- 組織名
- 八重山議会
- 開催日
- 1948年09月25日
(昭和23年)
- 会議名
- 1948年9月25日八重山議会
- 議事録
- 一九四八年九月二十五日八重山議会会議録
八重山議会速記録
一 招集年月日 一九四八年九月二十五日 午後一時
二 招集会場 八重山民政府会議室
三 提出諮問案
諮問案第四号
一九四八年度歳入歳出追加更正予算の件
諮問案第五号
民政府職員死亡給与金支給規程制定の件
諮問案第六号
一九四七年度歳入歳出決算報告の件
八重山議会会議録
一九四八年九月二十五日
出席議員
玉代勢太郎 與那國 修
成底眞加良 柴田 米三
大濱 用立 大田 守松
崎山 英保 喜舎場永珣
金城 正康 新城 永吉
阿良 正二 仲本 信幸
幾乃 伸 山里 長敬
欠席議員
大濱 孫彦 池間 榮三
大濱 賢仁 山城 興常
出席参与
牧志 宗得 星 克
山里 長寛 富本 勉
大濱 信賢 富川 盛正
天久 朝美 大濱 英芳
宮良 賢副 大山永太郎
外各部の課長
欠席参与
與那國善三 浦崎 榮昇
開会 午後一時四十五分
◎知事 本日八重山議会を招集しました処各議員には御多忙中にもかかわらず出席して下さいまして誠に有難う御座います。本議会に提出する案件は諮問案第四号一九四八年度歳入歳出追加更正予算の件、諮問案第五号八重山民政府職員死亡給与金支給規程制定の件、諮問案第六号一九四七年度歳入歳出決算報告の件以上三件であります。
就ましては議員定数十八名中出席議員十四名、欠席議員四名で、出席議員は定数の過半数になっていますから早速開会を宣します。
尚この機会に新議員を紹介いたします。玉城仁榮、本若榮包、吉本吉山の三議員が市、町議員に当選したので其代りに大濱孫彦、金城正康、山里長敬の三議員を補充してあります。
開会前に本議会を招集するまでの経緯を簡単に説明申上げると共に二、三の報告をいたし度いと思ひます。
一九四八年度当初予算編成後諸物価が昂騰を辿りました結果、当時に比し現在著しく諸物価の暴騰を来しまして、当初予算を以ては政府の諸経費を賄ふことを得ざる状態に立至り、又当初予算編成当時予期せなかった支出、例へば人口調査費、議会議員選挙費、其他が表はれて居り、更に増俸するにあらざれば物価の昂騰による政府職員の生活難を救ふことも能はざる状態に立至ったので、茲に追加更正予算を編成して議会に諮ることになり、本日議会を招集した次第であります。
今回の更正予算中新規歳出は三、九七五、二八八円で、其主なるものは各部の経費と増俸による職員費になって居り、又新規歳入は四、三一五、二八八円で、其主なるものは経理課納入金と税収入になって居ります。それで歳入追加更正予算総額は一二、二五四、八七八円となり、歳出追加更正予算総額は同じく一二、二五四、八七八円となり、差引〇になって居ります。特に茲に取り上げて申上げたいのは追加更正歳入予算中三、三〇〇、〇〇〇円は経理課に取扱っている軍補給物資代価の六割の収入より出たものであり、軍政府の補助金にも相当するものでありまして総歳入の凡そ二七%に当って居ります。
軍政府は民政府の行政に対しては有ゆる方面から指導援助を与へていらるるのみならず、行政費にもかくの如き莫大なる援助を与えていらるる事を此の機会に報告すると共に、軍政府に対し感謝の意を表します。
軍政下にある郷土八重山の幸福と繁栄は全住民が一致して軍政府に協力することにより招来せらるものであると思ふのでありまして、繁栄の度は協力の程度によって促進せらるるものと申上げても敢て過言ではないと思います。
一九四七年度から一九四八年度に亙り、軍政府は八重山復興の為、実に莫大な復興予算を恵与して居られます。之を内訳しますれば、去年度はシニア校、ジュニア校、平真校、大濱校、養蚕所、名蔵橋の復興費として三、八七〇、二二五円を認可されて居ります。
