- 組織名
- 八重山議会
- 開催日
- 1948年02月24日
(昭和23年)
- 会議名
- 1948年2月24日ー26日八重山議会[1]
- 議事録
- 一九四八年二月二十四日-二十六日八重山議会会議録
一九四八年二月二十四日・二十六日八重山議会会議録
諮問案第一号
八重山民政府歳入歳出予算の件
一九四八年度 一九四八年四月一日一九四九年三月三十一日八重山民政府一般会計特別会計歳入歳出予算別紙の通り
一九四八年二月二十四日提出
八重山知事 吉野 高善
諮問案第二号
石垣港営造物使用料徴収規程制定の件
石垣港営造物使用料徴収規程別紙の通り制定せんとす。
一九四八年二月二十四日提出
八重山知事 吉野 高善
八重山議会会議録
一九四八年二月二十四日
出席議員
吉本 吉山 柴田 米三
大濱 用立 大田 守松
崎山 英保 喜舎場永珣
玉城 仁榮 阿良 正二
仲本 信幸 幾乃 伸
本若 榮包 山城 興常
欠席議員
成底眞加良 新城 永吉
池間 榮三 與那國 修
玉代勢太郎 大濱 賢仁
出席参与
翁長 信全 宮良 賢副
大濱 信賢 與那國善三
眞玉橋朝珍 大濱 信光
崎山 用喬 富本 勉
天久 朝美 眞喜屋實清
神村 高祐 宮良 長重
石垣 英政 桃原 英佑
大山永太郎
欠席参与
浦崎 榮昇
開会 午前十一時三十六分
◎知事 本日は一九四八年度の予算其他審議して戴くことになり御出席下さいまして有難うございます。議会議員の定数十八名でありまして其中宮城議員が治安裁判所判事就任の為辞任され、其補充として吉本吉山氏申請中の処十一月六日認可となりました。御知らせ致します。
本会は出席議員十二名(途中一名出席)、欠席六名で議員定数の過半数以上出席に付開会を宣す。
本議会の参与員に各部課長、各市町村長を命じてあります。記録係に大濱事務官、池村事務官を命じてあります。
予算編成方針の大要を申しますと、財源等の関係で新規の歳出要求を抑へ已むを得ざるもののみ計上した。
増加の分即ち新規費用を申しますと職員費に於て一割五分の増給、学級増加に依る自然増、参事会費、臨時英語理数科教員養成所費、慈善病院費、商工経理部に水産課を増設等であります。尚予備費を新しく掲げ臨時増加に充てる。歳入の主なるものは税収入、経理課納付金、各事業部納付金、逓信部の収入、前年度繰越金であります。以上申上げ開会の挨拶とします。
会 議
(総務部長、議長席に着き会議に入る。)
◎議長 第一諮問案に移ります。
○総務課長 私から朗読致します。
(第一諮問案を朗読す。)
◎議長 予算は全般的に朗読して各部毎に御審議を致したいと思ひます。
◎議長 財務部長より説明をお願ひ致します。
◎財務部長 財務部予算課として本予算編成の経過を申します。
民政府としての方針は知事よりお話のあった通りであります。
各部より資料を集めました。各部への通牒の内容は本年度の予算は前年度当初予算を基準とすること、新規事業は知事の認可を受けたる物なる事として資料を集めたのである。
第一回部長会議を開き各部よりの提出した予算資料を発表検討をなしたが、歳入予想高が五、七五〇、〇〇〇円で各部よりの要求の数字は一〇、三七〇、〇〇〇円で歳入見込高の約二倍に当った。それで編成はどうしても出来ない状態で更に各部で検討する事として終った。それが第一回の部長会議であった。第二回の部長打合せを更に開きました。
教育厚生部の農林高等学校の自然増加に依る二学級増の校舎費三四〇、〇〇〇円。これは完全なものは難しいから当分バラック建のものとする。そうして復興費を持(待カ)つか民政府でするかにする。それで今三四〇、〇〇〇円のものは考へておき一〇〇、〇〇〇円とする事にする。
刑務所移転費の六四〇、〇〇〇は多額の費で出来ないから見合せた。試験場の保安林育成費を減じて二〇、〇〇〇円にした。
