- 組織名
- 八重山議会
- 開催日
- 1949年07月22日
(昭和24年)
- 会議名
- 1949年7月20日-22日臨時八重山議会[3]
- 議事録
- 七月二十二日
◎議長 開会致します。(午前十一時二十五分)
◎十七番議員 動議があります。本議会提案の諮問案以外に重要な問題に就てお尋ねしたいと思いますが、どんなものでせうか。
◎議長 重要問題に入る前に補給部の件に就てお知らせ致します。補給部の性格に就てでありますが、人事に関する事は知事がやり、会計に関する事は軍政府がやっていました。その関係で軍政府に直結されているのであるか民政府の管轄であるのかはっきりしていませんでしたが、今日それがはっきりとわかりました。即ち補給部は二五%の手数料で経営し、その残金は民政府で使用する事になりました。それで今後は補給部の歳入歳出の予算も民政府でする事になった。一月より六月までに上った五〇〇、〇〇〇円の益金は運転資金として使い度いと思います。一般会計には一〇、〇〇〇円を雑収入の分に入れたいと思います。
○十七番議員 もう少し補給部に対する説明をして下さい。
○議長 人事に関する件は知事であり、会計は軍政府の指揮を得なければならない様にあった。軍政府としてもはっきり此の補給部の性格を示していない関係から残金の処置にも困っていました。それが今回はっきりと決まりました。過去の六〇%が二五%になっただけであります。詳細は此の二-三日以内に書類が到着する筈でありますから後でお知らせ致します。
◎十七番議員 以前の経理部と同じ様でありますか。
○議長 割当の%が違ふだけで其他は全部以前と同じであります。
◎五番議員 五〇〇、〇〇〇円の金はどうするのか。
○議長 補給部の運転資金に廻し度い。
◎十六番議員 未収金もありますか。
○補給部長 あります。与那国町が二九九、六八一円、竹富町が四八〇、七三四円あります。
◎十六番議員 毎月の運転資金はいくらか。
○補給部長 入荷物資によって違ふからはっきり致しません。
◎十七番議員 そうすると重ねてお聴きしますが、職員の俸給、賞与は民政府の一般会計と同じ様になりますか。
○議長 そうすべきであり、そうする事が至当であります。
◎十七番議員 項目を別にせず雑収入として受入れると云ふがどの位入る事が出来るか。
○議長 一〇、〇〇〇円位あります。
○十七番議員 それだけでは何もならない。
○議長 後で追加更正にやる考へであります。当分は費目存置の状態で一〇、〇〇〇円でやって行き度いと思いますから雑収入に一〇、〇〇〇円加えて訂正して下さい。
◎六番議員 貿易庁との関係はどうなるか。
○議長 不明であります。
◎十七番議員 現在の貿易庁は補給部がやっているのか。
○議長 貿易庁支部がやっています。
◎五番議員 貿易庁は軍が直接やっておられるのか。
○補給部長 沖縄では本部があるので、はっきりしています。八重山にも支部は出来ているが先任軍政官と何等連絡がないから未だはっきりしていません。
◎四番議員 昨日の議会に於て議長の御説明にふにおちないのがありますからもう一度質問致します。この前の参事会は委員会の答申書によって諮問になり、其諮問案が本日の議会に変っている訳はどう云ふ事か。
○議長 参事会員を集めて答申書によって研究してもらったのである。その結果参事会員の意見では委員会の答申書通りにするかそれとも別に政府案を作るか、どっちにしても良いだろうとの御意見でありましたので早速部長会議を開いて協議しました。その結果は印刷課に関する限り、現在のまま政府が直接経営するのが良いとの意見の一致を見たのであります。
◎四番議員 委員会の成行を考へて見ると一般代表、政府当局、議員よりの組織になっており、みんなの意見が纏まって出来た諮問案であり、参事会でも諮問したものを部長会議のみで変るのは至当ではないと思う。
○議長 最初は委員会でやり、最後は政府でやるのが至当であると思う。
◎五番議員 諮問案十二号を一問一答でやっていき度いと思う。
◎十七番議員 十二号案を提案されるに際して事業部では委員会の齎らした答申案により本案を提出したと思うが諮問案と答申案とのつながりがない様にあるが如何。