政府は軍政府の御厚意を体して去年早速復興工事に着手しましたので、現在では名蔵橋を除く外は近く工事が完了することになって居ります。又名蔵橋も鉄橋を架設することになり、其材料は軍政府により沖縄に準備されておりますが、輸送の関係で遅れて居ります。之も亦遠からず着手する事が出来ると思って居ります。更に本年度に於ては、農林高校、登野城、石垣、宮良、白保、竹富、小浜、黒島、久部良の諸校、通橋、石垣市及各離島の桟橋復興費として七、一九〇、八六〇円の予算が認可になって居り現在資材の収集に努めて居りますので之又近く工事に着手する予定であります。斯くした軍政府の御援助も要は全住民が復興に協力せらるることにより実現が促進せらるるのであり、而も復興工事が円滑にすすめられるか否かに依って、次年度の復興予算額の程度も定まるものではないかと思はれますので、政府としては現在この復興工事に全力を注いで居る次第であります。次に食糧問題に就ても是迄少からず軍政府の援助を受けて参りましたが、種々の状況よりして将来はどうしても自給自足で行かねばならぬと思っている様な次第で、関係部課に計画をすすめさせて居ります。回顧するに終戦後一年間はマラリアの猖獗による労力不足で食糧の甚だしき減産を示していましたが、幸に軍政府の食糧補給によりまして漸く食糧危機を免れることを得ましたので、政府としては住民の健康回復と共に食糧の増産奨励に努めると共に、肥料農器具の補給にも努めました。其結果去年より増産の傾向を示しました。即ち四七年度に於ては米産額一六、〇〇〇石を示し、本年は一期作に於て少くとも一〇、〇〇〇石を示し、二期作を収穫すればそれ以上になるものと予想しています。本年の米産額が去年に比し減産を示したのは旱魃と暴風が原因したものでありまして、作付面積が減じたものに因るのでないのであります。甘藷は去年は相当なる増産を示し、一般に過剰を来した時期もありましたが、本年は七月の暴風と旱魃とに依って一大被害を受けましたことは至極残念であります。こうした状態にありますので、七月以降植付芋の生産を見るまでは特に石垣市に於て食糧の出廻りが窮屈になるものと思います。現在八重山に於ける食糧は一人一日二、五四四カロリーを標準としまして、現地産食糧を以て之に当て、不足のカロリーを軍政府補給食糧を以て補っているので、既に軍政府へ報告してある。本年第一期米一〇、〇〇〇石が島外に搬出されず自由に出廻れば、石垣市に於てそれ程食糧が窮屈にならないのでありますが、生産者食糧確保も亦已むを得ないものでありますので、芋の出廻る迄の間の対策として煙草による政府買上米を至急に配給すると共に、軍政府に対し食糧の増配方を申請している次第であります。
蛋白質食糧の生産は去年は燃料が大体に於て不足ない程度に軍政府より補給を受けましたので、特に鰹節の如きは終戦後稀なる増産を来しましたが本年度には燃料の配給が少く、従って減産の大原因の一となりましたことは至極遺憾でありますが、今後引続き燃料の増配方を軍政府へ陳情する心算であります。然しながら現在郡民の必要蛋白質は大体に於て、栄養失調を来すことなく生活し得る程度には補給されているものと信じて居ります。現下に於ける食糧状況は先述の如くでありますが、将来は生産者の努力により含水炭素食糧、蛋白質食糧、脂肪等を自給自足の域に達し得なければならないと考えている様な次第で、どうしても農業水産業を一段と奨励することにより輸出の域にまで達したいと企図している次第であります。
次に生活必需物資並に生産上必要なる物資の補給に就ては、絶えず軍政府へ陳情して居りますが未だ郡民に満足する程の物資の得られざることは之又残念でありますが、軍政府に於てもよく現在の実情を知って居らるる事であり、且つ又努力を払って居らるることと信じています。自由貿易に就ては南部琉球のみならず沖縄、大島も同様、一日も早く促進せらるることを念願していることと思ひますが、之も亦種々なる事情からして実現していないのではないかと想像して居ります。現在八重山と宮古間には許可制による物資の交流が行はれて居りますが、少くとも四民政府間に於てもかくの如くして物資の交流が行はれたいものだと思っています。目下沖縄で経済会議が行はれて居ります。其内容は公表されていないので全く不明でありますが、今回の会議によって貿易の将来に光明を見出すのではないかと之亦想像して居ります。
