戦後初期会議録

組織名
八重山議会
開催日
1949年02月25日 
(昭和24年)
会議名
1949年2月25日-3月9日八重山議会[1]
議事録
一九四九年二月二十五日-三月九日八重山議会会議録

 八重山議会速記録
一 招集日時 一九四九年二月二十五日午前十時
二 招集場所 八重山民政府会議室
三 提出諮問案
諮問案第一号 学制改革に関する件
諮問案第二号 実業高等学校廃止の件
諮問案第三号 教育基本法案及学校教育法案に関する件
諮問案第四号 臨時教員養成所を文教学校に名称変更の件
諮問案第五号 一九四九年度八重山民政府(一般会計特別会計)歳入歳出予算の件
諮問案第六号 (追加諮問案)所得調査委員の定数改正及任期に関する件
四 出席議員
  玉代勢太郎  大濱 孫彦
  與那國 修  成底眞加良
  柴田 米三  大濱 用立
  大田 守松  崎山 英保
  池間 榮三  喜舎場永珣
  金城 正康  新城 永吉
  阿良 正二  仲本 信幸
  幾乃  伸  山城 興常
  山里 長敬
五 欠席議員
  大濱 賢仁
六 出席参与
 各市町長、各部課長、宮良長重事務官、視学官、八重山、與那国両警察署長、治安裁判所判事

  八重山議会日誌
 二月二十五日 議会開会、終日会議。
 二月二十六日 議会開会、午前中会議、午後より事業部、電気課、工務課、運輸課、初級高校、高校、農校視察。
 二月二十七日 休会。午前中農事試験場視察。午後軍政官歓迎会へ出席。
 二月二十八日 議会開会、午前十時十分休会に入る。後一般質疑応答。
 三月一日 休会。議員のみ本願寺に於て研究会。
 三月二日 議会開会、終日会議。
 三月三日 議会開会、午前十時七分休会に入る。午後一時よりゲスリング軍政官一行と会談。午後七時より山城興常氏宅に於て軍政官の歓迎会。
 三月四日 休会。議員本願寺で研究会。午後知事、総務部長研究会に出席。
 三月五日 休会。午前中本願寺に於て議員と総務部長を含む研究会。午後各部長を含む研究会。
 三月六日 休会。知事、各部長を含む合同研究会。(終日本願寺に於て)
 三月七日 休会。
 三月八日 議会開会。終日会議。
 三月九日 議会開会。午前十時二十五分開会。会議に入り午後四時五分閉会す。

 二月二十五日(午前十時開会)
◎知事 開議に先立ちまして本年度予算案編成方針の大要を報告いたします。新年度の予算案は去年の十一月頃から編成準備をすすめていたのでありますが、財源問題に就て本年一月中旬沖縄で開催された財政会議に俟つべきものがあり、同会議に出席した財務部長が本年一月三十日に帰府しましたので同会議に於ける軍政府の意向に基いて予算案を編成したのであります。
 予算案編成に当って困難を来しました点は財源でありました。本年度には軍政府補給物資売上高の六〇%より物資配給に関する一切の経費を差引いた残高が民政府歳入に繰込まれましたので、歳入予算の凡そ三〇%即ち凡そ三、三〇〇、〇〇〇円が歳入として繰込まれたのであります。然るに新年度より軍政府補給物資の売上高は全部軍政府に支払いする様になりましたので民政府としては大きな財源を失ひましたので予算案編成に当り財源を求めるのに相当困難を来しました。この問題に就ては曩に開かれた沖縄に於ける財政会議に於て各民政府から従来通りにして下さる様陳情したのでありますが結局軍政府の方針通りになりましたのでこれに代るべき財源を他から求めることになり是又軍政府の指示に基きまして主として税収入に財源を求めまして歳入予算総額一四、一二九、二六二円を計上提案してあるのであります。
 歳出予算案の編成に就ては可及的に民負担を軽減する為に已を得ざるもの以外の新規事業の取止め行政整理等をいたすことにしたのでありますが已を得ざる新規計画もあり又急激に大幅の行政整理をすることも支障を来しますので結局歳出予算も一四、一二九、二六二円として計上してあるのであります。
 尚新年度の歳出予算中特に本年度に比較して多くなっているのは教育費並に産業部費でありますが教育費の増は主として六・三・三制度の実施によるものであり又産業部の予算増は主として刑務所其他土木建築費の増によるものでありまして其他の部に於ては本年度と大同小異になって居ります。
