戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年11月22日 
(昭和26年)
会議名
第6回八重山群島議会(定例会)[2]
議事録
一九五一年十一月二十二日開議

議事日程第二号
  午前十時二十五分開議
 第一 議案第七十五号 砂糖及び砂糖容器検査条例制定について
 第二 議案第七十六号 八重山群島登録税条例制定について
 第三 議案第七十七号 八重山群島政府手数料徴収条例の一部改正について
 第四 議案第七十八号 公有水面使用料徴収条例の一部改正について

議決の顛末
◎議長(潮平寛保君) 一番議員は追って見える筈で、議員過半数御出席でありますから開会いたします。(午前十時二十五分)
  (書記長(田盛正雄君)出席議員の報告をなす。一番議員(石垣用中君)の外全員出席、参与の報告をなす。別記の通り)
◎議長(潮平寛保君) 先日当局から要望がありまして日程を変更し、議案第八十三号、議案第八十二号を先に審議したいと思いますが如何しますか。
◎佐久眞長助君 先の議会で議会に常任委員会を設置するよう条例が制定されているので今会期の初めに委員会を構成して、その委員会でこの議案は研究して後に審議しては如何ですか。
○議長(潮平寛保君) 二番議員の欠員によって委員会の構成に支障を来しているから、その補欠選挙でも済んで全員揃った時に常任委員会の組織をした方がよいと思います。
◎佐久眞長助君 委員会は一部、二部、三部に分れているから各部四名宛として各議員が二つの部に入るようにせば委員会の組織は出来ることになります。
◎古見石人君 先の議会で委員会をつくるよう議決してあるのでありますが、議長から話があったように二番議員の欠員によって委員会の構成は支障があると思われます。追って補欠選挙も行われることですから、委員会組織は後回にして補欠選挙後にした方がよいと思います。政府の要望でありますから議長の意見通り議案第八十三号、八十二号を先に審議するよう日程変更することに賛成をします。
◎大山眞整君 議事日程の変更をする必要があるのは、その内容に如何なる理由があるのですか。
○副知事(當銘正友君) この件について希望を申し上げます。
 議案第八十二号の警察本部長任免条例制定を先に審議していただきたいというのは、現在警察は公安委員会が出来て新しく組織機構をつくるべく努力を続けているのであります。この人事の組織については警察の組織機構を整える上に重要なことであるし、又民政官府からも先般文書を以て、この条例制定につき示達されており、係の将校からも公安委員会に対し制定を急ぐようにと助言があったようであります。そこで警察の組織機構を整える上にこの条例は一日も早く制定したいと思うのであります。附き加えておきたいことは、警察基本法第一二六条の条文に警察本部長は公安委員が任命するとあるのは、前の議会に出したものであるが、これは民政官府から任命は任免の誤訳であるということが示されて居りますのでこの条例の制定を先に審議していただきたいのであります。第八十三号議案については、これも同様に目下警察においては新しい組織の整備に公安委員会並びに警察本部が努力しているのでありまして、その警察監督の任に当る公安委員会をして警察の組織を整えさせるためには、公安委員会の組織を整備し、その機能を発揮させることが急務であると思うからであります。
  (一番議員石垣用中君午前十時三十五分遅参す。)
◎佐久眞長助君 議案第八十二号は議会として十分研究し慎重を期さなければならぬと思いますので、日程の変更をせず、最初定めた通りに議事を進めていただきたいと思います。
○副知事(當銘正友君) 警察基本法によって警察本部次長以下は公安委員会の承認を得て警察本部長が任命するとあるし、その他の警察官の任命についても警察基本法に明示されていますので、日数をかけて研究を要するまでのことでないのであります。
◎石垣用中君 議事日程変更に対し、八十二号議案を先にするということで八十二号議案につき、いろいろ論議されていますが警察本部長の任命が任免になったため、この条例案の第二条を本部長は委員会の定めた警察基本規程に基き一定の事由により委員会がこれを罷免するとして議会の議決を求めることは議会を侮辱していることである。この条例を認めたら委員会のつくった警察基本規程も議会が定めたことになってくるからこれを承認することは如何かと思われるので警察基本法第一二六条に定めた条文によって十分検討すべきもので、しばらくの期間研究を要するものと認めるのであります。