次に終戦以後に於ける郡民の保健衛生並に生産と直接の関係を持っているマラリア撲滅に就て最近の概況を報告いたします。終戦後一年間はマラリアの猖獗、天然痘の流行、医薬品の欠乏等甚だ憂慮されるものがありましたが、軍政府の援助と関係職員の努力によりまして今や天然痘は其姿を見ず、医薬品は軍政府から絶えず補給して貰ふことが出来る様になりました。八重山開発の癌であるマラリアに対してはどうしても根本的対策を講ずる必要があると思い、衛生部長のアノフェレスの分布調査に基く新しき方法によって、去年の十一月より石垣島を初め全郡島に作業を実施しました処、僅か一年足らずしてマラリアの著しき減少を来し、現在では戦前に嘗て見ることの出来なかった良好なる状態に立至っています。之本郡のため慶祝に堪えない次第であります。之も要するに軍政府が多量のアテブリン及DDTを補給して貰ったお蔭と郡民の協力によるものであり、現在迄の作業成績より観る時に八重山をして楽土無病地になし得るのも遠くはないと確信して居ります。
尚公立病院を設置することに郡民多年の希望であったと覚えています。依って政府は住民に医療の便宜を図り、以て郡民の保健の向上を図るべく去年より計画していたのであり、公立病院の前身たるべき慈善病院を軍政府の諒解を得且つ三棟のコンセットの補給をも受けることが出来、近く建築して一日も早く住民をして其恩典に浴せしめ度いと思い、其経費の更正を本議会に提出してあります。
更に電気課の発電機の破損に就ては予て紙上で公表しました通りでありまして、石垣市民に対しては少からず迷惑をかけまして誠に申訳ないと思っています。之も器(ママ)械が老朽機械でありましたので如何ともすることが出来なかったのでありますが、政府としては之が復旧に対し有ゆる努力を払っています。漸く最近二〇〇馬力の機械を見出す事が出来ましたので、之に就て修理すべき部分を修理して設備に着手する予定でありますので遠からず復旧するものと思います。
教育方面は郡民の協力と教育家の努力によりまして日一日と向上しつつありますが、未だ戦前の域には設備其他の点に於て到達していないのは甚だ遺憾であります。之も亦時の推移と共に漸次向上し得るものと思っています。現在一部に六・三制、亦他には六・二制をしいていますが、宮古沖縄の学制よりして近く改制せねばと思いまして、教育審議委員会に研究を御願いし度いと思って居ります。尚是迄教科書の不足の為甚だ困っていましたが、軍政府の援助によりまして本年八月頃多量の日本教科書を入手することが出来まして配給しております。是だけでは不足ではありますが何とか間に合ふ事が出来ると思っています。
通信方面は終戦当時は全く杜絶していましたが、世態が平生に帰すると共に必然的に復旧せねばならない様になり、現在では宮古、沖縄、日本本土とも通信をすることが出来、又郡内に於ける無電局も復旧し、更に鳩間島に無電局と灯台を新設することが出来ました。各離島にも将来無電局を設置せねばならぬと思いますが、財源と器械類を見出すことの出来ないので未だ着手して居りませんが、交通不便の波照間島に於ける無電局の設置は急ぐべきではないかと思います。
以上報告致しましたやうに、有ゆる方面に復興しつつあることは之偏に軍政府の指導援助並に郡民各位の御協力によるものでありまして、此の機会に軍政府並に郡民に敬意と感謝を捧げる次第であります。
尚現在八重山民政府を預っている私並に民政府職員は、今後も郡民の幸福と繁栄の為に軍政府の指導援助を得まして如何なる困難をも排撃して最善の努力を払ふ決意を持つものであります。就きましては議員各位には常に吾々を指導鞭撻せらるると共に協力を与へて貰わんことを切望して報告を終り度いと思います。
会 議
(総務部長、議長席に着き会議に入る。)
◎議長 第四諮問案に移ります。
◎総務課長 予算編成に当り概略御説明申上げます。今回追加更正予算を編成する様に命を受けまして、早速各部長より資料を纏め只今知事より示された編成方針により編成してあります。歳出に於ては職員費に於て現給の五割増給を見込み、六ヶ月分九七一、四三六円、賞与二〇割として六五〇、〇〇〇円を計一、六二一、四三六円を追加計上してあります。各部の経費に付申上げますと
総務部費 四九四、五八〇円
地方裁判所費 二三、〇〇〇円
治安裁判所費 八、七六七円
刑務所費 七一、八六〇円
財務部費 一七六、〇〇〇円
文教部費 七四、九六〇円