 各位においては充分御審議して戴きます様御願ひ致します。
◎議長 諮問案第一号に移ります。高宮文教部長を紹介致します。山城興常議員、大濱用立議員を議会会議録の署名者に指名致します。
  (文教部長 諮問案第一号学制改革に就て説明、理由の一、二、三、四を説明す。)
◎二番議員 此の第四項目の日本と沖縄と同一歩調をとる事は米軍政府の指示によるものでありますが帰属問題もはっきりしていない今日こんな事をして良いのであるかどうか。
○文教部長 此れは事実がそうなっています。其れは小学校、中学校の教科書は全部日本のものを使用していますし、又使用して良いことになっています。
○議長 日本自体がマッカーサー元帥の検閲を受けた教科書を使用しているのでありますし、又教育はそう云ふた教育をして欲しいと云ふ事でありますので其様な事は別に心配はないと思います。
 外の議員の方には質問はございませんか。質問がない様ですから御意見してもらい度いと思います。御意見もない様でありますから第二項に移ってもらいます。
◎文教部長 六・三・三の学制実施になりますと色々処理すべき事項がありますので其れを説明致します。
  (二項目「学制改革に伴う諸事項の処理」を説明す。)
◎六番議員 現在の初級高等学校は学制改革により新に募集はしないのでありますか。そうすると現在のジュニア校はどうなりますか。
○文教部長 石垣市は現在のジュニア校を借りて当分ある期間やって行ったらよいと思います。現在のジュニア校はシニア校の附属中学として高等学校の余った教室を使用し度いと思います。
○議長 現在のジュニア校は石垣市のものでなく八重山全体のものでありますから、いづれ此の問題は後で議会か参事会におはかりしなければいけない事と思います。
◎二番議員 此の六・三・三制度が実施されると離島の様な辺鄙な処にも出来るのでありますか。
○議長 そうであります。
◎十七番議員 是は地方の市町の財源とも相当関係がありますが市町長会にはかられた事がありますか。
○議長 市町長の集りの時に申上げましたら出来ないとはおっしやらなかったので出来るのと思って提案した次第でありまして教育審議会でも参事会でも皆賛成をしておられます。尚財源に就きましては新制中学校の人件費四三〇、〇〇〇円を新に増加しなければいけないので小学校、中学校の旅費賞与僻陬地手当等は自然市町当局が持って貰はねばならぬと思います。
◎十七番議員 学制改革に依り新に増加する費用はいくらになりますか。
○議長 旅費賞与僻陬地手当等を市町に移管しても尚三三〇、〇〇〇の増加になります。
◎十八番議員 石垣市に於きましては現在のジュニア校がありますが大濱町の様な外の町にはどう云ふ対策を持っておられますか。
○議長 石垣市が借りて良いか悪いか後日に来るべき問題でありまして他の町には小学校に併置するのかそれとも仮校舎を造るか後日の問題だらうと思います。
◎六番議員 今日まで実業高等学校があって八・四で行っている様でありますが実校が廃止されますと義務教育に於て三ヶ年は短縮される事になり教育を受ける面は少くなる様にありますがどんなものでせうか。
○文教部長 そう急に考へるとこうも考へられますが六・三・三の学制は定時制のものであり、かへって時間数から云ふなら多くの授業を受けているのであります。実校は勤労大衆を相手にしたものであります。故に此の人々の救済の道は通信により或は新制中学、高等学校、農林高等学校等の編入により救済したいと思います。
◎二番議員 質問と云ふよりは意見を申上げ度いと思います。本郡移出産業としての水産業の発達は最近は沿岸漁業より遠洋漁業へと発展していっています。それで水産教育機関の設置が急務ではないかと思います。現在まで水産教育機関の学校設立に就て何もやっておられないのを遺憾に思い水産学校の設立を希望する者であります。