○議長 民政府としては印刷課以外には別に何も異存はないから簡単に書いたのである。
○十七番議員 よくわかりました。
◎五番議員 工務課鉄工部は議案の通り賛成致します。但し如何なる方法で現従業員に優先的に払下するか。
○議長 民政府直接に執行するのでなく、評価委員会により決定し度いと思う。評価委員会の最低評価より以下になる場合は、参事会か議会にかけて最後の決定をし度いと思う。
◎五番議員 私が申上げました点は、今の御話でよくわかりました。幸にして評価価額以上に払下られる場合は直に民政府はそれを断行する。評価価額以下の場合は、どうするか。議会としては最後まで責任をもたなければならないのである。それで最後の決定は参事会の方でやっていき度いと思うが、知事さんの御意見はどうですか。
○知事 その通り参事会でやっていき度いと思う。
○衛生部長 事業部を民営移管する事により健全財政がどの程度よくなるか。民政府でやるのと民でするのと基本的にどの程度差違があるか。基本的理論を聴かして貰い度い。
○財務部長 財源の点から考慮しますと、やはり現在の通りが良くはないかと思ふが民業の勃興と云ふ事から考へて移管になった様である。移管すべきものの税金を予想した場合三-四〇、〇〇〇円程度のものではないかと考へられる。
○議長 事業部の一般会計納付金は六七〇、〇〇〇円で、未納付金は三月末までに八七〇、〇〇〇円あります。
◎五番議員 今財務部長は税の方によっての歳入を考へておられますが移管により何百万円かの積立金が出来る。其積立金は手をつけずに銀行に預ければ其利子だけでも相当なものになると思ふ。
○議長 利子はつきません。
○五番議員 そんな事はないと思う。
○宮良長重事務官 民政府の金には利子はつきません。銀行と契約してそうなっています。かえって民政府から払う様になっている。
◎二番議員 今売買した金を銀行預金にしたら利子がつかない様でありますから、此の金で公益質屋みた様なものを経営したらどんなものでせうか。
○議長 黒島安助君これを売却、貸付した場合の金額は幾ら位になりますか。
○黒島安助事務官 工務課だけで一、五七〇、〇〇〇円であります。
○議長 これは負債を整理しての事か。
○黒島安助事務官 負偵を引いた場合は約一、一〇〇、〇〇〇円であります。
◎十七番議員 私は変った方面の質問を致します。一九四八年度一般会計納付金は八〇〇、〇〇〇円であるがその分に対する執行はどうであったか。
○事業部長 四八年度の納付金のものは前の議会にも申上げました。特に施設費に相当入れ又未収入金もありましたので一般会計には納付出来ないと申上げたのであります。昨年度の未納付金と本年度の納付金八四〇、〇〇〇円を入れても尚本年は納付出来ると思う。
◎十七番議員 そんな意味ではない。特別会計から入るべき金八〇〇、〇〇〇円が一般会計に入らなかった。その後始末を一般会計ではどうしたのか。
○会計課長 思った以外に税収があったので、埋合す事が出来ました。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。
◎五番議員 工務課木工部の造船は原案の通り可決し度いと思うがどうか。
○議員一同 賛成
◎五番議員 鍛冶班も同様である。
◎議長 その通り執行し度いと思います。
◎五番議員 第二項の工務課鉄工部は、委員会、議会の意思を尊重して充分検討致しました処、吾々議会としては、しばらく民業に対して政府があたたかい心が必要であると云ふ意味から政府案を訂正して動議を以て賛成したいと思う。即ち「鉄工部は民業の勃興を図るため元所有者と現従業員を以て法人団体を結成せしめ尚之が円満なる進展を図るため政府も幾分の出資をなし移譲せんとす。」に訂正し度いと思う。即ち元所有者四、現従業員四、政府二の割に出資したらどんなものかと思う。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。此の問題は部長会議で決定してから決定し度いと思います。
○議長 休憩致します。
(昼食)
○議長 開会致します。