高等学校費 二六、五〇〇円
初級高等学校費 二三、〇〇〇円
農林高等学校費 二二、七二〇円
実業高等学校 二、〇〇〇円
初等学校費 一〇、〇〇〇円
臨教 一七、四〇〇円
警察部費 九九、〇〇〇円
産業部費 五九〇、三〇〇円
衛生部費 二〇五、〇〇〇円
逓信部費 二〇三、七六五円
商工経理部費 七五、〇〇〇円
予備費 二二〇、〇〇〇円
合計三、九七五、二八八(ママ)円追加となり歳出追加更正予算高は一二、二五四、八七八円となります。次に之等の経費を賄ふ歳入財源と致しまして
財務部の税収入 一、五八一、九〇〇円
督促手数料及延滞金 二、五〇〇円
桟橋使用料 八、〇〇〇円
過年度収入 三五六、三五三円
雑収入 五、〇〇〇円
前年度繰越金 七一八、四三五円
経理課納付金 一、五五〇、〇〇〇円
登録税 二二、六〇〇円
民事訴訟用印紙法税 四〇〇円
過料 九〇〇円
産業部の雑収入 一九二、〇〇〇円
衛生部の軍政府薬品代 五〇、〇〇〇円
合計四、三一五、二八八(ママ)円の財源でありますが
電気瓦斯税が当初予算より二〇、〇〇〇円減
酒税 一〇〇、〇〇〇円減
砂糖消費税 七〇、〇〇〇円減
電気課納付金 一五〇、〇〇〇円減
計三四〇、〇〇〇円の減になります。
故に三、九七五、二八八円の歳入追加となり、歳入追加更正予算高 一二、二五四、八七八円となり歳入歳出差引残なしで編成してあります。
◎議長 各部の追加更正予算は各部で順を追ふて説明して戴きます。
(各部長歳入歳出追加更正予算を説明す。)
◎六番議員 今議会諮問案の大要は官吏の五割増俸が主の様であるがこれによって官吏教員の生活保証は充分と思うか。不充分乍らも一応これだけ上げようと思うのであるのか、又五割増俸は各職員に対し一律になされるものであるのか、それとも差別をつけるものであるか、又之まで給料以外に優遇即ち衣料の特配、アメリカ煙草の配給等があるが其内容を承り度い。
尚民政府の五割増俸は市町村役場に及ぼす影響が考へられますが、之等との比較相違はどうであるか、又市町村の財源はどうであるか。
○議長 五割の増俸に対して申上げますと生活を合理化して一〇割の増俸しても生活は苦しいのである。要は財源の問題であり財源が許さないので、これで我慢する積りであります。一律に増俸するか否かの問に対しては職員の勤怠振りによって増俸致す考へであります。そうすることにより職員に責任感を持たしめ充分に能率を上げて見たいと思ふのであります。
市町村職員との俸給の比較に対しては之まで民政府職員は他方に比較して低い様であります。市町村の財源に就ては市町村長の参与の方に答弁して貰います。
○牧志参与 今の処充分に検討しておりませんから確答は出来ません。
○星参与 現在大濱町では町民税一〇〇円でありますが四〇〇円までは大丈夫出来ると思います。
◎十番議員 電灯問題に関し前から色々と新聞紙上で見、話も聞いて居り又今日知事さんからも一五〇馬力の話を承っていますが、それが修理完成の暁は従前より石垣市内は明るくなりますか。
○議長 破損した発電機は一五〇馬力で現在修理中の機械は二〇〇馬力であります。電気課の方で説明願います。
○電気課長 二〇〇馬力の機械を入手して居るのでありますが、近く完成して従前より明るい石垣市にし度いと思ひます。完成後は平得、真栄里方面にも送電する計画であります。
◎十番議員 学制の六・三・三制度に対し南西諸島はどうなっていますか、其実情を承り度い。
○文教部長 日本、沖縄、大島、宮古もすべて六・三・三の制度を実施しています。
◎十番議員 こちらの方ではどう云ふ計画を持っておられますか。
○文教部長 この問題に就ては幸い沖縄本島に出張した石垣課長の実情調査をも俟って、近く教育審議会に審議に附する計画であります。私達の希望としては六・三・三の制度に致し度いと思います。
◎十番議員 義務制になると云ふがこれはどうか。
○文教部長 最後の三を除く六・三は義務であります。
◎議長 アメリカでは教育は義務ではなく権利だそうであります。
○十番議員 実校はどうなるのか。
○文教部長 其件に就ても教育審議会で決定し度いと思います。
◎十番議員 教科書の問題でありますが全生徒に亘る様に軍政府へ陳情したらどんなものでせうか。