○議長 御意見はもっともなことであります。是は八重山住民が大望しているものでありますが其学制を敷くには相当な財源が要るのであります。それで現在の処それを設立する位の財力がなく将来は必ず設立する積りであります。現在迄は水産業者の人物養成とか講習会とか云ふ様なものでやっていき度いと思ふのであります。
◎六番議員 今提案されている諮問案は第一号案から第四号案まですべて教育に関するものでありますから総括的にやって欲しいと思います。其後に質問なり意見なりを述べられて諮問案の決定をしたらと思いますが議員各位はどう御考へでありますか。
◎議長 諮問案一号より四号までは関連性がありますので一括附議して説明しそして全般的な意見質問を受けて決定されたらどんなものでせうか。
◎五番議員 今年度の学制改革は戦後に於ける重大の改革であることは皆認められています。其れで第一諮問案は今すぐ決定せんとするものであるのかそれとも数ヶ月間を於て実施しようと云ふのであるのか。
○議長 民主主義の根本理念であるところの民意によるものでありまして其れは住民全体の熱意がなければおし通し得ないのではないかと思います。
◎五番議員 ある町長の意見を聴きましたら学制改革は新学期からはむつかしい事を云ふていましたが議長が先に話されました様に教育は政府がするのでなく一般住民即ち親がするものである。吾々住民もそれは賛成であり実際から云ふならこう云ふ事は議員から或は市町長から率先して六・三・三の学制を敷いて世界の水準まで引き上げなければいけないと云ふのがほんとではないかと思ふ。
 それで市町の財源が苦しい様な御話でありますが力のある市町は新学期から断行してもらい力のない市町は民政府の援助を受けるか或は期間を延ばすかして雄々しく出発して欲しいと思ふ。
○知事 柴田議員からの御意見もっともな事であります。それは市町当局とも関係があるので無理をしてまでは出来ないのでありますが四月から同一歩調で出発出来るならと思ふ者であります。
○議長 私の方からも申上げ度いと思います。教育と云ふ仕事は歴史を通じて見ても一大事業であり我が八重山に於ても子弟の教育のため、自分の全財産を投売って教育をした実例は多々あるのであります。其意味に於てオール琉球で六・三・三の制度を実施したのは八重山が初めてであり唯八・四制と云ふ二本建もあったのでこれを全面的に改革しようと云ふ事であり新学制が他の民政府より遅れる様な事があってはいけないと云ふ事で提案したものであります。更に教科書の問題でありますが現在使用しているのは八学年制のものはなく、六・三・三制度による教科書を日本本土と同じ様に使用しているのであります。こう云ふ実情から照し合せて見ても市町の財政を検討して貰い僅かな負担金額であるから出して貰って実施して貰はれん事を御願い致します。
 教育は市町住民の責任である事を再認識し、学校設立の根本理念からも、学校教育基本法案から云ふても必ず市町当局が負担しなければいけないものでありますから、それを早目に実施しようと云ふ事で提案したのであります。
◎十六番議員 今年度出来ないなら来年度も出来ないのであるが一日も早く少々の無理をしてでも断行して欲しいと思います。
 財政上やむを得ない市町もあるでせうが出来る可能性のある市町だけでも良いから来る四月から断行して下さる様御願い致します。
◎六番議員 学校の数はどうなりますか。
○文教部長 学校の数は市町で御決めになるのがあたりまえでありますが私達が考へているのを申上げますと石垣市内に一校、川平一校、大□中学、白良中学、与那国中学の独立校と竹富町は各離島の小学校に併置したいと思います。
○議長 学制改革に伴ひ市町へ移管する経費を申上げます。石垣市が七三、五五〇円、大濱町が五一、九八〇円、竹富町が一二一、六八〇円、与那国町七七、二五〇円で是等が町負担であり人事の増加に伴ふ経費は四五〇、〇〇〇円であります。
○六番議員 今御説明になりましたのは中学校のみのものでありますか。
○議長 そうではありません。中学校、小学校の旅費賞与僻陬地手当であります。
◎十七番議員 文教部長に御伺い致します。六・三・三制度の学制改革は市町の方に了解して貰っていますか。
