文雄君) 此の規定は税法と関係しますから一言申し上げます。五十円では賭事になるとの事で全面的に廃止すると娯楽税は入場料の五%となっているから其の点を税法として見解を判然して貰い度い。
◎議長(玉城玄教君) 次に議案第八号に関聯した陳情文が来て居りますから朗読させます。
(書記をして陳情文の朗読をなさしむ。笑声あり、陳情文別紙の通り)
○番外第九番(下地寛忠君) それでは第一条の本則の所をなほして下さい。「軍鶏と軍鶏」との次に「島鶏と島鶏と」を入れて下さい。
◎七番(池城朝清君) 闘鶏は宮古、沖縄に始めてでなく大体私の知る所に依りますと各地にあるようです闘鶏の経営すべき条件は券を売るにあると思う。それで鶏券の売り上げとなると現在成立しないことになるから闘鶏の弊害を無くすることにより社会に害のないように経営したらよいと思う。
◎三番(嵩原惠典君) 七番議員のおっしゃったように闘鶏の存続は大きなものであるから闘鶏経営者も成り立つようにするし、又人民も成り立って行くように審議を御願いします。
○五番(下地敏之君) 七番、三番議員のおっしゃったことは一読会に入ってからのことで、もう時間もないから議長はすべからく制止すべきであると思う。
○議長(玉城玄教君) 今は質問であります。何かありませんか。それでは議案第九号について質問して下さい。
◎五番(下地敏之君) 第三条に「本会に左の委員を置く」と書いてあるが、その委員はどなたがどうなるのか、又どんな仕事をするのかについて規定されてないが、便宜上知事の任免となるべきか。
もう一つは、第四条の四項に「各支部管内申小学校長は第一項に示す防除デーに生徒をして出動協力せしむるものとす」と書いてあるが、先づ学校の校長が義務を負うのは良いとして生徒が出動してやるとなると、これは強制的労働となり戦争中の遺物である。大人の世界にこう云うものは持って行くべきであり、日本戦争中の強制義務を負うことになる。子供の出動命令は禁止すべきと思うがどう考えるか。次に第六条の第三項の「その他甘藷萎縮病防除対策を阻害したもの」とあるが、凡そ人を罰するには「どうどう云う場合に罰すると書いた方が良いのであって、こうこう云うものを罰すると規定されねばならない。
それについてどう思いますか。
○番外第六番(眞喜屋惠義君) 五番議員さんにお答えします。
第三条の本会の委員とか委員長、副委員長の腹案はあるか、それは指示された時に規定する考えである。第四条の四項の「各支部管内の云々」は私の考えとしては五番議員さんの考えている点には及ばないのでないか。
ただ食糧事情が緊迫するので全群島にまたがって其の完全を期する為に全郡が協力すると云う意味で書いたものである。第六条は罰則と云う意味で削除して各支部の支部別で設けて実施する考えである。
◎五番(下地敏之君) そうするとこう考えることになりますが、第三条には「知事之を任命する」と云う意味かどうか具体的にして貰い度い。第二に第四条の「防除デー」云々は若い子供達には責任を持たせる意味でなく校長に責任を持たすだけで子供達には責任を持たせてはいけないと云う意味ですね。
○議長(玉城玄教君) 第六条はどうするか、又第二項は削るかどうか。
○五番(下地敏之君) 暫く休会をお願いします。
○議長(玉城玄教君) 休会致します。(午後三時五十五分)
◎議長(玉城玄教君) 開会します。(午後四時)
会議規則第六条により延長します。
○番外第六番(眞喜屋惠義君)其れでは第三条に「知事之を任免する」と入れて下さい。次に第四条の四項は削除します。第六条では「第四条の1、2、3項に違反した者は」となおして下さい。
○議長(玉城玄教君) 次に議案一、二号については、これは人の問題ですから一括上程することにして審議致します。
○五番(下地敏之君) 議事、事項については、未だ議案十号は終ってないが、どうして第十号だけは省くのですか、第十号は未だ済まない筈ですが。
○議長(玉城玄教君) 未だ済まないわけですね。それでは第一、二議案は取消して第十号の質問に移ります。
◎五番(下地敏之君) 桟橋の埋立地の貸付について一言御尋ね致します。大体あの桟橋を復興した理由については従来の桟橋を復興すると云う意味で埋立てたのか、其れとも又当時民政府のものとして復興事業で埋立てたのか其の当時の具志堅内閣の政策であると思うがその点を判然して当時の書類をして明らかにしたらと思う。もう一つは市の港を復興すると云う意味にあの金を貰ったとすれば法律上の根拠が何処にあるのかを伺い度いと思う。
○番外第一番(総務部長) 当時の仕事に関係してないので後で報告してよいですか。
○五番(下地敏之君) それでは第十号は後廻しにして次に移って戴きたい。
◎議長(玉城玄教君) 第十号議案に対し未だ調査をしなければならないようですから他に移って戴きます。
議案第一、二号について一括上程致します。