○文教部長 全生徒に配る事の出来ないのを遺憾に思います。日本本土でも五人に一冊の割だと云ふ事であります。教科書は当分来る見込はありません。昨日の船で第二回の教科書が入荷していますが、皆高等学校用のものであります。教科書の配給が少いので今度来た教科書は各学校で管理して貰ふ様にしてあります。
◎七番議員 税歳入の増加約六〇〇、〇〇〇円は新に課税をするものでありますか、それとも既に決定済のものか。
○財務部長 之までの決定済のものであります。
◎六番議員 八月末借入金の総額はいくらになりますか。
○会計課長 借入金は二二〇、〇〇〇円であります。
◎十五番議員 本更正予算は民の負担として重くはないかどうか、物価昂騰により止むを得ないものがあるが、それよりも物価昂騰の原因を考究し、物価対策、食糧対策を建てて貰い度い。鰹節や下駄に対する物品税は民政府が勧業方面に力を入れておられない様に思いますが、どうでせうか。従来は補助をして勧業に力を入れたものでありますが僅か十四、五万円しかないのはどう云ふ訳か、勧業方面の政策を承り度い。
○議長 低物価政策に対しては二回に亙り実施致しましたが二回とも失敗致しました。此の問題は八重山のみの事でなくオール琉球すべて其通りであります。今度オール琉球の経済会議が行はれていますが近く此の問題に関し解決がつくものでせう。
○産業部長 主要食糧の対策に就ては水稲の原々種を育成して其れを一般農家に配布し増反、増収をし度い。今年度の食糧不足は旱魃、暴風、病虫害等によるものであります。甘藷は九月以降の肥培管理、増反により食生活を間に合せ度いと思います。全住民が終戦当時の気持で増産をし、軍政府よりの食糧の増配により今年度を切り抜けて行き度いと思います。
○財務部長 担税力に就ては税を担当する者として有ゆる方面から研究して税を決定しています。昨年から今年にかけての納税成績は従来に見ざる好成績であります。税法に依る税率も他郡に比較して低いもので担税力は余裕があるものの様であります。鰹節に物品税を課しているのは鰹等が主食ではなく調味料で、消費者負担のもので生産者に影響はないものと思います。税率は百分の五でその他の物品税は百分の一〇であります。
◎十四番議員 家屋税及宅地に対する税率はどんなものでせうか。
○財務部長 市街地と農村とは異なります。
◎五番議員 地租家屋税は明らかに安い。不公平と云ふても良い。財務部長はどう御考へですか。
○財務部長 地租、家屋税は賃貸価額によるものであります。
◎七番議員 五割の増俸をしても尚生活は苦しいと思いますが之に甲種勤労所得税がつくのはどう云ふ訳か。
○議長 官吏の所得税は年三〇、〇〇〇円しかないのであります。其位の額は官吏として良心的に考へて持たねばならないと思ふ。
◎五番議員 俸給者一人に対するペイを算定して欲しい。
○官房長 算定してあります。一月四、七七一円入ります。それは配給品は公定値で計算し農耕による収入を差引いたものであります。
◎十五番議員 課税は各方面に実情調査の上賦課して欲しい。滞納者の出るのも不公平な点から出るものと思います。
◎六番議員 警察部長、衛生部長に御尋ねし度いのでありますが、最近こそ泥大泥が続出している様でありますが、其原因は何によるものでありませうか。従来八重山に住んだ者に多いのかそれとも外から入って来た人に多いのでせうか。次に結構な慈善病院の構想に就て御説明願います。
○警察部長 最近こそ泥大泥が多くなっているのは事実であります。其細い数字は持ち合せていませんが原因は生活苦から来たものが多く、宮古、沖縄よりの最近の渡航者に多いのであります。
○衛生部長 近く開設の運びになる慈善病院の敷地は郵便局南西西(ママ)側に建てる予定で、建物はコンセット三棟を廊下でつなぎ書記一人、看護婦二人、医師一人の陣容であります。内部は診察室、薬局、事務室、手術室、レントゲン室、理学的検査室、花柳病入院室になって居り、料金は厚生家庭は無料、一般の経費診療は解放し、薬価は市価の五割程度にこぎつけ度いと思っています。尚無医村への出張診療、遠隔地への病院車の使用運行も考へています。開院時期に就ては山城土木建築課長に御説明御願い致します。