○副知事(當銘正友君) 御参考までに申し上げます。群島組織法第一二四条に警察官の任命、昇進及び罷免に関する規則又は規程は公安委員会が作成権を持っており、組織法の権限内のことであります。組織法に与えられた権限によって公安委員会が制定した規則規程は法律的地位にあるものと吾々は解しています。その委員会の制定した規則規程によって公安委員会が任命罷免することについては議会の権限外のことであると思うのであります。
◎石垣用中君 議会がこの条例をそのまま承認したとき議会の威信を落とすものではないかも知れないが、委員会のつくった規程によって委員会が任命、罷免するこの条例を議会が承認するには研究した後でなければならないと思います。この条例制定についてはこれを否決するというわけでなく、今直ちにこれを承認することは議員として責任を感ずるのであるから、少くとも半日か一日かの余裕をもって研究してから議決したいと思います。
◎佐久眞長助君 先日定めた日程の通り議事進行することを希望します。
◎議長(潮平寛保君) 民政官府から指示もあることであるし、又今まで当局の要望によって急を要するものは日程変更して先に審議して来ている慣例でもありますが如何しますか。
○古見石人君 最初の日の日程によって昨日までに既に研究をなされたことと思います。それで政府の要望通り第八十二号議案、第八十三号議案を先に審議するよう日程変更に賛成をするものであります。
◎大山眞整君 一番議員の意見のように第八十二号議案の第二条の罷免について議員として警察基本法を知りたいと思います。
◎久部良正三君 一番議員、六番議員は議事日程を変更するか、せないかを言及されずに議案の内容についての論議をしておられるが、自分は政府が先にしてくれとの要望である議案を先にするよう日程変更に賛成するものであります。
◎石垣用中君 八十二号議案の論議でなく内容につき研究すべきであるから研究の余裕をおくことを論議しているのであって、日程変更の論点をはずれていないのであります。
○久部良正三君 休憩して話し合っては如何ですか。
◎議長(潮平寛保君) 五番議員、七番議員は日程変更に賛成ですが六番議員は如何ですか。
◎大山眞整君 第八十二号議案の条例の第二条は警察基本規程について研究を要するものであると思います。
◎議長(潮平寛保君) 議員の意見は三対三でありますから議事日程は変更せずに最初定めた日程通り議事を進めます。
 議案第七十五号を上程いたします。
  (書記長(田盛正雄君)議案第七十五号砂糖及び砂糖容器検査条例制定についてを朗読す。)
◎副知事(當銘正友君) 提案の理由を説明いたします。
 黒糖の輸出については従来貿易協会で輸出検査を行っていたのでありますが、品質や斤量或いは包装が不統一のため取引上非常に不便を感じ、琉球黒糖が将来他の含蜜糖と競争して自由市場でその声価を高めるためには検査を強化することが必要で、日本業者からもその要望が再三あったのであります。更に日本の本年度二期三期の輸入公表は黒糖の仕入地を琉球だけに限定してあるのでありますが、之は日本が琉球経済振興を念願する特恵的政策であり、琉球側もそれに応ずるために品質の向上、価格の引下げ、包装規格の統一を計り、琉球黒糖の戦前の声価を挽回することが必要であります。その為、琉球貿易庁では関係方面と協議の結果、従来の民間検査を政府検査に切り替えることにし「砂糖はその生産地の群島政府により行われる品質並びに包装の検査に合格し、各島別の銘柄及び等級を表示したのでなければ之を輸出できない。」旨を琉球貿易庁告示第一号で規定し、その実施方を政府に依頼して来ているのであります。本群島の黒糖の生産状況を見ますと昨年の生産高は二、五九三担で日本に対し輸出された数量は四三八担でありましたが、今期は生産高四、四六〇担輸出高二、七九〇担を予想され更に年を逐うて飛躍的発展を見る趨勢にありますので砂糖及び砂糖容器の検査を行い、砂糖の品質向上と規格の統一を期して対外取引の円滑を計ると共に砂糖生産者の保護を計ることが必要で、全琉的一円規格によって検査を行うように本条例案を作成提案したのであります。尚本案審議の途上で細部においては主任官から説明させることにいたします。