◎十一番議員 おそ蒔であるが今度移管される財産はニミッツ布告との関係はどうなっていますか。
(議長ニミッツ布告朗読)
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。
◎六番議員 民政府は今の様な事があったけれども提案した通り諮問されますか、それとも撤回されるのか。
○議長 撤回はしません。最後は軍政府に聴き度いと思う。
◎六番議員 鉄工部に対する出資は部長会議でどう決められましたか。
○議長 出資しない事に話合は決まりました。
◎十七番議員 ニミッツ布告により工務課の財産を軍政府に報告した様であるが、それは事務上の手続きであって此の財産は何処までも民政府の財産として軍政府の承認を受けるべきだと思う。
◎八番議員 此の案を決議して軍政府に出され指示を受けるのであるか、それとも決議しないで前の指示を受けるのであるか、そこをはっきりして欲しいと思う。危険な財産であるならば決議しても誰も此の財産に手をつける人はないと思う。
○議長 此れに就てはもっと研究を要するのでしばらく休憩して話合致し度いと思います。休憩致します。(午後二時三十分)
○議長 開会致します。(午後二時三十二分)
◎六番議員 鉄工部を元所有者と現従業員に依る法人組織の会社を作らしめる事は議会も委員会の意思の通りと思う。研究会に於ては元所有者と現従業員とががっちり組んで出資し合って、今まで立派に育ててきた鉄工を此れ等にゆずる事は大切な事である。期待をして憂うる者ではない。議会も政府もその通りと思う。民業勃興と云ふ点から見てもその通りである。円満にし一人立ちになる見通しがつくまでは二〇%でも民政府が出資して、両方が円満に事業運営をしたならば、政府は手を引く様にして欲しい。それ等の趣旨により労をとってもらい度い。紛争に持込まれる様な問題になる懸念はない。吾々議会は全員が研究した通り要望するものである。
○議長 大濱議員の御意見もっともな事と思いますが、そうする事は却ってトラブルを起す原因になるんではないかと思う。例へば社長一人選挙するに当っても対立感情の出るのは必然的であり、其為に民営移管の趣旨たる民業勃興が却って悪い影響を及ぼすのではないかと思います。その点よく御話合い願い度いと思う。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。
◎六番議員 私は先に五番議員が修正した案に賛成であるが、議員諸公の御意見はどうですか。
○議員一同 賛成である。
◎議長 それでは政府は議会の意思を尊重して修正案によってやっていき度いと思う。尚二〇%の出資もその通りやっていき度いと思う。
◎十七番議員 第一製材部は原案の通りとしたいのですが、どんなものですか。
○議員一同 賛成
◎十七番議員 第二製材も原案の通り可決したいと思いますがどうですか。
○議員一同 賛成
◎十七番議員 運輸課に補給部関係のバージ、舟艇等を運輸事業の一元化を図るために返したらどんなものですか、当局の御意思を御伺いし度い。
○議長 双方の部で研究してお答へする事に致し度いと思います。
○議長 休憩致します。
◎議長 開会致します。運輸課はこの通りで良いですか。
○議員一同 賛成
◎十六番議員 電気課であります。此の財産は日本財産である関係から、ある時期に於て石垣市と意見が一致したら市に移譲すべきだと云ふ議員の意見が一致しましたから、下記の通り修正可決し度いと思います。「電気事業は公益を主眼とする事業の性質上公営を適当と認められるに付時期到来次第に石垣市へ移管、移譲する事とし、当分民政府に於て経営せんとす」
○五番議員 附記は削除であります。
○議長 議会に於ては石垣市と折衝なさいましたか。
○五番議員 六名程行って石垣市と折衝しましたら、市に移管して貰い度いとの希望でありました。
○事業部長 石垣市長から公文書が参っています。事業部電気課に関してであります。
(陳情書朗読)
◎五番議員 議員の提出した電気課の修正案に決定されん事を望む。
◎議長 電気課は異議がない様でありますが、どんなものでせうか。
○議員一同 異議ありません。
◎議長 それでは電気課は、議員の御意見通り修正致し度いと思います。