○文教部長 是は教育審議会でも決定され校長会議でも決定されたもので教育審議会員中に各市町長も含まれていますので賛成しておられるものと思います。
○市町長参与 教育審議会には市町長は入っています。
○竹富町長 竹富町としては各初等学校に併置して貰い度いと教育審議会で申上げました。
○十六番議員 本問題は相当に微妙な様でありますから円満可決進行するためには休憩する必要はありませんか。
○議長 それでは希望により休憩致します。
○議長 開会致します。
○財務部長 私の方から申上げ度いと思います。学校の問題は費用の関係で頂点に達している様にありますが財源に就ては付加税の増額によったならば大丈夫と思います。
  (各市町の付加税額を説明し其れに付加税の増加額を示して今回の学制改革による市町負担額を示して充分に賄へる事を強調す。)
○竹富町長 付加税を教育費にあてても余力はないものであります。又付加税は教育費のみには使へないものであります。
○大濱町長 此の付加税も新しい財源ではありません。付加税は教育費のみに充当すべきものではなく其れ以上民に負担させるもどうかと思います。
○竹富町長 付加税を上げて持つ能力がありますか。
◎六番議員 一九四七年度、一九四八年度の付加税の差額はどの位ですか。
  (財務部長差額を説明す。)
◎六番議員 是迄色々検討して来ましたが意見が纏まらず又各市町長の御意見も聴いたのでありますから諮問案第一号はその位にして第二号に移ったらどんなものですか。
◎議長 それでは諮問案第二号に移ります。
  (総務課長諮問案第二号朗読)
◎文教部長 (諮問案第二号実業高等学校廃止の件を説明す。)
○議長 御質問御意見をひっくるめてやって下さい。
◎六番議員 実業高等学校の廃止によって民政府の予算はいくら減じますか。
  (文教部長額を説明す。)
◎六番議員 現在の実業高等学校の校長及職員は失職せずに何かにふりむけられますか。
○文教部長 ふりむけられます。
○六番議員 新制中学の補習科は一寸考へられませんね。
○文教部長 中学校の職員に嘱託としてもらふ考へであります。
○一番議員 二、三は希望によって出られる様ですね。
○文教部長 はい、そうであります。
○五番議員 二、三は設けなくても良いのではないか。
○文教部長 此れは暫定的なものであります。
◎六番議員 其補習科を卒業したらどんな資格が与へられますか。
○文教部長 補習科も別科も資格はありません。
◎十七番議員 石垣市の実校が廃校の姿にありますのは何が原因でありますか。
○文教部長 時代の空気に左右されています。生徒が全部貧困な勤労大衆青年であるためこう云ふ状態になったと思います。
○六番議員 現在の実校の生徒の就学、出席率から見て、二、三は必要なことではないと思ふが如何。
○文教部長 本年度だけは此の制度を設け度い。
○六番議員 それならば実校生徒の処置に就ては本年一回限りと明記すべきである。諮問案に何も出てない様であるから諮問案に明記すべきではないか。
○文教部長 諮問案第二号は全部本年のみの事であります。今まで熱心に通学していた実校の生徒に対し親心として偲びないからこういうのを設けたのである。
◎議長 諮問案第二号はいかがですか。
○議員一同 進められたら良いでせう。
◎議長 それでは諮問案第三号に移ります。文教部長の方で読んで貰い度い。
  (視学官教育基本法案朗読)
◎六番議員 質間があります。此の基本法案を読んでいますと非常に結構なものでありますが此れを吾々議員で可決しても軍政府の方としてははたして認可して下さるものでせうか。
○文教部長 議員各位の承認を得て軍政府の認可を受ける積りであります。此の法案は宮古では既に認可を経て実施している様であります。
◎十六番議員 第四条に授業料は徴収しないとありますが其理由如何。
○文教部長 教育の機会均等をはかるため六・三の義務制のみは其れを徴収しないと云ふ事であります。付属中学のみは授業料を徴収し度いと思います。
