- 組織名
- 八重山民政府参事会
- 開催日
- 1949年12月24日
(昭和24年)
- 会議名
- 1949年八重山民政府参事会[8]
- 議事録
- 八重山民政府参事会速記録
一 招集日時 一九四九年十二月二十四日 午前十時
二 招集場所
八重山民政府会議室
三 提出諮問案
工務課移動製材機払下に関する件
四 出席会員 山城 興常
柴田 米三
大濱 用立
喜舎場永珣
大田 守松
與那國 修
五 欠席会員 なし
開会 午前十時二十五分
○知事 民政府事業部第一製材の移動製材機の払下に関してお諮りし度いと思いまして招集致しました処どなたも忙しい中をお出下さいまして誠に有難うございます。六名出席しておられますので開会致します。案件の説明については事業部長より説明があります。
○事業部長 第一製材部は移譲と云ふ事になっていますが、軍政府の管理財産であるとか、ないとかで充分納得がいかないのでヘイズ軍政官へ其実状を申上げ払下をする様にしたのであります。
去る十五日第一製材部の払下をする為公売の広告を出しましたが入札希望者がなく全体としての入札は不能となりましたので、移動製材機のみは別にして払下をしました。処がそれも予定額に達せず、定額に達しない時は参事会にお諮りしなければいけないとの事で、本日諮問事項として提出した訳であります。移動製材機の入札の結果は砥板氏が四二、六〇〇円、新崎氏が三八、〇〇〇円であります。
○柴田会員 予定価額はいくらでしたか。
○事業部長 五〇、〇〇〇円であります。
○柴田会員 移動製材機まで一緒にするのが良いとも思ふが、そんなにすると価額が大きくなるので入札者がなく、別々にして払下をする様にしたいと云ふ訳ですね、止むを得ない事でせう。
○山城会員 現在石垣市内でも、個人経営の自動車の運営が困難で与那国に売却している現状であるから、移動製材機の入札者も少いのが当然の様にある。
○大濱会員 今日の参事会は、公売に付したが予定額に達しないからどうするかと云ふ事ですか。
○事業部長 そうであります。
○柴田会員 現在の製材業者は相当に経営困難の様にある。市内で一番活気があると思はれる石垣長泰の処でさえ非常に苦しんでいる様で、長泰自身またおしをしているのでようやく経費を賄っている様である。
○知事 民間復興も大体済んでいる様ですからこういふ状態になったんではないでせうか。
○山城会員 そうともいわれません。カブル板が一二〇円程度で通して来ていたがそれが一五〇円以上になり、杉板が三〇〇円であったがそれも三五〇円になっている。
○柴田会員 現在どこの家でも借家世帯があるが、これらの人々も材木の価額が安くなれば当然自家を建てる事でせう。話によれば近い内にフィリッピン材も相当に入ると云ふ事だし、そうなると云ふと自然に島材も下る事になり、製材業も活況を呈すと思ふ。
○喜舎場会員 フィリッピン材のみでなく、内地材も入って来るんではないか。
○知事 内地材はそうたくさんは入って来ません。輸出に対して其数量に相当する輸入品があるだけであります。そうなると其数量も僅かではないかと思はれます。
○大濱会員 もう少し上げて取りそうにありませんか。
○総務部長 与那国に会社が出来ると云ふ話ですから、それ等に呼びかけても良いと思いますが。
○大濱会員 公売にされず、随意契約でやられた方が良いと思ふが。
○知事 他の人々と折衝していけない場合は入札者に売った方が良いと思ふがどうでせう。
○山城会員 砥板君の買ふ目的はほんとうはトラックでせう。
○柴田会員 農業会が取ったらどうでせうか。
○山城会員 実際に取るなら石垣市が取った方が良いと思ふ。裏石垣の道路が出来たら、相当に利用し得ると思ふ。一口話されたら良いでせう。
○柴田会員 交渉して今の公売価額以上に売る様にして、其れ以上に出来ない場合は砥板氏に譲る様にしたらどんなものでせう。
○知事 その様にしますか。
○大濱会員 今の通りに決める外はないと思ふ。
○知事 それではそう致します。
○事業部長 第一製材の処置をどう致しますか。何か良い方法はないものでせうか。みなさんの意見を承り度いと思ふ。
○柴田会員 困った問題だと思ふ。製材業者は経営困難であるし、従って入札に来る人はないと云ふ事になるし。
○大濱会員 買手がないと云ふ事ですか。値段が高いと云ふ事ですか。従業員の意向はどうですか。取る様にはありませんか。
○事業部長 今の処従業員では取る意向もありません。
○山城会員 営林丸の修繕はいくら位かかりますか。
○事業部長 一四、五万円位はかかります。
○山城会員 牛は別になりますか。
○事業部長 牛は別に致します。
○山城会員 第一製材は今引受ける人があれば非常に良い時期だと思ふ。営林丸の修理も大方出来ているから。
○知事 三木さんにもお話してみましたが、四〇〇、〇〇〇円位でなければ自分は引受けないと云ふています。
○山城会員 加工部は水産業会が取り度いと云ふ希望の様でありますが、どうされますか。
○事業部長 製材の切り端があるから、加工部は第一製材と切り離したらいけないのではないかと思います。
○山城会員 三木氏の長男から聞きましたが自分等はその様な施設は欲しくないと云ふ事でした。そう云ふ人々の話からおして加工部は区分して随意契約によりどんどん処分された方が良くはないかと思ふ。
○知事 唯今の話の様に少しづつ付属物は処分していったらどうでせう。
○大濱会員 船は船、機械は機械として別々にして払下するんですか。
○山城会員 製材機と船とを切り離したらいけないと思ふ。
○事業部長 それでは加工部は切り離して売る様にしますか。
○会員一同 そう云ふ様にした方が良いでせう。
○知事 それでは加工部は切り離して売る様にします。
○柴田会員 話は前になりますが船を売って船を買った人に製材機は一月いくらと貸した方が良いでせう。
○知事 それでは唯今の話の様に船を売って船を買った人に製材機を貸す様にし、若し船を買ふ者がいなければ赤字を出さない程度に現在の事業部で運営していって良いですか。
○山城会員 船を買ふ人と、製材機の人とは別々ではないと云ふ事ですか。
○知事 そうであります。
○山城会員 営林丸は二五〇、〇〇〇円なら買ふ人はいると思ふが。
○柴田会員 事業部の負債はどの位ありますか。
○知事 銀行から八〇〇、〇〇〇円借りてあります。今年度内に三八〇、〇〇〇円は入れる様にとの銀行からの通知もありますので是非集金して納金したいと思います。
○事業部長 未収金を集めてそれで納金は出来ると思います。
○山城会員 第一製材の船と機械との問題は決定的なものではなく、此の問題は又色々と研究した上参事会を招集した方が良いでせう。加工部辺は問題が出ている間に処分された方が良いでせう。
○知事 それでは時間も来ましたし話合も纏まりましたから今日の話合の通りに話合を進めていき度いと思います。本日はどうも有難うございました。それで閉会致します。(閉会 午前十一時二十五分)
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