◎六番議員 印刷課は委員会の答申書には貸付すると云ふ事であり、又参事会の時も答申書の通りでありましたが、本議会に於ては民政府自体の経営になっていますが、吾々議員が研究した結果は印刷課はやはり答申書の通り貸付した方が良い様で、左記理由は削除し度いと思います。
○議長 今日の議会に臨むに当り、政府としては答申書をどうするか充分検討したのであります。貸付した方が良いか、民政府自体の経営にした方が良いか結局はお互に八重山の将来を考へての議論だと思います。又印刷課の貸付の目的と民政府自体の経営とにあまり相違はないものだとの部長会議の意見によりこう変へたのであります。
○議長 休憩致します。
◎議長 開会致します。修正案を認めて戴きますか。
○議員一同 賛成
◎十七番議員 適切なる条件とは答申案の通りであります。
◎五番議員 条件は政府に一任致します。
◎議長 それでは修正案の通り貸付する事に致します。十二号案は修正案になりましたが、此れを評価委員会で最低価格を決めて戴きまして、価格より以下の場合はどうするかと問題になりますが、参事会にかけて議会で承認して戴きますか。
◎五番議員 参事会で決定して議会が承認する様にしてはどうですか。
○議員一同 賛成
◎十六番議員 但し電気課に関しては財産の評価が出来ていないから時期到来せば、評価委員会に評価せしめ新しく議会にかける必要があると思う。
○議長 それでは電気課に於ては、そう云ふ様にし度いと思います。
◎十七番議員 私は参与にお尋ね致します。石垣市長より知事に公文書があって、唯今事業部長より朗読がありまして移管を希望しておられますが、此れに対する市当局の計画を伺い度い。
○石垣市長 市民の為に是非移管して欲しいと思う。財政困難ではあるが年賦払いにでもして是非取り度い。市会を招集して時期を決定し度い。
◎十七番議員 早急に実施して貰われん事を希望します。
◎議長 四、四、二の出資の割合になりますと、民政府の資金の支払方法はどうしますか。
◎五番議員 現金支出でも良いし、現物支出でも良いと思う。
◎十七番議員 五番議員と意見を異にする者ではないが、私は民政府としては現金出資の方が良いと思う。
◎議長 それではその方が良いと思いますから現金出資する事に致します。
◎議長 諮問案十一号にうつります。
◎事業部長 事業部を七月に移管する予定で予算を組みましたが、とうとうこうなっているので、委員である議員にお尋ね致しましたが、三ヶ月位組んだならば良いだろうと云ふ事でありました。考へてみますと相手方の事でありますので、移管が後何ヶ月かかるかもわからないので安全予算を組みました。何時でも移管になればすぐ予算執行停止する事が出来る様にしてあり、又何回も予算の承認を受けるべく議会を招集してもいけないと思い、来年の三月までの予算を組んであります。委しい事は各課で申上げますが本年度は歳入を相当に減じてあり、経済不況に落ちても確実に歳入が入る様に七割程組んであります。歳出に於ては出来得る限りの削減をしてあります。昨年度は八四〇、〇〇〇円の一般会計の納付金を命ぜられましたが、前議会にも申上げました通り未収金もあって納付出来ませんでしたが、本年度は大いに効果をもたらす事が出来ると思います。本年度の一般会計納付金が七七九、〇二六円で借入金の返済が五七八、〇〇〇円、職員費四〇〇、〇〇〇円、合計一、八〇〇、〇〇〇(ママ)円で結果に於ては昨年度の納付金八四〇、〇〇〇円も納めた形になっています。其外減価償却費が三九、一〇〇円あります。
○十七番議員 もう一度数字を説明して下さい。
(事業部長数字を説明す。)
◎十七番議員 運輸課に質問致します。運輸課は現在の通りでありますが、昨年度と違って職員費の方は自分で持って尚四〇、〇〇〇円かの一般会計納付金を出される様でありますが、其経営に何か従来と異なったところがありますか。其計画を聴かして貰い度い。
○運輸課長 職員費は職員が二名減になっています。運輸丸の事務官、技官も傭人に切り換える積りでありましたが、大きな財産を委かすので現在の通りにしてあります。