◎二番議員 第三条の最後に奨学の方法を講じなければならないとありますが此れは義務教育だけのものでありますか。
○文教部長 教育全体に亙るものであります。
◎議長 教育基本法案は昔の教育勅語みたようなものであります。其れにより学校教育法案が出来ている様なもので其れは施行規則に相当するものではないかと思います。御異議はございませんか。
○議員一同 異議なし。
◎議長 それでは学校教育法案に移ります。
 (視学官学校教育法案を朗読)
○六番議員 質問があります。第八章の罰則の第六十四条の(第五十四条第三項)と云ふのがありますが第五十四条は幼稚園の事でありますが何か違ったのではありませんか。
○視学官 違っています。第五十四条と書いてあるのは六十条に訂正して下さい。第六十七条の第五十四条も六十条に訂正して下さい。
○議長 休憩致しますから訂正して下さい。
○議長 開会致します。
◎十番議員 高等学校は通信による教育を行ふ事が出来るとありますがどんなのを通信による教育と云ふのでありますか。
○文教部長 昔で云ふなら中学講議録みたやうなものであります。其れを高等学校でやる場合には専任の教官を置かねばならないと思います。
◎六番議員 将来は八重山の高等学校も沖縄・日本の高等学校同等な資格で大学などに進学出来るものと思いますが、此の法案には大学の項が出ていない様にありますが、八重山には大学設置は出来ないものと見込んだものでせうか、それとも最初から大学は其法案外のものでありませうか。
○文教部長 大学はつくれないものと見做して作成したものであります。
◎二番議員 第一三条に監督庁は学校の閉鎖を命ずる事が出来るとありますが此れは全部の学校についてでありますか。
○文教部長 全部の学校に就てであります。
◎六番議員 今ある臨教は此の法案に出ていない様でありますがどうしたのですか。
○文教部長 此れは教員養成と云ふ臨時的なもので別の規程により運営していかうと云ふ事であります。
◎六番議員 これは此の法案のどこの条文にもふれないのでありますね。
○文教部長 ふれないのであります。
◎七番議員 第二十一条の後の前項の教科用図書以外の図書その他の教材で有益適切なるものはこれを使用する事が出来るとありますが、それは監督庁の許可を受けなくて良いですか。
○文教部長 受けなくて良い。
◎十番議員 幼稚園は義務制でありますか。
○文教部長 ありません。それは名称を統一しようと云ふ事であります。
◎六番議員 其法案が認可されると高等学校の別科、専攻科は今年度からすぐ実施されますか。
○文教部長 はい、すぐ実施しようと思います。今度だけは一年であります。
◎六番議員 高等学校に別科を設けるとありますが此の別科は実校廃止による臨時的なものでありますか、それとも恒久的なものでありますか。
○文教部長 恒久的なものであります。
◎六番議員 此れを実施した場合は両方の高等学校に全部別科を置かれますか。
○文教部長 本年度は農林高等学校のみに別科を置く様にし将来に於ては両方の学校に設置しても良いと思います。
◎議長 学校教育法案はそれでよろしゅうございますか。
○議員一同 もう良いでせう。
 (総務課長諮問案第四号朗読)
◎五番議員 臨教は名前を変へると提案されていますが今後必要ありと思われて諮問案として提案されたのでせうか。来る四月より高等学校の卒業生も多数出る事ですから別に臨教を置かなくても充分に間に合ふと思いますがどんなものでせうか。
○文教部長 臨教設立当初は学校をやめるのが多くて良質の教員を得るために臨時教員養成所をつくったのでありますが、其学校の入学資格は高等学校二年程度の学力を有する者と、旧中学校の四年修了程度の者とを入学資格者として入学せしめたのであります。今年度より新しい制度による中学校が出来るので中学校に向く様な教員をつくる必要があるため臨教を存続し度いので本年中に学校を去った者と今去り度いと希望しているのが計五十六名もおります。それで新学年度からも相当不足するのではないかと考へ、又現在の教室(員カ)も教官補が多いので教員の質の向上を図ると云ふ意味で、臨教を文教学校に名称変更し内容を充実し度いと云ふ希望なのであります。