其外慈善病院六〇、〇〇〇円、マラリア撲滅費として六四〇、〇〇〇、試験場費三三〇、九〇〇円の要求があった。試験場費は一八〇、〇九四円に縮小した。救護院の方が薬品の調剤等で建物を移すと云ふのであったが出来ない。体育費の奨励費の方で二〇、五〇〇円、修繕費は暴風雨の多い所であるから幾分認める。慈善病院は必要である。投薬手数料も入るし必要でもあるから認める。
マラリア撲滅の方は幾分減少する。土木農林部の裏石垣の道路をきり開くと云ふのは幾分減少すると云ふ様に話合が済んだ。
更に歳入見込額五、〇〇〇、〇〇〇円に就き再検討をなし各部からの経費も削減することにする。
歳入は再検討して七、〇〇〇、〇〇〇円になる。支出とにらみ合せて尚、二、〇〇〇、〇〇〇円の差額があるからそれをどうするかと云ふ事を考へた。経理部は衣料が来たので一、六〇〇、〇〇〇円入る事が見込がついたが後一、〇〇〇、〇〇〇円はどうするかと云ふ事になり年度内に収入が入ったら追加更正しようと云ふので第三回の打合せをなした。それが参事会員各部課長打合せに出したのである。以上編成の経過を申上げます。今年度は一般会計と特別会計を別々に計上した。一般会計は前年度に比較すると当初予算は各部に入りますと先づ総務部に入りまして、総務部は前年度は三〇、一〇〇円本年度は七〇、一〇〇円差額四〇、〇〇〇円、それを内訳して見ますと裁判所、刑務所を見ると二〇〇、〇〇〇円、総計にして五四〇、〇〇〇円になります。
財務部に於ては前年度は三、九〇〇、〇〇〇円本年度は七、一三〇、〇〇〇円其差額五、二三〇、〇〇〇円、(三、二三〇、〇〇〇円カ)教育厚生部の方は前年度六〇、八〇〇円本年度は一八〇、八〇〇円その差額一二〇、〇〇〇円、土木農林部は前年度は一〇〇、三〇〇円本年は一七〇、九〇〇円差額は七〇、六〇〇円、衛生部では前年度は二〇、〇〇〇円本年度は一一〇、三〇〇(ママ)円其差額は九三、〇〇〇円、逓信部は前年度は二〇二、〇〇〇円本年度は四五五、〇〇〇円其差額二五三、〇〇〇円であります。歳出の方は総務部は前年度は三三〇、一〇〇(ママ)円本年度は五四二、〇〇〇円差額二一一、〇〇〇円(ママ)、財務部の方は前年度二五八、〇〇〇円本年度四八四、〇〇〇円差額二二六、〇〇〇円、教育厚生部は前年度一四〇、〇〇〇円本年度は二〇〇、〇〇〇円差額六五、〇〇〇円(六〇、〇〇〇円カ)、土木農林部前年度四六九、〇〇〇円本年度九七〇、〇〇〇円差額五〇五、〇〇〇円(五〇一、〇〇〇円カ)、衛生部は前年度三三九、〇〇〇円本年度は七五〇、〇〇〇円差額四一一、〇〇〇円、逓信部は前年度九七、〇〇〇円本年度は四〇八、〇〇〇円差額三一一、〇〇〇円、商工経理部本年度は一五〇、〇〇〇円前年度九〇、〇〇〇円差額六〇、〇〇〇円、職員費は今年度は総予算の四割九分六厘に当りそれを計上してある。
教育厚生部の方を内訳すると高等学校が前年度が九、〇〇〇円今年度は五九、〇〇〇円で五〇、〇〇〇円の増になっている。初級高等学校が前年度は一二、〇〇〇円本年度は三九、〇〇〇円で二七、〇〇〇円の増である。農林高等学校の方は前年度は二三、〇〇〇円本年は六八、〇〇〇円で四五、〇〇〇円の増している。実業高等学校前年度六、〇〇〇円本年度一一、〇〇〇円で五、〇〇〇円増している。
初等学校前年度一四、〇〇〇円本年度六三、〇〇〇円差額四九、〇〇〇円、臨時英語理数教員養成所費二、〇〇〇円である。更に前年度には予備費がなかったが今度は前年度に照し困った事があるから予備費を置く様にした。前年度に於て後で追加更正が許されなかったので非常に困った。それで今度は予備費をおく様にした。
◎五番議員 民政府の財産目録と云ふのが出来て居りませうか、それが出来て居て我々議員にも見せてよいものならば、沖縄県にもあったがそれを見せて戴けば此の一ヶ年の収入が見当がつくと思ふから出来て居ましたら見せて戴きたいと思ひます。今一つは一九四七年度に於て郡民全体の総所得が凡どの位あるかと云ふ事はかねてお願ひしてあったがそれが出来ていたらお知せ願ひます。