◎十七番議員 委員会での話では近くトラックの新品が一〇台貰えるとの話でありましたが、どうなりましたか。
○運輸課長 職員を宮古に出張させて一台貰って来てあります。新品が一〇台貰えるとの様な話ではありません。従来使用しているトラックは、殆ど古くなっているので軍政府にお願いして貰ふ計画であります。
◎十七番議員 事業部長にお伺い致します。電気課の歳出で二一〇馬力の機械代金一五〇、〇〇〇円とありますが此れは去る議会でも議員全体から高いといわれていたが、高い安いは別としても、機械台にひびが入っているし、整備費に二〇〇、〇〇〇円位使っていると聞く、品物の代価は交渉して下げさすと部長は云ふていたが依然として同じであるか。
○事業部長 前議会後考へました。やりかけた仕事だがと思いましたが、議会の意思だから交渉してみましたが、どうしても承知して呉れません。思いをこらして数回に及びました。時と場所も考えて相談しましたが駄目でした。委員会の時にもと思い、議会の時にもと思いましたが失礼だと思ったので止めました。最後は五-六日前まで折衝してみましたが、どうしても聴いて呉れません。とうとう船備材との交換はどうかと云いましたがこれも不能になりました。もう既に此の機械は発電はしているし、私も内心非常に苦しく思っている様な次第であります。機械の修理代は一八〇、〇〇〇円程度、何に手違いがあっても二〇〇、〇〇〇円は越えないと思っていましたが二〇〇、〇〇〇円は越えない様であります。これも機械の寿命の保障に就て皆が心配しておられましたので、大事を取った関係からこう云ふ多額な費用がついているのであります。
◎十七番議員 機械代の問題の取引者は民政府内の人である。代価は莫大なものであり、しかも傷物を過大評価してある最初の契約が不明であったが、外部からこんな話を聞くとおかしいと思う。
○知事 当時の現状から石垣市民に早急に電気を供給し度いと云ふ気持と、当時は機械はどこからも入手不能であったと云ふ事、物価が高かった等に原因して最大な努力はしたが皆のきたいに沿う事の出来なかった事を、おわび致します。
◎十五番議員 工務課の過年度収入七〇〇、〇〇〇円の未収入金はどうしてこんなにあるか。
○事業部長 造船、鉄工、木工班も入っている。これ等の課が移管するので、政府は移譲までに早く回収し度いと思ふ。
◎十五番議員 完全に回収出来ますか。
○事業部長 入る見込みがあります。相当に足を運んで回収しなければいけないと思います。
◎二番議員 船備材は全部揃っていますか。又売却なさいますか。
○事業部長 売りたいと考へている。入用者には六-七〇、〇〇〇円で売ろうかと考へている。
◎六番議員 此の予算案はこの先の諮問案と関係する予算案と思いますが、これは民移管と関係があるため、議会もたびたび開かないですぐ実施するため三月三十一日迄の分を計上して提案しているが、移管がすみ次第予算を停止すると聞きましたがその通りであるか。
○議長 その通りであります。
◎十六番議員 諮問案十二号の趣旨により事業部は移管すべきものであるが、電気課を除く他のものはその価格が最低価格以下になる場合は、参事会によって決定すると云ふ事になりましたが、移管すると予算が停止するのでありますか、又追加更正をしなければいけないと思いますが、それも参事会で決めて貰って議会に報告する様にしますか。
○議長 その通り致し度いと思います。
◎六番議員 移管になった場合の事業部の一般会計納付金はどうなりますか。
○会計課長 移管になった場合もならない場合にも一般会計納付金には変りはありません。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。事業部の予算について、御意見はございませんか。
○五番議員 質問なし。
◎議長 御質問がない様でありますが、その予算案を認めて戴きますか。
○議員一同 賛成
◎議長 諮問案十一号を認めて戴きまして有難うございます。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。