◎五番議員 現在の高等学校生は臨教学校の生徒より優秀な生徒が多いと私は思います。それで現在の高等学校以上に臨教の生徒に実力をつける事は不可能ではないかと考へます。財政困難で六・三・三の学制でもむつかしい様な状態にある時ですから、現在の高等学校を総合学校として農林高校も合併して一つの学校にすれば、教育の能率の経済と云ふ方面からも良い様に考へられる。いくつも学校をつくって先生の教授力を分散する事はどうかと思はれます。私は今更臨教を存続する気持はわからない。それよりは高等学校に優秀な教官を送り出して其人々に経済力を与へて充分に教育して貰ふ様にし、あっちにもこっちにも総花を咲かせるよりは重点的に行って欲しいと思います。
◎六番議員 臨教と云ふ学校は学校教育法案のいづれにもあてはまらない別の制度で行くとの事であり教育費は民政府負担の様でもあるし矛盾がある様に考へられます。今一つは高等学校の進路が真剣に叫ばれている現今、沖縄に大学はないし又日本の大学への進路は開かれていないと云ふ実情でありますから、卒業生の救済も考へ又新しい法律で進もうと云ふ時、一人文教学校のみは別の法律ですると云ふ点も考へて本年度は臨教は廃止した方が良いと思います。
○文教部長 臨時教員養成所は必要でないから廃止した方が良いとの御意見の様であり其れに変るべきものを高等学校で教育して欲しいとの事でありますが高等学校には高等学校としての使命があります。専攻科で教員を養成すると云ふ話もありましたが専攻科も其本質は自分の専攻し度い学科を専攻しようと云ふものであります。尚高等学校卒業生に教員の免許状を与へよとの問題でありますが私達も考へなかったのではなく考へたのであります。高等学校は設立の当初に教員としてなすべき学科、論理、心理を取上げて教科目としていますので、教員としての条件は備はっていると思いなさるかも知りませんが、普通、教員の資格は其教科目の外に六ヶ月の実務実習をして免許状を与へられるのであります。それで高校卒業生に対しては今年度に限り教員希望者に対し教育実習をさせて免許状を与へ度いと思います。先生の教授力を分散すると云ふ事はもっともな事と思いますが、現在の実情から此れは止むを得ないものであります。
◎十七番議員 私は此の問題に対しこう云ふ意見を持っています。現在の高等学校に選択科目をおいて其れを二年位から課して卒業と共に教員の免許状を与へる様にしてはと思います。現在良質な教員が居らないのは当然で高等学校の教員は八重山の出身でなければいけない様な現状で他郡市から招聘する事はむつかしいのである。其れ相当な待遇をしない限りむつかしいものであります。そうなると自然に教育費が膨張するのであり、又ある一面高校卒業生の進路がはっきりしない、進学の途が開かれないといふ事だし、あれこれ考へてどうしても在学生に希望を持たせる意味に於て卒業生の中の教員希望者に免許状を与へられん事を希望し実際問題とにらみ合せて今の処臨教の存続は不必要と思ふ者であります。
◎五番議員 こう云ふ諮問案を出したから必ず通さねばならないと云ふ象牙の塔に立てこもらないで、現在の状況からおして、現在高等学校を充実させようと云ふ事であり実際問題として財政状態から考へて食ふと云ふ事が第一であるからであります。高等学校に専攻科を置いて高等学校の生徒に希望を与へられん事を望む。
 多くの学校を出ても如何にして食ふかと云ふ事が問題である現今もう少し考へて貰い度いと思ふ。
○部長 私達が心配するのは教員を折角養成して見たが先生にはなりたくないと云ふ事で逃げる人が多く又全部教員にならないので教員の不足となるのであります。又優良な教員を確保獲得と云ふ意味で存続したいのであり、間に合せの教員をおいておしかりを受け度くないのであります。
◎議長 色々と御質問御意見もある様でありますが時間が来ている様でありますから之で休会致し度いと思います。(午後四時三十分)
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