◎石垣用中君 八重山の商品の価値を高める上に砂糖及び砂糖容器検査条例を制定して検査を施行することは時宜を得たよいことと思います。条例案の条文中に研究すべき箇所もあると思いますから休会して審議したいと希望します。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午前十一時五分)
  (休会中に第七十五号議案の砂糖及び砂糖容器検査条例案について質疑と話合をなす。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十一時十四分)
◎石垣用中君 本案は只今の話合によって了解しました。別に異議ありませんから原案可決してよいと思います。
  (「異議なし」の声多し)
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十五号は御異議ないようですから原案可決いたします。
 議案第七十六号を上程いたします。
  (書記長(田盛正雄君)議案第七十六号八重山群島登録税条例制定についてを朗読する。)
◎副知事(當銘正友君) 提案の理由を説明いたします。
 登録税は沖縄群島外二群島では既に日本の現行法により実施していますが、独り本群島は今まで旧法により取扱って来ているのであります。この登録税条例制定については群島政府の歳入の確保ということも考えていますし、尚全琉の他群島と同一歩調を合せて実施することが必要であると思いましてこの条例制定について提案したのであります。税率においては日本の現行法の三分の一の税率に立案をしてあります。
◎佐久眞長助君 質問しますが、不動産の価格の基準はどうなっていますか。
○法務部次長(野國昌一君) 時価になっております。登記所でもあちこちの土地をしらべ時価を定めてこれによって処理しています。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午前十一時三十五分)
  (休会中議案第七十六号の八重山群島登録税条例案について審議す。)
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十一時五十五分)
 議案第七十六号について御異議はありませんか。
  (「異議なし」の声多し)
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十六号は御異議ないようですから原案可決いたします。
 議案第七十七号を上程します。
  (書記長(田盛正雄君)議案第七十七号八重山群島政府手数料徴収条例の一部改正についてを朗読する。)
◎副知事(當銘正友君) 提案の理由を簡単に申し上げます。
 先刻砂糖及び砂糖容器検査条例を制定することに議決なりまして、これからその検査を実施し、検査手数料の徴収をなすことになりますから、本群島政府手数料徴収条例の一部を改正せなければならぬので提案した次第であります。
○石垣用中君 休憩してください。
○議長(潮平寛保君) 正午になりましたので休憩して、午後は一時半開議することにします。(正午)
○議長(潮平寛保君) 開会します。(午後一時四十五分)
 午前に引つづき第七十七号議案の審議をいたします。
◎古見石人君 本案は議案第七十五号に関連して、当然手数料徴収条例の一部改正されるべきものでありまして別に御異議ないものと思いますから原案可決に賛成するものであります。
◎佐久眞長助君 この条例の施行期日を公布の日からとして原案可決してよいと思います。
◎議長(潮平寛保君) この条例は公布の日から施行するとして原案可決してよろしいでしょうか。
  (「異議なし」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十七号は御異議ありませんから原案可決いたします。
 議案第七十八号を上程いたします。
  (書記長(田盛正雄君)議案第七十八号公有水面使用料徴収条例の一部改正についてを朗読す。)
◎副知事(當銘正友君) 公有水面使用料徴収条例の一部改正について説明申し上げます。