◎十七番議員 教員の生活援助費に就て御尋ね致します。此の問題は竹富、与那国には相当に影響する問題であると思う。此の問題は市町別に給与額を決めて欲しいと思います。収穫物の時期によりこれも、あれも持って来いと云ふ処もあると聞いていますが、もう少し掘り下げて調査して欲しいと思う。ある学校では本人の付添の分まで請求し、ある学校では五人分を負担させている。保護者自体が今年はかんばつのため自分の食糧を充分取り得ない関係から、町単位に平均して決めて欲しいと思う。
○文教部長 細かいところまでは、いっていません。一般的な調査はしてあります。十七番議員の御意見に沿い度いと思います。
◎五番議員 とんでもない事を聞いている。芋を持って来ない為に生徒を罰したりしたと云ふ話だ。議員としてはこれを聞いてすてておく事が出来ない。教育上の問題でありますので取上げたのである。もう夏期休暇に入ったから此の問題をよく研究して九月からは物でなく金を取る様にして、公平にゆき渡る様に努力してもらい度い。教育上不快な事が起らない様にして欲しいと思う。
○文教部長 唯今のお話の様な非教育的な事があった事は文教部は知ったので早速学校当局に注意を与えてあります。現金で支給する様にとの事でありますが、現金が出来ないから物をやっているのであります。これは考慮の必要があるんではないかと思います。
◎五番議員 強いて現金とは云いません。当初に於ける職員の平均がとれて、不平のない様にし度いためであります。それからマラリアの職員、警察の巡査等はそれぞれ援護を受けている事は充分承知しておられるとは思いますが、その方面もよく御注意なさって、島民が愉快に協力する様希望致します。
○議長 これ等の援助費は、市町の方が負担するのが至当ではないかと思います。
○衛生部長 地方駐在職員の援助に就てでありますが、原則としてその出身地の者を充当してありますが、河原、開南、名蔵等は地元出身者が居らないので、止むを得ず石垣市よりやっています。これ等の職員に対する援助は部落民と相談して半年分の主食を供給して貰い後を自作でまに合す様にしてあります。浦内に対しましては野田氏が水田と畑とを与えておられますので自活でやっていっておる様であります。
○警察部長 警察関係のものを申上げます。警察官吏は色々の関係で地元出身地に配置する事が出来ないのでこの点は困りますが、日曜日、休日で一生懸命に働いて自活の道を開かせ度いと思います。援助を受けている様なお話であります故に、もう一度調査の上出来得るだけこう云ふ事はさけさせ度いと思います。
○議長 何かその外に御ざいませんか。
◎五番議員 食糧問題に就いては参事会の時にも話は出ていましたが今後の郡内食糧問題に対する産業部の調査計画を承り度い。
○産業部長 主要食糧の自給自足体制をととのえるべく奨励して来ています。稲の品種改良、増反等に注意を払って来ていますが、御承知の通り旱害のため収穫減になり、如何にすれば今年を切り抜けていく事が出来るかと心配しています。先程十七番議員の質問に対し答へましたが、毎年毎年旱害を繰り返さぬ様努めている。本年の一期作の作付面積は、一、三五六町八反で収穫減の面積が一一五町三反であります。そのために結局〇、〇八五%の旱害による収穫皆無の水田があります。生産高は八、三八九石で去年に比較すれば七、五%の減収で平年作の三三%二分(ママ)の減収であります。これを市町別に去年と比較すると石垣市が一四%の減、大濱町は一三%の増、竹富町は一%六分(ママ)の減、与那国は三九%三分(ママ)の減になっています。尚陸稲は一四四町の作付に対し、収穫皆無の畑が七七町もあり、作付面積の四六%しか収穫出来ない状態であります。収穫高は三三一石七斗で去年に比較すれば一一%の減収であります。これ等の事実から考えても灌漑設備は急務であり、此の面に就きまして色々と対策を講じて開拓庁に対し調査して報告してあります。本年は此の米を数字的に計算してみますと、四万郡民の一五一日分しかないのであります。それで後をどうするかと云ふ事になりますが、後は節米運動によってやっていくと共に二期作の増反を奨励してやっていこうと考へています。主要食糧の郡外搬出がある様でありますがこれは府令一号により取締りを厳重にしてやっていき度いと思います。尚芋作に就てであります。