○財務部長 財産目録は出来て居ります。
前年度の総所得は前年度は一六、六〇〇、〇〇〇円分類所得と綜合所得と二重になる事がありますから分けてある。
◎十七番議員 財産目録の話があったがそれの移動を明らかにしてその収入等も記し、その収入よりその処分に就ては知事の決裁を得て一部は議会に提出して回覧させてもらひたい。収入は今年の初め頃は米軍物資が六月頃からは当にならないとの話があった。此の米軍物資よりの収入が大であったが、それがなくなると人員を縮小しなければならないと憂慮されていたが、今度は幸に衣料の配給があったから良いものの此れは将来になってないとするとそれからどうするか、これは唯その場になってはどうにも出来ない。米軍物資が入らなかったならば我々は、民政府はどうするかそれを承りたいと思ひます。
○財務部長 米軍物資が入ったので一、六〇〇、〇〇〇円入ったのであります。これが入らなかったなら一、六〇〇、〇〇〇の欠があるのでありその事に就ては知事に於ても考へていることと思ひます。又議員の方も考へて居られる事と思ふ。財務としては税率を増す外は仕方がない。人件の云々は私としては申されませんが財務として税率を上げる外はないと思ひます。
◎十七番議員 其外に計画を承りたい。
○議長 職員の削減と学校の面に於ても余り拡げ過ぎた嫌があります。六・三・三制度が近く行はれると云ふ事も聞いている。
農林高等学校も四年で行くかどうかそれも考へ又税の方も考へています。
◎十七番議員 議長から答弁もありまして、人民の負担も財務部長から話されたが所得税が昨年より増になって、又米軍物資による一、六〇〇、〇〇〇円がなくなれば此の一、六〇〇、〇〇〇円を税とするとすれば、去年の倍の税に更に又一、六〇〇、〇〇〇円を負担しなければならないのであります。それに就ては学校の改廃、機構の縮小をする此の外にはないが、これに対しては前もって準備し此の際になって混沌としてはならないと思ふ。
毎年人件費が総予算の四割になっているが機構を拡げる事は易いが縮小するのは難しい。それで事前から其準備をしてもらひたい。一例を上げて見れば治安裁判所の西表の如きもあまり必要でない。軍政府の命であれば一応は受けて軍政府に必要如何を申上げたら出来るのではないか。
◎二番議員 予算歳出面を見ますと、漁業問題は一つも見当らない。漁業は我が八重山の発展の鍵と云はれて居るが近海漁業のものであって、これもどの程度どの方向にされる積りでありませうか。
○水産課長 従来当郡として余り水産関係に余り力を入れていなかったので此れからの問題でありまして、試験場もしなければならない様でありまして、水産行政と試験場とは別個に考へなければならないと思ひます。第一に海洋の調査であります。昨年の不漁がどの原因であったか判らない。其海洋の調査に就て大体の見当はつくが判然としない。其他漁業の方法に就ても、又従来やって居た海綿真珠の養殖、資材の面は軍政府当局にお願ひして戴く積りであります。
○商工経理部長 歳出の面に於て商工経理部の調査費があります。それを有効に使用して行きたいと思ひます。
◎十五番議員 歳入歳出にわたり目を通し大体わかりましたが事業部の歳入が大をなして居る様であります。此の事業部の歳入は直接にでなく間接に郡民から出て居る様であります。所得の総てぎりぎりの面まで行って居る様です。此の点充分御研究をして戴き、水産業に対して予算がないのは我々は非常に残念に思って居ます。課長の計画も出来ないと思ひます。当局は此の予算面から見ましたら水産業に関心を持たないと云はれても仕方がない。土木方面より奨励費を出してもらひたい。