○土木建築課長 コンセット建築は経験もなく色々と心配しています。材木の到着次第一ヶ月位では出来得るものと思います。
◎十番議員 産業部長にお尋ね致しますが、今回農事実行組合に配給になりました蔬菜の種子は全部発芽が無いのであります。又市場から購入しても高価なもので一般農民が困っています。故に当地で生産採種出来得る種子は農事試験場で採取して下さいまして分配して戴き度いと思います。
○産業部長 日本内地から野菜の種子を送って貰ふ様に再三軍政府へ陳情してあります。当地で採取出来る種子は此処で採取したいと思います。
◎七番議員 予てからマクラム道路は民政府に移管されると云ふ事でありますが、現在はどちらも手を入れてない様ですがどうなさる積りですか。
○議長 財源がないので今の処どうにもなりません。
○産業部長 六月に移管の申請が来ていますが、別に移管するせないは別問題にして財源の見通しがつく間両方で管理し度いと思います。
◎十一番議員 水産奨励費が新規追加更正予算として出来ていますが水産業者に対し結構な事と思います。次に水産業者に諸物資を配給して貰い度いのです。特に八重山住民の蛋白質の補給をしているクリ船業者のモーター付のクリ船に対するガソリンの配給は以前はありましたが、最近ガソリンの配給がないので其配給をして下さいます様御願い致します。
○議長 ガソリンの配給は減っています。ガソリンは主として復興事業に協力する者のみに配給することになっています。
◎十五番議員 暴風等による船舶の救助はどこがなすのであるか。
○警察部長 水難救護の主体は市町村でありますので近く計画を樹立してやって行き度いと思います。
◎六番議員 電灯に就てでありますが、八重山民政府の取扱っているのは元九州配電より縮小されている様でありますがどんなものでせうか。
大濱、宮良、竹富等で発電している様であるが民政府が許可しているのであるか、その許可はどこがするのか、電灯のない島にはケロシンの配給をして欲しい、又八重山全島に電灯を与へられん事を希望す。
○議長 企業の認可は商工経理部の商工課がやります。
○商工課長 竹富、大濱、宮良の部落には認可してあります。
○経理課長 ケロシンは灯火用としては使用していけない事になっています。ケロシンはガソリンに次いで配給がうんと減らされていますので、電灯の無い所も従って配給が出来ない様にあります。
◎十五番議員 今の処一ヶ年余り電灯のない生活をしています。どうにかして陳情でもして戴けないでせうか。
◎十四番議員 民政府職員は薄給であり今度五割増俸しても尚生活は苦しいのではないかと思います。財務部は努力して一挙に一〇割増俸して欲しい。
○財務部長 財源を見出した上で研究の上考慮したいと思います。
◎七番議員 食糧対策について希望事項があります。生産意欲昂揚からして芋の過剰の場合の対策としての芋の郡外搬出及加工による貯蔵等を民政府当局が考へて下さるならば、今度の様な食糧不足にはならないと思います。綿密なる増産計画、作付反別等の実際踏査をして下さい。
◎十八番議員 今度の暴風により大濱村の護岸は相当崩れました。其護岸に使用してある資材はどこが管理をするのでありますか。
○産業部長 土木関係、林業関係の維持管理は市町村当局がなすべきであります。
◎議長 審議に移ります。
◎五番議員 質問がない様ですから原案可決して欲しい。
◎議長 御異議のないものと認め第四諮問案を可決致します。
◎議長 第五号諮問案に移ります。
(総務課長諮問案第五号朗読)
◎五番議員 諮問案第五号は原案可決して貰ったらどんなものでせう。
○議員全員 賛成
◎議長 御異議がない様ですから諮問案第五号を可決致します。
◎議長 諮問案第六号に移ります。
◎五番議員 諮問案第六号は参事会で会計検査の上承認して貰ったらどんなものでせう。
○議員全員 参事会に委せ度いと思います。
◎議長 それではそう致します。本日の議会は之で終り度いと思います。
◎知事 本日は御忙しい処多数御出席下され熱心に審議して下さいまして有難う御座居ます。
(閉会 午後五時三十五分)
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