芋を現在収穫しつつあるのは五-六ヶ月前に植付けたもので八月には六〇〇、〇〇〇斤、九月には二、一六〇、〇〇○斤、十月には二、四〇〇、〇〇〇斤、十一月には五、二五〇、〇〇〇斤収穫予想をしています。現在人口で一日一人二斤四〇匁、食ふとして芋が九九、四〇〇斤要するのでありますが、今の処年内は不足をしないと思っていますが、一月二月頃がどうなるかと心配しています。毎年八重山では九月以降の芋の成績が悪いと云ふ事で、芋の植付面積を減らしたり、或は陸稲栽培の為に芋を植えなかったりしますが、今年は陸稲の植付面積を減らして芋の植付に廻し度いと思います。甘蔗作は軍の指示もありますので減らして、大豆、其他の作物に換えて増産しようと考えている。去年米国から来た、ジャガイモは好成績でありましたが今年もまちがいなく来るとの事でありますので、幾らか補いが出来ると思う。自給自足の体制は今の処、むつかしいので補給物資を受けて、食糧事情を緩和したいと思います。
◎十七番議員 灌漑に関し、開拓庁に御願いし度いとの様で他力本願の様な気がするが、その理由如何。
○産業部長 その灌漑施設は相当な資材が要るので、それに就て先年来軍政府に対しセメント、パイプを要求してあります。民政府の力によって民に助成する事がほんとでありますが、今の処それが出来ないから、沖縄視察から帰って市町とも連絡を取り、軍政府からも来て頂いて調査をなし、米穀増産資料として開拓庁にお願いしてある。
◎十七番議員 開拓庁に申請すれば、資材が与えられるのであるか。
○産業部長 開拓庁が金を借りて来て、年賦償還でやるのである。
◎十七番議員 軍政府としては、開拓庁に任せて南西諸島はさせるのであるのか委しい事を聞き度い。
○産業部長 開拓庁にすがる訳は器材も沢山持っているからである。羽地のダムは、僅かに二八、〇〇〇円で出来ている。軍政府にお願いしてパイプ、セメント等をもらい度いと思う。
◎十七番議員 本問題は産業部長のみに責任を持たせないで、知事さんにもお聞きして答へてもらい、解決し度いと思います。灌漑の計画、設計があり、測量図面も送り、現地調査をして資材を要求しなければ、軍政府も聴いて呉れないだろうと思う。開拓庁ばかりにたよらず、石垣島の東西に流れている名蔵川、宮良川の棄水、与那国の田原川、小浜の用水等に力を入れる必要があると思う。産業部は年次計画をもって、軍政府に申請し、全面的に総花を咲かす事は出来ないが、集団地の水利組合を結成せしめ書類上の事ばかりでなく実際面に働いて欲しいと思う。この問題は本郡の問題としてこれ以上大きな問題はないと思う。予算上の土木費の内訳をみてもあまりこれに関心を持っていない様であり、国家百年の大計として、八重山郡の郡是として是非此の問題を取り上げて欲しいと思う。現在民政府は各方面に於て幾多の功績を残しておられますが此の本郡百年の大計たる灌漑問題をもう一歩進めて御努力あらん事をお願いし、当局の意見を承り度いと思う。
○知事 山城議員の御意見に対し、私の意見を述べてみたいと思います。八重山は毎年旱魃のため農作物の収穫高が減少しつつあります。私は一昨年来、小浜、石垣、与那国等の灌漑に関心をもって現地にも行ってみました。なる程灌漑、排水をすればもっと米を増収する事が出来ると思いました。石垣島では名蔵川、宮良川を利用すればと思っており、与那国も相当に施設すればもっと良い水田になるんではないかと思われます。一九四六年の一月カトリン大尉が来島されました時に、琉球の農地の開拓は開拓庁でやるべきもので民政府ではやるべきものでないとのお話もありましたので、早速名蔵川の上流の方にダム工事をなすべく視察をなしましたが、今日に到るまでその返事がないのであります。一ヶ年間開拓庁の事がさっぱりわからなかったので、ゲスリング軍政官宛、陳情をしましたところ、ブルドーザーの事は見込みがないからとの事で、手持の器具でやった方がよかろうとの事でありましたので一時は悲観していた。現ヘイズ大佐は出来得る丈けやっていこうといわれましたが、山城様が申上げられた様に他力でやるんでなく、自力でやっていき度いと思う。民政府は測量と計画を持ち、水利組合により或は団地により自力で此の問題を解決したいと思います。幸いにして開拓庁が手を入れて呉れるならもっと早く立派に出来ると思います。