◎十七番議員 水産に就ては私はかねて痛切に感じて居るが従来三噸製氷があったがそれが戦争の為になくなって、最近かじきに漁民が力を入れてそれを塩漬にして居るが、民政府に於て官民と会社を起そうと言ふ計画はないか、なければ早くやって欲しい。漁獲物の貯蔵に就てよく聞かされるから申上げる。
○商工課長 マッカーサー司令部の方から軍政官が見に来られて、その際に石垣島に一五噸与那国に一五噸工場をつくる。これは八重山の経済としては難しい。それでこれはどうしても軍政府より資材等を得てやって行きたい。
◎十七番議員 一五噸工場は二つは八重山に持って行けるか。
○商工課長 出来ると思ふ。
◎十七番議員 一五噸工場が二ヶ所出来るとすれば其売りさばきはどうするか。
○商工課長 蛋白質の足りない沖縄に持って行かれると思ふ。
◎十七番議員 一五噸工場に責任を持たせるか。
◎二番議員 実際私共は個人個人出来ない面をやって行けば出来ると思ふ。沖縄は海洋産物に待つと思ふ。民政府におかれては軍政府に陳情して水産部をおきその方面に各個人個人の出来ない所をやって欲しい。
◎五番議員 農務、林務、水産が本郡の根幹となるものであるから別々に離れてはならないと思ふ。一つの部に入れておいて組織に入れて置かないといけないと思ふ。水産課は議長は先般は水産部にして上げると言はれた事と思ふ。どうしても水産方面に計画をたてられて追加予算に出される事をお願ひします。
◎十七番議員 知事のお答弁を煩はしたい。昨年生活改善が叫ばれ私は毎日毎日物価が上るが、それに対して何等かの対策がなかったならばいけないと思ひます。それに対し物価停止令と云ふ物がされたが何等の事もない。かへって物価は上って居る。民政府許可の要った理髪料も上げて居り、それにつれて諸物価も上がって居る。それでは四割の人件費もどうかと思ふ。
○知事 唯今のお話の通り生活改善委員会におきましてどうしても物価を下げなければならないと思ひ、私としてもしかるべくしたいと思ひまして臨時物価停止令、臨時物価表示令を十二月二日参事会を経て早速長文の電報で軍政府にお願した。文書にしてお願もしたが、これまで軍政府から実施して良いとのことを承っていない。大体次の様に思っている。八重山が臨時低物価停止令をしても、宮古におきましては八重山と同一歩調をしなければならないだらう。私が考へて見まするに一九四七年十一月二十日停止しても、おとなりと交通頻繁であるから宮古に物資が出てしまひ、八重山は主要物資の欠をいたす結果になる関係から宮古と同一歩調しなければならないとの軍政府は考へて居られるのではないかと思ひます。宮古では余り関心持って居ない様である。軍政府ではそれで慎重にして居られるのではないかと思ひます。何しろ宮古と歩調を揃へなければならないと思ひます。
○衛生部長 物価は総体的にしなければ難しいと思ひます。豚脂肪八〇円普通赤肉七〇円旧正月は一二〇円やったと云ふ。昨年から八〇円であります。それは全体的にやらなければどうしてもならないと思ひます。
◎十七番議員 参事会の時も本郡だけでも宮古民政府にも働きかけ公定をするのではなく、これ以上上げないから宮古と協定したいとの事であるから、宮古よりは八重山が高いと云ふ事もある。沖縄本島から衣料がこちらに持ってこられ相当高い値で売られている。復興事業に就ても材木大工等高く上げられ当局も苦心されて居る様である。当局も総務部長でも宮古に行かれて協定してやってもらひたい。
◎議長 油が安くなった、運搬賃、製材が安くなった、これは試験済であり、それは増産の面からも考へねばならない。(軍政府への電文を朗読す。)
(午後零時二十五分議長休会を宣す。明日休会したいと議員に諮り全議員賛成で明日休会とす。二十六日午前九時より開会する事を通知して午後休会をなす。)
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