◎五番(下地敏之君) 議案第一号については副知事は知事の女房役であって一切を知事の仕事の総ての代理をする。知事と一心同体の立場にあると思いますので、副知事の同意を求めるについては知事の意見も聞かないといけないと思う。代理者として適任者であるかどうか、政治に対する信念を聞かせて貰い度いと思うが、知事は今席にいないし、これは又の機会に説明するであらう。今一つは、すでに知事の挨拶にもあったと思うが、復興工事が第三、四期は中止されて困って居る。何とか軍の資金を借り入れるなりしてとおっしゃったが、私達も之に対しては考えている。何とか我々も共に議会にかけるべきものと考える。
もう一つこの問題は一体何に原因するか、それは軍では、ガリオア、エロア資金は琉球にあてられたが、その金を返さないのでと云う理由であらう。軍では、宮古は五七〇万円の未払とあるが、その未払金を払えばよいと考える。吾々が支払えば復興工事も出来る。水連、農連関係団体としても責任を持って貰って金の滞りがあるかどうか、今どうのこうのと云うんでなくどうせ具志堅が負はした事だらうが、早く其の借金を早く支払って早く復興するように全力を尽さねばならないが、其の払える準備があるかどうかを伺い度い。次に教育制度ですが、委員会を活用して民主的活動に乗り出す考えらしいがこれにこしたことはない。要するに教育委員会なるものは教育の人事を持つものであると云う教育制度を設ける主旨の内容を伺い度い。
○議長(玉城玄教君) 議案と大部違いますが、知事さんは只今軍政官府にお出でになりました。
○番外第一番(総務部長) 五番議員さんの質問にお答え致します。補給部関係の未払は二二〇、〇〇〇円で、其れに対しまして一、七三二、〇〇〇円の未収入金となって居りますが、必らず本年度中に於てお返しする事が出来ます。
其れから第三、四期の復興工事も今迄中止になって居りましたが、昨日軍政官がお出でになって復興中止は解除になったとの通知がありました。
◎三番(嵩原惠典君) 副知事の問題ですが、自分の見た所、知事が大所高所から見て選任してありますので同意致します。議案第一号に賛成致します。
◎議長(玉城玄教君) 議案第一号は確定議とします。
(「賛成」の声あり)
◎三番(嵩原惠典君) 監査委員として信頼されて居る人であり、知事と意見は同意であります。
○議長(玉城玄教君) 三番議員さんの意見に賛成と云う人がありますが如何ですか。
◎五番(下地敏之君) 三番議員が確定議にし度いと云って居るが私は二読会にすべきでなく、寧ろ必定ではありません。当局は撤回して貰い度い。其の人選が党利党略して居る。物事を監査する時は、公正公平なる人でなければならない。或る政党のみに固められる三名は党によってのみ固められると云う事は許されないと思う。監査委員は党外から出した方がよいと思う。
議員には問題ではない。之以外の人は宮古郡には沢山居る一種の「デモクラシイ」から考えて自分の政策を延ばすと云う事は一切「ファッショ」以外の何物でもないと思う。此の監査委員は承知出来ない。
何故に公安委員の選任をしないか、殊に公安委員は警察に警察部長を選任して民主化を計らねばならないと思う。
監査委員は党利党略があり自由党の方を離れたものとして公平の見地からして之を撤回して公安委員と同時に提案して貰い度い。
◎一番(平良金一君) 只今五番議員さんが云はれた事は之は別にへんてこなものではないと思います。政府の台所を持つ故に之を撤回すれば知事の顔に泥を塗る事になりますから原案の通り議決して貰い度いと思います。
◎八番(福嶺紀仁君) 三番、一番議員は第二号議案の監査委員の中から三名は如何なる角度から見ても適任者である。三名の中で砂川玄仁議員は政治生活も永年の経験者であり、群島議会議員並に学識手腕もあり最適任者と思います。他の二人に対しても優秀と思うが、監査事務の徹底、民主政治の徹底を期する為にはもっと慎重なる人選をして貰い度いと思う。五番議員に賛成。
◎四番(渡久山知照君) 御三人共学識経験を有し色々と他にもあるでせうが、五十歩百歩である本委員は適正と思いまして一番、三番に賛成。
○議長(玉城玄教君) 三人の動議は成立して居りますが異議はありませんか。
○五番(下地敏之君) 異議あり、採決をして下さい。
◎議長(玉城玄教君) 其れでは採決をします。
第二号議案を撤回して貰い度い方は御起立を願います。
第二号議案撤回 五番下地敏之君、八番福嶺紀仁君(午後四時二十九分)
◎議長(玉城玄教君) 多数を以て確定議と致します。(七名)
議案第十号に対し質問はありませんか。
○五番(下地敏之君) 先程当時の復興費の状況、其の他を事実とお答えとして貰って、場合に依っては平良市の物になるかもしれない。其処を研究して置き度い。
○番外第一番(総務部長) 良く研究して置きます。
◎五番(下地敏之君) 議案第八号、議案第九号は、訂正されたものを確定議にして施行月日は一九五〇年十二月二十二日としたいと思いますが如何ですか。
◎議長(玉城玄教君) 修正された箇所を以て確定議に致し度いと思うが如何ですか。
(「賛成」の声あり)
議案第八号、同第九号、同第十号は確定議と致します。
之で閉会致します。(午後四時三十二分)
右会議の顛末を記載し其の相違なき事を証明する為茲に署名する。
一九五〇年十二月二十二日
議長 玉城 玄教サイン
砂川 玄仁サイン
福嶺 紀仁印
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