◎十六番議員 産業部長さんのお話によりますと今年は食糧事情は相当に苦しく補給食料に頼る外はないとの様でありましたが、補給食料に依存する事は大問題だと思います。天恵にありながら食糧事情課は昭和九年の使用料の一〇〇倍にして更正許可をしてあるのであります。此の問題に就ては石垣市と相談の上研究して善処し度いと思います。
◎十七番議員 通行税はどの位ですか。
(財務部長通行税の内容を説明す。)
◎十七番議員 戦前は大阪商船の乗客者のみに通行税を取っていた。郡外から入る者のみから通行税を取る様にしていた。郡内は戦前の様に取らない様にした方が良くはないかと思う。それが急に出来なければ今の何割かを徴収する様にし、後は徴収しない様にしたらどうでせう。これに対する民政府の意見をお聴きし度い。
○財務部長 税率は一割であったが半分にしてある。何時まで続けてもいけないと思うので財政を検討して撤廃しようと考へている。
◎二番議員 白水に水源を求めている事を聞いていますが測量もすんでいますか。私は台湾で水利組合にいた関係から多少その方面の知識があります。川良山の水源を利用すれば僅かな経費で平田原方面の灌漑は出来るのではないかと思います。
○議長 桟橋使用料の認可は与那国町のものと照合せて許可申請より切り下げて認可してあります。又ゲスリング軍政官の南部琉球市町村長会議に於けるお話にも自づからの経費で市町村は賄えとの指示もありましたので認可したのであります。
◎十四番議員 土木費は沢山ある筈でありますから仮桟橋を早急に造って欲しいと思う。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。
◎十七番議員 お尋ね致します。予算に関連していますが、適期に予備費から出して刑務所を新築して頂き度い。場所並に建物設計も出来ているかどうか。脱獄囚の責任はどこにあるか、不備な処は補修されているかどうか。
○産業部長 刑務所の建築費は三四五、〇〇〇円であります。新しい設計図も出来ています。場所は新川方面でやろうかと考へています。
◎十七番議員 去った議会で敷地に就て問題になりましたが新川にするのか、或は登野城の発電所の東にするか。元大濱校敷地にするのかとの事でありましたが、何れにしても自活の農場が手近に得られる処が良いと思う。
○議長 自活農園の事は考へています。質の悪い者は破壊して脱獄するので困っています。所長、新盛看守よりは始末書を取ってあります。
◎十一番議員 先程議会に出ていた永良部鰻の区画漁業権は出願手続によってやるのでありますが漁業会の専用漁業権がなかったのがおちどでありましたので、今後の業会の専用漁業権に就ては特に善処されん事を希望致します。
○議長 御質問はこれで終りでありますか。
◎六番議員 前議会に問題になっていた司法課の問題はどうなりましたか。
○議長 まだ全部は納付してありません。四、〇〇〇円は納付してありますが残りがまだ納っていません。検事が取調べをしている途中に本人が死んだので困っています。
◎六番議員 今後はどうするか。香奠料にするか。
○議長 検事の取り調べによって決め度いと思います。
◎十七番議員 こう云ふ事があるから出納官吏の身元保証はしなければいけないと思うが、どうか。
○議長 今はやっていません。
◎十七番議員 必要性は感じないか。
○議長 感じます。各部出納官吏の身元保証をやりたいと思います。
◎六番議員 質問を打切ったらどうですか。
○議員一同 賛成
○議長 連日長時間に亙り色々と検討して頂きまして有がたうございました。
◎知事 三日間に亙り熱心に研究して頂きまして有難うございます。各位には真心から審議して下さいまして有難うございました。
◎議長 これで臨時議会を閉会致します。(午後六時三十分)
一九四八年八月三十一日
上記の通り相違ありません。
八重山議会議員 大濱 用立(印)
同上 山城 興常(印)
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