 従前の条例には第二条に公有水面の土地の等級を一等地から四等地まで定めて利用させ使用料徴収して来たのですが、この条例制定後、借地人や一般の人から農地等の使用料は高過ぎるという理由で使用者が解約をし、又は解約を申し出てくる者が多いのにかんがみ、この度、等級を七等地まで追加してあまねく利用させたいと思って提案したのであります。現在、石垣市では使用料が高いということは少いのですが大濱町では、その利用している土地が農耕地、原野、山林等でその地質に応じて等級や使用料に異論があるようであります。例へて申しますと、大濱町有地の賃貸料は宮良大座四六級で年反当一円四〇銭(田)、宮良ヤモレー四六級で年反当一円四〇銭(田)、大濱辻アイクル一七級年反当四銭五厘(原野)、大濱浦原四五級年反当一円二〇銭(畑)、大濱南後原二〇級年反当六銭(山林)、大濱底原四二級年反当八〇銭(田)というようになっていまして大きな開きがあるのであります。そこで土地の利用価値において差異があり、石垣市の場合と同一視することは、できかねるのでありますから等級を五等地、六等地、七等地まで追加して使用料を定め、徴収したいと考えているのであります。
○工務部主席次長(宮城光雄君) 現在公有水面を使用している件数は三七件その面積一七、一八六坪四合、使用料が最低等級四等地で坪二円となっています。使用料が高いとの理由で正式に解約したのが一件、坪数八四四坪一合、口頭で解約申出が五件、三、八〇〇坪になっています。これをそのまま解約するとせば使用料において正式解約で一、六八八円二〇銭、口頭解約申出の分で七、六〇〇円、計九、二八八円二〇銭が収入減となります。本年十月末までの使用料の収入は二一、二二四円四〇銭となっていて、このままで行けば歳入当初予算七五、五〇〇円を充たすことが到底出来なくなります。
 使用料が高い理由の例として大濱町有地の賃貸料を参考のため申し上げます。宮良大座四六級年反当一円四〇銭(田)、宮良ヤモレー同上、大濱辻アイクル一七級年反当四銭五厘(原野)、大濱浦原四五級年反当一円二〇銭(畑)、大濱南後原二〇級年反当六銭(山林)、大濱底原四二級年反当八〇銭(田)この例から見て公有水面使用料が高過ぎると思われますから等級五等地、六等地、七等地を追加して使用料を定め徴収したいと思うのであります。
◎古見石人君 只今参与の説明でよくわかりました。大濱町の使用料が高いとのことで、これをそのままおし通せば、次々と解約する者が多くなることであるし、等級を五等地、六等地、七等地と追加されてその等級に応ずる使用料を徴収されることは名案であると賛成するものであります。この条例の施行の日を公布の日からと入れて原案可決することに賛成します。
◎議長(潮平寛保君) 第七十八号議案について御異議ありませんか。
  (「異議なし」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 御異議ないようですから議案第七十八号は条例施行の期日に公布の日を入れて原案可決いたします。
◎久部良正三君 次の議案第七十九号、第八十号は研究して審議したいと思いますから本日はこれで休会しては如何ですか。
  (異議なし)
◎議長(潮平寛保君) 次の議案は研究して審議したいと思いますから本日はこれで休会いたします。明日は午前十時開議することにします。
  (午後二時十五分閉議)

 本日の会議に付した事件
一 日程第一 議案第七十五号
  砂糖及び砂糖容器検査条例制定について
一 日程第二 議案第七十六号
  八重山群島登録税条例制定について
一 日程第三 議案第七十七号
  八重山群島政府手数料徴収条例の一部改正について
一 日程第四 議案第七十八号
  公有水面使用料徴収条例の一部改正について

 出席者次の通り
一 議員
  八重山群島議会
  議 長   潮平 寛保君
  副議長   大山 眞整君
  議 員   石垣 用中君
  議 員   佐久眞長助君
  議 員   古見 石人君
  議 員   久部良正三君
一 参与
  八重山群島
  副知事   當銘 正友君
  厚生部長  崎山  毅君
  文教部長  宮城 信勇君
  工務部長  宮良 英副君
  法務部次長 野國 昌一君
  会計長   宮良 永益君
  税務署長  西石垣正行君
  主計課長  浦崎永八郎君
  経済部次長 石垣 英政君
  工務部主席次長
        宮城 光雄君
  公安委員長 翁長 良整君
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